アメリカ5月の小売売上高が過去1年間で最大の上昇率(6/12)
NRF(全米小売業協会)の最新のデータによると、2024年5月のアメリカ国内の小売売上高が過去1年間で最大の上昇率を記録したということです。
5月の小売総売上高(ガソリンは除く、レストランは含む)は、前月比1.35%増、前年同月比で3.03%増でした。
因みに4月は前月比0.4%増、前年同月比0.05%減でした。
主要セクターの詳細は以下の通りです。
・オンラインおよびその他の非店舗売上高は、前月比2.09%増、前年同月比17.91%増
・ヘルスケア&パーソナルケアは前月比1.29%増、前年同月比6.86%増
・衣料品・アクセサリー店は前月比1.44%増、前年同月比6.24%増
・生活雑貨店は前月比1.31%増、前年同月比4.89%増
・食料品店は前月比1.97%増、前年同月比2.53%増
・建築・園芸用品店は前月比0.6%減、前年同月比0.53%減
・スポーツ用品店、ホビー・音楽関連店舗、書店は前月比1.04%増、前年同月比0.71%減
・家電量販店は前月比0.05%減、前年同月比0.87%減
・家具・家庭用品店は季節調整済みで前月比0.14%減、前年同月比3.21%減
ダラーゼネラルがセルフレジを大幅削減(6/4)
アメリカ48州で約19,700店舗を展開している大手ディスカウントチェーンのダラー・ゼネラルが、セルフレジを急速に削減しています。
すでに約12,000店舗においてセルフレジの廃止または削減を実施しており、今後も売上の芳しくない店舗を中心に進めて行くということです。
完全に廃止して従来の有人レジまたは、アシスタント付きセルフレジにすることで、万引き等による損害額を縮小したい意向です。
今後セルフレジは一部の売上順調な店舗でのみ残していくということで、更にセルフレジで精算する場合は5品目以下に限定されるとのことです。
2024年5月3日締めの2024年度第一四半期の決算報告で、純売上前年比6.1%増の99億ドル、既存店売上2.4%増と好調な結果を明らかにしたものの、今年度の新規出店数を800店舗から730店舗に削減する一方で、店舗改装を1,500店舗から1,620店舗に軌道修正するなど、万引きや従業員による窃盗などが店舗経営に及ぼす悪影響(在庫損失=シュリンク)への対応に注力して行くようです。
ストップ&ショップが複数店舗を閉店予定(5/30)
アホールド・デレーズは、アメリカ東海岸(マサチューセッツ州、コネチカット州、ロード・アイランド州、ニュージャージー州及びニューヨーク州)で約400店舗を展開しているストップ&ショップ(Stop & Shop)の複数の店舗を閉店する予定だと発表しました。
不採算店舗を抽出し、今年後半には閉店する店舗を明らかにするということです。
2018年以降約190店舗の改装を行っており、改装後の店舗の売上は伸びたものの、改装されていない店舗の業績が芳しくないということなので、閉店するのは改装されていない店舗が中心となる予定です。
勝てる市場を見極めて経営を最適化し、アホールド・デレーズは今後4年間で55億ドルの節約を目指していくということです。
ウォルマート富裕層取り込んで好調(5/20)
ウォルマートの2025年度第1四半期(4月末締め)の決算が報告され、4月30日までの3か月間の連結売上高は1,615億ドルで、前年同期比6%増、グローバルなeコマース売上高は21%増と堅調な結果となりました。
この好結果の大きな要因のひとつは、高所得層のシェアの拡大にあるようです。
2023年12月に配信した弊社メールマガジン「パンデミックとグロサリー小売の変遷(http://www.ryutsu-shisatsu.com/17014204468091)」 でも触れましたが、パンデミック(新型コロナ)と高インフレという環境下において、消費者の特定の小売企業へのロイヤルティの低下という現象が起き、それまでウォルマートに見向きもしなかった年収10万ドル以上の富裕層の実に75%が、このインフレ下でウォルマートでの買い物をしたというデータが報告されていましたが、まさに最新のウォルマートの決算に数字として表れた結果となりました。
ダラーストア出店による影響は?(5/16)
米国農務省経済調査局(ERS)の最新の報告書によると、ダラーストアがアメリカの農村地区に出店すると、都市部の食料品店よりも大きな経済的打撃を受けているということです。
この報告書によると、ダラーストアが農村地区の小売市場に参入すると、地元の独立系食料品店の売上高は平均9.2%減少し、都市部の平均4.7%に比べてその影響が約2倍となるということです。
また、雇用も農村地区で7.1%減少し、都市部の2.3%に比べて大きな影響を受けているようです。
更に、都市部ではダラーストア進出後約5年でその影響は弱まることが確認されているが、農村地区では5年後でもほとんどその影響に変化が見られないということで、農村地区へのダラーストア出店による影響の大きさが分かります。
ウォルマートが新PB商品を発表(5/1)
ウォルマート(Walmart)が新たなPB食料品を発表しました。
名称は「bettergoods」で、冷凍食品、乳製品、スナック、飲料、パスタ、スープ、コーヒー、チョコレートなど約300の食料品アイテムが含まれるということです。
ウォルマートにとって過去20年間で最大規模のPBラインとなり、プライスレンジは2ドル~15ドルですが、殆どの商品が5ドル未満に設定されています。
特徴は①植物由来 ②調理体験 ③~を含まない(フリーフロム)の3点で、人工香料、着色料等食品添加物を一切使用せず、グルテンフリー、抗生物質フリーの食材で、健康的且つ調理を楽しめる商品ラインということです。
※以下写真はウォルマートHPからの抜粋ですので、取り扱いにご注意ください。
子供の健康維持に最適な州は?(4/25)
今回は流通小売りとは少し違ったテーマとなりますが、個人向け金融サイト大手のウォレットハブ(Wallethub)社が先ごろ発表した「アメリカで子供の健康管理・維持に最も適した州」という内容のレポートを公開しているのでご案内します。
このレポートによるとアメリカ50州+ワシントンDCの中で、最も子供の健康管理・維持に適した州と不適切な州は以下の通りでした。
子供の健康管理に最適な州 | 子供の健康管理のための最悪の州 |
1. マサチューセッツ州 | 42. ウェストバージニア州 |
2. バーモント州 | 43. ルイジアナ州 |
3. ロードアイランド州 | 44. アリゾナ州 |
4. ニュージャージー州 | 45. メイン州 |
5. ハワイ州 | 46. アーカンソー州 |
6. ニューヨーク州 | 47. アラスカ州 |
7. ペンシルベニア州 | 48. オクラホマ州 |
8. メリーランド州 | 49. テキサス州 |
9.コロンビア特別区 | 50. ワイオミング州 |
10. コネチカット州 | 51. ミシシッピ州 |
今回の分析結果の背景となったポイントをいくつかピックアップしました。
・マサチューセッツ州は、0歳から18歳までの無保険の子供の割合が最も低く、最も高いテキサス州は7.8倍
・ロードアイランド州は、0歳から17歳までの子供のうち、不当に高額な医療費の割合が最も低く、最も高いテキサス州は3倍
・コロンビア特別区は、住民10万人あたりの小児科医が最も多く、最も少ないオクラホマ州の25.4倍
・ニューハンプシャー州は、10歳から17歳の肥満の子供の割合が最も低く、最も高いミシシッピ州は2.3倍
今回トップになったマサチューセッツ州が子供の健康に最も適した州ということで、過去1年間に医療と歯科予防の両方の受診をした子供の割合が最も高く、乳児死亡率が一番低かったということです。
アメリカで最もサステナブルな食品小売り企業は?(4/18)
アメリカの小売業界誌大手のプログレッシブ・グローサーズ(Progressive Grocers)が、アメリカで最もサステナブルな食品小売企業トップ10ランキングを発表しました。
今回はそのトップ10に選ばれた企業名のみご紹介します。
順位 企業名
1 アホールド・デレーズ(Ahold Delhaize USA)
2 アルディ(Aldi)
3 ジャイアント・イーグル(Giant Eagle)
4 マイヤー(Meijer)
5 PCCコミュニティ・マーケット(PCC Community Markets)
6 スパルタン・ナッシュ(SpartanNash)
7 スライブ・マーケット(Thrive Market)
8 トップス・マーケット(Tops Markets LLC)
9 ウェグマンズ(Wegmans Food Markets)
10 ホールフーズ(Whole Foods Market
日本ではなかなか知られていない企業もランクインしておりますが、それぞれの企業のサステナブルな取り組み内容については次回の当社メールマガジンにてまとめていきたいと思います。
アマゾンがJust Walk Outシステム開発中止を発表(4/3)
アマゾンが独自開発し、アマゾンゴーやアマゾンフレッシュ等の店舗で採用してきたJust Walk Out(JWO)システムの開発を中止すると発表しました。 人工知能を活用して、買い物客が商品を手に取りレジを通ることなくそのまま退店することで、自動的に精算まで完了するというシステムですが、買い物中にリアルタイムでレシートを確認したり、どのくらいお得に買い物ができているのか等が分からないのが不便である等多くの意見が顧客から寄せられているとのこと。
こういった顧客からの要望に応えるため、JWOシステムの更なる開発を続けることではなく、すでに導入が進められているAI技術搭載のダッシュカートと呼ばれるスマートカートに注力していくということです。
ダッシュカートでの買い物は、レジに並ばずに買い物が完了することに加え、リアルタイムでのレシート確認やクーポンの利用などが可能となっているため、今後はダッシュカートの開発と店舗導入に集中する見込みです。
今後このJWOは既存のアマゾンフレッシュ店舗での利用も削減していく意向ですが、アマゾンゴー店舗での利用は引き続き可能となるようです。 また、英国のアマゾンゴーおよびアマゾンフレッシュ店舗でのJWO利用に変更はない予定とのこと。JWO技術は今後サードパーティによる利用が中心となる予定です。
因みに今年1月にジョージア州サバンナの病院でJWOが導入されている他に、アメリカ、英国、オーストラリア、カナダの空港、スタジアム、大学のキャンパス、食料品店やコンビニエンスストア、テーマパーク、カフェなど120以上のサードパーティ施設に導入されています。
フード・ライオンの省エネ対策(3/27)
ノースカロライナ州を拠点に南東部と中部10州で約1,100店舗を展開しているリージョナルチェーン大手のフード・ライオン(Food Lion)が、23年連続で「エネルギースター年間パートナー賞-Energy Star Partner of the Year」を受賞しました。
この賞は米国環境保護省(EPA)とエネルギー省(DOE)が、消費電力の削減に取り組み成果を上げている企業や、エネルギー効率に優れた製品や建築物等を対象に毎年表彰しているものです。
フード・ライオンは、省エネに積極的に取り組むことで23年連続で受賞した唯一の企業です。
2015年から店舗内の照明のLED化に取り組み、現在全店舗の95%が持続可能な照明の導入を完了しており、これまでに8億9,200万キロワットの節約を達成したということです。
2,000年以降のエネルギー使用量の削減は、123,114世帯の年間電力使用量のCO2排出量に相当するということで、これは769億台のスマートフォンの充電に相当します。
リドルがガーデンセンター併設店舗を拡大(3/27)
ドイツ発ハード・ディスカウントチェーン大手のリドル(Lidl)は、アメリカ国内で約170店舗を展開してますが、屋外ガーデンセンターを併設したフォーマットの店舗を急速に拡大すると発表しました。
3月27日から5月28日にかけて、9つの州(ジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、バージニア州、メリーランド州、デラウェア州、ペンシルベニア州、ニュージャージー州およびニューヨーク州)の76店舗をガーデンセンター併設店舗に改装するということです。
地元の栽培農家と提携し、一年生植物、多年生植物、食用植物やガーデン用品等を取り扱うということです
ファミリーダラー600店舗を閉店(3/14)
ダラーショップ大手のダラーツリーは、傘下のファミリーダラー事業の抜本的な見直しを図り、2024年度上半期中に業績不振のファミリーダラー店舗を特定し、約600店舗の閉鎖する予定であると発表しました。
それ以外にも、リース期間が満了する370のファミリーダラー店舗と30のダラーツリー店舗も閉鎖予定で、トータルで1,000店舗の閉鎖となります。
ファミリーダラーは2015年にダラーツリーに買収され、2024年2月末時点で約8,450店舗を展開してます。
2月3日に終了した四半期の純損失が17億1,000万ドルに上ったことが今回の大規模閉店の最大の要因です。
アルディが2028年末までに800店舗を出店予定(3/8)
アメリカ38州で約2,300店舗を展開しているドイツ発ハード・ディスカウントチェーン大手のアルディ(Aldi)は、2028年末までに新たに800店舗を出店すると発表しました。
この800店舗の追加という大規模の5ヵ年計画に90億ドル以上の投資をする予定で、特に北東部と中西部での存在感を強化したいということで、このエリアで約330店舗を追加予定です。
更にカリフォルニア州とアリゾナ州でも店舗拡大をして行くということです。
また昨年8月に当トレンドピックアップでもご紹介した通り(8月17日付 アルディが大規模買収を発表 / http://www.ryutsu-shisatsu.com/16922372965302)、サウスイースタン・グローサーズ傘下のウィンディキシー、ハーベイズの約400店舗の買収で合意しており、その手続きもほぼ完了したようです。
アルディの店舗では、一般的なスーパーマーケットよりも約40%安い買い物ができるということで、全米各地からアルディへの出店要請が続いているということです。
ホールフーズが新フォーマット小型店舗をオープン予定(3/5)
アマゾン傘下のオーガニック食品小売りチェーン大手のホールフーズが、今年の秋に新しい小型フォーマットの店舗「ホールフーズ・デイリーマーケット(Whole Foods Daily Market)」をニューヨーク・マンハッタンのアッパーイーストサイドの1175 Third Ave(Upper East Side of Manhattan at 1175 Third Ave.)にオープンすると発表しました。
この店舗を含め、すでにニューヨーク市内5か所に新フォーマット店舗用の用地との契約を済ませているということです。
新フォーマット店舗は、従来のホールフーズ店舗の平均3,700㎡の半分から4分の1で、650㎡~1,300㎡のサイズになるようですが、アマゾン独自の手のひら認証によるショッピングと決済が可能なアマゾン・ワンの他、セルフチェックアウトと通常のレジが設置されるということです。
ホールフーズは2015年から2019年まで同様に小型フォーマットの店舗である365 by Whole Foods Marketを展開しておりました。
独自ブランドの365をメインとしてそれまでのホールフーズよりも低価格を売りに12店舗まで拡大しましたが、アマゾン傘下となったホールフーズも同時に低価格を目指す方向に舵を切ったことで、小型店舗の365 by Whole Foods Marketは一旦終了となっておりました。
ホール・フーズ・デイリーマーケットは今後ニューヨークだけでなく他の都市への拡大も視野に入れているということです。
2023年PBが記録的拡大(2/29)
プライベート・ブランド(PB)の製造者協会であるPLMA(The Private Label Manufacturers Association)の最新のレポートによると、2023年アメリカの小売市場におけるPBの売上が前年比で4.7%増(101億ドル増)の2,360億ドルを記録したということです。
一方でナショナル・ブランド(NB)は前年比3.4%増でした。
コロナ前の2019年と比べると、売上は34%増の602億ドル増となりました。
カテゴリー別で最も売上が伸びたのはビューティ部門で10.5%増で、一般食品全般10%増、飲料8.9%増、ホームケア用品8.7%増、冷凍食品4.4%増が続いてます。
最新のアメリカ小売市場おけるPBシェアは、金額ベースで18.9%、ユニットベースで20.7%となりました。
英国小売店の店員への犯罪が急増(2/15)
世界中の小売店舗における犯罪はここ数年大きな問題となっていますが、英国でも小売店舗における店員に対する犯罪が2023年度は前年比で50%も急増したというデータが発表されました。…続きを読む
ノードストロムがオフプライス店舗を拡大中(1/12)
100年以上の歴史を持つアメリカ最大の老舗百貨店チェーンのノードストロム(Nordstrom)がオフプライス業態として運営しているノードストロム・ラック(Nordstrom Rack)ですが、2023年末時点で258店舗となっており、前年同時期から16店舗増えてました。…続きを読む
ブリストル・ファームの新コンセプト店舗が閉店(1/10)
2022年3月にカリフォルニア州アーバインにあるアーバイン・スペクトラム・センターにオープンしたBristol Farms Newfound Marketが今年2月上旬で閉店すると発表されました。…続きを読む
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