2024年アメリカPB市場最新情報

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2023年8月の弊社メールマガジン「グロサリー&PB購入額シェアから見るウォルマートの強さ」で、アメリカのグロサリー市場におけるウォルマートの強さを多角的に検証しましたが、アメリカの市場調査会社大手のニューメレーター(Numerator)社が新たにウォルマートの強さを裏付ける調査結果を発表しました。

この調査は、2023年7月01日から2024年6月30日の1年間に、アメリカ小売市場においてPB商品がどれくらい消費者に浸透しており、どの小売企業のPB商品が消費者から購入されているのかについてまとめたものです。

過去1年間で購入されたカテゴリー別PB占有率と浸透率

まず初めに、アメリカの世帯で過去12か月間に購入されたグロサリー、ヘルスケア用品、コスメ、家庭用品、園芸用品等の主要10カテゴリーにおける、全売上ユニット数に占めるPB商品の割合と、消費者の家庭にPB商品がどの程度浸透しているのかについてまとめたデータは次の通りです。

商品カテゴリーPB占有率(ユニット)消費者浸透率
グロサリー23.8%100%
ヘルス&ビューティ17.4%99.2%
家庭用品26.7%98.9%
園芸用品32.5%97.6%
D.I.Y.用品29.0%86.2%
オフィス・文具38.7%79.4%
ペット用品17.6%69.8%
おもちゃ16.1%60.8%
ベビー用品22.7%56.0%
家電11.1%53.5%
Numerator社データ

この主要10品目の全売上ユニット数に占めるPB商品の占有率平均は約24%ということで、最も占有率の高いのはオフィス・文具38.7%、園芸用品32.5%、D.I.Y.用品29.0%、家庭用品26.7%、グロサリー23.8%の順になっています。

アメリカの消費者家庭へのPB商品の浸透率になると、グロサリーに関しては100%で、過去1年間に全ての家庭がいずれかの小売企業のPB商品を購入したということになります。

他にもヘルス&ビューティ、家庭用品、園芸用品等もほぼ100%に近い数値となっています。

なお今回の調査対象者の43%が、コスト削減のためにPB商品を購入していると回答しており、58%がPB商品は価格に見合った平均以上の価値を提供していると回答しています。

過去1年間で最も購入されたPB商品(小売企業名)

次に、アメリカのどの小売企業のPB商品が最も消費者に受け入れられているのかについて以下の通り過去1年間で最も購入されたPB商品名と小売企業名、浸透率(=購入された割合)のトップ15は以下の通りです。

順位PB商品(小売企業)消費者浸透率
1Great Value (Walmart)86%
2Equate (Walmart)75%
3Mainstays (Walmart)70%
4Marketside (Walmart)69%
5Freshness Guaranteed (Walmart)67%
6Dollar Tree (Dollar Tree)65%
7Pen + Gear (Walmart)47%
8Aldi (Aldi)45%
9Up & Up (Target)43%
10Kirkland Signature (Costco)43%
11Good & Gather (Target)41%
12CVS Health (CVS)40%
13Kroger (Kroger)40%
14Member’s Mark (Sam’s Club)38%
15Clover Valley (Dollar General)37%
Numerator社データ

上記データの通り、実に上位5つのPB商品をウォルマートが独占しており、いずれも60%を超える家庭に購入されたという圧倒的な存在感となっています。

ウォルマートは7位にも同社PB商品Pen+Gearがランクインしております。

過去1年間のデータではありますが、アメリカ世帯にどれほどウォルマートのPB商品が購入されているのかが良く分かります。

ランクインしたウォルマートのPB商品

参考のため、今回ランクインしているウォルマートのPB商品の特徴を簡単にまとめます。

PB商品名特徴
Great Value (グレート・バリュー)ウォルマートの代表的PBで、食品から洗剤、家庭用品、ペーパー用品等をカバーしています。低価格で高品質がセールスポイントで、同種のNBにとって最大の脅威となっています。
Equate(イクエート)ヘルスケアや美容製品に特化したPBで、OTC(市販薬)やスキンケア用品、ビタミン剤等の健康、美容用品を一般的NB商品より手ごろな価格で提供しています。
Mainstays(メインステイズ)家具や家庭用品を扱うPBで、家具、ベッドリネン、キッチン用品、インテリア、アクセサリーなどがあり、シンプルで機能的なデザインが特徴です。
Marketside(マーケットサイド)主に食品を扱うPBで、特に新鮮な食品やインスタント食品に焦点を当てています。サンドイッチやサラダ、フルーツ、ベーカリーなどの新鮮な商品を提供し、消費者が簡単に栄養バランスの取れた食事を取れるようにしています。
Freshness Guaranteed(フレッシュネス・ギャランティード)新鮮なベーカリーや生鮮食品を扱うPBで、パンやケーキ、ペイストリーなどのベーカリー商品を、常に新鮮な状態で提供することを重視しています。品質とフレッシュさを保証することを目的としており、基本的にウォルマート店舗内で製造されます。
Pen + Gear (ペン+ギア)文房具やオフィス用品を扱うPBで、ノート、ペン、ファイル、オフィスアクセサリーなどの文房具等のオフィス用品を提供しています。手頃な価格で日常的に使用できる製品が多く、学校やオフィスでの利用に適しています。

前述した昨年のメールマガジン「グロサリー&PB購入額シェアから見るウォルマートの強さ」内で、アメリカのPB売上比率の高い小売企業のリストをご案内しましたが、過去1年間の主な小売企業の売上高に占めるPB商品の割合についてもNumerator社がレポートしております。

※アメリカ小売企業PB商品占有率(売上高)

小売企業PB占有率(売上高)
アルディ(Aldi)80%
トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)69%
コストコ(Costco)34%
サムズ・クラブ(Sam’s Club)33%
エイチ・イー・バット(H-E-B)33%
ウォルマート(Walmart)30%
クローガー(Kroger)28%

ウォルマートは過去20年間で急速に成長し、グロサリー市場におけるシェアの拡大は加速度的に成長しています。2003年、ウォルマートは約3,400店舗を運営し、グロサリーの売上高は約630億ドルでしたが、2023年までの20年間で店舗数は約5,300店舗に増え、グロサリー売上高は2,470億ドルまで成長しました。

今後もウォルマートを中心にしたアメリカの小売業に注目して行きます。

(2024.9.4配信/記事作成:イオンコンパス(株)海外仕入部)

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前回のメールマガジン「最新!2023年米国食品小売企業売上ランキング」(2023年7月20日配信)にて、売上高という最も分かり易い指標によるランキングをご紹介しました。 ウォルマートの強さが際立つ内容でしたが、間もなく発表される2023年度第2四半期の決算報告もメディアの予測を上回る結果になりそうとのことです。 このウォルマートの強さを裏付ける興味深いデータが、市場調査会社大手ニューメレーター(Numerator)社から報告されているのでご紹介します。 最初のデータは、アメリカ国民がグロサリー購入をどの小売店舗でしているかを、支払い金額ベースでランキング化したもので、過去3年間の結果は以下の通りです。 順位企業名2021年2022年2023年1ウォルマート(Walmart)23.7%24.1%25.2%2クローガー(Kroger)12.1%11.2%10.7%3コストコ(Costco)9.4%9.6%9.9%4アルバートソンズ(Albertsons)6.7%7.1%7.2%5サムズ・クラブ(Sam’s Club)4.7%4.9%5.1%6アホールド・デレーズ(Ahold Delhaize)5.4%5.3%5.0%7パブリクス(Publix)5.0%5.2%5.0%8ターゲット(Target)3.1%3.1%3.0%9アルディ(Aldi)2.1%2.1%2.3%10ダラー・ゼネラル(Dollar General)1.9%2.0%2.1%※Numerator社データ 見ての通りウォルマートが2021年から1.5ポイントも伸ばし、25.2%という実にアメリカ全体のグロサリー支払い金額の4分の1を超える金額がウォルマートに支払われた結果となりました。 一方2023年米国食品小売企業売上ランキングで4位だったクローガーは、上記ランキングでは2位ですが、最もシェアを落としており、2021年から1.4ポイント減となりました。 この調査結果に関して、ウォルマートのCEOであるダグ・マクミロン(Douglas McMillon)氏は、最大の要因は特売などをせずに年間通じて低価格を保証するEDLP(Every Day Low Price)という価格戦略と、アメリカ国民の90%以上がウォルマート店舗から10マイル以内に住んでいるという圧倒的な利便性によるものであるとコメントを出しており、今後も特に 高所得層や若者層の消費者を取り込むことでさらなるシェアの拡大を図っていくと述べています。 次に、こちらもNumerator社のデータとなりますが、グロサリー小売市場における各社のプライベート・ブランド(PB)の売上ベースでの市場シェアについてまとめています。 約1年前の少々古いデータですが、アメリカにおける2022年時点の全グロサリー売上高に占めるPBの割合は約17.4%ということです。  グロサリーを扱う小売企業の中で全売上高に占めるPB売上高比率の高い主な小売企業は以下の通りです。 企業名PB売上比率アルディ(Aldi)77.5%トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)59.4%ウェグマンズ(Wegmans)49.4%コストコ(Costco)33.5%サムズ・クラブ(Sam’s Club)30.0%エイチ・イー・バット(HEB)26.9%ウォルマート(Walmart)23.3%クローガー(Kroger)22.1%※Numerator社データ アルディを筆頭に独自のPB商品の売上比率の高い企業の中でウォルマートは23.3%とアメリカの平均をわずかに上回る程度の比率となっていますが、アメリカのグロサリー全売上高に占める各小売企業のPB売上シェアとなると次のような結果になります。 順位企業名PB売り上げシェア1ウォルマート(Walmart)28.2%2コストコ(Costco)14.9%3クローガー(Kroger)9.0%4サムズ・クラブ(Sam’s Club)7.2%5アルディ(Aldi)6.3%6アルバートソンズ(Albertsons)4.0%7ターゲット(Target)2.9%8パブリクス(Publix)2.7% ウォルマートのPBがどれだけアメリカ国民に受け入れられているのかが分かる数値となっています。 ウォルマートは今年に入りPB商品の拡大に注力すると正式に発表しており、特にデリ、ランチミート、ベーコン、乳製品などのカテゴリーを中心にNBからPBへのシフトを加速するとしています。 ウォルマートの数あるPBカテゴリーの中でも1993年から食品部門で展開しているグレート・バリュー(Great Value)は、2022年1年間でアメリカ国民が最も多く購入したPB商品ということで、全国民の72%が購入したということです。 今回もウォルマートの強さを別の視点から確認する内容となりましたが、今後もあらゆる角度から海外小売関連の情報を発信していきたいと思います。 (2023.8.21配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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