アメリカの小売業界誌大手Progressive Grocer誌の最新記事によると、アメリカの植物由来食品市場はここ数年で大きな転換期を迎えているということです。
PBFA(植物由来食品協会)とPBFI(植物由来食品研究所)がまとめた最新レポートによると、数年前まで代替肉メーカーの急成長や大手小売企業による売場拡大を背景に、市場全体が急速に成長していましたが、近年は市場が失速しつつあり、ブームは終わったといった見方も広がっています。
アメリカ植物由来食品市場は2025年に約79億ドル規模となっており、2018年の2倍強となっているものの、全国ベースでは販売数量の減少が続いており、特に植物由来肉カテゴリーは苦戦しています。
地域で分かれる需要:西海岸・北東部は堅調、中部・南部は伸び悩み
前述の最新調査によると、現在のアメリカ市場では、地域によって需要に大きな差が生まれていることが分かっています。
特に高い支持を集めているのは、西海岸と北東部で、カリフォルニア州、ワシントン州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州などでは、健康志向や環境意識の高い消費者を中心に植物由来食品の需要が引き続き堅調です。これらの地域では、植物由来食品は一時的な流行ではなく、日常的な食生活の一部として定着しつつあります。一方、中西部や南部の一部地域では需要が伸び悩んでおり、地域による温度差が鮮明になっています。
商品と売場の再構成:日常使いできる商品群へシフト
また、商品カテゴリーによっても状況は異なります。かつて市場拡大の象徴だった植物由来肉は、価格の高さや味への評価、超加工食品に対する消費者の懸念などを背景に販売が減少しています。
一方で、植物由来ミルク、豆腐、テンペ、高たんぱく植物食品などは比較的安定した需要を維持しています。特にオーツミルクやアーモンドミルクは、多くの家庭で一般的な商品として定着しており、スーパーの定番カテゴリーとなっています。
こうした変化は、大手小売企業の売場構成にも表れています。数年前は植物由来肉を前面に打ち出した売場展開が目立ちましたが、現在では植物由来乳製品、冷凍食品、惣菜、スナック、高たんぱく食品などへ重点が移りつつあります。
例えば、ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)やスプラウツ・ファーマーズマーケット(Sprouts Farmers Market)では、植物由来食品売場そのものは維持されているものの、その中身は大きく変化しており、代替肉中心の構成からより日常使いできる商品群へシフトしています。
成熟期を迎えた市場:再編成の段階へ
今回の調査から見えてくるのは、アメリカの植物由来食品市場は縮小しているのではなく、再編成の段階に入ったと見るべきということです。代替肉ブームによって拡大した市場は、現在、消費者が本当に求める商品を選別する成熟期に入りつつあり、その結果が地域差やカテゴリー間の明暗として表れているようです。