2019年米国小売総括&年末商戦速報

2019年も残すところあと2週間ほどになりました。

この1年はアメリカの小売業にとって過去に例のない記録的ペースで店舗の閉店が加速した年であり、リテール・アポカリプス(Retail Apocalyps〜小売業の終焉)といったフレーズが多くのメディアから発信された年でもありました。

アメリカ小売り業界のシンクタンク大手のコアサイト・リサーチ(Coresight Research)社の最新のレポートによると、12月05日現在で9,271店舗の閉店が発表されているということで、2018年1年間の閉店数(5,861店舗)を大きく上回っています。

次の表は今年100店舗以上を閉鎖した主な小売り企業のリストです。

 

店舗名

業種

閉店数

ペイレス・シューソース(Payless ShoeSource)

シューズ

2,100

アスセナ(Ascena)

レディース・アパレル

781

ジンボリー(Gymboree)

子供服

749

フレッズ(Fred's)

ドラッグストア

564

シャーロッテ・ルッセ(Charlotte Russe)

レディース・アパレル

500

ショップコ(Shopko)

ドラッグストア

371

ファミリーダラー(Family Dollar)

ダラーストア

359

ジーエヌシー(GNC)

サプリメント

332

チャーミング・チャーリー(Charming Charlie)

レディース・アパレル

261

シアーズ(Sears)

百貨店

246

アベニュー(Avenue)

レディース・アパレル

222

デスティネーション・マタニティ(Destination Maternity)

マタニティウェア

210

ウォルグリーン(Walgreens)

ドラッグストア

174

キッチン・コレクション(The Kitchen Collection)

調理用品

160

シグネット・ジュエラーズ(Signet Jewelers)

宝石

159

ギャップ(Gap)

アパレル

154

フットロッカー(Foot Locker)

シューズ

108

ゲームストップ(Game Stop)

ゲームソフト

106

※Coresight Research社データ

 

2004年の創業以来右肩上がりに業績を伸ばし、2015年にはマンハッタン5番街に店舗をオープンしたレディース・アパレルと雑貨で人気を博したチャーミング・チャーリーも全店舗閉店に追い込まれるなど、アメリカの小売業を取り巻く環境は非常に厳しくなっているようです。

コアサイト・リサーチ社のリサーチ主幹であるJohn Mercer氏によると、2019年がアメリカにおける小売り企業の店舗閉鎖のピークになるだろうとのことですが、すでに小売り店舗数が飽和レベルをはるかに超えてしまっている市場のため、今後も急激な改善は望めないであろうとのことです。

 

このような状況の中で、前回のメールマガジン「米国小売、変化するブラックフライデー」にて、11月28日のサンクス・ギビングデーから始まるアメリカ最大の年末ホリデー商戦の直前レポートを配信しましたが、その結果について速報数値が発表されているのでご報告します。

以下のグラフはNRF(全米小売業協会)が発表している過去3年間のサンクスギビングからサイバーマンデーまでの期間にショッピングをした人数と一人当たり平均支出額のデータです。

 

nrf_data1.jpg

※NRFデータ

 

この期間にショッピングをした人口は対前年で約14%増えて1.896憶人で過去最高を記録したということです。内訳は、1.240億人が実店舗のみ、1.422憶人がオンラインのみ、そして0.757憶人がその両方で買い物をしたということです。

また一人当たりの支出額は以下のグラフの通りです。

 

nrf_data2.jpg

※NRFデータ

 

今年の5日間のホリデー期間の一人当たり平均支出額は前年から約16%増えて、361.90ドルだったということです。そのうち実店舗とオンラインの両方で買い物をした人の平均支出額は366.79ドルということで、どちらかのみでの購入額平均よりも約25%多く支出したという結果も出ています。

またNRFによると、今回ブラックフライデー(11月29日)の日のオンライン購入者数(9,320万人)がサイバーマンデー(12月02日)の日の購入者数(8,330万人)をはじめて上回ったということです。ただしオンラインによる売上額では、ブラックフライデーの約74億ドルに対してサイバーマンデーが約94億ドルということで、いまだにサイバーマンデーの方が大きくリードしているという統計結果をデータ分析大手のアドビ・アナリティクス(Adobe Analytics)社がレポートしています。

いずれにしても、無料配送やオンライン注文&店内受け取り(BOPIS – Buy Online Pick Up in Stores)の充実化等により今後もショッピングのオンライン化は進んでいくものと予測されます。

オンラインの世界ではこれまでアマゾンが圧倒的な存在感を示してきましたが、モバイルアプリのデータ分析を行っているスタートアップ企業のセンサー・タワーズ・アナリシス(Sensor Tower’s Analysis)社の最新の報告によると、今年の年末商戦期間におけるモバイルアプリのダウンロード数において、今回はじめてウォルマートがアマゾンを上回ったということです。

そのデータによると、この期間に約113,000人がウォルマートのアプリを新たにダウンロードし、前年比で23%増えたとのことです。アマゾンのアプリを新たにダウンロードしたのは約102,000人とのことであり、ダウンロード数だけみるとウォルマートのアプリの方ががわずかに多いという結果になりました。しかしながらアマゾンのアプリダウンロード数は前年比で10%も悪化しており、アメリカにおけるオンラインの商取引の世界の勢力図に異変が起き始めているのではとレポートされています。

このデータを裏付けるように、デジタルマーケティング調査大手のイーマーケッター(eMarketer)社は今年の6月に、アメリカにおけるアマゾンのオンライン市場シェアが当初の47%から37.7%へと大幅に下方修正されたレポートを発表しています。今後もアマゾンとウォルマートによるオンラインおよび実店舗市場での競合には注目です。


2019年は店舗閉鎖が相次ぎ、ブラック・フライデーの購買行動からもわかるようにショッピングのオンライン化がますます進んだ年となりました。来年もアマゾンだけでなく、実店舗企業が取り組むオンラインと実店舗をつなぐ新たな戦略にも注目し、変化する市場の情報をご紹介してきたいと思います。


(2019.12.16配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業推進課)

 

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