アマゾンvs.ウォルマート2022年最新情報

既にいくつかのメディアでも取り上げられていますが、アマゾンのオンラインマーケット(Amazon.com上で商品を販売する出品者に対して、より効率的に利益を上げるための様々なデータを提供するプラットフォームを運営しているジャングル・スカウト(Jungle Scout社が興味深いレポートを発表しました。
その内容は、グロサリーをはじめとする商品購入において消費者はアマゾンよりもウォルマートを好んで選んでいるというものです。
また、eコマースにおいては現在アマゾンが大きくリードしているものの、その差をウォルマートが着実に詰めているということです。

この調査はジャングル・スカウト社が1,000名を超えるアメリカ人消費者を対象に行ったものです。様々な商品カテゴリーにおける両社の攻防を数値化しているのでご紹介します。

 レポートの冒頭に、実店舗およびオンラインでのグロサリー購入において、56%がウォルマートを選択しており、アマゾンの15%を大きく上回ったと紹介しています

eコマースの分野では、アマゾンが世界的リーディング企業としてウォルマートに大きな差をつけていますが、両社のオンラインサイトへの一か月平均の訪問者数は次の通りです。

 <2022年 一か月平均訪問者数>
◆アマゾン 25億人
◇ウォルマート 4.29億人

一見その差は非常に大きいものの、前年比では次のようになっています。

eコマース売上高前年比>
◆アマゾン -4.61%(509億ドル)
◇ウォルマート +11.98%(192億ドル)

ちなみに両社ウェブサイト上のサードパーティ販売者、いわゆる出品者数は次の通りです。

2022年 ウェブサイト上の出品者数(サードパーティ販売者)>
◆アマゾン 630万
◇ウォルマート 15万

一方で、実店舗数においてはウォルマートが圧倒的にリードしています。

2022年 実店舗数>
◆アマゾン 570店舗
◇ウォルマート 3,335店舗

 1995年からeコマースの先駆けとして世界をリードしてきたアマゾンに対して、ウォルマートがeコマースに本格的に参入したのは2016年にオンライン小売サイトを運営していたJet.comを30億ドルで買収してからでした。

一方オムニチャネルを完成させるにあたり最大のネックが実店舗だったアマゾンは20178月に137億ドルでホールフーズを買収しましたが、アメリカ国民の90%以上が店舗から10マイル以内に居住しているというウォルマートとの差は歴然としています

いずれにしても世界最大の小売企業と言われるウォルマートは、遅れをとったeコマースにおいて、同社アプリ上でバーチャル・トライオン等の先進的な取り組みを進めており、アマゾンもアマゾンゴーやアマゾンフレッシュ、あるいはホールフーズ店舗にてレジを通らず買い物ができるJust Walkoutや手のひら認証、スマートダッシュカート等のハイテク技術を導入した買い物体験の向上に余念がありません。
このライバル2社による最新技術等への積極的な投資により、追随するその他ライバル企業を含めたアメリカ小売り企業全般の水準を引き上げていることは疑いの余地がありません。

 今回ジャングル・スカウト社が両社のオンラインサイトおよびウォルマート実店舗で販売している様々な商品を、実際に消費者はどこで購入しているのかを以下の表の通りまとめています。
調査対象はアマゾンドットコム(オンライン)、ウォルマートドットコム(オンライン)およびウォルマート(実店舗)の3か所となっています。
 

商品カテゴリー

アマゾン
ドットコム

ウォルマート
ドットコム

ウォルマート実店舗

アルコール

12%

15%

19%

アート&クラフト

22%

20%

18%

カー用品

23%

19%

18%

ベビー用品

15%

16%

16%

ビューティケア用品

21%

20%

26%

書籍

24%

16%

14%

クリーニング用品

18%

19%

32%

衣料品

24%

19%

22%

電気製品

28%

22%

19%

フィットネス用品

21%

16%

14%

ガーデン・アウトドア

17%

18%

21%

グロサリー

15%

24%

32%

ホーム・キッチン用品

24%

21%

23%

オフィス用品

24%

19%

21%

医薬品

15%

20%

29%

ペット用品

19%

19%

23%

煙草関連用品

12%

14%

14%

おもちゃ・ゲーム

22%

19%

21%

サプリメント

19%

18%

26%

※ジャングル・スカウト社調べ

 19の商品カテゴリーのうちアマゾンドットコムが9種類、ウォルマートドットコムが2種類、ウォルマート実店舗が10種類でトップとなりました。(ウォルマートドットコムの2種類はウォルマート実店舗と同点のためダブり在り)
オンラインだけでアマゾンとウォルマートを比較した場合、11対7でアマゾンが選ばれています(1種類は同ポイント)。
しかし、eコマース後発のウォルマートがオンラインの分野でも消費者に選ばれつつあることが分かると思います。

最後に今回調査対象となった消費者の57%がアマゾンプライム会員で、31%がウォルマートプラスの会員でした

今後この2社のライバル関係は続いて行くと思われますが、今回の調査結果をベンチマークとして引き続き注目していきたいと思います。

(2022.12.15配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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