Amazon、10月に「Prime Big Deal Days 2025」開催へ 米小売業界で年末商戦が前倒し

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Amazon、10月7日から2日間の大型セール開催へ

アマゾン(Amazon)は2025年10月7日から8日にかけて、プライム会員向けの大型セール「Prime Big Deal Days 2025」を開催します。テクノロジー、ファッション、家庭用品など数千の商品が割引対象となり、米国をはじめとする消費者にとっては年末商戦の序盤を彩る大規模なイベントとなります。(なお、日本国内では、2025年10月7日から10日にかけて「Amazon プライム感謝祭 2025」が開催されます。)

近年は秋口に大型セールを行うことが定着しつつあります。このセールは、ブラックフライデーサイバーマンデーに先駆けて実施されるもので、消費者にとってはホリデーシーズンの買い物を早く始める絶好のタイミングとなっています。

米小売業界、Amazonに追随して秋から割引競争

ウォルマート(Walmart)ターゲット(Target)、ベストバイ(Best Buy)といったアメリカの大手小売企業も、例年この時期に合わせて対抗セールを実施しています。各社謂わば「ブラックフライデー前のディスカウント合戦」が始まると見られます。

結果、米小売業界では年末商戦が10月から本格化する流れが定着しており、消費者は複数の小売セールを比較して購入先を選ぶ傾向が強まっています。

各社の秋季セール名一例

小売業者 セール名 開催日 対象者 主な特徴・対象商品
Amazon Prime Big Deal Days 2025 2025年10月7日〜8日 Amazon Prime会員限定 テクノロジー、ファッション、家庭用品など数千点が対象。
Appleなどの人気ブランドもセール対象。
Target Target Circle Week 2025年10月5日〜11日 Target Circleメンバー限定 ファッション、家庭用品、家電などが対象。会員限定の割引や特典が多数。
Best Buy 48-Hour Flash Sale 2025年9月27日〜28日 一般消費者 テクノロジー製品(ノートPC、ヘッドフォン、小型家電など)が対象。
Best Buy Member Deals Days 2025年9月28日〜10月5日 My Best Buy Plus/Total会員限定 最新テクノロジー製品が対象。会員限定の割引や特典が多数。

出典
Amazon announces Prime Big Deal Days 2025 dates
Target Brings Holiday Magic and Style with 20,000 New Items, Thousands of Gifts Starting at $5 and Expanded Next-Day Delivery to Millions More Shoppers
Best Buy unveils what’s ahead for customers this holiday season

インフレ下で“値引き頼み”、セール狙いが常態化

2025年のアメリカ経済はインフレ高金利が続いており、消費者は日常的に節約を意識しています。その一方で「Amazon Primeセール」「ブラックフライデーセール」のような大規模イベントでは、まとめ買いや高額商品の購入が増える傾向にあります。

調査会社Salesforceの予測では、2025年11月1日から12月31日までの米国オンライン売上高は、前年同期比2.1%増の2,880億ドルにとどまる見込みです。これは、生活費の上昇と消費者の支出意欲の低下が影響しており、消費者が必需品を優先し、割引を求める傾向が強まっていることが示されています。また、AIによる製品推薦やエージェント支援型のショッピングが、全体のオンライン売上の18%に相当する510億ドルを牽引すると予測されています。これらの技術は、消費者の購買意欲を高め、売上に大きく寄与しています。

競争の焦点は「価格・配送・店舗網」

流通小売の競争は、もはや価格だけでは決まりません。Amazonは自社の物流ネットワークを強化し、即日や翌日配送を可能にすることで利便性を高めています。これに対し、ウォルマートやターゲットは全米に張り巡らせた店舗網を活用し、オンライン注文を店舗で受け取れる「BOPIS(Buy Online, Pick Up In Store)」や即日配送サービスで差別化を図っています。小売業界の競争は「セール価格」「配送スピード」「店舗網」という三つの要素の総合力で勝敗が決まる局面に入りつつあります。

消費者はメリット、小売は利益圧迫のリスク

今回のようなAmazonのセールは消費者にとっては確実にお得感をもたらします。しかし、ウォルマートやターゲットなどの小売業者にとっては、利益率を削るリスクが拡大しています。物流コストや人件費の上昇に直面するなかで、過度な値引きは持続可能性を損なう可能性が高いといえます。

このような構造は「値引きでしか売れない」という消費習慣を市場全体に根付かせる懸念を含んでいます。特にインフレ下で購買力が落ちているいま、小売各社は利益とシェアのバランスをいかにとるかという難しい舵取りを迫られています。年末商戦の成果は、Amazonの影響力の大きさと、競合各社の対応力を評価する重要なデータポイントになるでしょう。

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