急増する店舗ピックアップ「BOPIS」最前線

オンラインで注文した商品を店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pickup In Store)の最前線をご紹介します。

世界中の小売り企業を中心に、オムニチャネル構築のためのソリューションを提供しているアイベント・リテール社(iVend Retai)の最新のレポートによると、世界中の消費者の40%以上が、ショッピング・エクスペリエンス(買い物体験)の向上にとって最も価値のあるサービスは、BOPISだと回答しているということです。ちなみに、BOPISはヨーロッパではクリック&コレクトと呼ばれるのが一般的です。

同社が、全世界のインターネットユーザーを対象として調査した、BOPISの利用理由をまとめたものをご紹介します。

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*iVend Retail社データより

 

BOPISが広まっている背景には、欲しいものをオンラインでゆっくりと選び、都合の良い時に店舗に行き、待ち時間なしで受け取れるという、顧客優先のサービスが広く受け入れられていることが大きいようですが、店舗側にもメリットを生んでいるようです。

イギリスを拠点にオンライン注文品のピックアップあるいは返品が可能な拠点(ロッカー等)を展開しているスタートアップ企業のドゥドル(Doddle)社によると、オンラインで注文した商品を店舗ピックアップに来た顧客の約85%が「ついで買い」をしているということです。同社はアマゾン(Amazon)やマークス&スペンサー(Mark &Spencer)などの大手小売り企業を中心に事業を展開していますが、BOPISを充実させることによって、顧客だけでなく小売り企業も売り上げを伸ばすことが可能なウィン・ウィンのシステムであるとレポートしています。

 

上記のIvend Retail社の調査では、BOPISを利用する理由として、「商品をできるだけ早く受け取りたい」という意見がでていますが、受け取りの希望として最も多かった回答は、24時間以内だったとのことです。しかし、カナダを拠点にクラウドベースでオーダーマネジメントサービスを提供しているオーダー・ダイナミクス社(Order Dynamics)が昨年10月に発表したデータによると、この24時間以内のピックアップに対応でしている企業はまだまだ少数派のようです。

以下がOrder Dynamics社が調査したピックアップまでの時間についてまとめたデータです。

 

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*Order Dynamics社データより

 

多くの企業が2日以上のピックアップとなっているのが現状のようで、今後この部分の改善が最大の課題となるようです。

なお、Order Dynamics社の調査によると、このBOPISの導入に関して、アメリカはヨーロッパよりも1歩も2歩も遅れているということです。北米、カナダ、オーストラリアおよびヨーロッパの主要7か国の約2,000社の小売り企業を調査した結果、BOPISに対応している企業の割合は以下の通りということです。

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*Order Dynamics社データより

 

イギリスのテスコ(Tesco)は、アマゾンよりも10年以上も前からEコマースを始めた企業で、オンラインでの注文品を店舗で受け取るクリック&コレクトへの取り組みでも世界をリードしてきました。テスコを始めとして、イギリスの多くの企業がBOPISに対応しています。詳細は、以前のメールマガジン、「競争激化!英国食品小売り企業の市場シェアランキング」(2017年9月配信)でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

 

アメリカでは、ウォルマート(Walmart)、クローガー(Kroger)、ターゲット(Target)など代表的な企業がここ数年でBOPISへの対応を進めており、100店舗以内の小規模なチェーン店舗も取り組みを開始しています。

一部のレポートでは、アメリカにおける2018年のBOPISの利用が前年比で47%伸びたと報じていますが、これはあくまでも11月1日から12月19日までのホリデーショッピング・シーズン期間を対象とした比較です。また、このデータは顧客データ分析を行っている調査会社のアドビ・アナリティクス社(Adobe Analytics)によるものです。

この期間に47%の大幅な伸びにつながった理由は、大混雑するショッピングシーズンにレジの長蛇の列に並ぶ必要がないからですが、オンライン全体のショッピングの伸び率が17.8%ですので、いかにこのBOPISの利用がアメリカでも増えているかが理解できます。

今後ヨーロッパとのギャップはどんどん少なくなってくるとみられていますが、いかにスピードを含めたサービス内容をグレードアップして、顧客満足度を上げることができるのかが大きなポイントとなりそうです。

 

また、アメリカの主要小売企業10社のBOPISへの対応を細かく調査してランキングしている調査結果も報告されているので、別の機会にご報告したいと思います。

 

(2019.3.15配信)

 

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