急成長する食品スーパーのフードサービス~デジタル化とデリ強化で外食と競合する時代

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食品スーパーにおけるフードサービス(デリ・総菜)分野が、いま新たな成長局面に入っています。

FMI(The Food Industry Association)のレポートによれば、米国の同市場は521億ドル規模に達し、直近1年間でも+1.6%成長と安定的に拡大しています。

消費者動向もそれを裏付けており、85%の顧客が前年と同等以上のデリ商品を購入しており、さらに18%が2026年に購入を増やす意向を示しているということです。

加えて、デリ食品の28%が外食の代替となっており、2017年の12%から大きく上昇しています。これは、食品スーパーが外食の補完ではなく、直接競合する存在へと変化していることを意味します。

この流れは、一昔前に注目されたグローサラント(Grocerant)の進化形と捉えられます。

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近年、アメリカの食品小売業界で急速に注目を集めているトレンドが「グローサラント(Groceraunt)」です。本記事では、グローサラントとは何かをわかりやすく解説するとともに、アメリカの具体的な成功事例や、今後日本での可能性についても深掘りします。 グローサラント(Groceraunt)とは? 「グローサラント(Groceraunt)」とは、「グローサリー(Grocery)」と「レストラン(Restaurant)」を掛け合わせた造語で、食料品の販売と飲食体験を融合した革新的な店舗モデルのことです。アメリカではすでに大手食品スーパーが続々と導入し、売上・集客の両面で大きな成果を上げています。 従来のスーパーマーケットが、日用品や食品を販売する場であったのに対し、「グローサラント」では、その場で調理された本格的な食事を、店内で楽しめる空間が用意されています。これは単なるイートインスペースではなく、レストラン並みのクオリティで食事が楽しめる「食のエンタメ空間」と進化しています。 すでにアメリカ国内では、「USA TODAY」などの一般メディアにも取り上げられており、食のあり方・そして店舗の役割そのものを再定義するムーブメントとなっています。 EC・オンライン時代に実店舗が取るべき戦略 アメリカでは、オンラインショッピングの急拡大により、多くの小売業者がオムニチャネル化(様々な販売・接点チャネルを連携させて顧客にシームレスな購買体験を提供すること)を進めています。しかし、実店舗がネット通販に対抗するには、「来店する理由」が必要です。 その答えのひとつが、「グローサラント化」です。オンラインでは再現できない「体験」や「食の楽しさ」を提供することで、顧客を店舗へと呼び戻すことに成功しているのです。 実際に、アメリカの食品スーパーでは、グローサラントの導入により2016年の来店数が延べ24億回増加し、100億ドルの追加売上を生んだと報告されています。 グローサラントの成功事例 以下に北米で「グローサラント」に取り組んでいる、代表的な企業とその特徴についてご紹介します。 ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market) ホールフーズは、テキサス州オースティンを拠点に、北米、カナダ、イギリスで460店舗以上を展開する、ナチュラル&オーガニック専門の代表的スーパーです。「グローサラント」を取り入れている代表的企業で、店舗ごとの取り組みをしています。  ニューヨーク・マンハッタンのブライアントパーク店では、フランキー・スプンティーノ(Frankies Spuntino)というカジュアルイタリアンレストランと、著名フレンチシェフによるシーフードレストラン、ハーバー・バー(Harbor Bar)を導入。  ロサンゼルスのディストリクト・アット・タスティン・レガシーSC内の店舗では、メンドチーノ・ファームズ(Mendocino Farms)というオーガニック&グルテンフリーのサンドイッチとサラダの専門店を導入。 ウェグマンズ(Wegmans) ウェグマンズは、ニューヨーク・ロチェスターを拠点に東海岸に92店舗を展開している、アメリカ人に最も人気のあるスーパー・マーケットであり、全米最大規模の家族経営企業です。 多くの店舗に取り入れられている、ネクストドア・バイ・ウェグマンズ(Next Door by Wegmans)にて寿司バーや、独自農場で収穫したオーガニック食材を使ったダイニングを提供。 アモーレ・イタリアン・レストラン&ワインバー(Amore Italian Restaurant & Wine Bar)ではイタリア料理とワインバー、ザ・パブ(The Pub)ではオイスターバーやサンドイッチとビール等を楽しめるようになっている。 エイチイーバット(H-E-B) エイチイーバットは、テキサス州サンアントニオを拠点にテキサス州とメキシコで370店以上を展開しているスーパーチェーンです。 店内にトゥルーテキサス・バーベキュー(True Texas BBQ)というバーベキュー専門のレストランを導入。 また著名シェフであるランディ・エバンス氏によるレストランを、サンアントニオのザ・マーケット・アット・ストーンオーク(The Market at Stone Oak)店、ワイルダーネスオーク(Wilderness Oak)店、シャーツ(Schertz)店、およびヒューストンのサン・フェリペ(San Felipe)店にて展開している。 マリアノス(Mariano’s) マリアノスは、イリノイ州を拠点に41店舗を展開するクローガー系のグルメスーパーです。 レイクビュー・イースト(Lakeview East)店では、作り立てパスタの専門店レイクビュー・アーバンパスタバー(Lakeview Urban Pasta Bar)やハンバーガー専門のフォースター・バーガーバー(Four Star Burger Bar)の他、ワインバーや寿司の専門コーナーなどを設置している。 「プリペアドミール」から「グローサラント」へ これまでの食品スーパーでは、「フード・トゥー・ゴー(Food-to-go)」や「レディ・トゥー・イート(Ready-to-eat)」といったミールソリューションが主流でした。背景には、健康志向の高まりや時短ニーズがあり、スーパーで購入できるプリペアドミール(調理済み食品)の需要が高まっていたのです。 実際、2005年〜2015年の10年間で、プリペアドミールの売上は年平均10%の成長を記録しており、さらには、リサーチ企業「Technomic Inc」によると、多くの消費者がファストカジュアルレストランより地元のスーパーを選ぶ傾向にあるとのことです。 今後はこの流れがさらに進化し、スーパーで本格的かつリーズナブルな料理を楽しめる「グローサラント」が新しい常識となっていく可能性が高まっています。 日本でも注目!グローサラントがもたらす未来 「グローサラント」はすでに日本国内の一部企業でも導入が始まっており、今後さらなる広がりが期待されています。少子高齢化、単身世帯の増加、健康志向、そして食体験の多様化といった社会的背景を考慮すると、日本でもグローサラントのニーズは極めて高いといえるでしょう。 食品小売業界が今後さらに成長するには、ただ商品を売るだけでなく、食の体験を提供する場へと進化することが将来不可欠です。 まとめ 「グローサラント」は、単なる食の提供ではなく、来店する理由そのものを創出するビジネスモデルです。アメリカの成功事例に学びつつ、日本の小売業界にもその波が訪れつつあります。 今後の食品スーパーのあり方、顧客体験の設計、そして「食の価値」を再定義するヒントとして、「グローサラント」は要注目のキーワードとなるでしょう。当サイトでも引き続き注目していきます。

当時は、店内にレストラン品質のイートインを設ける「売場体験の高度化」が主眼でしたが、現在は、その段階を超えフードサービスが売上の約1割を占める事業の中核へと成長している点が大きく異なります。

さらに重要なのが、デジタル化との融合で、消費者の66%がオンラインメニューを重視し、62%が事前注文、58%が店内受取拠点、53%が宅配対応を求めているというデータも出ています。

つまり、フードサービスは単なる店内体験ではなく、オムニチャネルで提供される食事サービスへと進化しており、今後食材を売る業態から食事を提供する業態に転換することに成功した食品スーパーが生き残る時代になりそうです。

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