
昨年、2024年10月の弊社トレンドピックアップ記事「発表!アメリカ(米国) 調理済み食品 売上ランキング」にて、アメリカ(米国)国内の食品小売企業における、1店舗あたりの「調理済み食品/prepared foods」の平均売上高をまとめたランキングをご紹介しました。今回、2025年8月12日に2025年版として最新の調査結果が発表されましたので改めてご紹介いたします。
アメリカ調理済み食品売上ランキングTOP10
このランキングは、アメリカのスーパーマーケット業界誌最大手のスーパーマーケット・ニュース(Supermarket News)社の傘下企業で、50年以上にわたり世界中の食品サービス業界に関する調査およびコンサルティングを行っているテクノミック(Technomic)社が集計したものです。まずは、トップ10ランキングをご紹介いたします。
順位 | 企業名 |
2024年
店舗数
|
店舗平均
売上
|
---|---|---|---|
1 | ホールフーズ・マーケット (Whole Foods Market) | 521 | 427万ドル |
2 | ミツワ・マーケットプレイス (Mitsuwa Marketplace) | 12 | 424万ドル |
3 | Hマート (H Mart) | 83 | 420万ドル |
4 | コワルスキー・マーケット (Kowalski’s Markets) | 11 | 410万ドル |
5 | シーフード・シティ (Seafood City) | 32 | 401万ドル |
6 | ブリストル・ファーム (Bristol Farms) | 13 | 388万ドル |
7 | エルーワン (Erewhon Market) | 10 | 383万ドル |
8 | PCCコミュニティ・マーケット (PCC Community Markets) | 15 | 372万ドル |
9 | ウェグマンズ (Wegmans) | 112 | 363万ドル |
10 | エイチ・イー・バット (H-E-B) | 382 | 300万ドル |
2024年版はこちらからご覧いただけます。
アメリカ調理済み食品売上ランキングTOP10(2024年版)
エルーワンが7位にランクアップ
昨年の結果と比較すると、トップ10社の顔触れはそのままです。特に上位5社については順位の変動はありませんでした。
トップ10内で一番目立った変化は、昨年9位の高級SMチェーンのエルーワンが7位に順位を上げたことです。高価格帯のスムージーやウェルネス系総菜が人気で、SNSでの拡散力が人気をけん引しました。特に、モデルでスキンケアブランド「ロード・スキン」の創始者でもあるヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)とコラボで作ったスムージー「Strawberry Skin Glaze」は月間40,000杯以上を売り上げる大ヒットとなり、企業のメディア価値(EMV)もこの1年間で65%も上昇しました。
また、店舗に来ること自体がインスタ映えする体験として機能し、単なる買い物以上の付加価値を提供することに成功しているとフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)でも特集されるなど、店舗を超えた体験が今回のランクアップに寄与したようです。
ランキング11位以下の主な企業
下記は11位以下の主要企業のランキングとなります。
順位 | 企業名 |
2024年
店舗数
|
店舗平均
売上
|
---|---|---|---|
11 | ゲルソンズ (Gelson’s) | 28 | 297万ドル |
15 | ステュー・レオナルド (Stew Leonard’s) | 8 | 271万ドル |
17 | ハイヴィ (Hy-Vee Supermarkets) | 297 | 253万ドル |
21 | デチーコ&サンズ (DeCicco & Sons) | 11 | 230万ドル |
28 | アンクル・ジュゼッペ (Uncle Giuseppe’s Marketplace) | 11 | *** |
34 | アンジェロ・カプート (Angelo Caputo’s Fresh Markets) | 10 | *** |
39 | ハリス・ティーター (Harris Teeter) | 260 | *** |
41 | パブリクス (Publix) | 1390 | *** |
2024年版はこちらからご覧いただけます。
ランキング11位以下の主な企業(2024年版)
全体を通して昨年と比較すると、店内自社ブランドのレストランの重要性が増してきており、H-E-Bの「True Texas BBQ」、ウェグマンズの「The Burger Bar」やハイヴィの「Market Grille」等の本格レストランにも匹敵するクオリティの店内レストランが店舗動員の大きな要因となってきたことが挙げられます。
欧州系・ヒスパニック系チェーンがランキング上昇
また、欧州系、ヒスパニック系のチェーンがランクアップ、もしくは新たにランクインするなど国際色が豊かになったことも大きな変化と言えるようです。例として2社をご紹介します。
28位:アンクル・ジュゼッペ (Uncle Giuseppe’s Marketplace)
昨年のランク外からいきなりランクインしました。ニューヨーク、ニュージャージーで11店舗を展開しているイタリア系のチェーンで、イタリアンデリ、パスタ、ベーカリーなどに強みがあり、店舗内でカンツオーネが流れる独特の買い物体験を提供して人気となっています。
34位:アンジェロ・カプート (Angelo Caputo’s Fresh Markets)
昨年の37位からランクアップしました。シカゴを中心に10店舗を展開するイタリア系チェーンで、ピザ、サンドイッチ、ホットフードバーなどが充実しています。
今後の市場における多国籍化の波は続くとみられており、引き続き注目して行きたいと思います。