”ハワイ”に注目する理由
アメリカ合衆国(米国)には50の州があります。今回フォーカスするハワイ州は1959年に50番目の州として編入された、主要な島々から成る唯一の州です。温暖な気候と景観を背景に、国内外から年間約800万人以上の旅行者を迎えています。人口約144.6万人(Census Bureau Dataによる)のうち、約20万人が観光産業に従事しているとされるなど、観光依存度の高い地域でもあります。
島しょ地域であるハワイは、食料自給率が約15.7%と低く、アメリカ本土からの輸入に大きく依存しています。ハワイで展開するウォルマート(Walmart)やターゲット(Target)等の小売チェーンも、農産品を含め多くを本土調達に頼っています。先進国でも自給率が低いと言われる日本は農林水産省によると約38%(2019年以降おおむね横ばい)であり、これと比べてもハワイの自給率の低さが際立ちます。
こうした環境下では、地元農場などから商品を調達できるローカル企業が強みを発揮しています。一方、本土とは人種構成が大きく異なるハワイでは、本土企業もローカル需要に合わせて品揃えや売場づくりを最適化しており、ハワイならではの店舗戦略を観察できます。
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ハワイ(ホノルル)流通・小売視察の特徴

需要が二重化する市場:観光×生活が同一商圏に混在
ホノルル周辺では、来訪者の短期需要(観光)と居住者の定常需要(生活)が同じエリアで重なります。
売場では、即食・惣菜の組み立て、ギフト・土産の位置づけ、まとめ買い導線、価格帯レンジ、表記(多言語)などが同時に成立しています。国内の単一需要前提の商圏とは異なり、需要別に売場の役割を分ける売り場づくりが見どころになります。
供給制約が売場に出る:島しょ市場の調達・物流・コスト
低い自給率を背景に、本土依存の供給構造が前提となります。結果として、SKUの優先順位、代替提案、欠品の捉え方、価格設定など、制約下での判断が売場に表れます。
同一企業でも本土店舗と同じ表現にはならない領域があり、「どこをローカル仕様に寄せているか」が観察ポイントになります。
ローカル企業と本土チェーンが同一商圏で併存
地場ローカルは地域性・食・惣菜/即食などで強みを作り、本土チェーンはスケールと価格を軸にしつつローカル仕様へ寄せます。ホノルルでは、同一商圏の中でこの差分が見え、競争構造を読み解く材料になります。
健康・オーガニックが日常導線にある
健康軸・オーガニックが「特別な棚」に留まらず、日常の買い回り導線に組み込まれている売場が見られます。棚割り、訴求、関連購買の設計は、国内の健康軸MDにも接続しやすい論点です。
ホノルル(Honolulu)エリア概況
ホノルルは、ワイキキの観光集積、アラモアナの大型商業集積、カカアコ(Kaka‘ako)の再開発エリア、住宅地色の強いカハラ(Kahala)等が比較的近い距離で連続しています。
需要の性格が異なるエリアを同一日程で切り替えられるため、「観光需要の売場」と「生活需要の売場」の対比が組み立てやすい立地です。
ホノルルへのアクセス
日本国内では、東京(羽田・成田)、大阪(関空)、名古屋(中部)からハワイ(ホノルル)への直行便が就航しています。
(参考) 所要時間目安 東京(羽田)⇔ ホノルルの場合
<往路> 6時間35分~7時間50分
<復路> 8時間15分~8時間20分
<航空会社> 日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、ハワイアン航空、デルタ航空
※2025年12月時点
ホノルル視察ポイント
最大の見どころ
ホノルル視察の最大の見どころは、地場ローカル企業と本土ベースのメガ企業が同一商圏で競合する構図にあります。
ウォルマートやターゲット等の主要チェーンが揃う一方で、ローカル企業も強い存在感を保ち、観光需要と生活需要が交差する環境、島しょ市場の調達・物流条件を前提に、品揃え、惣菜・即食、価格帯、棚割り、サイン・訴求がハワイ仕様へ寄せられています。
両者の差は売場に現れやすく、ホノルル周辺の比較的コンパクトなエリアで横断しながら整理できます。
●ここがポイント
・多民族ニーズに応えて成長した地場チェーン「フードランド・ファームズ」「ダウン・トゥ・アース」を視察し、商品政策・惣菜・健康志向対応の工夫を把握することができる
・「ウォルマート」「ターゲット」「セーフウェイ」「コストコ」などを巡り、ハワイならではの品揃え・売場づくり・ローカル対応(観光需要、島しょ物流、嗜好の違い)を比較検証できる
・短期間でも要点を押さえられる店舗選定と動線で、無理なく効率的に学べるコンパクト日程を組みやすい
おすすめの視察エリア
Kaka’ako (カカアコ)
再開発が進む新興エリアです。もともと倉庫街として機能していた地域が、現在はアートやカルチャーを軸に街区が更新され、飲食・物販・体験が集積しています。
健康志向や多国籍需要を背景にした食のトレンドも集まり、ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)の旗艦店やオーガニック系の店舗を通じて、近年のホノルルにおける消費動向を観察できます。
Ala Moana (アラモアナ)
市民の憩いの場であるアラモアナ公園、アラワイ・ヨットハーバーに面し、ホノルル有数の商業集積として「アラモアナ・ショッピングセンター」が立地しています。屋外型モールとして米国でも有数の規模を持ち、約350以上の店舗・レストランが集まります。
モール内では、地場系のフード売場から本土チェーン、ラグジュアリー、体験型リテールまでテナントの幅が広く、観光客とローカルが同じ導線で交差します。価格帯のレンジ設計、惣菜・即食の組み立て、ギフト需要の取り込み、PB・独自商品の見せ方などを、業態横断で比較できます。
Waikiki (ワイキキ)
観光需要の中心エリアです。ワイキキビーチ周辺では、カラカウア通りを軸に、一本内側のクヒオ通りまで商業が連続し、土産、即食、ホテル滞在者向けの小容量ニーズを前提にした店舗が並びます。
売場では、多言語表記、決済対応、持ち帰り導線、滞在者の食シーンを想定したSKU構成が表れ、観光需要と日常需要を同一エリアで両立させる運営が見どころになります。
ホテル周辺立地での品揃え最適化、簡便食・ギフトの位置づけ、価格帯レンジの置き方を中心に確認することが可能です。また、2016年にリニューアルされ、90以上のショップと10以上のレストランが集積する「International Market Place(インターナショナル・マーケット・プレイス)」も注目の1つです。
Kahara (カハラ)
高所得住宅地に根差す落ち着いたエリア。小型でも高付加価値・地場産訴求の強い店舗が多く、価格より品質・健康・ライフスタイル提案で差別化する設計を学ぶことができます。
おすすめの視察先
Foodland Farms (フードランド・ファームズ)
アラモアナ・センター内に展開するFoodland Farms Ala Moanaは、2016年8月に開業したフラッグシップ店舗です。売場規模は47,395平方フィート(約4,400㎡)で、フルサービスのグロサリーに加え、出来立て惣菜やテイクアウト、持ち帰り調理系の提案を組み合わせた「grocerant」型を前面に打ち出しています。複数のフード/ドリンクステーションを核に、即食の強さと“食の目的地化”が売場設計に反映されています。
ワイキキ側では、クヒオ通り沿いの複合開発「Līlia Waikīkī(リリア・ワイキキ)」内にWaikīkī Market(ワイキキマーケット)が2023年1月に開業しました。フルサービスの食料品に加え、惣菜・即食とレストラン機能を組み合わせた構成で、施設内の回遊と滞在需要を取り込んでいます。
Down to Earth (ダウン・トゥ・アース)
1977年にマウイ島ワイルクで出発したナチュラル/オーガニック系の小売企業です。2025年現在はハワイ州内で店舗網を持ちながら、オーガニック・ナチュラル食品に加え、サプリメント、ナチュラル系の日用品・ビューティー領域まで含めた品揃えを構成しています。
外部評価としては、ホノルルの有力紙「Honolulu Star-Advertiser」の読者投票(People’s Choice)で、長年にわたり「Best Health Food Store」に選ばれてきた実績が確認できます。
視察先としては、2018年に開業したカカアコ(Kaka‘ako)店をおすすめします。カカアコ店は同社最大級の店舗として、デリ機能を拡張し、ホットテーブルやサラダバー、持ち帰り需要を捉える即食提案を厚くしています。開業時期が近いワードビレッジ周辺のホールフーズと合わせ、健康・オーガニック市場における即食の強さと売場訴求の差が比較対象になります。
また、同社はエコバッグ等のオリジナル商品も扱っており、店舗体験の延長として物販領域まで確認できます。
モデルコース(3泊5日での例)
以下は、3泊5日を想定したモデルコース例です。ホノルル(ハワイ州オアフ島)では、観光需要と生活需要が交差する商圏、島しょ市場の調達・物流条件、ローカル企業と本土チェーンの競争が売場に反映されます。
行程は、この前提を踏まえ、主要エリアと代表的な業態を回遊しながら、惣菜・即食、価格帯、棚割り、訴求、PBの差分を整理する流れで組んでいます。
| 日程 | 都市名 | 交通機関 | 時間 | 摘要 |
| 1日目 | 各地 発 ホノルル 着 | 航空機 専用車 | 夜 午前 午後 | 空路、ホノルルへ(所要時間:7時間25分 ※東京発の場合) (日付変更線通過) HNLダニエル・K・イノウエ国際空港 着後、市内流通視察へ ◇Whole Foods Market Qeen(ホールフーズマーケットクイーン) (388 Kamakee St.) ホノルル旗艦店舗、総菜・プラントベース、バー併設店舗 ◇Down to Earth Organic & Natural(ダウン・トゥ・アース) (500 Keawe St.) 地場最大、ヴィーガン・ローカル商品高比率店舗 ◇H Mart Kaka’ako(Hマート カカアコ) (458 Keawe St.) 韓国系グルメスーパー、フードホール複合店舗 【ホノルル泊】 |
| 2日目 | ホノルル滞在 | 専用車 | 朝 午前 午後 | 終日、ホノルル流通視察 ◇アラ・モアナ・センター内店舗視察(1450 Ala Moana Blvd.) ・Foodland Farms Ala Moana(フードランドファームズ アラモアナ・センター) 地場産PB「Maika’i」戦略、ワイン専門R.Field併設店舗 ・Longs Drugs(ロングスドラッグス) (CVS) ヘルス&日配のクロス販売店舗、ドラッグとSMの境界がファジーな店舗(CVS傘下) ・Apple Store Ala Moana Center(アップル・ストア アラモアナ・センター) 体験型リテール代表、モール内直営店最大規模店舗 ・Makai Market Food Court(マカイマーケット フードコート) 中食・即食モデルの集積フードコート ・Nordstrom(ノードストローム) 高級デパートのPB・接客・MD、サービス型小売りの最前線店舗 ・Target(ターゲット) BOPIS、Drive Up等ターゲットのEC強化店舗 ◇Don Quijote Kaheka(ドン・キホーテ カヘカ) (801 Kaheka St.) PB「JONETZ~情熱」を展開する多国籍客対応24時間店舗 【ホノルル泊】 |
| 3日目 | ホノルル滞在 | 専用車 | 朝 午前 午後 | 終日、ホノルル流通視察 ◇Waikiki Market(ワイキキマーケット) (2380 Kuho Ave.) Foodland Farms直営の観光+居住地共存型SM、調理ゾーンが充実した店舗 ◇Mitsuwa Marketplace Waikiki(ミツワマーケットプレイス ワイキキ) (2330 Kalakaua Ave.) フードホール、即食・総菜強化型日系SM ◇International Market Place(インターナショナル・マーケット・プレイス) (2330 Kalakaua Ave.) 観光と日常をつなぐ“体験型ライフスタイルモール” ◇Walmart Keeaumoku Str.(ウォルマート・ケアウモク・ストリート) (700 Keeaumoku St) ホノルル最大のWalmart。PB「Great Value」展開、惣菜・BOPIS・大量陳列 ◇Safeway Kapahulu(セーフウェイ カパフル) (888 Kapahulu Ave.) BOPIS+総菜+薬局併設型24時間営業店舗 【ホノルル泊】 |
| 4日目 | ホノルル ホノルル 発 | 専用車 航空機 | 朝 午前 午後 | 市内流通視察 ◇Kahara MKT.by Foodland(カハラ マーケットbyフードランド) (4210 Waialae Ave.) 小型・地場産特化の高感度SM ◇Costco Iwilei(コストコ イウィレイ) (525 Alakawa St.) ホノルルならではの品揃え、低価格ではなく安心感のPB「Kirkland」 空港へ移動 空路、日本へ(所要時間:8時間15分 ※東京発の場合) |
| 5日目 | 各地 着 | 専用車 | 午後 | 日本到着 |
オーダーメイドの視察・海外研修旅行のお問い合わせ・ご相談
視察・海外研修旅行のお問い合わせ・ご相談がございましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。モデルコースを基本にした内容アレンジも可能です。
●ご注意
・ツアーのお見積りは10名さま以上からのお引き受けとなります(少人数の場合は状況によりお引き受けできない場合がございます。人数などご要望をお伺いの上、都度ご相談とさせていただきます。)
・ご紹介したモデルコースは視察先の選定をサポートする内容となっており、流通コーディネーター・ガイドの同行をお約束するものではございません。(ハワイエリアについては、コーディネーターのお手配は行っておりません。ご了承ください。)