コロナ禍のもと急加速するオンライン・グローサリー利用者数の増加

新型コロナウィルス(Covid-19)の脅威はいまだ収束の見込みが立たず、アメリカやブラジルでは連日4万人を超える感染者が報告されています。

このような中、アメリカで過去に例を見ないペースで企業の倒産が発表されていることは、報道等で目にされているのではないでしょうか。

3月下旬に高級グルメ食材で人気を博したディーン&デルーカ(Dean & Deluca)が、4月下旬には本格的な食事も楽しめる映画館として知られるCMXシネマズ(CMX Cinemas)が、 5月に入りセレブなどにも愛用された高級衣料品のJクルー(J.Crew)、  同じ日に世界中でスポーツジムを展開しているゴールド・ジム(Gold’s Gym)、 その3日後にはアメリカを代表する超高級百貨店で2019年にマンハッタンのハドソンヤーズ(Hudson Yards)に核店舗をオープンして話題となったニーマン・マーカス(Neiman Marcus)、 その翌週にはアメリカのチェーン型百貨店のパイオニアとして一時代を築いたJCペニー(J.C.Penney)、さらに、 家具・インテリアのピア1インポーツ(Pier 1 Imports)や、世界的レンタカー大手のハーツ(Hertz)、 6月に入ってからは、スポーツ栄養補助食品やダイエット商品の販売を手掛けるGNC 、そしてつい先週にはカナダ生まれで世界的なサーカス劇団として知られるシルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)までもが経営破綻となりました。

 

一方で、アメリカの調査会社で小売業を対象としたコンサルティングも行っているブリック・ミーツ・クリック(Brick Meets Click)社の発表によりますと、今回の新型コロナウイルスの影響により2020年4月のアメリカにおけるグロサリー(食品、雑貨、日用品)のオンライン売上が53億ドルに達し、3月の40億ドルから30%以上の増加となり、単月の売上として過去最大を記録しました。

オンラインによるグロサリーの注文数も過去最高の6,250万件にのぼり、前月の4,690万件から33%の増加となりました。一件当たりの注文額も、3月の平均82ドルから4月は平均85ドルと、約3%の増加となっています。

この調査は4月22日から25日にかけて行われたものですが、今までオンラインでグロサリーの注文をしたことのなかった家庭の29%が、今後3か月以内にも間違いなくオンラインでのグロサリー購入をしたいと回答したということで、オンラインによるグロサリー市場は、新型コロナウイルスの収束の如何にかかわらず今後も伸びていくだろうと同社は予測しています。

実際に、激増するグロサリーのオンライン注文に対応するため、多くの小売企業では、受注、ピックアップ、配送などの業務に従事する人員の増強を進めています。

ウォルマート(Walmart)は3月19日以降で20万人以上を新たに雇用し、クローガー(The Kroger)も5月中旬までに新規で10万人の雇用を実現しました。さらに、食料品のオンデマンド配送サービスを代行して伸びているインスタカート(Instacart)は30万人を新規で雇用し、北米のほぼ90%の都市でグロサリー即日配送に対応しています。

 

緩やかに進行してきた小売の実店舗からオンラインへのシフトのスピードが、新型コロナウイルスの影響により急速に加速し始めました。ここで、新型コロナウイルスの影響が拡大し始めた3月17日から18日にかけて、アメリカ小売業界シンクタンク大手のコアサイト・リサーチ(Coresight Research)社が行った調査についてご紹介します。調査内容は、アメリカの1,152人の消費者を対象に、過去1年間にどの小売企業でオンラインによるグロサリーの注文をしたかというものです。

 

過去1年間でオンラインによるグローサリー注文をしたと回答した人の割合

企業名

2020

2019

アマゾン(Amazon

62.6%

62.5%

ウォルマート(Walmart

52.3%

37.4%

ターゲット(Target

22.9%

15.7%

コストコ(Costco

15.2%

8.9%

クローガー(Kroger

13.9%

11.2%

ホールフーズマーケット(Whole Foods Market

13.2%

8.4%

アルディ(Aldi

8.2%

4.6%

パブリクス(Publix

6.7%

4.5%

アホールド・デレーズ(Ahold Delhaize

5.3%

2.3%

ピーポッド(Peapod

4.8%

4.6%

アルバートソンズ(Albertsons

4.3%

4.3%

ジェットドットコム(Jet.com

4.2%

n/a

フレッシュダイレクト(Fresh Direct

2.8%

2.9%

サウスイースタン・グローサーズ(Southeastern Grocers

2.5%

n/a

その他

8.9%

14.4%

 

昨年まで揺るぎないトップの地位を確立していたアマゾンですが、この1年間の伸びはわずか0.1%となり、ウォルマート、ターゲットといった店舗型のナショナルチェーンが急速に追い上げていることがわかります。

コストコもそうですが、ここ数年、実店舗を持ちながらオンラインへの投資を急速に進めてきた企業が結果を出し始めているようです。

 

コアサイト・リサーチ社によると、2019年はオンラインによるグロサリーの売上が前年比で22%伸びたということですが、2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、更に40%程度伸びるだろうと予測しています。

今回、調査対象者の52%がオンラインでグロサリーの注文をしたと回答しており、初の過半数越えとなりました。

2018年の同調査では23.1%でしたので、この2年で2倍以上という急速な伸びを示しています。

アメリカの小売全体におけるグロサリーのオンライン売上のシェアは、2019年はわずか2.6%程度でしたが、今年は3.5%まで伸びると同社は予測しています。

 

アマゾンも、すでに買収したホールフーズだけでなく、JCペニーの買収にも興味を示していると一部では報道されています。これは、今後も急速に伸びていくことが確実なオンラインビジネスに対応するためのフルフィルメント(受注、梱包、在庫管理、発送、受け渡し、代金回収までの一連の業務)の強化のためと言われています。

JCペニーの買収が実現するかどうかは不明ですが、アマゾンもウォルマート等の急追に危機感を募らせていることは間違いなく、今回のグロサリーを含め、オンラインビジネスの動きには今後も注目して行きたいと思います。

 

 

 

(2020.7.6配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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