アルバートソンズがPB(自社ブランド)商品を強化

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食品小売り大手のアルバートソンズ(Albertsons)が、自社ブランドPB拡大に本腰を入れています。

直近の決算報告会にて、全売上高に占めるPB比率を現在の25.7%から30%に引き上げるという目標を明らかにしました。昨年9月にはスイーツ系PBライン「Overjoyed」を約150アイテム導入し、今年に入ってからは有名シェフAntonia Lofasoをブランド・アンバサダーに起用した新ライン「Chef’s Counter」を投入し、単なるPBの域を超えた“プレミアムPB”を強化しています。

PB拡充の背景には、インフレ下で消費者の“価値志向”が鮮明になっていることがあります。市場調査大手のNumerator社によると、食品小売市場ではアルディ(Aldi)80%、トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)69%といったPB重視型チェーンが存在感を放つ中、多くの企業が利益率改善および差別化にとって大きなツールとなるPBの強化に乗り出しています。

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2023年8月の弊社トレンドピックアップ記事、グロサリー&PB購入額シェアから見るウォルマートの強さでも過去取り上げましたが、2025年3月31日時点の最新アメリカ国民によるグロサリー購入額ランキングが、市場調査会社大手のニューメレーター(Numerator)社より発表されました。本調査は、米国消費者が主要小売店舗においてグロサリー商品へ支払った金額シェアを集計・ランキング化したものです。 2025年3月期 第1四半期 グロサリー購入額シェア(上位5社) 2025年3月31日の第1四半期終了時点の上位5社のシェアは以下の通りです。ウォルマート(Walmart)が2019年以降に引き続きトップの座を維持しているほか、上位5社の動向にも注目が集まっています。 順位企業名最新シェア1ウォルマート(Walmart)21.2%2クローガー(Kroger)8.9%3コストコ(Costco)8.5%4アルバートソンズ(Albertsons)5.0%5パブリクス(Publix)4.1%出典:ニューメレーター(Numerator)社 今後も、アメリカの小売市場ではグロサリーカテゴリーを巡る競争がますます激化することが予想されます。自社の流通戦略・店舗運営・プライベートブランド(PB)展開の参考情報として、引き続き各社の動向を注視することが重要となりそうです。

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2023年8月の弊社メールマガジン「グロサリー&PB購入額シェアから見るウォルマートの強さ」で、アメリカのグロサリー市場におけるウォルマートの強さを多角的に検証しましたが、アメリカの市場調査会社大手のニューメレーター(Numerator)社が新たにウォルマートの強さを裏付ける調査結果を発表しました。 この調査は、2023年7月1日から2024年6月30日の1年間に、アメリカ小売市場においてPB(プライベートブランド)商品がどれくらい消費者に浸透しており、どの小売企業のPB商品が消費者から購入されているのかについてまとめたものです。 過去1年間で購入されたカテゴリー別PB占有率と浸透率 まず初めに、アメリカの世帯で過去12か月間に購入されたグロサリー、ヘルスケア用品、コスメ、家庭用品、園芸用品等の主要10カテゴリーにおける、全売上ユニット数に占めるPB商品の割合と、消費者の家庭にPB商品がどの程度浸透しているのかについてまとめたデータは次の通りです。 商品カテゴリーPB占有率(ユニット)消費者浸透率グロサリー23.8%100%ヘルス&ビューティ17.4%99.2%家庭用品26.7%98.9%園芸用品32.5%97.6%D.I.Y.用品29.0%86.2%オフィス・文具38.7%79.4%ペット用品17.6%69.8%おもちゃ16.1%60.8%ベビー用品22.7%56.0%家電11.1%53.5%Numerator社データ 高い消費者浸透率を見せるPB この主要10品目の全売上ユニット数に占めるPB商品の占有率平均は約24%ということで、最も占有率の高いのはオフィス・文具38.7%、園芸用品32.5%、D.I.Y.用品29.0%、家庭用品26.7%、グロサリー23.8%の順になっています。アメリカの消費者家庭へのPB商品の浸透率になると、グロサリーに関しては100%で、過去1年間に全ての家庭がいずれかの小売企業のPB商品を購入したということになります。 他にもヘルス&ビューティ、家庭用品、園芸用品等もほぼ100%に近い数値となっています。なお今回の調査対象者の43%が、コスト削減のためにPB商品を購入していると回答しており、58%がPB商品は価格に見合った平均以上の価値を提供していると回答しています。 過去1年間で最も購入されたPB商品(小売企業名) 次に、アメリカのどの小売企業のPB商品が最も消費者に受け入れられているのかについて以下の通り過去1年間で最も購入されたPB商品名と小売企業名、浸透率(=購入された割合)のトップ15は以下の通りです。 順位PB商品(小売企業)消費者浸透率1Great Value (Walmart)86%2Equate (Walmart)75%3Mainstays (Walmart)70%4Marketside (Walmart)69%5Freshness Guaranteed (Walmart)67%6Dollar Tree (Dollar Tree)65%7Pen + Gear (Walmart)47%8Aldi (Aldi)45%9Up & Up (Target)43%10Kirkland Signature (Costco)43%11Good & Gather (Target)41%12CVS Health (CVS)40%13Kroger (Kroger)40%14Member’s Mark (Sam’s Club)38%15Clover Valley (Dollar General)37%Numerator社データ 上位をウォルマートが独占 上記データの通り、実に上位5つのPB商品をウォルマートが独占しており、いずれも60%を超える家庭に購入されたという圧倒的な存在感となっています。ウォルマートは7位にも同社PB商品Pen+Gearがランクインしております。過去1年間のデータではありますが、アメリカ世帯にどれほどウォルマートのPB商品が購入されているのかが良く分かります。 ランクインしたウォルマートのPB商品 参考のため、今回ランクインしているウォルマートのPB商品の特徴を簡単にまとめます。 PB商品名特徴Great Value (グレート・バリュー)ウォルマートの代表的PBで、食品から洗剤、家庭用品、ペーパー用品等をカバーしています。低価格で高品質がセールスポイントで、同種のNBにとって最大の脅威となっています。Equate(イクエート)ヘルスケアや美容製品に特化したPBで、OTC(市販薬)やスキンケア用品、ビタミン剤等の健康、美容用品を一般的NB商品より手ごろな価格で提供しています。Mainstays(メインステイズ)家具や家庭用品を扱うPBで、家具、ベッドリネン、キッチン用品、インテリア、アクセサリーなどがあり、シンプルで機能的なデザインが特徴です。Marketside(マーケットサイド)主に食品を扱うPBで、特に新鮮な食品やインスタント食品に焦点を当てています。サンドイッチやサラダ、フルーツ、ベーカリーなどの新鮮な商品を提供し、消費者が簡単に栄養バランスの取れた食事を取れるようにしています。Freshness Guaranteed(フレッシュネス・ギャランティード)新鮮なベーカリーや生鮮食品を扱うPBで、パンやケーキ、ペイストリーなどのベーカリー商品を、常に新鮮な状態で提供することを重視しています。品質とフレッシュさを保証することを目的としており、基本的にウォルマート店舗内で製造されます。Pen + Gear (ペン+ギア)文房具やオフィス用品を扱うPBで、ノート、ペン、ファイル、オフィスアクセサリーなどの文房具等のオフィス用品を提供しています。手頃な価格で日常的に使用できる製品が多く、学校やオフィスでの利用に適しています。 前述した昨年のメールマガジン「グロサリー&PB購入額シェアから見るウォルマートの強さ」内で、アメリカのPB売上比率の高い小売企業のリストをご案内しましたが、過去1年間の主な小売企業の売上高に占めるPB商品の割合についてもNumerator社がレポートしております。 (参考)アメリカ小売企業PB商品占有率(売上高) 小売企業PB占有率(売上高)アルディ(Aldi)80%トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)69%コストコ(Costco)34%サムズ・クラブ(Sam’s Club)33%エイチ・イー・バット(H-E-B)33%ウォルマート(Walmart)30%クローガー(Kroger)28% ウォルマートは過去20年間で急速に成長し、グロサリー市場におけるシェアの拡大は加速度的に成長しています。2003年、ウォルマートは約3,400店舗を運営し、グロサリーの売上高は約630億ドルでしたが、2023年までの20年間で店舗数は約5,300店舗に増え、グロサリー売上高は2,470億ドルまで成長しました。 今後もウォルマートを中心にしたアメリカの小売業に注目して行きます。 ウォルマートの最新トレンドピックアップ 今回ご紹介したウォルマートに関連する記事を適宜投稿しております。是非ご覧下さい。 ウォルマートの最新トレンドピックアップはこちら

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