これまでアメリカを中心に、様々な角度からみた企業ランキングをご紹介してきました。
今回はアメリカでよく知られている企業を評判(Reputation)という普遍的な基準でランキングとしてまとめたレポートをご紹介したいと思います。
このランキングは、ニュースサイトのアクシオス(Axios)社と世論調査会社大手ハリス・ポール(Harris Poll)社が共同で調査したものです。
約33,000人のアメリカ国民を対象に、次の7つの項目毎に最も優れていると思う企業2社と最も劣っていると思う企業2社を選ばせて、その合計スコアをまとめたものです。
- 信頼(信頼できる企業か)
- ビジョン(将来への明確なビジョンを持っている企業か)
- 成長(これからも成長する企業か)
- 製品・サービス(価値のある革新的サービスや製品を提供する企業か)
- 文化(働きがいのある企業か)
- 倫理(高い倫理基準を持っている企業か)
- 市民活動(市民サポートを行っている企業か)
今回は上位10社とその他主要企業のランキングをご紹介します。
◇上位10社
順位 | 企業名 | 業種 | スコア | 昨年順位 |
---|---|---|---|---|
1 | トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s) | 食品小売 | 82.4 | – |
2 | エイチ・イー・バット(H-E-B) | 食品小売 | 82.0 | – |
3 | パタゴニア(Patagonia) | アウトドア | 81.8 | 1 |
4 | ハーシー(The Hershey Company) | チョコレート製造 | 81.8 | – |
5 | ウェグマンズ(Wegmans) | 食品小売 | 80.6 | 13 |
6 | サムスン(Samsung) | エレクトロニクス | 80.5 | 31 |
7 | アマゾン(Amazon.com) | ECサイト | 80.3 | 10 |
8 | トヨタ自動車(Toyota Motor Corp.) | 自動車製造 | 80.3 | 18 |
9 | ホンダ(Honda Motor Company) | 自動車製造 | 80.1 | 2 |
10 | ソニー(Sony) | エレクトロニクス | 79.6 | 34 |
上位10社には、食品小売から3社がランクインしています。
そのうち1位のトレーダー・ジョーズ、2位のエイチ・イー・バットは昨年のランク外からの大躍進となりました。
コロナ禍から日常生活が戻りつつも、人手不足やサプライチェーンの混乱等による商品不足や納品遅延が頻発している流通小売市場において、市民が必要とする食料品を滞りなく食卓に届け続けたことが高く評価されたと見られています。
◇その他主な企業
順位 | 企業名 | 業種 | スコア | 昨年順位 |
---|---|---|---|---|
11 | IBM | エレクトロニクス | 79.5 | 39 |
16 | ホーム・デポ(The Home Depot) | ホームセンター | 78.9 | 45 |
19 | パブリクス(Publix Supermarkets) | 食品小売 | 78.8 | 23 |
22 | ネットフリックス(Netflix) | 映像ストリーミング | 78.5 | 38 |
25 | クローガー(The Kroger Company) | 食品小売 | 78.4 | 30 |
26 | コストコ(Costco Wholesale) | 倉庫型食品小売 | 78.2 | 9 |
32 | ターゲット(Target) | 食品小売 | 77.8 | 41 |
77 | ウォルマート(Walmart) | 食品小売 | 70.8 | 84 |
11位以下の主な企業のランキングは上記の通りです。
アクシオス社およびハリス・ポール社によると、企業の評判を高めるためには本来の業績を伸ばし続けることが不可欠としながら、企業の倫理観や社会への貢献等も重要なファクターになると述べています。
具体的に、今回25位に入ったクローガーは、2025年までに食品廃棄物とコミュニティの飢餓問題をゼロにする「ゼロ・ウェイスト、ゼロ・ハンガー」への取り組みを強力に推進しており、食品廃棄物の削減を全店舗の80%以上で実現しています。
飢餓問題についても年間3億ドル以上の寄付活動や、年間6億食以上の食料寄付活動を続けていることが高く評価されています。
売り上げ規模だけを見ると圧倒的にトップを走り続けているウォルマートは、今回のような総合的な企業の評判という点においては77位という結果になってしまいました。
先日アメリカの流通市場調査会社のエッジ・バイ・アスセンシャル(Ede by Ascential)社が発表した今後の市場予測でも、2024年までにアメリカ小売市場の市場シェアを、アマゾンは10.8%から14.9%に拡大させ、ウォルマートは13.2%から12.7%に縮小すると予測し、長年トップを維持してきたウォルマートが2位に陥落するというレポートが出たばかりです。
このレポートは過去5年間の企業の年平均成長率(CAGR)データに基づいて出されたものですが、アマゾンの年平均成長率は11.7%に対し、ウォルマートは3.5%です。今後の市場シェアの動向にも注目していきたいと思います。
(2022.6.13配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)