ディスカウント大手Target(ターゲット)と美容専門店大手Ulta Beauty(アルタ・ビューティー)の約5年間にわたる提携が、2026年8月16日に終了しました。ただし、これはターゲットの美容事業撤退ではなく、協業で得た知見をもとに自社主導の売場づくりへ移行する動きです。
Ulta Beautyとの5年間の提携を経て自社主導へ
600店を超えるターゲット店舗に導入されていたショップ・イン・ショップ「Ulta Beauty at Target」は段階的に終了し、両社の会員プログラムUlta Beauty RewardsとTarget Circleの連携も終了しました。
両社は2021年、ターゲットの店舗内に約93㎡のアルタ専用売場を開設し、高価格帯・高付加価値のプレステージ化粧品と専門的な接客を取り込み、アルタは単独店舗のない地域を含めて新規顧客との接点を広げる狙いで、最終的に600店以上に拡大し、ターゲット全2,002店舗の約3分の1に達しました。
約5年間にわたる協業を通じて、Targetはプレステージ化粧品や美容専門スタッフによる接客のノウハウを蓄積してきました。提携終了後は、こうした経験をもとに、自社独自の美容売場づくりを進めます。
独自の新売場「Target Beauty Studio」を今秋開始
ターゲットによると、今回の提携終了後も美容事業は継続し、2026年秋から独自の「Target Beauty Studio」を600以上の店舗とオンラインの両方で展開する予定ということです。「Target Beauty Studio」では、80を超えるプレステージ・新興ブランドを扱い、そのうち60ブランド以上がターゲット初登場となります。専任スタッフによる商品提案、トレンドや成分を分かりやすく伝える売場表示、美容カテゴリー専用のTarget Circle特典などを導入するとのことです。
アルタのブランド力に依存した運営から、ターゲット自身が品揃え、販促、顧客データを管理する体制への転換を図ることになりますが、その背景には、アメリカ美容市場の好調さがあります。
好調なアメリカ美容市場が追い風に
シカゴに本社を置く世界最大級の市場データ分析・消費者行動調査企業Circanaによると、2026年上期の百貨店や美容専門店などで販売される高価格帯の美容商品が前年比7%増の171億ドル、スーパーやドラッグストアなどで販売される手頃な価格帯の商品も7%増の392億ドルとなりました。
ターゲットの2026年度第1四半期の美容部門売上も前年同期比約9.6%増の33億9,800万ドルと、全社売上の伸び率6.7%を上回っています。また競争も激しくなっており、最大のライバルウォルマート(Walmart)は美容専門スタッフを425店舗へ拡大しています。
協業の経験を自社の力に
世界的経営コンサルティング会社Kearneyの調査では、アメリカの美容消費者の45%がスーパーやドラッグストア、ディスカウントストアなどで美容商品を購入し、44%が美容専門店を利用しているということです。
消費者は店舗の種類にこだわらず、品揃えや価格、買いやすさを比較して購入先を選ぶようになっています。
今回の提携終了は、ターゲットの美容事業からの撤退ではなく、外部企業との協業で培ったノウハウを生かし、独自の売場づくりへ移行する動きといえます。