
2025年4月の弊社トレンドピックアップ、【2025年3月】アルディとリドルが躍進!イギリス(英国)グロサリー市場最新シェアにて、2025年3月25日時点での市場シェアランキング情報をご紹介しました。
2025年7月の英国グロサリー市場は、物価上昇が再び加速し、消費者の買い物行動に大きな変化が見られました。調査によると、トップは依然としてテスコ(Tesco)ですが、6位のリドル(Lidl)が5位モリソンズ(Morrisons)に0.1ポイント差まで迫り、食品カテゴリでは逆転の可能性も浮上しています。
今回は、Kantar Worldpanelが発表した2025年7月13日までの12週間の最新データをもとに、英国スーパーマーケットの勢力図、インフレ下での消費者動向、そして今後の見通しまで詳しく解説します。
英国食品市場、再びインフレ加速
2025年7月の英国グロサリー(食品・日用品)市場は、前年同月比+5.2%の物価上昇を記録しました。この影響で、世帯あたり年間約£275(約5万円)の追加出費が見込まれています。
消費者の購買行動には、簡略化された食事(夕食の材料は平均6品未満)、プライベートブランド(PB)商品の購入増加、ディスカウントスーパーやオンラインスーパーの利用拡大といった変化が出ています。
イギリス(英国)グロサリー最新市場シェアランキング(2025年7月13日時点)
2025年7月13日までの12週間における英国グロサリー市場シェアは以下の通りです。この調査は英国の市場調査大手のカンター・ワールドパネル(Kantar Worldpanel)社が定期的に行っています。
順位 | 企業名 | 2025年7月 | 2025年3月 |
---|---|---|---|
1 | テスコ(Tesco) | 28.3% | 27.9% |
2 | セインズベリー(Sainsbury’s) | 15.1% | 15.2% |
3 | アズダ(Asda) | 11.8% | 12.5% |
4 | アルディ(Aldi) | 10.9% | 11.0% |
5 | モリソンズ(Morrisons) | 8.4% | 8.5% |
6 | リドル(Lidl) | 8.3% | 7.8% |
5位のモリソンズと6位のリドルの差がわずか0.1%まで縮まってきており、食品・飲料カテゴリに限れば、すでにリドルが上回っているとの報道もあります。
勢力図の変化と背景分析
英国のグロサリー市場は、インフレや消費行動の変化に伴い、主要各社のポジションがじわじわと動いています。
首位テスコは盤石な地位を維持する一方、ディスカウント勢の台頭が勢力図を揺るがしつつあります。特に、価格と品質の両立を強みに成長を続けているリドルは、老舗のモリソンズに迫る勢いを見せています。オンライン分野ではOcadoが急伸し、従来型の店舗中心モデルにも変革の波が押し寄せています。
以下は、各社の最新動向と成長の背景を簡単にまとめたものです。
小売企業 | ポイント |
---|---|
テスコ (Tesco) |
・シェア28.3%で首位を堅持 ・PB商品拡充と配送ネットワーク強化が奏功 |
セインズベリーズ (Sainsbury’s) |
・高品質PB「Taste the Difference」が好調でシェア微増 |
ディスカウント勢 (Aldi & Lidl) |
・物価高を背景に二桁成長 ・Lidlは価格競争力とPB充実で急伸 |
モリソンズ (Morrisons) |
・生鮮品品質は評価高いが、価格面で競争劣勢 |
オンライン (Ocadoなど) |
・Ocadoは売上+11.7%でオンライン部門トップ成長 ・英国全体のオンライン比率は12%に到達 |
今後の見通し
カンター社は、2026年初頭にリドルがモリソンズを正式に抜く可能性が高いと予測しています。今後もインフレが続く限り、PB商品とディスカウント業態のシェア拡大はほぼ確実とみられます。引き続き当社でもこのランキングへ注目し、情報をお伝えしていきます。
参考文献
Kantar Worldpanel – Grocery Market Share
The Guardian – Britons ‘turning to simpler meals’
Reuters – UK grocery inflation jumps to 5.2%
Grocery Gazette – Lidl surpasses Morrisons