
米国の大手オーガニックスーパーであるホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)は、2025年、2つの軸で出店攻勢を強めています。ニューヨークでは小型フォーマット「Daily Shop」を相次ぎ出店、シカゴ都市圏、ダラス近郊ではフルラインの大型店の拡大を進めています。
当社、トレンドピックアップでも幾度か取り上げた、地元密着の品揃えとクイックニーズの取り込みを両立するホールフーズ・マーケットの最新動向をまとめます。
小型フォーマット(Whole Foods Market Daily Shop)の出店計画が加速

Whole Foods Market Daily Shopとは?
「Whole Foods Market Daily Shop」は、Amazon傘下のWhole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)が展開する小規模店舗のフォーマットです。都心の利便性と地元志向を両立しています。品揃えは地元産品を中心に約400品目と豊富で、ジュースバー、コーヒー、紅茶、スムージー、サンドイッチ、デザートなどのファストフード・ドリンクも提供します。
- コンパクトな店舗サイズ:通常のWhole Foods店舗の約1/4~1/2の広さ(約650~1,300平方メートル)で、都市部の限られたスペースにも対応。
- 厳選された商品ラインナップ:新鮮な農産物、肉、魚介類、パン、アルコール、サプリメント、自社ブランド「365 by Whole Foods Market」など、日常の必需品を取り揃えています。
- 利便性の高いサービス:Grab-and-Goの惣菜やスナック、週替わりの必需品、食事の材料など、忙しい日常に対応した商品を提供。
- 地域密着型の品揃え:地元の100以上のサプライヤーから400以上のローカル商品を取り扱い、地域コミュニティとのつながりを重視。
- 新しいサービスの導入:ニューヨーク市内の店舗では、コーヒー、紅茶、フレッシュジュース、スムージー、サンドイッチ、スープ、デザートなどを提供する「Juice & Java」も展開。
コロナ前に一時的に展開していた小型フォーマット店舗を、改めて2024年の秋から(1号店:アッパーイーストサイド3番街1175番地)としてオープン、さらに今後、ニューヨーク市内5店舗をオープンする予定を発表しています。
Whole Foods Market Daily Shopの店舗紹介
■1号店 (アッパー イーストサイド/1175 3rd Ave.)
2024年9月OPEN。店舗は約850㎡の広さで、今後NY市内にオープン予定の5店舗のうちの1号店。営業時間は毎日7:00~22:00。
■2号店 (イーストビレッジ/409 East 14th Street)
2025年5月、計画が前倒しされ「2号店」としてOPEN。店舗の広さは約930㎡(約10,000平方フィート)。営業時間は毎日7:00~22:00。
■3号店 (ヘルズ・キッチン地区/301 West 50th Street)
2025年6月にマンハッタン中心部のヘルズ・キッチン地区にOPEN。約790㎡の店舗で、営業時間は毎日07:00 ~ 22:00。
今後の展開
ホールフーズ・マーケットは、小型フォーマット店舗をニューヨークに続き、ニュージャージー州ホーボーケン(Hoboken)、ブルックリンのウィリアムズバーグ(Williamsburg)をはじめ、ワシントンDC・バージニア州クリスタルシティ等での出店を計画しています。小型フォーマット店舗戦略の加速は、海外小売業界や日本国内での都市型小型店舗ビジネス展開を検討する企業にとっても、今後の動向が大いに注目されます。
フルラインの大型店を拡大(シカゴ近郊・ダラス郊外)
シカゴエリアでの出店を強化
ホールフーズ(Whole Foods Market)の新店舗が、2025年6月にイリノイ州シカゴ郊外のセント・チャールズにOPENしました。約3,400㎡の店舗で、毎日08:00~22:00の営業となります。ホールフーズはシカゴエリアでの出店を強化しており、都市別店舗数の順位は多い順に、ニューヨーク、シカゴ、ヒューストン(全米店舗数のうち、州別ではCA・TX・FLが多い)とされ、シカゴ圏での拡大が続いています。
ダラス郊外に新店舗オープン
2025年8月には、新店舗をダラス郊外(北に約60キロ)のマッキニー(McKinney)にオープンしました。マッキニーの複合開発「West Grove」のアンカーテナントで、店舗サイズは約4,450㎡です。この店舗でダラス・フォートワース(DFW)地域15店舗目となりました。
テキサス州および周辺州のローカル商品を600品目以上調達し、オーガニックを中心に地元農産品を数多く取り扱い、ワイン530種、クラフトビール250種、ホット&サラダバー、ピザ、スープ、寿司バー等もあります。また、アマゾンのダッシュカートを北テキサスの店舗で初めて導入しており、手のひら支払いのアマゾン・ワン決済も導入している注目店舗です。
まとめ
ホールフーズ・マーケットの新フォーマット小型店舗の拡大と、都市郊外での大型店舗の展開は今後も続くと思われます。ほかにも、イギリス(英国)の首都ロンドンに11年ぶりに新店舗をオープンなど話題が尽きません。2017年6月にアマゾンがホールフーズ・マーケット(WFM)の買収を発表してから、8年が過ぎました。伝統的店舗とレジレス店舗と2つのベクトルを持ったアマゾンの店舗戦略の中での立ち位置や、オンライン食品販売の拡大の視点でもその動向に注目し、今後のトレンドピックアップで取り上げていきたいと思います。