米国小売業 CSランキング

アメリカを代表する週刊誌ニューズウィーク(Newsweek)誌が、カスタマーサービスに関するランキングを発表しました。このランキングは、ドイツを拠点とする市場調査最大手のスタティスタ(Statista)社と共同で行ったアメリカの小売りおよびサービス提供企業16業種656社を対象に行ったものです。

過去3年以内に該当企業から商品の購入あるいはサービスの提供を受けたことのある消費者約30,000人を対象に、実際に受けたカスタマーサービスに対する評価を集計し、10点満点で数値化したものです。

主なカスタマーサービスの具体的な評価内容は以下の通りです。

〇コミュニケーションの品質
対面、電話、eメール等での対応が友好的であったか

〇プロフェッショナルな対応力
商品やサービスの内容等についての問い合わせや質問への正確で具体的な案内あるいは回答を、スピーディに受けることができたか

〇サービスの範囲の広さ
期待していたサービスを幅広い範囲で受けることができたか

〇顧客の立場に立ったサービス
重要な顧客として受け入れられていると感じたか

〇アクセシビリティ
期待するサービスを簡単に分かりやすく受けることができたか

調査の対象となったのは実店舗のみ、実店舗+オンライン、オンラインのみなど広範囲な企業が含まれており、16業種それぞれにおいてトップ3あるいはトップ5の企業が発表されました。 

以下スーパーマーケット部門の上位5社およびその他主な業種のランキングです。

◆スーパーマーケット部門

順位

企業名

スコア(10点満点)

1

パブリクス(Publix

9.09

2

ウェグマンズ(Wegmans

8.91

3

スプラウツ・ファーマーズ・マーケット

Sprouts Farmers Market

8.80

4

フレッシュ・マーケット(The Fresh Market

8.65

5

ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Markets

8.57

パブリクスは今回で6年連続スーパーマーケット部門のトップとなったということで、1930年に1号店をオープンしてから92年間常にお客様第一主義を徹底しており、顧客が購入した商品を駐車場まで運ぶなど徹底したサービスは有名です。

ちなみに、同じくニューズウィーク誌が今年の5月に発表した更に広範囲な視点から、アメリカの代表的な小売企業を評価し、アメリカの最高の小売企業(America’s Best Retailers)をランキングした際にも、スーパーマーケット部門のトップ2はウェグマンズとパブリクスでした。 
こちらのランキングでは、カスタマーサービスの他に、商品の質、
店内の雰囲気、店内のレイアウトとアクセスのし易さといった項目で採点したものでした。

参考までにその時のトップ5とスコア(100点満点)は以下の通りです。

順位

企業名

スコア(100点満点)

1

ウェグマンズ(Wegmans

92.25

2

パブリクス(Publix

91.67

3

ハープス・フードストア(Harps Food Stores

89.62

4

スプラウツ・ファーマーズ・マーケット(Sprouts Farmers Market

88.38

5

ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Markets

87.67

様々なランキングでいずれもリージョナルチェーンでありながら、常にトップ争いをするウェグマンズとパブリクスにこれからも注目していきたいと思います。

スーパーマーケット部門以外の主なジャンルの上位企業は以下の通りです。

◆百貨店

順位

企業名

スコア(10点満点)

1

フォン・マウアー(Von Maur

9.22

2

ノードストロム(Nordstrom

8.96

3

ニーマン・マーカス(Neiman Marcus

8.90

4

ブルーミングデールズ(Bloomingdale’s

8.78

5

ボスコフス(Boscov’s

8.75

1位と5位に全国展開していない比較的ローカルな店舗がランクインしましたが、昨年はノードストロムがトップで、フォン・マウアーはランク外からのトップに選ばれました。

フォン・マウアーはアイオワ州を拠点とするアップスケール百貨店チェーンで、15州で36店舗を展開してますが、営業時間内のピアノの生演奏サービスで知られており、ギフトラッピングや購入品の無料配送などの顧客サービスが高く評価されました。

◆スーパーストア&倉庫型店舗

順位

企業名

スコア(10点満点)

1

コストコ(Costco

8.78

2

ターゲット(Target

8.39

3

B’Jsホールセール・クラブ(B’Js Wholesale Club

8.38

コストコは昨年に続きこのカテゴリーでトップに選ばれました。

コストコの最大のカスタマーサービスは、他社商品よりも高品質でありながら低価格を実現している同社プライベート・ブランドのカークランド・シグネチャーの商品力によるところも大きいですが、なんと言っても同社の返品対応が高く評価されています。

顧客満足を最優先にしているため、使用済み・開封済みの商品(食品、家電等なんでも)であっても、気に入らない商品はレシートを見せるだけで簡単に返品・返金が可能です。

また、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まると、毎週2日間は60歳以上の顧客を対象に早朝(08:00から)からの買い物を受け入れ、オンライン注文品の短時間配送にも力を入れました。

コストコはその巨大な店舗からより多くの商品を取り扱っているように思われがちです。

しかし、実際はウォルマートが平均142,000個の商品を販売しているのに対し、コストコでは約3,800個の商品を厳選して販売しているように、量よりも質を重視していることも、常に高い評価を得ていると要因と言えます。

他にもディスカウントスーパー部門では、トップはトレーダー・ジョーズ、2位に弊社が以前より注目しているグロサリー・アウトレットが、そして3位にはアルディがランクインしました。

グロサリー・アウトレットについては2020年1月配信のメールマガジン「2020年注目企業!グロサリー・アウトレットや、今年8月のトレンド・ピックアップ「グロサリー・アウトレット好調継続でもご紹介しました。

今後も様々な視点からのランキング等、最新の情報をご報告していきたいと思います。

(2022.9.12配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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変化を続ける英国食品小売企業の勢力図

今回は2019年10月に投稿した「ビッグ4に黄色信号!?英国食品小売企業最新マーケットシェア」以来、約3年ぶりに英国の食品小売の最新状況についてご紹介いたします。

3年前の記事では、ドイツ生まれのハード・ディスカウントチェーン2社「アルディ」と「リドル」の攻勢により、英国食品小売市場にそれまで君臨していた「ビッグ4」と呼ばれる上位4社が軒並みシェアを落としているという内容でした。かつては、ビッグ4の市場シェアは8割を超え、英国食品小売市場は超寡占状態でしたが、3年前の時点のシェアは67.2%まで下がり、その後もアルディとリドルの躍進は続いており、ビッグ4の一角に迫る勢いとなっています。

英国の市場調査会社大手カンター・ワールドパネル(Kanterworldpanel)社が発表した2022年7月10日までの12週間の売上による市場シェアは以下の通りです。

上位4社によるシェアは65.1%まで落ちてきており、更に4位のモリソンズと5位のアルディの差が、3年前は1.8%だったものが今回僅か0.3%にまで縮まりました。

恐らく数か月以内に長年続いてきた英国ビッグ4による市場寡占の構図に終わりが来るものと思われます。

ちなみに10年前のビッグ4による市場シェアは76.5%でした。

当時7位と8位だったアルディとリドルが10年後にコープ、ウェイトローズを抜いて4位と5位に躍進しました。

アルディはイギリス国内にて950店舗以上を展開しておりますが、今年に入りロンドン市内南東部のグリニッジにて同社初のレジ無し店舗ALDI SHOP & GOをオープンしました。 

アルディのモバイルアプリにクレジットカード情報を同期し、店舗入り口ゲートでスキャンすることで入店することができます。そのあとは欲しいものを手に取りそのまま退店することで自動的に精算が終了するものですが、アマゾン、テスコ、セインズベリー等が展開するレジ無し店舗に対抗するもので、デジタルを駆使した最先端のショッピング体験の分野でも力を入れています。

2022年7月の英国の食品小売価格は9.9%のインフレ率を記録しており、2008年に前述のカンター・ワールドパネル社が統計を取り始めてから2番目の高さということです。こうした背景もあり、低価格で高品質な食料品を取り扱うアルディとリドルへの注目の高まりを見せる中で、現在英国人の3人に2人はこの2社のどちらかで買い物をしているということです。

シェアトップのテスコがアルディとリドルに対抗するため、2018年から導入したハード・ディスカウント業態店舗のジャックス(Jack’s)は、13店舗まで出店したものの今年に入って7店舗を閉鎖、6店舗を通常のテスコ店舗に変えたということです。自社ブランド商品を90%以上持ち、長年のディスカウント業態での経験を持つアルディとリドルと同じ土俵で戦うのは無理があったようです。

今後も英国をはじめ欧州の流通事情について、定期的に注目していきたいと思います。

(2022.8.5配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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最新版!2022年米国食品小売企業売上ランキング

2021年6月の弊社メールマガジン「発表!米国食品小売企業売上ランキング2021」で、アメリカ小売業界誌大手プログレッシブ・グローサー(Progressive Grocer)誌が集計したアメリカに店舗を持つ食品および消耗品(food and consumables)を取り扱う小売企業の売上高ランキングを紹介しましたが、最新の2022年度版ランキングが発表されました。

2021年ランキングにおいて、ランクインした企業の売上高合計額は、その前の年から11.6%伸びて2.112兆ドルという記録的な結果でした。今回も断続的なパンデミックによる影響を受けながらも、更に昨年比で約11%売上げが伸び、100社合計の売上高は2.275兆ドルとなりました。

以下最新の売上高トップ20企業と、その他主要企業のランキングです。

順位

企業名

売上高(100 万ドル)

前年数値

伸び率

店舗数

1

ウォルマート(Walmart US)

393,247

369,963

6.29%

4,742

2

アマゾン(Amazon) #ホールフーズ含む

239,150

213,573

11.98%

662

3

コストコ(Costco)

141,398

122,142

15.77%

564

4

クローガー(The Kroger Co)

137,888

132,498

4.07%

2,726

5

ウォルグリーンズ

(Walgreens Boots Alliance)

112,005

107,701

4.00%

8,965

6

ターゲット(Target)

106,005

93,561

13.30%

1,926

7

CVSヘルス(CVS Health)

100,105

91,198

9.77%

9,939

8

サムズ・クラブ(Sam’s Club)

73,556

63,910

15.09%

600

9

アルバートソンズ(Albertsons Cos.)

71,887

69,690

3.15%

2,278

10

アホールド・デレーズ・アメリカ

(Ahold Delhaize USA)

53,699

51,838

3.59%

2,048

11

ロブロウ(Loblaw Companies Ltd)

52,269

51,859

0.79%

2,439

12

パブリクス(Publix Super Markets)

47,997

44,864

6.98%

1,293

13

セブン‐イレブン(7-Eleven Inc.)

41,034

17,801

130.52%

12,973

14

ウォルマート・メキシコ

(Walmart de Mexico)

35,965

32,642

10.18%

2,755

15

ダラー・ゼネラル(Dollar General)

34,200

33,746

1.35%

18,130

16

エイチ・イー・バット(H-E-B)

34,000

31,800

6.92%

420

17

C&Sホールセール

(C&S Wholesale Grocers)

33,022

31,450

5.00%

7,700

18

アリマンタション・クシュタール(Alimentation Couche-Tard)

31,128

37,843

▲17.74%

7,076

19

コストコ・カナダ(Costco Canada)

27,298

24,434

11.72%

105

20

マイヤー(Meijer Inc.)

25,457

24,157

5.38%

258

※Progressive Grocerデータより

このデータはアメリカ以外に本社を持つ企業であっても、アメリカ国内でビジネスを展開している全ての小売企業を対象としています。

今回最も売上伸び率が高かったのはセブン‐イレブンの130.52%で、昨年の25位から13位に躍進しました。

最大の要因はアメリカ石油精製大手のマラソン・ペトロリウムのコンビニ事業「スピードウェイ」の買収が、アメリカ連邦取引委員会(FTC)により正式に承認されたことがあげられます。

昨年43.28%という驚異的な伸び率を記録したアマゾンは、今回11.98%増と伸び率は大きく鈍化したものの安定した結果となっており、トップを走るウォルマートに徐々に近づいています。

ウォルマートの売上高は2年前の時点でアマゾンの約2.2倍でしたが、昨年1.68倍まで縮み、今回は僅かではありますが、1.64倍となりました。

Eコマース市場分析企業大手であるEdge by Ascential社の市場調査部門のRetail Insightが昨年発表したレポートで、2025年までにアマゾンがウォルマートを抜いて世界最大の小売企業になるだろうと予測したことは昨年のメールマガジンでもご報告した通りですが、このトップ2の争いにはこれからも目が離せません。

続いて21位以下の主な企業のランキングは以下の通りです。

順位

企業名

売上高(100 万ドル)

前年数値

伸び率

店舗数

24

アルディ(Aldi US)

18,200

17,056

6.71%

2,166

27

トレーダー・ジョーズ(Trader joe’s Co)

14,900

14,100

5.67%

530

30

ハイヴィー(Hy-Vee Food Stores Inc.)

12,300

11,150

10.31%

285

34

ウェグマンズ

(Wegmans Food Markets Inc.)

11,200

10,695

4.72%

106

45

ウィンコ・フーズ(Winco Foods Inc.)

8,100

7,795

3.91%

131

89

リドル(Lidl U.S.)

1,275

1,025

24.39%

170

アルディは昨年の売上高から6.71%伸びましたが、順位は昨年と変わりませんでした。

アルディは現在アメリカ国内では約2,100店舗を展開していますが、2022年中にウォルマート、クローガーに次いで店舗数でアメリカ3番目になると見られています。

アルディ最大のライバルで、2年前に初ランクインしたリドルは、前回の31.58%に続き今回も24.39% という急成長を続け、昨年の96位から89位にランクアップしています。

店舗数も昨年の125店舗から170店舗まで拡大しました。  

ドイツ生まれのアルディとリドルの競争は今後も大きな注目ポイントとなりそうです。

(2022.7.11配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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2022年 米国で最も評判の良い企業ランキング

これまでアメリカを中心に、様々な角度からみた企業ランキングをご紹介してきました。

今回はアメリカでよく知られている企業を評判(Reputation)という普遍的な基準でランキングとしてまとめたレポートをご紹介したいと思います。

このランキングは、ニュースサイトのアクシオス(Axios)社と世論調査会社大手ハリス・ポール(Harris Poll)社が共同で調査したものです。

約33,000人のアメリカ国民を対象に、次の7つの項目毎に最も優れていると思う企業2社と最も劣っていると思う企業2社を選ばせて、その合計スコアをまとめたものです。

①    信頼(信頼できる企業か)

②    ビジョン(将来への明確なビジョンを持っている企業か)

③    成長(これからも成長する企業か)

④    製品・サービス(価値のある革新的サービスや製品を提供する企業か)

⑤    文化(働きがいのある企業か)

⑥    倫理(高い倫理基準を持っている企業か)

⑦    市民活動(市民サポートを行っている企業か)

今回は上位10社とその他主要企業のランキングをご紹介します。

◇上位10社

順位 

企業名 

業種 

スコア 

昨年順位 

 1

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe’s

食品小売

 82.4

 -

 2

エイチ・イー・バット(H-E-B

食品小売

 82.0

 -

 3

パタゴニア(Patagonia

アウトドア

 81.8

 1

 4

ハーシー(The Hershey Company

チョコレート製造

 81.8

    -

 5

ウェグマンズ(Wegmans

食品小売

 80.6

13

 6

サムスン(Samsung

エレクトロニクス

 80.5

31

 7

アマゾン(Amazon.com

ECサイト

 80.3

10

 8

トヨタ自動車(Toyota Motor Corp.

自動車製造

 80.3

18

 9

ホンダ(Honda Motor Company

自動車製造

 80.1

 2

10

ソニー(Sony

エレクトロニクス

 79.6

34

※Axios-HarrisPollデータより

上位10社には、食品小売から3社がランクインしています。

そのうち1位のトレーダー・ジョーズ、2位のエイチ・イー・バットは昨年のランク外からの大躍進となりました。

コロナ禍から日常生活が戻りつつも、人手不足やサプライチェーンの混乱等による商品不足や納品遅延が頻発している流通小売市場において、市民が必要とする食料品を滞りなく食卓に届け続けたことが高く評価されたと見られています。

◇その他主な企業

順位 

企業名 

業種 

スコア 

昨年順位 

 11

IBM

エレクトロニクス

 79.5

39

 16

ホーム・デポ(The Home Depot

ホームセンター

 78.9

45

 19

パブリクス(Publix Supermarkets

食品小売

 78.8

23

 22

ネットフリックス(Netflix

映像ストリーミング

 78.5

   38

 25

クローガー(The Kroger Company

食品小売

 78.4

30

 26

コストコ(Costco Wholesale

倉庫型食品小売

 78.2

 9

 32

ターゲット(Target

食品小売

 77.8

41

 77

ウォルマート(Walmart

食品小売

 70.8

84

※Axios-HarrisPollデータより

11位以下の主な企業のランキングは上記の通りです。

アクシオス社およびハリス・ポール社によると、企業の評判を高めるためには本来の業績を伸ばし続けることが不可欠としながら、企業の倫理観や社会への貢献等も重要なファクターになると述べています。

具体的に、今回25位に入ったクローガーは、2025年までに食品廃棄物とコミュニティの飢餓問題をゼロにする「ゼロ・ウェイスト、ゼロ・ハンガー」への取り組みを強力に推進しており、食品廃棄物の削減を全店舗の80%以上で実現しています。

飢餓問題についても年間3億ドル以上の寄付活動や、年間6億食以上の食料寄付活動を続けていることが高く評価されています。

売り上げ規模だけを見ると圧倒的にトップを走り続けているウォルマートは、今回のような総合的な企業の評判という点においては77位という結果になってしまいました。

先日アメリカの流通市場調査会社のエッジ・バイ・アスセンシャル(Ede by Ascential)社が発表した今後の市場予測でも、2024年までにアメリカ小売市場の市場シェアを、アマゾンは10.8%から14.9%に拡大させ、ウォルマートは13.2%から12.7%に縮小すると予測し、長年トップを維持してきたウォルマートが2位に陥落するというレポートが出たばかりです。

このレポートは過去5年間の企業の年平均成長率(CAGR)データに基づいて出されたものですが、アマゾンの年平均成長率は11.7%に対し、ウォルマートは3.5%です。今後の市場シェアの動向にも注目していきたいと思います。

(2022.6.13配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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「働きがいのある企業ランキング」2022年版発表!

先月のメールマガジンでご紹介したフォーチュン誌の「2022年世界で最も称賛される企業ランキング」と共に、世界的に注目されている「働きがいのある企業ランキング」の最新版が発表されました。

トップ10および11位以下の主な小売企業のランキングは以下の通りです。

◇トップ10ランキング

順位

企業名

業種

2021年順位

1

シスコ・システムズ(Cisco Systems)

IT

1

2

ヒルトン(Hilton)

ホテル・レジャー

3

3

ウェグマンズ(Wegmans Food Markets)

一般小売

4

4

セールスフォース(Salesforce)

IT

2

5

エヌビディア(Nvidia Corporation)

半導体

-

6

アクセンチュア(Accenture)

コンサルティング

44

7

ロケット・カンパニーズ(Rocket Companies)

金融

5

8

アメリカン・エクスプレス(American Express)

金融

10

9

デビッド・ウィークリー・ホームズ(David Weekley Homes)

不動産

13

10

キャピタルワン・フィナンシャル(Capital One Financial)

金融

9

◇その他主な小売企業ランキング

順位

企業名

業種

2021年順位

12

ターゲット(Target)

一般小売

14

33

シーツ(Sheetz)

コンビニ

83

92

パブリクス(Publix Super Markets)

一般小売

42

95

ナゲット・マーケット(Nugget Market)

一般小売

24

※フォーチュン(Fortune)誌データより

毎年恒例のこのランキングは、働きがいのある企業に関する調査、評価、支援を行う専門機関であるGreat Place to Work Instituteが、1998年から世界最大のビジネス誌であるフォーチュン誌と協力して調査、発表しているもので、今回で25年目となりました。

アメリカ国内で1,000人以上の従業員を雇用している企業を対象に、610万人以上の社員から選ばれた約87万人の従業員が、それぞれの職場での待遇、社会貢献度、経営の倫理性等に対する満足度等60項目に及ぶ質問事項を5段階評価し、まとめたものとなっています。

新型コロナウイルスによるパンデミックが続き、企業で働く従業員のリモートワークが常態化している中で、従業員が平等に仕事の機会を与えられているかといった新たな質問事項が入ったのが今年の特徴です。

小売業でトップになったのは昨年同様ウェグマンズでした。全体ランキングでは3位で、昨年の4位からランクアップしました。

同社は25年連続でランクインしている超優良企業で、働きがいのあるレジェンド企業としてフォーチュン誌から表彰されています。

従業員数は5万人を超えていますが、そのうち89%が同社を働きがいがある企業として評価しているということです。

一般的なアメリカ国内の企業での平均評価が57%ということで、ウェグマンズの従業員による評価の高さが分かります。

業績好調のターゲットも昨年の14位から12位へとランクアップしました。

ターゲットの従業員のうち70%が同社を働きがいがあると回答しているということです。同社は今年に入り、時給で働く従業員の最低時給を15ドルから24ドルの範囲の高水準で支給すると発表したばかりです。

92位のパブリクスはウェグマンズ同様25年連続でランクインしていますが、昨年の42位から大きくランクを落としているのは気になるところです。23万人を超える従業員に対して手厚いキャリア開発や教育の機会を与えていることで知られており、顧客からも従業員からも高い評価を得ている企業ですので、来年の評価にも注目していきたいと思います。

(2022.5.9配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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コロナ禍でも成長!売り場拡大を続けるアメリカ食品小売企業ランキング(2021)

アメリカを拠点に世界80カ国で不動産に関わる全てのサービスを提供している会社JLL(Jones Lang LaSalle - ジョーンズ・ラング・ラサール)が最新調査レポート「Grocery Tracker 2022」を発表しました。

調査結果によると、新型コロナによる世界的パンデミック下において、必要不可欠なビジネスとして最も成長したのは食品小売企業であり、アメリカにおける食品小売業の売上はパンデミック前の2019年比で、2020年は9.4%、2021年には約16%伸びて8,030億ドルに達しているというデータを発表しています。

不動産投資スタートアップ企業のDatex Property Solutions(ダテックス・プロパティ・ソリューションズ)も、パンデミック下における食品小売企業の成長を裏付けるデータを発表しており、2021年のアメリカにおける食品小売企業への新規不動産リース実績が対2019年でほぼ2倍になったと報告しています。
今回は、前述のJLLの最新調査レポート「Grocery Tracker 2022」で発表された、昨年1年間で売り場スペースを増やした食品小売企業のランキングをご紹介します。
 


圧倒的な首位はドイツを拠点としているアルディで、昨年1年間で約220平方フィート(約21万㎡)の売り場面積を新たに追加しました。アルディについては2月の弊社トレンド・ピックアップ「アルディが店舗数でアメリカトップ3へ<2/09>」でもご紹介しましたが、現在アメリカ国内では約2,100店舗を展開しているハードディスカウントチェーンです。2022年中に新たに150店舗の新規出店を計画しており、年内にもウォルマート、クローガーに次いで店舗数でもアメリカトップ3に入る見込みです。

2位は東海岸中南部の7つの州で約1,290店舗を展開しているパブリクスでした。同社は同じく東海岸のみでの店舗展開ながら全国的な人気を誇るウェグマンズと人気を2分している大型食品小売チェーンで、2021年には拠点のフロリダ州を中心に約130万平方フィートの売り場を追加しました。


3位には西海岸を中心に約400店舗を展開しているグロサリー・アウトレットが入りました。同社については2020年1月のメールマガジン「2020年注目企業!グロサリー・アウトレット」でご紹介しましたが、毎日1,500を超えるサプライヤーから商品を仕入れ、一般のスーパーよりも40〜70%安い価格で商品を提供することで伸びているディスカウント・チェーンです。アルディやリドルがプライベートブランドを中心に価格訴求をしているのに対し、グロサリー・アウトレットはナショナルブランド商品を破格値で提供しているところが最大の特徴であり、昨年1年間で約90万平方フィートの売り場を新たに追加しました。同社は2022年にも更に28店舗の新規出店を予定しています。

4位以降の特記事項としては、アマゾン傘下のアマゾン・フレッシュとホールフーズの2店舗がランクインしたことがあげられます。特にアマゾン・フレッシュは2021年以降現在までに20店舗以上を新規出店しており、ほぼ全店に同社独自の買い物体験が可能なJust Walkout(ジャスト・ウォークアウト)を導入しています。それ以外にもスマホを使わず、手のひら認証のみで入店から決済まで完了するアマゾン・ワンも導入しています。3月のトレンド・ピックアップ「アマゾンが4スター店舗とブックストアを閉店<3/03>でもご紹介しましたが、アマゾンはアマゾン・フレッシュなどのグロサリー業態に注力するために、アマゾン4スターやアマゾンブックス等68店舗の閉店も発表しています。

今回は新たな売り場スペースからみたアメリカ食品小売企業のランキングでしたが、今後も様々な切り口のランキングをご紹介していきたいと思います。

(2022.4.15配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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発表!「2022年世界で最も称賛される企業ランキング」

毎年恒例、世界最大のビジネス誌フォーチュン(Fortune)誌による「世界で最も称賛される企業(World’s Most Admired Companies)」の最新(2022年)調査結果が発表されました。

上位10社および主な小売企業のランキングは以下の通りです。


◇トップ10ランキング

順位

企業名

業種

昨年順位

1

Apple(アップル)

コンピューター

1

2

Amazon(アマゾン)

インターネットサービス、小売

2

3

Microsoft(マイクロソフト)

コンピューターソフトウェア

3

4

Pfizer(ファイザー)

製薬

-

5

Walt Disney(ウォルト・ディズニー)

エンターテインメント

4

6

Berkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)

保険

6

7

Alphabet(アルファベット)

インターネットサービス、小売

7

8

Starbucks(スターバックス)

フードサービス

5

9

Netflix(ネットフリックス)

エンターテインメント

9

10

JP Morgan Chase(JPモルガン・チェイス)

金融

8

◇主な小売企業ランキング

順位

企業名

業種

昨年順位

11

Costco Wholesale(コストコ)

一般小売

10

15

Walmart(ウォルマート)

一般小売

11

19

Target(ターゲット)

一般小売

17

24

Home Depot(ホームデポ)

特殊小売

19

27

CVS Health(CVSヘルス)

ヘルスケア

32

42

Publix Super Markets(パブリクス)

一般小売

48

※フォーチュン(Fortune)誌データより

実際の調査および集計は世界的コンサルタント企業であるコーン・フェリーグループ(Korn Ferry)の協力を得て、1997年から毎年行われています。

米国企業470 社および米国以外28ヵ国の200社(総計56業界)が今回の調査の対象と

なりました。

14,000 人以上の企業経営幹部や業界アナリストが今回のアンケート調査に参加しており、以下の9つの項目に基づいて対象企業を評価した結果をまとめたものとなります。

①    有望な人材を引き付ける

②    経営の質

③    コミュニティおよび環境への社会的責任

④    革新性

⑤    製品あるいはサービスの質

⑥    企業資産の有効活用

⑦    財務状況

⑧    長期投資の価値

⑨    グローバルな企業経営

新型コロナウイルス感染症パンデミックによる影響も3年目となりますが、アップルは今回で15年連続1位を獲得するなど、ランキングトップ3は昨年と変わらない結果となりました。

トップ10のうち特筆すべきは4位に入ったファイザーで、長期化するパンデミック下で有効なワクチンと治療薬の開発を進めたことが評価され、16年ぶりのランクインとなりました。

11位以降での注目小売企業の顔ぶれは昨年と同じですが、やはりコロナ関連で注目度が
増したドラッグチェーンのCVSがランクアップしました。

このランキングはフォーチュン誌が毎年恒例で発表している2つの重要指標の一つで、
世界中で注目されています。

もう一つの重要指標「働きがいのある企業ランキング」も間もなく発表予定ですので、改めてご報告したいと思います。


(2022.3.4配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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2022年!アメリカ人が好むグロサリーストアランキング

2018年から毎年年始に発表されている「Retailer Preference Index(RPI)〜好きな小売企業指標」が、ダンハンビー(Dunnhumby)社より発表されました。

同社は英国拠点のグローバル企業で、顧客データ分析によるマーケティングサポート業務を提供しています。

今回の調査はアメリカ国民10,000人を対象に、アメリカを代表する主要65のグロサリー小売企業の中で、最も好きな(評価する)企業について以下の7つのカテゴリーに分けてアンケートを取り、まとめたものです。

◇カテゴリー

①価格

②デジタル化

③品質

④店舗運営

⑤スピード(スタッフサービス)

⑥便利さ

⑦販促

下の表が最新のトップ10ランキングです。上記7つのカテゴリーで高評価項目を○、低評価項目を×とし、最後に「企業がコロナ禍に注力した項目」が追記されています。

順位

企業名

価格

デジタル

品質

運営

スピード

便利

販促

追記(企業がコロナ禍に注力した項目)

1

アマゾン

 

×

 

×

 

品質

2

H-E-B

 

×

 

 

スピード、デジタル、品質

3

マーケット・

バスケット

×

 

×

 

 

スピード、品質

4

ウェグマンズ

 

 

 

 

×

スピード

5

アマゾン・

フレッシュ

 

 

×

 

 

なし

6

アルディ

×

×

 

 

 

デジタル

7

トレーダー・

ジョーズ

 

×

 

×

 

なし

8

サムズ・クラブ

 

 

 

 

×

品質、デジタル

9

コストコ

 

×

×

 

スピード、デジタル

10

ウォルマート(※)

 

 

 

 

×

なし

※ウォルマートはネイバーフッド・マーケットを対象とした評価です。

その他主要企業として11位ターゲット、12位パブリクス、18位リドル、21位ウィンコフーズ、22位ショップライト、23位スプラウツファーマーズマーケット、29位ハイヴィー等がランクインしています。

今回のランキングで最も大きな動きがあったのはトレーダー・ジョーズで、3年前の1位、2年前の2位、昨年の3位

から今回7位と大きくランクを落としました。

様々な小売企業ランキングで常に上位に入っているトレーダー・ジョーズですが、新型コロナウイルスにより多くの小売企業がデジタル化にシフトしている中で、一貫して「店舗におけるサービスが全て」、「店舗がブランド」という企業理念の下、デジタル化に背を向けた営業展開を続けています。

ランキングの通り品質とスピードで高評価を得ている一方で、デジタルと便利さにおいて低評価となり、今回の大幅ランクダウンという結果になりました。

コロナ禍が収束した後もトレーダー・ジョーズが現在の店舗至上主義を続けるのか、あるいはデジタル化にシフトをして

行くのかについてはダンハンビー社の評価と共に注目していきたいと思います。

一方、昨年初の首位となったアマゾンは、2年連続で首位を獲得しています。パンデミック前から同社が得意として

いたデジタルおよびスピードの強みがコロナ禍でさらなる注目を集めた結果となりました。

「世界一のデジタル・ネイティブ企業としての強みが、この2年の結果にがった」とダンハンビー社は述べており、弱点と言われていた商品品質は向上しているという評価を得ています。

アマゾンは先週、アパレルの実店舗「アマゾン・スタイル」を年内にロサンゼルスのショッピングモール‘アメリカーナ・

アット・ブランド’内にオープンすると発表したばかりです。

同社独自のアプリやてのひら認証システムを使い、商品詳細や顧客評価の確認、試着、決済からデリバリー予約までできる店舗になる予定です。オンライン上で試着したい商品を選択すると試着室に自動で商品が用意されるため、非接触での試着が可能です。試着室のタッチパネルでサイズ・色違いの商品も選ぶことができ、試着室から離れることなく買い物を楽しむことができます。最新のDX店舗として注目されています。

最近の他調査会社による小売企業ランキングでは、ウォルマートの圧倒的な強さが報告されていましたが(参考:当社メルマガ2021年12月「アメリカで最も信頼されているグロサリーストアランキング」2021年9月「米国小売企業来店頻度から見る顧客ロイヤルティランキング」)、今回の調査では辛うじて10位にランクインする結果となりました。

以前より様々なランキングの結果をお届けしていますが、評価基準やタイミングによって選ばれる小売企業が大きく変化している点が興味深いです。今後も様々な切り口の調査結果をご紹介していきたいと思います。

(2022.2.1配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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