発表!米国食品小売企業 売上ランキング2021

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ちょうど1年前(2020年6月1日)に弊社メールマガジン「発表!米国食品小売企業 売上ランキング2020」にて、アメリカの小売業界誌大手プログレッシブ・グローサー(Progressive Grocer)誌が集計したアメリカに店舗を持つ食品および消耗品(food and consumables)を取り扱う小売企業の売上高ランキングを紹介しましたが、最新のランキングが発表されました。

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発表!米国食品小売企業売上ランキング2020

発表!米国食品小売企業売上ランキング2020

新型コロナウィルスの脅威は続いておりますが、多くの国が徐々に経済活動を再開し始めました。 日本でも全都道府県に出されていた緊急事態宣言が解除され、コロナショック以前の日常とは違った新しい日常生活(ニュー・ノーマル)が始まろうとしています。 そんな中アメリカの小売業界誌大手のプログレッシブ・グローサー(Progressive Grocer)誌が、アメリカに店舗を持つ食品および消耗品(food and consumables)を取り扱う小売企業の最新売上高トップ100社を発表しました。 昨年5月のメールマガジン「米国食品小売企業売上ランキング2019」でも同誌による集計結果をご報告しておりますが、昨年までは北米に本社を持つ小売企業のみを対象としたランキングでした。今回からは本社が北米以外であっても、アメリカ国内で店舗を展開している全ての小売企業を対象にしたということで、カナダやメキシコの企業が新たに入ってきています。 同誌によると、ランクインした100社の売上高合計は約1.87兆ドルで、昨年の1.77兆ドルから5.7%伸びたということです。 新型コロナウィルスの影響を受ける前の数値ということもあり、非常に好調な結果となりましたが、実に全100社のうち86社が前年よりも売上を伸ばす結果になったということです。 以下が売上高上位20社のランキングです。 順位企業名売上高(100万ドル)前年売上高伸び率店舗数1ウォルマート・アメリカ(Walmart US)341004 331666 2.82%4756 2アマゾン(Amazon) ホールフーズ除く154581 124142 24.52%0 3クローガー(The Kroger Co.)122286 121852 0.36%2757 4ウォルグリーンズ(Walgreens Boots Alliance)104532 98392 6.24%9277 5コストコ(Costco US)103694 95740 8.31%543 6CVSヘルス(CVS Health)86608 83989 3.12%9900 7ターゲット(Target)77130 74433 3.62%1868 8アルバートソンズ(Albertsons Cos.)62455 60534 3.17%2252 9サムズ・クラブ(Sam's Club)58792 57839 1.65%599 10アリマンタション・クシュタール(Alimentation Couche-Tard)46189 39829 15.97%9866 11アホールド・デレーズ・アメリカ(Ahold Delhaize USA)44756 41845 6.96%1973 12パブリクス(Publix Super Markets)38116 36093 5.60%1239 13ロブロウ(Loblaw Companies Ltd)36759 35731 2.88%2431 14C&Sホールセール(C&S Wholesale Grocers)28500 27900 2.15%7000 15ウォルマート・メキシコ(Walmart de Mexico y)27891 26399 5.65%2571 16ダラー・ゼネラル(Dollar General)27753 25625 8.30%16278 17エイチ・イー・バット(H-E-B)26300 23400 12.39%353 18ライトエイド(Rite Aid)21928 21639 1.34%2461 19マイヤー(Meijer Inc.)20350 19857 2.48%248 20コストコ・カナダ(Costco Canada)19097 18166 5.12%100 この上位20社で全体の売上の79.3%を占めているということです。 断トツでトップのウォルマートは安定の強さで、売り場面積合計は前年から殆ど増えていないにも関わらず、2019年末現在約3,200店舗で食料品の店舗ピックアップや約1,600店舗からの食料品配送を可能にするなど極めて積極的なオンラインへの投資により、93億ドルを超える売り上げ増を実現しました。 ウォルマートは新型コロナウィルスの影響を受けた2021年度第1四半期のオンライン売上を前年同期比で74%伸ばすなど、存在感をますます高めています。 上位20社のうち最も売上を伸ばしたのはアマゾン(ホールフーズを除く)の24.52%でした。 アメリカでは2020年3月末現在で約1億1,800万人がプライム会員となっており、オンライン注文の2営業日以内無料配達をはじめ、国内の8,000以上の都市では1億品目以上の圧倒的な商品群から35ドル以上の購入で当日あるいは翌日に商品を受け取ることができるなど、デジタルネイティブのトップ企業として他社には真似のできないシームレスなサービスを提供し続けています。 ウォルマートとアマゾンによる2強時代はこれからもしばらく続いていくと見られますので、注目を続けて行きたいと思います。 以下は21位以下の主な注目企業のリストです。 順位企業名売上高(100万ドル)前年売り上げ伸び率店舗数26アルディ(Aldi U.S.)15208 14259 6.66%1988 28トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's Co.)13000 12483 4.14%503 33ハイ・ヴィ-(Hy-Vee Food Stores Inc.)10800 10200 5.88%265 36ウェグマンズ(Wegmans Food Markets Inc.)9700 9200 5.43%101 39ジャイアント・イーグル(Giant Eagle Inc.)9350 8900 5.06%474 44ウィンコ・フーズ(WinCo Foods Inc.)6858 6804 0.79%127 45スプラウツ・ファーマーズ・マーケット(Sprouts Farmers Market)5634 5207 8.20%340 66グロサリー・アウトレット(Grocery Outlet Inc.)2559 2290 11.75%347 96リドル・アメリカ(Lidl U.S.)779 492 58.33%95 26位にドイツ生まれのアルディが入りました。 アメリカ合衆国労働省労働統計局(Bureau of Labor Statics)によると、新型コロナウィルスによりアメリカでは4月の食品小売価格平均が前月比で2.6%アップしています。 これは1974年2月以来の対前月比率として最大の価格高騰ということで大きく報道されているのですが、アルディは、この状況のなかでも食糧品価格を一切値上げしないと断言しています。 取扱商品を1店舗平均1,500アイテムに限定し、そのうち90%以上を同社オリジナル商品として開発することで実現してきた、一般スーパーマーケットよりも20〜30%安いという圧倒的な低価格と、その価格の安さだけではなく、1976年のアメリカ進出以来、オーガニックやフリーフロム商品等の高品質で安心できる商品の提供を通じて、アルディという企業への信頼感を醸成することにより順調に店舗網を拡大してきました。2017年からは53億ドルを投じて既存店の大改装と新店舗の拡大を進めており、2022年までに2,500店舗まで出店を進める計画が進んでいます。その時点でウォルマートとクローガーに次いで全米3番目の店舗数を持つことになる予定です。 今年1月のメールマガジン「2020年注目企業!グロサリー・アウトレット」でご紹介したグロサリー・アウトレットは、伸び率11.75%で66位に入りました。2020年度第一四半期(2020年3月末)は前年同期比でも約25%の売り上げ増となっています。同社の特徴である、日々の仕入れで毎日大きく変わる商品による‘宝物探し〜トレジャー・ハント’感覚の新しいショッピング体験により、これからも大きく成長していくと期待されています。 改めて今後注目すべき赤丸印の企業です。 最後に、99位に2017年にアメリカに初進出したドイツ生まれのリドルが今回初めてランクインしました。 当初の予定よりも出店ペースは遅くなりましたが、売上高を58.33%と驚異的に伸ばしています。 今年5月に100店舗目を出店し、確実にアメリカにおける足場を固め始めているようです。  リドルは欧州を中心に世界32か国で11,000店舗以上を展開しており、店舗数、売上ともに欧州市場において同郷の 最大のライバルであるアルディを一歩リードしてますが、大きく後塵を拝したアメリカ市場で、今後どこまで追い上げていくのかも見て行きたいと思います。 (2020.6.1配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

1年前に発表されたランキングは、まだ新型コロナウイルスの影響を受ける前の数値ということで、全100社のうち86社が前年度より売上げを伸ばし、100社の売上高合計も*1.87兆ドルで前年度から5.7%の伸びでした。

(*最終的に売上高合計は1.892兆ドルで6.9%の伸びと修正されています)

今回のランキングは100%新型コロナウイルスの影響下での数値となりますが、歴史的なパンデミック下における消費行動の劇的な変化、特に食料品や日用品需要の高まりにより、今回の100社合計売上高は11.6%伸びて2.112兆ドルと記録的な結果となりました。

以下、売上高上位20社のランキングです。

順位企業名売上高
(100万ドル)
前年数値伸び率店舗数
1ウォルマート(Walmart US)370 341 8.49%4743
2アマゾン(Amazon) ホールフーズ除く220058 153581 43.28%36
3クローガー(The Kroger Co)132498 122286 8.35%2743
4コストコ(Costco)115788 106092 9.14%552
5ウォルグリーンズ(Walgreens Boots Alliance)107701 104532 3.03%9021
6ターゲット(Target)93561 78112 19.78%1868
7CVSヘルス(CVS Health)91198 86608 5.30%9962
8アルバートソンズ(Albertsons Cos.)69690 62455 11.58%2277
9サムズ・クラブ(Sam’s Club)63910 58792 8.71%599
10アホールド・デレーズ・アメリカ(Ahold Delhaize USA)52 44841 15.60%1970
11パブリクス(Publix Super Markets)44864 38116 17.70%1264
12ロブロウ(Loblaw Companies Ltd)41388 37716 9.74%2439
13エイチ・イー・バット(H-E-B)36816 29700 23.96%354
14アリマンタション・クシュタール(Alimentation Couche-Tard)36680 38999 ▲5.95%7283
15ダラー・ゼネラル(Dollar General)33746 27753 21.59%17177
16C&Sホールセール(C&S Wholesale Grocers)31450 28500 10.35%7700
17ウォルマート・メキシコ(Walmart de Mexico y CentroAmerica)28664 26517 8.10%2634
18マイヤー(Meijer Inc.)24157 20350 18.71%256
19ライトエイド(Rite Aid)24043 21928 9.65%2510
20コストコ・カナダ(Costco Canada)21185 19502 8.63%101
※Progressive Grocerデータより(前年数値は発表後の調整により一部変更となったものがあります)

このデータはアメリカ国内でビジネスを展開している全ての小売企業を対象としており、アメリカ以外に本社を持つ企業も含まれます。

上位20社で最も売上を伸ばしたのは昨年同様アマゾンで、前年の24.52%を超えて43.28%と大幅な伸びとなりました。

Eコマース市場分析企業大手のEdge by Ascential社の市場調査部門であるRetail Insigetが先日発表したレポートによると、“2025年までにアマゾンがウォルマートを抜いて世界最大の小売企業になるだろう”と予測しています。

今回のProgressive Grocer社のランキングもそのレポートを裏付けるかたちとなっており、1年前までウォルマートの売上高はアマゾンの約2.2倍でしたが、今年は約1.68倍まで差が縮まってきています。

引き続きこの2強の動向からは目が離せません。

続いて21位以下の主な企業のランキングです。

順位企業名売上高
(100万ドル)
前年数値伸び率店舗数
24アルディ(Aldi US)17056 15486 10.14%2080
28トレーダー・ジョーズ(Trader joe’s Co)14100 13000 8.46%530
35ウェグマンズ(Wegmans Food Markets Inc.)10695 9700 10.26%105
44ウィンコフーズ(Winco Foods Inc.)7795 6858 13.66%131
48スプラウツ・ファーマーズ・マーケット(Sprouts Farmers Market)6468 5634 14.80%362
69グロサリー・アウトレット(Grocery Outlet)3134 2559 22.47%380
96リドル(Lidl)1025 779 31.58%125

アルディは売上を10.14%伸ばして、昨年の26位から24位にランクアップしました。

また昨年初めてランクインしたリドルは、アルディ同様ドイツ生まれの世界的ハード・ディスカウント業態の企業ですが、

31.58%という驚異的な売上増という結果となり、店舗数も前年の95店舗から125店舗まで拡大しました。

リドルが進出しているエリアでは、リドルの出店に合わせて既存の競合店が一斉に値下げをするなど‘リドルの脅威’として報じられています。

リドルの急成長は、一般のスーパーに比べ平均2〜3割安い価格設定であることが消費者に支持される理由の一つとして挙げられます。取扱商品の約90%は、値段を低く抑えつつも品質の高いことで多くの受賞実績のある同社プライベートブランド商品群により支えられています。

今後もアルディとリドルのドイツ勢は、アマゾンVS.ウォルマートと同様に注目していきたいと思います。

(2021.6.2配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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