米国アパレル市場の最新トレンドは“セカンドハンド”

米国のアパレル市場について、3月のメールマガジン「売上拡大を支える、アマゾンのプライベート・ブランド戦略」の中で、オンラインでの売り上げは伸びているものの、全体の売り上げは下がっていることをご紹介しました。今回は、そうした状況の中でも売り上げを伸ばして注目されている、「セカンドハンド・アパレル」(リユース:中古品のアパレル)についてご紹介します。

オンライン市場調査会社のeMarketer Retail社のデータによると、2017年から2018年にかけてセカンドハンド業態は49%も売り上げを伸ばしたということです。好調だと言われているオフプライス業態が約7%の伸びであることからも、セカンドハンド業態が大きく伸びていることがわかります。特にミレニアル世代の女性から支持されているとのことです。

以下のグラフは18歳以上の女性がアパレルの購入について、今後どのような頻度や方法でショッピングを続けたいと考えているのかをまとめたデータです。

※eMarketer Retail社データ


セカンドハンド業態でのショッピングを今後「更にもっと」、あるいは「もっと」増やしたいという回答が7割以上を占めており、圧倒的に多いことが分かります。あらゆる小売業態を席巻してきたアマゾンでさえ、この数値には及びません。

このセカンドハンド・アパレルの世界で、いわゆるディスラプター(Disrupter:破壊的な勢いで成長をしている)と呼ばれているのが以下の3社です。

① ポッシュマーク(Poshmark)
  日本のメルカリと同じく、オンラインでの個人間フリマアプリを運営している企業

② ザ・リアルリアル(The Real Real)
    ラグジュアリーブランドのみに特化したオンラインマーケットを運営している企業

③ スレッドアップ(ThredUp)
    主に婦人服とキッズ・アパレルに特化したオンラインマーケットを運営している企業

③のスレッドアップは、2009年にオンライン専門のセカンドハンド・アパレル売買企業としてサンフランシスコを拠点にスタートしました。上記3社の中でも、出品や配送といった煩わしい手間を全て代行し、更に商品の値付けから決済までお任せで進めることがきることから人気を博しています。その後ゴールドマン・サックスやハイランド・キャピタル・パートナーズ等による1億3,000万ドルを超える資金調達を得て順調に売り上げを伸ばし、2017年には実店舗の展開を開始しています。現在、テキサス州オースティン(Austin)とカリフォルニア州・サンフランシスコ郊外のウォルナット・クリーク(Walnut Creek)の2店舗を運営しています。年内にはサンフランシスコのエリアを中心に10店舗まで拡大予定で、最終的には全米で100店舗の展開を予定しているということです。この実店舗展開は、試着をしてから購入したいという根強い顧客ニーズに対応したもので、オンラインでの衝動買いの傾向が見られる18歳〜34歳といった若い世代だけではなく、65歳以上の世代にも対応したものだということです。

昨年8月のメールマガジン「実店舗で絶好調!オフプライス企業『TJXカンパニー』強さの秘訣」、および昨年4月のメールマガジン「実店舗の栄枯盛衰・・・北米企業の最新事情」の中で、オフプライス企業の好調さをご報告しました。オフプライス企業の好調さは相変わらずではあるものの、スレッドアップ社の2018年度の年次報告書では、同社の顧客の約50%が、オフプライス企業からスレッドアップ社でのショッピングにシフトしてきたということです。

また、その報告書によると、セカンドハンド・アパレルの市場は現在の約200億ドルから、2022年には約410億ドルへと倍増する見込みということです。

米国アパレル市場の新しいトレンドであるセカンドハンド・アパレルのマーケットに、今後ますます注目をしていきたいと思います。

(2018.05.10配信)

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