2025年3月配信の弊社メールマガジン「発表! アメリカ小売業顧客満足度ランキング 2025」にて、アメリカの様々な業界における消費者満足度の測定と分析を行っている組織であるACSI LLC(American Customer Satisfaction Index LLC)による、アメリカの小売業・スーパーマーケット部門における顧客満足度調査結果をご報告しました。このたび、その2026年最新版のランキングが発表されました。
顧客満足度調査(ACSI)とは
改めて、この顧客満足度調査(ACSI)とは、25年以上にわたり重要な経済指標として活用されているもので、年間約20万人の顧客へのインタビューから得たデータに基づいています。400以上の企業や政府機関等を対象に行われているもので、協力した全ての顧客によるACSIスコア(0~100点満点)を集計したものです。
ACSIスコア18の評価カテゴリー
スコアは次の18の評価カテゴリーの平均スコアをまとめたものとなっており、2026年版ACSIでも調査方法やスコア算出ロジックに大きな変更はなく、前年までの方法論が踏襲されていますが、配送品質や返品容易性などの体験指標が補足的に加わり、評価視点の拡張がみられます。
| 店舗営業時間の利便性 | 店舗立地の利便性 | 店舗レイアウトと清潔さ |
| 取扱商品の多様性と品揃え | 精肉や農産物の新鮮さ | 薬局サービスの質 |
| スタッフの礼儀正しさと親切さ | ブランド力 | ウェブサイトの満足度 |
| オンライン注文品の受け取り手続きの簡素さ | オンライン注文品の正確さ | オンライン注文品受け取りのスピード |
| モバイルアプリの品質 | モバイルアプリの信頼性 | セールやプロモーションの頻度 |
| 商品在庫 | チェックアウトプロセスのスピード | コールセンターの満足度 |
ACSI主要スーパー・食料品店顧客満足度
小売業では、百貨店などの総合小売業、オンライン小売業、スポーツ用品等の専門小売業からガソリンスタンド等6種類のカテゴリー毎にランキングが発表されております。以下が最新2026年度版のスーパーマーケット部門のACSIランキングとなります。
2026年度版 ACSIスーパーマーケット部門ランキング
| 順位 | 企業名 | 2026年スコア | 2025年スコア | スコア増減 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s) | 86 | 84 | +2 |
| 2 | パブリクス(Publix) | 84 | 84 | ― |
| 3 | エイチ・イー・バット(H-E-B) | 83 | 82 | +1 |
| 4 | サムズ・クラブ(Sam’s Club) | 82 | 83 | -1 |
| 5 | アルディ(Aldi) | 81 | 81 | ― |
| 6 | コストコ(Costco) | 81 | 81 | ― |
| 7 | ホールフーズ(Whole Foods) | 81 | 82 | -1 |
| 8 | ショップライト(Shoprite) | 79 | 80 | -1 |
| 9 | ターゲット(Target) | 79 | 80 | -1 |
| 10 | アホールド・デレーズ(Ahold Delhaize) | 78 | 78 | ― |
ランキング分析
初の総合1位 、トレーダー・ジョーズ
今回の結果における最大の特徴は、トレーダー・ジョーズ(TRADER JOE’S)が86ポイントで初の総合1位に躍進したことです。
全米展開拡大中で運営負担が増す中でも、サービスの一貫性が維持された点が評価され、前年から2ポイントアップと堅調な顧客満足度結果となり、パブリクスを追い抜きました。一般的に店舗数拡大は、オペレーションや人材のばらつきを生み、満足度を損ねやすいというリスクも孕んでいる中で、同社は、限定的な品揃え(選びやすさ)、PB中心の“価格以上の価値”訴求、店内の発見性(トレンド商品/季節商品)に加え、スタッフ応対を含む店舗体験の“均質性”が強みとなり、今回の結果に結びついたようです。
評価軸はデジタル体験へ
2位のパブリクス(Publix)は昨年と同スコアを維持したものの、トレーダー・ジョーズの改善速度が上回った形となりました。
3位のエイチ・イー・バット(H-E-B)は根強い支持を背景に1ポイントアップと安定した顧客満足度結果となっており、今回特に従来の地域密着に加え、品ぞろえの改善が支持されたということです。
全体として業界スコアは大きくは変動せず、上位企業の安定性と中下位の停滞という構図が続いている一方で、モバイルアプリ品質やピックアップ利便性、在庫精度など、オムニチャネル関連の体験指標が改善し、評価の重心がデジタル接点へ移行しているのが2026年の結果における全体像で、その結果、価格競争力よりも一貫した顧客体験を提供できる企業が高評価を得る傾向がより明確になったようです。
価格軸と体験軸
なお、業績・売上で常にトップを走るウォルマート(Walmart)は、このACSI顧客満足度調査において2024年は74ポイントで最下位、2025、2026年は75ポイントと下位のままです。
売上規模で全米首位を維持するウォルマートは、圧倒的な低価格と店舗網によって広範な支持を獲得している一方、ACSIのように顧客体験全体を評価する指標では上位に入りにくい構造にあるということです。小型店で発見性や楽しさを高めるトレーダー・ジョーズ、接客品質と生鮮力で信頼を築くパブリクスと比べると、ウォルマートは実用性と価格価値を優先するモデルであることが満足度スコアに反映されています。
つまり、売上最大化を実現する「規模と価格」の競争軸と、顧客満足を高める「体験品質」の競争軸は必ずしも一致せず、アメリカの食品小売における戦略の多様性を示す結果となりました。