2019年注目のデジタル・ネイティブ・ブランドは?

ギャップ(Gap)が先駆者と言われる製造から小売りまで一括で行うSPAというビジネスモデルは広く浸透していますが、近年店舗を持たずに自社製品を自社のオンラインサイトのみで販売をするD2C(Direct-to-Consumer)という新たな直販ビジネスモデルが注目を浴びていますので、ご紹介します。

D2Cは店舗運営にかかる経費や、顧客への直販というシンプルなサプライチェーンによる経費の削減だけでなく、顧客情報および顧客ニーズのダイレクトな入手が可能となり、よりスピーディに新商品開発につなげることができるというメリットがあります。

このD2Cの代表的スタートアップ企業として、2010年創業のワービー・パーカー(Warby Parker)があります。

ワービー・パーカーは自社開発の高品質な眼鏡をリーズナブルな価格(95ドル均一)で提供し大人気となっており、特にミレニアル世代の顧客から圧倒的な支持を受けています。その背景には、オンラインで事前に5種類の眼鏡の無料試着体験が可能で、気に入ったものだけを購入することができるという革新的なサービスと、膨大な顧客情報から得た製品づくりにあります。

ミレニアル世代が最大の顧客層ということで、事前無料試着体験時にインスタグラムやフェイスブック、ツイッターといったSNSによって情報が拡散され、それがクチコミとなって新たな顧客を獲得するという理想的なビジネスモデルを確立しました。2015年にはアメリカのビジネストレンド情報誌であるファスト・カンパニー(Fast Company)社により、最も革新的な企業のトップにも選ばれています。

自社オンラインサイトのみの販売で伸びたワービー・パーカーですが、2015年には初の実店舗をオープンしました。オンラインで得た膨大な情報と資金をベースに、更なる顧客との接点を増やすことが最大の目的です。販売のための店舗というよりは、同社の製品を体験してもらう拠点という位置づけで、現在までに100店舗近い実店舗をオープンしています。また最新の企業価値は17.5億ドルとも言われており、株式上場も近いとみられています。

上述のワービー・パーカーのように、D2Cから実店舗展開にシフトすることが最近の大きなトレンドとなってきており、今年の5月のメールマガジン「米国アパレル市場の最新トレンドは“セカンドハンド”」でもご紹介したセカンドハンドアパレルのスレッドアップ(Thred Up)なども同様のビジネスモデルです。

また、2011年に「徹底した透明性(Radical Transparency)」を前面に打ち出し、原材料費、仕入価格、人件費から同社の利益分まで全ての経費を明確にしてオンライン専門でアパレル販売を開始し、その後実店舗をオープンすると連日行列ができるほどの大人気となったエバーレーン(Everlane)などは既にメジャーな企業として認知されるまでに成長しています。

このようなD2C企業による実店舗へのシフトというトレンドについて、アメリカの小売専門のオンラインメディア大手のリテール・ダイブ(Retail Dive)が発表した2019年以降に注目すべきD2C発の企業についてご紹介したいと思います。

以下がその代表的な企業のリストです。 


 

企業名 

ブランド 

創業年 

概要 

アウェイ(Away)

スーツケース 

2015 

スタイリッシュで機能的且つ高品質なスーツケースを販売し、1年目から利益を上げたことで、これまでにベンチャーキャピタルから8,100万ドルの資金調達に成功。創業から3年で50万個以上のスーツケースを販売した。インスタグラムを好んで利用するミレニアル世代から支持を得ており、NBAのスター選手であるドゥウェイン・ウェイド(Dwayne Wade)を広告塔として採用している。
ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、オースティン、シカゴ、オヘア空港内およびロンドンに7店舗を展開している。 

キャスパー(Casper)

マットレス 

2014 

デジタルネイティブのスタートアップ企業として競合の激しいマットレス市場に算入して4年で、150億ドルと言われるアメリカのマットレス市場のリーディング企業となった。
オンラインで100日間の無料体験を申し込むことができる。また、配送されるマットレスはデザイン性に富んだボックスで届き、インスタグラムやフェイスブック等のSNSで情報が拡散され、評判が評判を呼ぶ形で注目を集めた。
2017
年には大手小売りのターゲット(Target)の約1,000店舗での販売を開始し、独自店舗もニューヨークを中心に全米20店舗を展開しており、2021年中に200店舗を目指している。 

ユニバーサル・スタンダード(Universal Standard)

アパレル 

2015 

婦人向けオンラインアパレルブランドとして創業。購入から1年以内であれば体型の変化などでサイズが変わっても、最適なサイズの商品に無料で交換するという画期的なシステムが受け、ベンチャーキャピタルから993万ドルの資金調達をするまでになった。
ノードストロム(Nordstrom)のオンラインサイトでの販売も開始し、今年の売り上げは対前年で約3倍になる見込み。
現在、ニューヨークとシアトルにアポイントによるショールーム兼フィットルームを持っている。 

グロッシアー(Glossier)

コスメ 

2014 

VOGUE誌に勤めていた創業者による美容関連のブログの人気がきっかけとなり、2014年にグロッシアーを起ち上げた。肌に優しい素材によるコスメと、ポップなデザインにより、インスタグラムをはじめとするSNSで大人気となった。2017年にはリンクトイン(LinkedIn)社により最も伸びたスタートアップ企業として選ばれた。
同社ホームページやその他SNSを利用したカスタマーサービスに力を入れており、現在までに約8,600万ドルの資金調達に成功している。
2016
年にニューヨークのソーホー地区に最初の実店舗をオープンし、今年の4月にはロサンゼルスのメルローズに2号店をオープン。 連日大変なにぎわいとなっている。 

オールバーズ(Allbirds)

シューズ

2014

自然素材を使った「世界一履き心地の良いシューズ」をキャッチフレーズに、2014年にオンライン販売を開始。インスタグラム映えするデザインにより瞬く間にミレニアル世代を中心に人気となり、現在までに7,700万ドル以上の資金調達に成功している。
インスタグラムをメインとしたSNSによる顧客との接点を重視し、顧客情報・意見の収集から商品企画と広告までを行っており、ウォールストリートジャーナル紙によると、現在の同社の企業価値は14億ドルに達しているとのこと。
2017
年から実店舗の展開に取り組み、現在ニューヨークのソーホー地区、サンフランシスコ、およびイギリス・ロンドンのカムデンタウンの3店舗を展開している。

Retail Dive社データによる 

他にも、2015年からボストンを拠点としてオンライン販売を行っている、エム・ジェミ(M.Gemi)というシューズブランドが注目を集めています。同社はイタリアの職人による手作りのシューズを取り扱っており、その品質の良さとリーズナブルな価格で瞬く間に大人気となりました。創業から1年後にフィットショップとしての店舗展開を始めており、同社のフラットシューズは1,000人以上のオーダー待ちという人気ブランドです。

このように、D2Cから実店舗への展開という新しいビジネスモデルは現在とても注目されており、今後もご紹介していきたいと思います。

 

(2018.12.10配信)

 

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関連情報

2019年注目のデジタル・ネイティブ・ブランドは?’(仮題) 

 

ギャップ(Gap)が先駆者と言われる製造から小売りまで一括で行うSPAというビジネスモデルは広く浸透していますが、近年店舗を持たずに自社製品を自社のオンラインサイトのみで販売をするD2CDirect-to-Consumer)という新たな直販ビジネスモデルが注目を浴びています。 

店舗運営にかかる経費と顧客への直販というシンプルなサプライチェーンによる経費削減と、顧客情報および顧客ニーズのダイレクトな入手が可能となり、よりスピーディに新商品開発につなげることができるというメリットがあります。 

 

このD2Cの代表的スタートアップ企業として、2010年創業のワービー・パーカー(Warby Parker)があります。 

ワービー・パーカーは自社開発の高品質な眼鏡をリーズナブルな価格(95ドル均一)で提供し大人気となりましたが、特にミレニアル世代の顧客から圧倒的な支持を受けています。 その背景にはオンラインで事前に5種類の眼鏡の無料試着体験が可能で、気に入ったものだけを購入することができるという革新的なサービスと同時に、膨大な顧客情報から得た製品づくりにあります。   

ミレニアル世代が最大の顧客層ということで、事前無料試着体験時にインスタグラム、フェイスブックやツイッターといったSNSによって情報が拡散され、それがクチコミとなって新たな顧客を獲得するという理想的なビジネスモデルを確立し、2015年にはアメリカのビジネストレンド情報誌であるファスト・カンパニー(Fast Company)社により、最も革新的な企業のトップに選ばれました。 

自社オンラインサイトのみの販売で伸びたワービー・パーカーは、2015年に初の実店舗をオープンしました。 

オンラインで得た膨大な情報と資金をベースに、更なる顧客との接点を増やすことが最大の目的ということで、販売のための店舗というより、同社の製品を体験してもらう拠点という位置づけで、既に現在までに100店舗近い実店舗をオープンしており、最新の企業価値は17.5億ドルとも言われており、株式上場も近いと見られています。

 

上述のワービー・パーカーのように、D2Cから実店舗展開にシフトすることが最近の大きなトレンドとなってきており、今年の5月のメールマガジン「米国アパレル市場の最新トレンドは“セカンドハンド”でもご紹介したセカンドハンドアパレルのスレッドアップ(Thred Up)や、2011年に‘徹底した透明性(Radical Transparency)’を前面に打ち出し、原材料費、仕入価格、人件費から同社の利益分まで全ての経費を明確にしてオンライン専門でアパレル販売を開始し、その後実店舗をオープンすると連日行列ができるほどの大人気となったエバーレーン(Everlane)などは既にメジャーな企業として認知されるまでに成長しています。

 

このようなD2C企業による実店舗へのシフトというトレンドについて、アメリカの小売専門のオンラインメディア大手のリテール・ダイブ(Retail Dive)が、2019年以降に注目すべきD2C発の企業について特集しているので、いくつか報告したいと思います。

以下がその代表的な企業のリストです。

Retail Dive社データによる

 

他にもイタリアの職人による手作りのシューズを、2015年にオンラインで販売を始めて、その品質の良さとリーズナブルな価格で瞬く間に大人気となったボストンを拠点とするエム・ジェミ(M.Gemi)というシューズブランドは、創業から1年後にフィットショップとしての店舗展開を始めており、同社のフラットシューズは1,000人以上のオーダー待ちという人気ブランドとして注目を浴びています。

 

このように、D2Cから実店舗へという新しいビジネスモデルに今後も注目をしてきたいと思います。

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