2026年版米国ファーマシー市場顧客満足度ランキング

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ミシガン州を拠点とし、世界中の様々な分野における顧客満足度を専門に分析しているJ.D. パワー(J.D. Power)社が、アメリカのファーマシー市場における2026年版の顧客満足度ランキングを発表しました。本記事では、2021年に弊社メールマガジン「米国ファーマシー市場顧客満足度最新ランキング」との比較を交えながら、最新調査の結果をご紹介します。

2026年版の調査概要と7つの評価項目

今回で18回目となる調査は、2025年5月から2026年5月にかけて実施され、過去12か月以内に処方箋に基づく薬を受け取った顧客14,144人の回答を基にしています。今回の調査では、主に次の7項目について、顧客満足度を1,000点満点で評価しています。


なお、J.D. パワーは2022年に本調査を再設計しており、評価項目などの調査設計が2021年調査とは異なります。項目ごとの配点や詳しい算出方法は公表されていないため、2021年と2026年のスコアを同一基準の数値として単純に比較することはできません。

主要4部門の満足度ランキング結果

今回の公式発表では、ドラッグストアチェーン、スーパーマーケット系、量販店系、通信販売型の4部門についてランキングが公表されました。以下では各部門の上位企業・ブランドを紹介します。

ドラッグストアチェーン(平均スコア647)

順位企業・ブランド名スコア
1グッド・ネイバー・ファーマシー(Good Neighbor Pharmacy)748
2ヘルス・マート(Health Mart)747
3CVSファーマシー(CVS Pharmacy)653
4ウォルグリーン(Walgreens)639

ドラッグストアチェーン部門では、グッド・ネイバー・ファーマシーが748点でトップとなりましたが、2位のヘルス・マートとの差はわずか1ポイントです。 両社はいずれも地域の独立系薬局を支援するネットワークで、全国規模の大手チェーンに比べ顧客一人ひとりに合わせた対応や相談のしやすさ、地域密着型のサービスが高く評価されていることがうかがえます。

スーパーマーケット系ファーマシー(平均スコア719)

順位企業・ブランド名スコア
1エイチ・イー・バット(H-E-B)773
2ウェグマンズ(Wegmans)749
3パブリクス(Publix)741
4ストップ&ショップ(Stop & Shop)732
5アルバートソンズ(Albertsons)724
6ウォルマート・ネイバーフット・マーケット(Walmart Neighborhood Market)720

スーパーマーケット部門では、テキサス州を中心に展開するエイチ・イー・バット(H-E-B)が773点で首位となりました。 同社は2021年調査でも同部門のトップでした。2025年調査ではウェグマンズ、パブリクスに次ぐ3位でしたが、今回は再び首位に返り咲きました。

ウェグマンズ(Wegmans)パブリクス(Publix)も、食品スーパーマーケットの様々な顧客満足度調査で高い評価を受けることが多い企業ですが、食品や日用品の購入と処方薬の受け取りを一つの店舗で済ませられる利便性に加え、従業員の接客力や企業に対する信頼が、スーパーマーケット系ファーマシー部門の高評価にもつながっています。

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量販店系ファーマシー(平均スコア696)

順位企業・ブランド名スコア
1サムズ・クラブ(Sam’s Club)786
2コストコ(Costco)770
3ウォルマート(Walmart)690

量販店部門では、ウォルマート傘下の会員制倉庫型店サムズ・クラブ(Sam’s Club)が786点を獲得し、11年連続で首位となりました。786点は、部門平均696点を90ポイント上回っており、今回発表された4部門のトップ企業の中でも突出した評価でした。2位には、同じ会員制倉庫型店のコストコ(Costco)が770点で入りました。

価格面のメリットだけでなく、薬剤師やスタッフへの信頼、処方薬の注文から受け取りまでの分かりやすさ、時間の節約といった点が継続して支持されています。

通信販売型ファーマシー(平均スコア699)

順位企業・ブランド名スコア
1アマゾン・ファーマシー(Amazon Pharmacy)745
2カイザー・パーマネント・ファーマシー(Kaiser Permanente Pharmacy)733
3ウォルマート・ファーマシー(Walmart Pharmacy)714

通信販売部門では、アマゾン・ファーマシーが745点でトップとなりました。

アマゾンは2018年にオンライン処方薬サービスのPillPackを買収し、米国のファーマシー市場へ本格的に参入しました。2025年調査ではPillPack by Amazon Pharmacyが通信販売部門の首位でしたが、2026年はアマゾン・ファーマシーがトップとなりました。2021年の前回記事では、アマゾンによるファーマシー市場への参入の行方に注目しましたが、それから5年が経過し同社が知名度だけでなく、顧客満足度でも通信販売部門を代表する存在になったことが分かります。

前年比に見る満足度スコアの変化

前年との比較から今回の調査で特に注目されるのは、通信販売型実店舗型で顧客満足度の動きが分かれたことです。

通信販売型ファーマシーの総合満足度は、前年から2ポイント上昇して699点となりましたが、これは電話などによる担当者のサポートと、デジタルサービスの利便性向上が満足度を押し上げたということです。

一方、実店舗型ファーマシーの総合満足度は、前年から7ポイント低下して669点となりました。企業やブランドに対する信頼感の低下に加え、支払う費用に見合った価値を感じにくくなっていることが主な要因とされています。

ただし、実店舗型でもモバイルアプリやテキストメッセージなどのデジタルサービスは比較的高く評価されており、今後の改善につながる分野として期待されています。

求められる「利便性」と「安心感」の融合

今回の調査から見えてくるのは、デジタル化を進めるだけでは顧客満足度を高めることはできないという点です。

通信販売型では、ウェブサイトやアプリを通じて簡単に処方薬を注文できることに加え、必要なときに担当者や薬剤師へ相談できることが評価されています。一方で、問題が発生した際の解決力には低下がみられ、今後の課題として指摘されています。

実店舗型では、スタッフの対応力、価格に対する納得感、企業への信頼を立て直す必要があるということで、薬は一般の商品とは異なり、安全性や服用方法について不安を感じる顧客も少なくありません。そのため、スピードや便利さだけでなく、薬剤師やスタッフが親身に対応し、安心感を提供できることが重要です。

H-E-B、サムズ・クラブ、アマゾンという、食品・総合小売やECを基盤とする企業が3部門で首位となったことからも、ファーマシーが単に処方薬を受け取る場所ではなく、顧客との接点を広げる重要なサービスになっていることが分かります。

今後は、店舗での相談、アプリによる処方薬の管理、オンライン注文、宅配などを一体化しながら、「人による安心感」と「デジタルの利便性」をどこまで両立できるかが、アメリカのファーマシー市場における競争のポイントになりそうです。

(参考)2021年度版ランキング記事
米国ファーマシー市場顧客満足度最新ランキング

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