物流革命!〜マイクロ・フルフィルメント・センター〜

流通小売市場におけるオンラインへのシフトはここ数年の大きなトレンドとなっています。

このトレンドに対応できない企業の多くが店舗閉鎖あるいは倒産へと追い込まれており、昨年1年間で9,300店舗以上が閉鎖されたとアメリカ小売業界シンクタンク大手のコアサイト・リサーチ(Coresight Research)社が発表しています。

昨年の閉鎖店舗数が過去最大を記録し、多くのメディアや流通関連サイトで大きく取り上げられたのは記憶に新しいところですが、同社の最新のレポートによりますと、2020年は新型コロナウイルスの影響により、最大25,000店舗が閉鎖を余儀なくされるだろうと予測されています。

 

コロナ禍の中で、消費者の購買行動の変化、オンラインへのシフトがますます進んだことも明らかになってきました。

商務省(Depatment of Commerce)に属するアメリカ合衆国国勢調査局(Census Bureau)の最新データでは、アメリカにおける2020年第2四半期(4月〜6月)のオンラインでの購入額は約2,115億ドルで、第1四半期(1月〜3月)の約1,604億ドルから約31.8%、前年同期比でも約44.5%も伸びたとされています。

アメリカの調査会社大手のeマーケッター(eMarketer)社によりますと、2020年はアメリカの小売総売上額の約14.5%がオンラインでの売り上げになると予想しており、その額は約7,098億ドルにのぼるということです。

同社の推定では、2024年にはオンライン売り上げのシェアは18.1%になり、売上総額も1兆ドルを突破するだろうと予測されています。

当メールマガジンでも、過去に何度かこのトレンドについて特集をしてきました。

・2019年3月 急増する店舗ピックアップ「BOPIS」最前線

・2020年7月 コロナ禍のもと急加速するオンライン・グロサリー利用者数の増加

 

この消費行動のオンライン化に伴い、物流の世界、特にグロサリー市場では新しい物流の形が注目されています。

マイクロ・フルフィルメント・センター(MFC)と呼ばれるもので、従来のスーパーマーケットの中あるいは敷地内に、オンラインオーダーに対応することができる、自動化された小型のフルフィルメントセンターを導入するというものです。この流れは2019年の初めから徐々に注目され始めており、多くのメジャー企業がこのMFCのシステムを導入し始めています。

フルフィルメントセンターというのは、商品の受注、梱包発送、決済という一連の流れを一カ所で行う施設のことで、他にも顧客データ管理、在庫管理、返品やクレーム対応等も行うことができます。

アマゾンが、1997年にアメリカに初めて2か所のフルフィルメントセンターをオープンし、2020年9月時点ではアメリカ国内で190カ所にまでその数を増やしています。

こうしたフルフィルメントセンターの多くは、75,000u〜120,000uという広大な面積を持ち、大都市の郊外に設置されているのが特徴です。

しかしMFCは、最小で約465u〜930uという非常にコンパクトな施設で、世界各国のスタートアップ企業が最先端の技術を導入したモデルを提案しています。

以下にご紹介するのが、主なMFC技術を提供する企業と、実際に導入しているグロサリー企業の概要です。

 

MFCプロバイダー

Takeoff

DEMATIC

Fabric

ALERT INNOVATION

本拠地

マサチューセッツ州

ドイツ/フランクフルト

イスラエル/テル・アビブ

マサチューセッツ州

所属・所有

プライベート

KIONグループ

プライベート

プライベート

設立年

2016年

2018年

2014年

2013年

対象

グロサリー店舗

小売店舗全般

グロサリー店舗

グロサリー店舗

導入企業

アルバートソンズ

ロブロウ

ストップ&ショップ

セダノス

アマゾン

マイヤー

フレッシュ・ダイレクト

ウォルマート

最小スペース

約465u

約930u

約930u

約740u

処理能力

5分間に60品目

5分間に62品目

10分間に60品目

6分間に50品目

設置に必要な日数

20週間以内

12週間

14〜15週間

12週間

MFC施設の導入コストについての詳しいデータは公表されておりませんが、ストップ&ショップがMFC施設を導入した際には、アメリカのグロサリー業界の専門サイト大手のグロサリー・ダイブ(Grocery Dive)社によるインタビューで、導入コストについて300万〜400万ドル程度と回答しています。

 

MFC導入による最大のメリットは、増え続けるスピード配送および店舗ピックアップのニーズへの対応が容易になるという点です。

アメリカでは数年前まで、オンラインで注文した商品が届くのには1週間以上かかるのが普通でしたが、2005年にアマゾンがプライムメンバーに対して無料の2日間配送を開始して以来、デリバリーのスピード競争が始まりました。同社は2019年に有料会員を対象として、無料での24時間以内の配送サービスも開始しています。

こうした配送のスピード競争の激化に加え、更に生鮮食料品を含めたグロサリー配送への需要の高まりにより、2時間以内や1時間以内のデリバリー、あるいは店舗ピックアップといった現在の顧客ニーズに対して、従来の店舗では対応が不可能となってきました。

また、MFCを稼働することで、近年グロサリーのデリバリーを専門として右肩上がりで業績を伸ばしているインスタカート(Instacart)社など店舗内ピックアップ&デリバリー業者への手数料を削減することも可能となります。

さらに自動化されたフルフィルメントセンターの導入による処理の高速化と省力化も期待できます。

 

急速に増加する生鮮食料品のオンライン注文に対応するため、アマゾンは傘下のホールフーズの一部店舗を食料品配送および受け取り専用の店舗(ダークストア)にする改装を急ピッチで進めており、今年の5月にはすでに6店舗のホールフーズをダークストアに改装しました。そして9月1日には、オンラインオーダー対応専門の拠点をニューヨークのブルックリンにオープンしたばかりです。

ホールフーズは現在、アメリカ国内に487店舗を展開しています。昨年12月の時点では、店舗内ピックアップが可能な店舗は80店舗でしたが、2020年9月末までにほぼ全店舗の480店舗で対応が可能となる予定ということです。またアメリカ国内2,000都市以上で、2時間以内のグロサリー配送が可能となっています。

ターゲットも今年の3月からニューヨークおよびカリフォルニアでの独自MFCの建設を始めました。

 

今後も伸び続けることが予想されるグロサリーのオンラインオーダーですが、MFCを導入する店舗は今後急速に増えてくることが予測されており、引き続き注目していきたいと思います。

 

 

 

(2020.9.14配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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