データ分析企業大手ダンハンビー(dunnhumby)が2025年12月に実施した最新の「Consumer Trends Tracker(CTT)」調査」(米国を含む北中南米6か国、8,500人の食料品購買者を対象)によると、ウォルマート(Walmart)の食料品浸透率は前年比6ポイント増の過去最高72%に達しました。
ここで言う「食料品浸透率」とは、一定期間内にその小売業者で食料品を購入した消費者の割合を指します。売上高や市場シェアではなく、「どれだけ多くの人が利用しているか」を示す利用者カバー率の指標です。
価格志向が強まる中での”強さ”
この72%という数字は、消費者の7割以上がウォルマートで食料品を購入していることを意味し、同社が事実上、国民的インフラに近い存在となっていることを示唆しています。節約志向が高まる環境下で、ウォルマートが食品の主要な購入先として一段と存在感を増していることを示しています。
マスマーケットの存在感が上昇、ドルストアも食品浸透率上昇中
さらに注目すべきは、「マスマーケット」全体の食料品浸透率が79%に達し、従来型スーパーマーケットと同水準になった点です。調査からは、マスマーケットが拡大することで、従来型スーパーと肩を並べる水準に到達したという構図がうかがえます。マスマーケットとは、ウォルマートやターゲット(Target)のような総合量販店、アルディ(Aldi)やリドル(Lidl)といったディスカウンター、さらにダラー・ゼネラル(DollarGeneral)やダラー・ツリー(Dollar Tree)などのドルストアを含む量販・低価格業態を指します。一方、従来型スーパーとは、クローガー(Kroger)やパブリクス(Publix)などの食品専業型チェーンを指します。実際、ドルストアの浸透率は42%に上昇し、会員制倉庫型業態を上回りました。背景には依然として強い価格不安があります。
価格不安下で浮き彫りになる戦略再定義の必要性
公式統計(CPI:消費者物価指数)では食料品インフレ率は約2.4%まで低下しているものの、この調査によると消費者が体感するインフレ率は約20%に達しており、価格に対する心理的不安が低価格業態へのシフトを後押ししています。dunnhumby は「実際のインフレ率が落ち着いても、消費者の不安が解消されていない」と指摘しています。その影響で、クーポン活用、デジタルを使った節約行動(AIによる買い物サポートなど)といった “節約を軸にした購買行動” が定着しつつあると分析しています。
今回の調査結果は、一時的なインフレ対応ではなく、消費者の購買行動が「価値重視」へと構造的に移行している可能性を示すものです。従来型スーパーにとっては、単なる価格競争ではなく、PB強化や差別化された体験価値の明確化など、戦略の再定義が求められる局面に入ったと思われます。