ターゲット業績苦戦続く 13四半期連続で伸び悩み

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ディスカウント小売大手ターゲット(Target)は、2026年3月、2025年度第4四半期(11~1月)の決算を発表しました。利益は市場予想を上回ったものの、売上高および既存店売上は前年を下回り、同社の業績停滞が改めて浮き彫りとなりました。

第4四半期の売上高は約305億ドルで前年同期比1.5%減既存店売上高は2.5%減となりました。店舗売上が3.9%減少した一方、デジタル売上は1.9%増加しましたが、全体を押し上げるには至りませんでした。通期でも売上は前年比約1.7%減と低調でした。

今回の結果で、ターゲットは実に13四半期連続売上低迷という結果になりました。

背景にあるのは、米国消費者の購買行動の変化で、インフレ環境の中で消費者は支出を慎重にし、衣料品や家庭用品などの裁量消費を減らし、食品や日用品といった生活必需品へ支出を集中させています。ターゲットはもともと衣料やホーム商品など「デザイン性の高い裁量商品」が強みでしたが、こうした分野の需要低迷が直撃しています。

さらに競争環境も厳しさを増しており、最大のライバルであるウォルマート(Walmart)は、食品を中心とした価格競争力と強力なEC戦略で顧客を獲得し、既存店売上を伸ばしています。一方、衣料・家庭用品分野では、TJマックス(T.J.Maxx)やマーシャルズ(Marshalls)などのオフプライス業態がシェアを拡大しています。

結果として、ターゲットは食料品ではウォルマートに、衣料品ではオフプライス勢に挟まれる形になっており、市場におけるポジショニングがあいまいになっています。

2025年9月のメールマガジン「ウォルマートとターゲットの業績比較・両社の明暗を分ける戦略とは?」にて、ターゲットとウォルマートの比較を行っていますので参考にしてください。

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アメリカを代表する食品小売りの巨頭、ウォルマート(Walmart)とターゲット(Target)。「ディスカウント・ストア(DS-Discount Store)」の象徴として成長を遂げた両社ですが、近年は業績に大きな差が生まれています。 今回は、過去5年間の業績推移をデータで比較し、両社の明暗を分けた要因と今後の展望を解説します。 ディスカウントストアの象徴としての歩み ウォルマートの強み:低価格戦略(EDLP) ウォルマートは創業以来「EDLP(Everyday Low Price:毎日低価格)」を掲げ、低価格商品の象徴とされてきました。特に2020年以降のインフレ期においては、利便性・時間価値と価格価値を強化し続けています。 2024年5月に「ウォルマート富裕層取り込んで好調」でもご紹介しましたが、パンデミック(新型コロナウイルス)と高インフレという環境下において、消費者の特定の小売企業へのロイヤルティの低下という現象が起き、それまでウォルマートに見向きもしなかった年収10万ドル以上の富裕層の実に75%が、このインフレ下でウォルマートでの買い物をしたというデータが報告されました。 現在では、新規顧客の4割強が年収10万ドル以上の富裕層というデータもあり、完全にディスカウント・ストアという枠から脱出したと言えます。 ターゲットの強み:Cheap Chic戦略 一方、ターゲットも創業以来「Cheap Chic~安くておしゃれ」という企業イメージで成長してきました。 2025年4月に「ターゲット(Target)が新たなPB商品を発表」でもご紹介しましたが、自社ブランドの強化を進め、価格・品質だけでなくデザイン性にもこだわることで、高所得者層からの支持を高めています。 また、2025年4月に発表されたケイト・スペード(Kate Spade)とのコラボ・コレクションのKate Spade × Targetは、ターゲットにとって限定コラボ商品の中でも売上・注目ともに非常に成功したものと報じられており、これが「デザイナーズ・ブランド」とのコラボを好む消費者、あるいは「ファッション性+価格」を求める層(中〜高所得層)を惹きつけていると分析されています。 Point:両社のブランド戦略の違い ウォルマート:低価格と生活必需品を中心に幅広い消費者層を取り込む ターゲット:ブランド性・デザイン性に特化し、中間層・若年層を中心に支持を得る 過去5年間における業績比較 このようにアメリカを代表する小売企業として認知されている両社ですが、最も重要な業績という面ではかなり明暗が分かれます。 特に、この5年間の業績を見てみると、両社の明暗は鮮明で、ウォルマートは食料品ドミナンス+EC加速+広告事業の3拍子で着実に増収・増益を達成しているのに対し、ターゲットは2022年の在庫過多からの大幅値引き対応を起点に、収益の増減が続き、2025年までその状況は続いています。 年度別売上高の推移(2021年〜2025年) ウォルマートは着実な成長を維持し続け、5年間で22%の増収を記録しました。一方ターゲットは2021年度に大きな成長を見せたものの、2022年度以降は売上が停滞し、成長が鈍化していることがわかります。 年度ウォルマート(Walmart)ターゲット(Target)2021年5,591億ドル(△6.7%)1,060億ドル(△35.7%)2022年5,728億ドル(△2.4%)1,091億ドル(△3.0%)2023年6,113億ドル(△6.7%)1,074億ドル(▲1.6%)2024年6,481億ドル(△6.0%)1,066億ドル(▲0.8%)2025年6,809億ドル(△5.1%)1,056億ドル(▲0.6%) 推定値 年度別営業利益の推移(2021年〜2025年) ウォルマートは2023年度に一時的な減益となったものの、その後は大幅に回復し、2025年度には過去最高水準に近い利益を計上しました。一方ターゲットは2022年度をピークに利益が大きく落ち込み、2024年度以降でようやく回復の兆しを見せていたものの、2025年は再び減少に転じています。 年度ウォルマート(Walmartターゲット(Target)2021年225億ドル(△9.3%)65億ドル(△39%)2022年259億ドル(△15%)89億ドル(△37%)2023年204億ドル(▲21%)38億ドル(▲57%)2024年270億ドル(△32%)57億ドル(△48%)2025年293億ドル(△8.7%)56億ドル(▲2.5%) 両社の明暗を分けている要因 ターゲットの最大の特徴は、この不安定な業績を繰り返すことで、その大きな要因の一つが、ウォルマートが日用必需品である食料品に軸足を置いているのに対し、ターゲットは未だに独自ブランドやデザインコラボ等による衣料・ホーム等の裁量品の比重が依然として高く、景気やトレンドの影響を受けやすいという企業体質があります。 ファッションコラボによる成功と失敗の両刃の剣 2011年、ターゲットはイタリアのファッションブランド「ミッソーニ(Missoni)」とコラボしましたが、発売当日にアクセスが集中し、オンラインストアの利用が一時的に困難となりました。全米の実店舗でも即日完売となり、「ターゲット=ファッションに強い」というイメージを高め、同社の差別化戦略の柱となりました。 この瞬間的な大ヒットが在庫の枯渇を招き機会を損失した反省を踏まえ、2019年に再度ミッソーニとのコラボ商品を展開しましたが、当初期待したほど販売は伸びず、逆に在庫を抱える結果となりました。当たれば業績拡大、外れれば収益悪化という両刃の剣という状況が長年続いていることが不安定な業績につながっているといえます。これは、前述のケイト・スペードとのコラボも同様です。 ウォルマートの安定志向 一方、ウォルマートも「George」「Time and Tru」など自社衣料ブランドを持っていますが、デザイナーコラボには依存していません。低価格と安定供給を重視することで、ヒットや失敗による業績の振れ幅を小さく抑えており、業績への影響も限定的です。 なお、両社の売り上げ全体における食料品の比率ですが、アメリカのグロサリー業界の専門サイト大手のグロサリー・ダイブ(Grocery Dive)のデータによると、ウォルマートが約60%なのに対しターゲットは20~22%ということです。 ターゲットの課題と今後の展開 ターゲットは裁量品依存からの脱却と食料品強化が急務で、今後の動向に注目です。 2025年6月に「ターゲットが大型店舗強化」でもご紹介しましたが、同社は大型店舗の出店を拡大しており、これは食品・飲料強化の重要な布石になっています。この記事内で特にテキサス州での取り組みについてご紹介しましたが、今後10年間で300店舗以上の大型店舗出店を予定しており、2030年までに150億ドル超の売上増を目指すと発表しています。 まとめ ウォルマートが安定した必需品戦略で成長を続ける一方、ターゲットは「Cheap Chic」戦略の強みを活かしながらも、景気やトレンドに左右されやすい体質を改善する必要があります。今後も両社の戦略と業績の行方に注目していきたいところです。

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