グロサリー&PB購入額シェアから見るウォルマートの強さ

前回のメールマガジン「最新!2023年米国食品小売企業売上ランキング」(2023720日配信)にて、売上高という最も分かり易い指標によるランキングをご紹介しました。

ウォルマートの強さが際立つ内容でしたが、間もなく発表される2023年度第2四半期の決算報告もメディアの予測を上回る結果になりそうとのことです。

 このウォルマートの強さを裏付ける興味深いデータが、市場調査会社大手ニューメレーター(Numerator)社から報告されているのでご紹介します。

最初のデータは、アメリカ国民がグロサリー購入をどの小売店舗でしているかを、支払い金額ベースでランキング化したもので、過去3年間の結果は以下の通りです。

 

順位

企業名

2021

2022

2023

1

ウォルマート(Walmart

23.7%

24.1%

25.2%

2

クローガー(Kroger

12.1%

11.2%

10.7%

3

コストコ(Costco

9.4%

9.6%

9.9%

4

アルバートソンズ(Albertsons

6.7%

7.1%

7.2%

5

サムズ・クラブ(Sam’s Club

4.7%

4.9%

5.1%

6

アホールド・デレーズ(Ahold Delhaize

5.4%

5.3%

5.0%

7

パブリクス(Publix

5.0%

5.2%

5.0%

8

ターゲット(Target

3.1%

3.1%

3.0%

9

アルディ(Aldi

2.1%

2.1%

2.3%

10

ダラー・ゼネラル(Dollar General

1.9%

2.0%

2.1%

Numerator社データ

 

見ての通りウォルマートが2021年から1.5ポイントも伸ばし、25.2%という実にアメリカ全体のグロサリー支払い金額の4分の1を超える金額がウォルマートに支払われた結果となりました。

一方2023年米国食品小売企業売上ランキングで4位だったクローガーは、上記ランキングでは2位ですが、最もシェアを落としており、2021年から1.4ポイント減となりました。

この調査結果に関して、ウォルマートのCEOであるダグ・マクミロン(Douglas McMillon)氏は、最大の要因は特売などをせずに年間通じて低価格を保証するEDLP(Every Day Low Price)という価格戦略と、アメリカ国民の90%以上がウォルマート店舗から10マイル以内に住んでいるという圧倒的な利便性によるものであるとコメントを出しており、今後も特に

高所得層や若者層の消費者を取り込むことでさらなるシェアの拡大を図っていくと述べています。

 次に、こちらもNumerator社のデータとなりますが、グロサリー小売市場における各社のプライベート・ブランド(PB)の売上ベースでの市場シェアについてまとめています。

1年前の少々古いデータですが、アメリカにおける2022年時点の全グロサリー売上高に占めるPBの割合は約17.4%ということです。 

グロサリーを扱う小売企業の中で全売上高に占めるPB売上高比率の高い主な小売企業は以下の通りです。

 

企業名

PB売上比率

アルディ(Aldi

77.5%

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s

59.4%

ウェグマンズ(Wegmans

49.4%

コストコ(Costco

33.5%

サムズ・クラブ(Sam’s Club

30.0%

エイチ・イー・バット(HEB

26.9%

ウォルマート(Walmart

23.3%

クローガー(Kroger

22.1%

Numerator社データ

 アルディを筆頭に独自のPB商品の売上比率の高い企業の中でウォルマートは23.3%とアメリカの平均をわずかに上回る程度の比率となっていますが、アメリカのグロサリー全売上高に占める各小売企業のPB売上シェアとなると次のような結果になります。

 

順位

企業名

PB売り上げシェア

1

ウォルマート(Walmart

28.2%

2

コストコ(Costco

14.9%

3

クローガー(Kroger

9.0%

4

サムズ・クラブ(Sam’s Club

7.2%

5

アルディ(Aldi

6.3%

6

アルバートソンズ(Albertsons

4.0%

7

ターゲット(Target

2.9%

8

パブリクス(Publix

2.7%

 

ウォルマートのPBがどれだけアメリカ国民に受け入れられているのかが分かる数値となっています。

ウォルマートは今年に入りPB商品の拡大に注力すると正式に発表しており、特にデリ、ランチミート、ベーコン、乳製品などのカテゴリーを中心にNBからPBへのシフトを加速するとしています。

ウォルマートの数あるPBカテゴリーの中でも1993年から食品部門で展開しているグレート・バリュー(Great Value)は、20221年間でアメリカ国民が最も多く購入したPB商品ということで、全国民の72%が購入したということです。

 今回もウォルマートの強さを別の視点から確認する内容となりましたが、今後もあらゆる角度から海外小売関連の情報を発信していきたいと思います。

(2023.8.21配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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