
2023年6月の弊社メールマガジン【2023年「最も評判の良い企業ランキング」】にて、ニュースサイトのアクシオス(Axios)社と世論調査大手ハリス・ポール(Harris Poll)社による毎年恒例の「最も評判の良い企業ランキング~Axios Harris Poll 100 corporate reputation rankings」2023年版の結果をご報告しました。
この調査は、アメリカで一般的に知られている企業を‘評判(Reputation)’という基準で数値化してランキングとしてまとめているもので、1999年から始まり今回で27回目となるアメリカで最も注目されている企業の評判を測定する信頼性の高い指標として認知されているものです。
ランキングの選定プロセス
今回は2025年1月22日から2月12日まで、全米を代表するオンラインサンプル調査サイトに登録しているアメリカ人6,231人を対象に最も評判の良い企業と悪い企業をそれぞれ2社ずつピックアップしてもらうことで、アメリカで注目されている企業を選定しました。
さらに、前述のオンラインサンプルサイトに登録している別のアメリカ人16,585人を対象に、3月6日から22日の期間に、1回目の調査で選出された最も認知度の高い企業のうち、どのブランドをよく知っているかを、非常によく知っている、ある程度知っているという基準で2社ずつ選択してもらいアクシオスとハリス・ポールが100社を決定します。
選ばれた100社を対象に、5月8日から16日の期間に、3組目となる最終回答者4,240名が、以下の7つの評価項目毎に上位2社と下位2社を選択しました。
- 信頼性(Trust):「この企業は信頼できるか?」
- ビジョン(Vision):「この企業は明確な未来像を持っているか?」
- 成長性(Growth):「この企業は成長しているか?」
- 製品・サービス(Products and Services):「この企業は革新的な製品やサービスを提供しているか?」
- 企業文化(Culture):「この企業は働きやすい職場か?」
- 倫理性(Ethics):「この企業は高い倫理基準を維持しているか?」
- 市民性(Citizenship):「この企業は社会的責任を果たしているか?」
最も評判の良い企業ランキング2025
これらの評価を基に、各企業の「Reputational Quotient(RQ)/企業の評判」スコアが算出され、小売部門における2025年版のランキングは以下の通りでした。なお、表示されている順位は小売りに限らず、すべての業種での順位となります。
順位 | 企業名 | 評価スコア | 2024年順位 |
1 | トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s) | 82.1 | 13 |
5 | コストコ(Costco) | 80.6 | 11 |
15 | ホーム・デポ(Home Depot) | 78.6 | 39 |
19 | アマゾン・ドットコム(Amazon.com) | 78.3 | 16 |
23 | ロウズ(Lowe’s) | 78.1 | 41 |
32 | アルディ(Aldi) | 77.0 | 14 |
34 | ベスト・バイ(Best Buy) | 76.8 | 47 |
35 | クローガー(Kroger) | 76.7 | 29 |
67 | メイシーズ(Macy’s) | 71.8 | 58 |
68 | ターゲット(Target) | 71.0 | 59 |
75 | ダラー・ツリー(Dollar Tree) | 69.7 | 91 |
81 | ウォルマート(Walmart) | 68.3 | 79 |
※評価スコアの基準は以下の通りです。
80点以上 | 優れている |
75~79点 | 非常に良い |
70~74点 | 良い |
65~69点 | 普通 |
55~64点 | 悪い |
50~54点 | 非常に悪い |
50点未満 | 重大な問題がある |
トレーダー・ジョーズが強い理由
今回トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s)が全ての業種の中で総合1位となりました。昨年は13位でしたが、2023年は4位、2022年は1位ということで(過去のメールマガジンでご紹介してます)、毎回高い評価を受けている企業であることがわかります。
ハリス・ポールによると、トレーダー・ジョーズが高い評価を受けている最大の理由として、物価の高騰が続いている環境下で、手頃な価格で高品質な自社商品を提供し続けていると同時に、健康志向の高い消費者のニーズにも応え続けていることを挙げています。また、ソーシャルメディアを活用して積極的に顧客とのコミュニケーションをとり、顧客主導のマーケティング戦略を展開していることで、企業の認知度と評判を高めているということです。
反DEI(多様性・公平性・包括性)政策が及ぼす影響
ただし、2025年の調査結果の特徴として、全体のスコアは前年比で平均2.34ポイント低下したということで、この最大の理由がトランプ大統領による反DEI(多様性・公平性・包括性)政策により、今回1位になったトレーダー・ジョーズを含めDEIへの取り組みを停止あるいは縮小する企業が多かったという点が挙げられます。
そんな中でDEIへのコミットメントを維持し続けた企業のスコアは向上しており、前年の16位から今回5位になったコストコ(Costco Wholesale Corporation)は、DEIへの取り組みを堅持することが企業の成功と公平性にとって不可欠であるという方針を貫いており、消費者からだけでなく、株主からも高い評価を得ているということです。
一方で今回1位になったトレーダー・ジョーズの場合、今年1月に同社ホームページからDEIへの取り組みに関する情報が削除されるなど消費者からの懸念も報道されており、来年のランキングへの影響も気になるところです。