ブランド業界を代表するLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)傘下の化粧品専門店セフォラ(Sephora)は、ロイヤルティプログラムの強化とKビューティーの取り込みを両輪に、主要市場で存在感を高めています。
特に米国では会員施策が購買行動を押し上げ、オンライン・店舗の双方で成長を支える構造が鮮明です。
ロイヤルティが牽引するセフォラの強み
セフォラの成長を支える中核が、会員制プログラム「Beauty Insider」です。会員数は約4,600万人に達しており、過去5年で大きく増加しています。会員基盤の拡大は、来店頻度や購買頻度の向上につながりやすく、売上の重要な推進力になっています。
体験価値を高める「体験型ロイヤルティ」
ゲーミフィケーションで参加を促進
2023年に導入されたゲーミフィケーション機能には、会員の約30%が参加しています。購入行動に応じてタスクを達成し、ポイントを獲得できる仕組みを設けることで、継続的な利用とエンゲージメントを高めています。
2025年の大型セールでは注文数などが過去最高を更新し、体験型ロイヤルティの有効性が示されました。
3階層設計で継続利用の動機を作る
「Beauty Insider」は年間購入額に応じた3階層で構成されています。
- Insider(無料)
- VIB(年間350ドル)
- Rouge(年間1,000ドル)
ポイント交換に加えて、限定体験や誕生日特典などを提供し、「お得」だけでなく「特別感」を積み上げる設計になっています。誕生日ギフトの利用は前年比15%増となっており、金銭的価値以上に「祝福される体験」が感情面のロイヤルティを強めている点が特徴です。
CJ Olive Young提携でKビューティーを拡大
ロイヤルティ強化と並行して、セフォラは韓国最大級の化粧品小売であるCJ Olive Youngとの戦略的提携を発表しました。今秋以降、北米や東南アジア、香港などでKビューティー専用ゾーンをオンラインと店舗の両方に設置し、2027年には中東、英国、豪州へ展開を拡大する計画です。
この協業は、トレンド主導型の韓国ブランドを世界市場へ届けるだけでなく、競争が激化するコスメ市場においてセフォラの売り場魅力を高める狙いもあります。背景には、韓国コスメの対米輸出が年率20%超で成長してきた需要拡大があります。
まとめ
今後セフォラは、パーソナライズされた会員体験と新興ブランドとの協業を掛け合わせ、世界35市場・3,000店舗規模のネットワークで顧客関係をさらに深めていくとみられます。ロイヤルティと商品革新を統合した取り組みは、今後のビューティー小売における重要な競争モデルになると考えられます。