ビッグ4に黄色信号!? 英国食品小売企業最新マーケットシェア

昨年5月のメールマガジン「転換期到来の英国食品小売り市場」にて、2018年4月時点の英国食品小売り市場シェアについてご紹介しましたが、その後の最新の食品小売り市場についてご報告いたします。

当時大きく報道されたセインズベリーズとアズダの合併は、結局CMA(英国公正取引委員会)の承認が下りずに実現しませんでしたが、ドイツ発のハード・ディスカウントチェーンのアルディとリドルによる英国小売り市場への攻勢は相変わらず続いているようですので、続報としてご紹介します。

 

以下、英国の市場調査会社の「カンター・ワールドパネル(Kantar Worldpanel)」社が発表している、2019年9月08日までの12週間の食品小売り市場シェアです。

 

◎2019年9月08日時点の食品小売り市場シェア

順位

小売企業名

最新シェア

2018年
4月シェア

前回対比

2019年 9月08日

2018年
4月18日

1

1

テスコ(Tesco)

26.90%

27.90%

▼1.00%

2

2

セインズベリーズ(Sainsbury's)

15.30%

16.20%

▼0.90%

3

3

アズダ(Asda)

15.10%

15.60%

▼0.50%

4

4

モリソンズ(Morrisons)

9.90%

10.60%

▼0.70%

5

5

アルディ(Aldi)

8.10%

7.00%

△0.90%

6

6

コープ(Co-op)

6.60%

5.80%

△0.80%

7

8

リドル(Lidl)

6.00%

5.40%

△0.60%

8

7

ウェイトローズ(Waitrose)

5.00%

5.10%

▼0.10%

 

 

 

地元英国のビッグ4と呼ばれる上位4企業が軒並みシェアを落としていることが分かります。

かつてはこの4社だけで、全体の8割以上のシェアを独占し、超寡占マーケットと呼ばれていた英国の食品小売り市場ですが、最新のデータではこの4社のシェアは67.20%となっており、昨年4月の70.30%から3.1ポイントも落としています。特に4位のモリソンズと5位のアルディの差が、この1年半で3.60%から1.80%と半分にまで縮まってきており、近い将来永年にわたって市場をリードしてきたビッグ4の牙城が崩れる可能性が高いということです。

実際に、アルディは現在英国内に約840店舗を展開してますが、2021年までに新たに100店舗をオープンすると発表しており、今年の7月以降すでに12店舗を新規出店し、年内にあと9店舗のオープンも確定するなど、出店攻勢が止まらない状況です。同社は2025年中に1,200店舗まで拡大するということです。

一方のモリソンズは、不採算店舗を閉店して雇用の削減を進めるというニュースが発表されており、アルディが4番目の位置に入るのは時間の問題のようです。

また、アルディのライバルであるリドルも順調にシェアを伸ばしています。

リドルは現在英国内で約740店舗を展開していますが、毎年約50店舗を継続的に新規出店しており、英国進出後初めて市場シェアで6%に到達しました。カンター・ワールドパネル社によると、リドルは今年に入り前年比で約61.8万人の新規顧客を獲得することに成功したということです。

 

シェアトップを走るテスコは、アルディとリドルに対抗するため、ちょうど1年前にハードディスカウント業態のジャックス(Jack’s)を10店舗出店しましたが、1年を待たずに1号店を閉鎖しました。

世界的市場調査会社のTCCグローバル(TCC Global)社によると、全世界の食品小売り企業の中でアルディとリドルが商品のバリュー(価値)の部門において、断トツのトップに立っているとのことです。テスコが同じ土俵で対抗し、顧客を獲得するのは難しく、自社の優れた部分で対抗することが必要だと述べています。同社の調査では、テスコはアメリカのクローガーと並んで、顧客へのリワードプログラムが秀逸という評価を得ており、店舗内の買い物体験の分野ではマークス&スペンサーとウェイトローズがアメリカのトレーダー・ジョーズと並んでトップとのことです。マークス&スペンサーとウェイトローズは顧客ケアの部門でもトレーダー・ジョーズとコストコと並んでトップの評価となっています。

ちなみにテスコはイスラエルのスタートアップ企業のトリゴ・ビジョン(Trigo Vision)社と提携して、人工知能や160台以上のセンサーカメラなどを使用したアマゾン・ゴーと同様のチェックアウト・フリー店舗のテストを開始すると発表しました。すでにテスコ本社内の店舗で従業員向けのテストを開始しているということで、買い物体験の部門への投資も開始しています。

今後も、英国トップのテスコをはじめとするビッグ4が、アルディやリドルにどのように対抗していくのか、引き続き注目し、定期的にご紹介していきたいと思います。

 

 

(2019.10.16配信)

 

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