クローガーが撤退! 食品小売超激戦区・ノースカロライナ

昨年6月のメールマガジン「新激戦区!米国ノースカロライナの小売事情」でご報告しましたが、同州のローリー(Raleigh)市、ダーラム(Durham)市、チャペルヒル(Chapel Hill)市の3都市に囲まれたエリアはトライアングル地区と呼ばれ、食品小売の大激戦区となっています。

全米最大のスーパーマーケットチェーンのクローガー(Kroger)も同地区に出店していますが、このトライアングル地区のローリー市およびダーラム市に展開している全14店舗の営業を8月14日までに停止するという大きなニュースが、複数のメディアから6月に発信されましたので、現状をご紹介します。

openstreetmap.png

※   OpenStreetMapより

 

昨年レポートした2016年度のローリー市における食品小売企業のランキングでは、クローガーは8店舗を展開しており、4位に入っていました。しかしながら、現時点(8月08日)では2店舗のみの営業となっています。ダーラム市では2017年度に6店舗を展開し、3番目のシェアを持っていましたが、こちらも現時点では2店舗のみの営業となっています。

以下はアメリカの小売企業データ大手のチェーンストアガイド(Chain Store Guide)社が発表している、2017年度のローリー市およびダーラム市における食品小売企業のマーケットシェアです。

NC_chart1808.jpg


クローガーはこのトライアングル地区に1989年に進出をして、徐々に店舗数を伸ばしてきました。また、上記の表で分かるように、同社は、ローリーおよびダーラムどちらの都市でも、2016年から2017年にかけて市場シェアを伸ばしています。

ローリー市の地元紙であるローリー・ニュース&オブザーバー(Raleigh News & Observer)の電子サイトによると、トライアングル地区の小売市場は既に飽和状態に達している中で、更に南からパブリクス(Publix)、空(クラウド)からアマゾン(Amazon)、そしてドイツからアルディ(Aldi)とリドル(Lidl)等の波状攻撃を受け、極めて厳しい市場となっているということです。

更に2019年に入ると、北からウェグマンズ(Wegmans)が初のノースカロライナへの出店に向けて着々と準備を整えています。同社はローリー、ケーリー(Cary)、ウェストケーリー(West Cary)およびチャペルヒルに続々と出店する予定です。

これにより、バージニア州に続き、全米で人気を二分するパブリクスとウェグマンズが同一地区で競合することになり、ますます市場の激化が予想されます。

このような状況の中、クローガーはシェアの拡大を達成しているのに反して、営業利益がなかなか伸びないという「矛盾」した状況から、今回の撤退を決めたのであろうとローリー・ニュース&オブザーバー紙は述べています。同紙はさらに「このトライアングル地区のマーケットは、極端に安さを売りにしたディスカンターか、特別な買い物体験を提供できる企業でなければ存続は難しく、クローガーはその中間に位置付けられていた」と報じています。

クローガーのミッド・アトランンティック地区の社長であるジェリー・クロンツ(Jerry Clontz)氏も、「長年商売を続けてきたが、この地区では我々が望んでいた形に業績を伸ばすことができなかった」とコメントしており、このトライアングル地区の特殊性が伺われます。

なお、クローガーが営業を停止する14店舗のうち、8店舗は2013年に買収しノースカロライナ拠点で地元を知り尽くしているハリス・ティーターに改装することで営業を続け、2店舗はフードライオン(Food Lion)とフィットネス企業のクランチフィットネス(Crunch Fitness)に1店舗ずつ売却するということです。

このトライアングル地区のビジネス誌であるトライアングル・ビジネス・ジャーナル(The Triangle Business  Journal)によると、現在約30の新しい食品小売店舗の出店準備が進んでおり、その中には前述のウェグマンズの他に、ライバルのパブリクスの新店舗も含まれているとのことです。また、ローリー市を含めて現在ノースカロライナでは3店舗を展開しているナチュラル・オーガニックで伸びているスプラウツ・ファーマーズマーケット(Sprouts Farmers Market)や、アルディ、リドル等もこの地でのシェアの拡大に向けて準備を進めているということです。

全米最大のクローガーでさえシェアを伸ばしながらも撤退をすることとなった、この超激戦区に、これからも注目していきたいと思います。

 

(2018.08.10配信)

 

<お知らせ>

2018年度秋冬版更新!アメリカ流通視察の参加者お申込み受付中!
「ロサンゼルス」「ニューヨーク」の定番コースに加え、従業員表彰に最適な「ホノルル」コースも5日間でご用意!
社内の少人数の研修や従業員表彰でのフィールドワークなど、様々な目的でご利用ください。

 

2018shisatsu.png

関連情報
▲このページのトップに戻る