ノースカロライナ州を拠点に、アメリカ南東部・東海岸で250店以上を展開するスーパーマーケットチェーンハリス・ティーター(Harris Teeter)は、食品宅配大手Instacartと連携し、対象となる処方薬を食料品や日用品とまとめて自宅に届けるサービスを開始しました。
これは、顧客が薬を自由に選んで購入する仕組みではなく、医師などの診療を受けて発行された処方に基づき、Harris Teeter Pharmacyの薬剤師が調剤し、その調剤済みの薬をInstacartが食料品などと一緒に配送します。
利用者はハリス・ティーターのアプリまたはウェブサイトから、処方薬と食料品、日用品を一つの配送注文にまとめられます。利用には処方薬管理サービスMy Prescriptionsとオンライン決済への登録が必要です。

高齢者や慢性疾患を抱える人、子育て世帯、近隣に薬局が少ない地域の住民にとって、薬を受け取るためだけに店舗へ出向く負担を減らせます。
同様のサービスはウォルマート(Walmart)、パブリクス(Publix)、コストコ(Costco Wholesale)なども展開しています。
全国規模で先行するウォルマートは、2025年1月に処方薬の即日配送を全米49州へ拡大し、アプリ上で処方薬、食料品、一般商品を一つの注文にまとめ、自社の配送プラットフォームSparkを通じて届けています。冷蔵が必要な処方薬にも対応し、2026年には一部地域で30分以内の配送も始めました。
アメリカでも処方薬の入手には、原則として医療従事者による診療と有効な処方が必要ですが、州によっては医師だけでなく、ナース・プラクティショナーなどにも一定の処方権があります。また、慢性疾患の薬では、医師が認めた範囲で再調剤できるリフィルが広く定着しており、毎回診察を受けずに継続薬を受け取りやすい環境があります。
日本でも、電子処方箋、オンライン服薬指導、処方薬配送を組み合わせた利用環境は整いつつあります。2022年度には、同じ処方箋を最大3回利用できるリフィル処方箋制度が導入され、2024年にはAmazonファーマシーも開始されました。
日米の大きな違いは、処方薬を配送できるかどうかではなく、小売サービスとの統合度です。
アメリカではスーパーや量販店への薬局併設が一般的で、食品、日用品、処方薬、予防接種、配送が一体化していますが、日本では調剤薬局、ドラッグストア、食品スーパーの役割が分かれており、食品と処方薬を同じ注文、同じ配送便で受け取る仕組みはまだ限定的です。