2024年2月の弊社トレンドピックアップ「アメリカ人が好むグロサリーストアランキング2024」にて、英国を拠点に顧客データ分析によるマーケティングサポートを行っている”グローバル企業ダンハンビー(Dunnhumby)社”が独自の指標であるRetailers Preference Index(RPI)からまとめた企業ランキングをご報告しました。このランキングは同社が例年公開している定点調査で、年ごとの“支持される理由”の変化が読み取れます。
今回は、2026年版の最新ランキングをご紹介したいと思います。
ダンハンビー社算出の”RPI指標”
RPI(Retailer Preference Index)指標は、ダンハンビー(Dunnhumby)社が開発した、小売業者に対する消費者の「好意度」や「ロイヤルティ(継続利用意向)」を測定する指標です。
この指標は、主にグロサリーストア(食料品店)を対象にしていて、消費者への意識調査だけでなく、売上成長や市場シェア、財務・業績データ等の企業パフォーマンス関連データ等を包括的に組み合わせているのが特徴です。
単なる人気ランキングに留まらず、対象の食品小売企業の「選ばれる理由」と「競争力」を同時に示す指標として高く評価されています。
2026年最新ランキング
2026Dunnhumby Retailer Preference Index(RPI)
| 順位 | 企業名 | 概要 | 2024年 順位 |
|---|---|---|---|
| 1 | エイチ・イー・バット(H-E-B) | 9回中5回の1位。価格・品質・体験の総合力 | 1 |
| 2 | マーケット・バスケット(Market Basket) | 低価格と企業文化が引き続き高評価 | 4 |
| 3 | ウッドマンズ(Woodman’s) | 初のトップ3入り。品質と価格の両立 | ― |
| 4 | コストコ(Costco) | 会員制モデルの安定感 | 3 |
| 5 | アルディ(Aldi) | 低価格・PB中心モデル | 7 |
| 6 | ウィンコ・フーズ(WinCo Foods) | EDLP(常時低価格)戦略 | ― |
| 7 | トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s) | PB中心と高品質のバランス | ― |
| 8 | アマゾン(Amazon) | 利便性は高評価も総合では後退 | 2 |
| 9 | ウェグマンズ(Wegmans) | 高品質・体験型SM | 6 |
| 10 | ショップライト(Shoprite) | 地域密着と販促力 | 8 |
価格・品質・顧客体験で選ばれたトップ3
2026年ランキング最大の特徴
今回の調査結果の最大の特徴は、トップ3がいずれも地域密着型のリージョナルSMチェーンにより構成されている点です。上位3社の共通点として、以下の3つの特徴が示されています。
- 地域の生活水準・嗜好を踏まえた価格設計「納得感のある価格」
- PB(自社ブランド)とNB(メーカー品)を最適に組み合わせた「品質重視の品揃え」
- セール内容が一目で伝わり、信頼が生む「安心して買える」プロモーション
2024年版では「価格」「利便性」「デジタル」が並列で高く評価されていましたが、2026年版では「節約できる実感」と「品質」を同時に満たす企業が上位に入り、企業の規模や話題性より、日常的に使い続けたい店かどうかが評価されているのが特徴です。
ランキング上位企業(1位~3位)
今回トップのエイチ・イー・バット(H-E-B)(テキサス州)については、すでに何度もご紹介しており、前回のメールマガジン「顧客体験は次の段階へ」でも取り上げたばかりです。
2位のマーケット・バスケット(Market Basket)(マサチューセッツ州)については、コロナ禍真っただ中の2022年のメールマガジン「2022年アメリカのインフレ下で信頼される小売企業」でご紹介しました。
顧客だけでなく従業員や取引先を重視し、金儲けより‘人’が大切だという経営方針で、奇跡のスーパーマーケットと呼ばれている人気リージョナルSMです。
初のランクインでトップ3入りを果たしたのが、日本ではあまり馴染みが無い、ウッドマンズ(Woodman’s)(ウィスコンシン州)について、企業概要と今回のランクインの要因について簡単にご紹介します。
初のトップ3入り 「ウッドマンズ(Woodman’s)」とは?
ウッドマンズ・フード・マーケッツ(Woodman’s Food Markets)は、ウィスコンシン州ジャネスビルに本拠を置く地域密着型のスーパーマーケットチェーンで、1919年創業の歴史を持つ企業です。従業員所有(ESOP)形態で運営され、ウィスコンシン州と北イリノイ州に約20店舗を展開しています。
店舗は平均約230,000平方フィート(約21,400㎡)と大型で、豊富な品揃えとリーズナブルな価格設定が最大の特徴で、生鮮食品から一般食品、酒類、洗車場併設ガソリンスタンドなどの付帯サービスまで幅広い商品・サービスを提供しています。多くの店舗が24時間営業で、地域の“日常の買い物基点”として機能しています。従業員所有のメリットとして、現場視点の顧客対応力やサービス品質の高さが評価されています。
ウッドマンズ躍進の理由
ウッドマンズは、地域内での競争優位性を築きつつ、大規模な商品バリエーションと低価格戦略で顧客満足度を高めています。
このような価値が、2026年版RPIにおいて 総合評価の高い「価格・品質・顧客体験」要素に合致し、上位ランクインにつながりました。特に「価格実感」と「品揃えの幅広さ」、24時間対応など 消費者の“日常使い価値”への訴求力が評価されたことが主因です。
2026年版RPIが示す小売業の新潮流
2026年版RPIでは、価格と品質を両立し、生活者に「使い続けたいと思わせる店舗づくり」こそが持続的な競争力につながるということが明確になりました。
今後も引き続き、様々な調査結果を通して海外の最新小売り情報をお届けします。