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前回のメールマガジン「グロサリー価格で見る!アメリカ住みやすい都市ランキング」でご紹介した通り、グロサリーを全国平均価格よりも安く購入できるトップ10都市のうち7都市がテキサス州の都市でした。

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グロサリー価格で見る!アメリカ住みやすい都市ランキング

グロサリー価格で見る!アメリカ住みやすい都市ランキング

アメリカの地域経済をあらゆる角度から調査している、地域経済研究評議会(C2ER – Council for Community andEconomic Research)が、北米の主要257都市で販売されているグロサリー商品の価格を調査して、全都市の平均価格に対して安く購入できる都市と高額な都市をランキング形式で発表していますのでご紹介します。 ※ここでいうグロサリーの主な商品群は以下の通りです。 ・ステーキ ・ひき肉 ・ソーセージ ・フライドチキン ・ツナ缶 ・卵 ・マーガリン ・パルメザンチーズ ・ポテト ・バナナ ・レタス ・オレンジジュース ・コーヒー ・砂糖 ・クッキングオイル ・ティッシュ ・ポテトチップ 以下は全都市の平均価格より安くグロサリーを購入できる都市のランキングです。生活をしやすい、また住みやすい都市のランキングとも言えるのではないでしょうか。 上位10都市のうち7都市がテキサス州の都市というところが大きな特徴となっています。 昨年11月のメールマガジン「小売り激戦区、ダラスの最新情報」でもご報告した通り、ダラス・フォートワースを中心としたテキサス州は、以下の理由により多くの小売り企業が注目しており、企業間の価格競争が激しくなっています。 ①小売店舗の年間平均賃料が安価である中心部のハイランドパークでも1平方フィート当たり約175ドルと、マンハッタンの17分の1、ロサンゼルスの5分の1と破格である。 ②2010年以降の人口増加が顕著であるアメリカ合衆国国税調査局のデータでは、2010年から2017年までの人口増加率が15.15%と報告されている。ニューヨーク地区の3.85%、ロサンゼルス地区の4.09%と比べ大幅に増えている状況である。特に2016年単年で、新たに14万3千人強が転入している。 ③10年間で経済状況が大きく変化している2006年から2016年の10年間での経済状況の変化において、全米都市の中で最も変化した都市ランキングの2位となっている。アメリカ合衆国商務省経済分析局のデータでは、トヨタ自動車の工場をはじめとする企業の流入や、犯罪率の43%減少、平均所得の23%のアップ等の影響により、2011年以降毎年約4%前後の経済成長率を実現している。 さらに商業用不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL-Jones Lang LaSalle)社の最新のデータによると、昨年1年間の商業用小売店舗不動産は北米全体で29.4%伸びており、その内フロリダ州の9.7%に次いでテキサス州とカリフォルニア州がそれぞれ7.8%伸ばしているということです。このことからもわかる通り、実際に店舗数が急速に増えています。 1位のテンプル、2位のウェーコおよび5位のラウンドロックは、ダラス・フォートワースとオースティンを結ぶルート上に位置しており、一日で移動が可能な距離となっています。 価格の高い10都市のランキングは以下の通りとなっており、ホノルルは圧倒的にグロサリー価格が高い都市ということがわかります。 今年の3月のメールマガジン「注目!ハワイ最新小売りマーケット」でもご紹介しましたが、ハワイの食料自給率は約15%と極めて低いため、自給率100%の本土からの輸入に頼らざる得ないことが最大の理由だと思われます。 すでに大手小売り企業を中心にハワイ州各島内での食料供給率を高める取り組みが進められているので、今後の動向に注目していきたいと思います。 また、アメリカ訪問の際に、こういったデータを参考に商品価格の比較をすることも興味深いのではないでしょうか。 (2019.08.01配信)

今回は、店舗平均賃料の安さや、人口増加率の安定などによる州経済の活況等で、多くの小売企業が同州への進出や店舗網の拡大を計画している状況や、市場シェアの最新情報をご紹介します。

2019年7月のアメリカにおける賃貸住宅平均賃料の前年同時期からの値上がり率の平均は3.4%ですが、ダラス地区の値上がり率は3.0%と穏やかになっています。ダラスを含めたテキサス州北部では現在も43,000カ所以上の賃貸物件の建設が進められているということです。これは、不動産管理業界向けソフトウェア開発大手のヤーディ・システムズ(Yardi Systems Inc.)社の最新の調査によるものです。

また、カリフォルニア、テキサス、フロリダ等全米8州で200万件以上の賃貸物件の仲介を行っているアパートメント・リスト(Apartment List)社によると、全米平均の1ベッドルームの平均賃料が1ヵ月959ドルなのに対して、テキサス州の平均賃料は857ドルということで、住みやすい条件となっています。

このように衣食住が全米平均よりも安価で手に入るということで、今後も小売業にとっての顧客となる住民のテキサス州への流入は増えていくものと予測されています。

ダラス地区は賃料の安さや顧客の増加などの好条件によって、小売り企業にとっては非常に条件の良い地区であり、小売り企業間の競争は激しくなっています。

昨年11月のメールマガジン「小売り激戦区、ダラスの最新情報」にて、好条件を背景として、多くの企業が様々な取り組みを行っているということをご紹介しました。

ダラス地区の地元紙であるダラス・モーニング・ニュース(The Dallas Morning News)社の電子版のダラス・ニュース(Dallas News)が最新の小売り市場についてまとめているのでご紹介します。以下がダラス地区の最新マーケットランキングです。

2019年
順位
2018年
順位
企業名2019年
店舗数
2018年
店舗数
2019年
シェア
2018年
シェア
動向
11ウォルマート(Walmart)15113728.60%27.40%
22クローガー(Kroger)1019815.30%15.40%
33トム・サム(Tom Thumb)61657.80%8.70%
46コストコ(Costco)12115.20%5.00%
54ターゲット(Target)49475.10%5.00%
65サムズ・クラブ(Sam’s Club)24234.90%4.80%
77アルバートソンズ(Albertsons)34353.80%4.20%
88フィエスタ・マート(Fiesta Mart)28273.50%3.70%
911H-E-B セントラルマーケット(H-E-B Central Market)13103.10%2.20%
109ウィンコ・フーズ(Winco Foods)10103.00%3.20%
1112ホールフーズ(Whole Foods)14142.20%2.50%
1210スーパー1(Super 1)32322.10%2.20%
1314アルディ(Aldi)60571.90%1.90%
1413スプラウツ・ファーマーズマーケット(Sprouts Farmers Market)23231.90%2.00%
1515トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)991.30%1.40%
1616マーケット・ストリート(Market Street)981.20%1.10%

約175億ドルと言われるダラス・フォートワースを含めた北テキサス地区の小売り市場ですが、ダラス・ニュースは全国チェーンのウォルマートと地元テキサスで約400店舗を展開するH.E.B./セントラルマーケットの2社の躍進と、ホールフーズの伸び悩みを大きな特徴としてピックアップしています。

ウォルマートもH.E.B./セントラルマーケットも、今年3月のメールマガジン「急増する店舗ピックアップ ‘BOPIS’最前線」でご紹介した、オンラインで注文した商品を店舗で受け取るサービスを急速に拡大しています。

ウォルマートはこの1年で20店舗以上の改装を実施し、新店舗はフリスコ(Frisco), プロスパー(Prosper), フォートワース(Fort Worth)等に14店舗をオープンしました。更に、技術センターをプレイノとダラスにオープンし、オンラインへの対応を強化しています。

セントラルマーケットは昨年秋にダラスに新店舗をオープンしています。H.E.B.はフォートワース郊外の激戦区の一つであるバーレソン(Burleson)の店舗を改装するとともに店舗ピックアップも追加しています。新店舗もフォートワース近郊のハドソン・オークス(Hudson Oaks)にオープンしており、6月にオースティン(Austin)にテクノロジーセンターを開設し、2カ所目をサン・アントニオ(San Antonio)にて建設中とのことで、こちらもデジタル対応へ抜かりは無いようです。

ホールフーズについては、昨年からプライム会員への無料配送の拡大や、一部商品の値下げなどを続けているものの、アマゾンによる買収以降、シェアを落としています。理由について精査が必要としながらも、ホール・ペイ・チェック(給料の殆どを費やしてしまう)と言われるように、いまだにぬぐい切れない「高価格」というイメージが影響しているようです。、今後1年半(18か月)以内に別のローカルチェーンを買収し、新たな実店舗強化策をとるという予測も出ています。

その他の動きとしては、3位のトム・サムは全国チェーンのアルバートソンズの傘下企業ですが、この1年間でコッペル(Coppell), デ・ソート(DeSoto), フラワー・マウンド(Flower Mound), アービング(Irving), フォートワース(Fort Worth), グランド・プレーリー(Grand Prairie)の不採算店舗をクローズし、収益率の改善を進めています。同時に、昨年、今年とダラスには新店舗をオープンしています。また、昨年は9店舗、今年は16店舗を改装しており、巻き返しを図っているということです。

今後リドルの進出も予想されており、引き続きダラス地区の小売り市場に注目していきたいと思います。

競争激化しているダラス地区のご視察をご希望の方は、ぜひお問合せ下さい。

最後に、小売りの調査ではなく余談となりますが、産業機器を取り扱う大手企業のケンプラー・インダストリー(Kempler Industries)社が、全米の人口15万人以上の200都市以上を対象にした「最も働き者の多い都市トップ10」を発表しています。ランキングトップ10の中に、テキサス州の7都市が上位にランクインするという結果になりました。

以下の5項目についてそれぞれ20点を満点として採点し集計されています。

①平均通勤時間、②16歳〜64歳の労働人口、③1週間平均労働時間、④65歳以上の労働人口、⑤未使用休暇の日数

こうした点もテキサス州の躍進につながっているのかもしれません。

※働き者の多い都市ランキング(by Kempler Industries)

順位都市名(州)総合指数
1ワシントンDC90
2ダラス(テキサス州)88.7
3ダラス(テキサス州)83.7
4グランド・プレーリー(テキサス州)83.7
5ヒューストン(テキサス州)82.5
6ガーランド(テキサス州)81.2
7サン・フランシスコ(カリフォルニア州)81.2
8アーヴィング(テキサス州)80
9アーリントン(テキサス州)78.7
10ニューヨーク(ニューヨーク州)78.7
その他主な都市
13オースティン(テキサス州)76.2
14フォートワース(テキサス州)76.2
19バージニアビーチ(バージニア州)75
20ボルティモア(メリーランド州)73.7
22シカゴ(イリノイ州)73.7

(2019.08.19配信)

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