流通視察ドットコム、人気記事ランキング2019

2019年1月から12月までの記事の中で、メールマガジン配信日にご覧いただいた閲覧数トップ10の記事をご紹介します。読み逃してしまった記事や注目されたランキングなど、今年の振り返りにぜひご覧ください。

順位

記事

1

ホールフーズの2020年トレンド予測(11月1日配信)

毎年発表されるホールフーズによる、来年のトレンド予測です。発表されたトレンドのキーワードは、、健康や環境に配慮した持続可能性につながるもので、近年の潮流でもあります。また、様々な植物由来食品も注目されているようです。取り上げられたものの中で一体いくつが来年の実際のトレンドになるでしょうか…?

2

米国小売、変化するブラックフライデー(11月29日配信)

最近は日本でも年末商戦前の新たなセールとして導入されている「ブラックフライデー(Black Friday)」について、オンラインでのショッピングが増え、購買行動にも変化が見られる近年の傾向をご紹介しました。

3

2019年米国小売総括&年末商戦速報(12月16日配信)

ブラックフライデーからサイバーマンデーまでの年末商戦の速報と、今年相次いだ小売店舗の閉鎖についてまとめています。ブラックフライデーの購買行動にもオンライン化が進んでいますが、アマゾンだけの一人勝ち状態ではなくなってきている最新情報をご紹介しました。

4

発表!2019年全米小売業売上高ランキング(7月16日配信)

小売業の様々なランキングの中でも毎年特に注目を集めているのがNRF(全米小売業協会)による全米小売業ランキングです。トップ10にランクインしている企業は昨年から大きな変化が見えませんが、毎年順位を上げているアマゾンや、1位を維持し続けているウォルマートにも注目です。

5

発表!!「働きがいのある企業ランキング2019」(2月28日配信)

米フォーチュン誌から毎年発表されるランキングの2019年版です。2018年に引き続き、小売企業として唯一ウェグマンズがトップ10にランクインしています。トップ10企業以外にも、トップ100にランクインした注目小売企業についてもご紹介しています。

6

発表!最も働きやすい米国小売企業ランキング2019(11月18日配信)

フォーチュン誌から発表された「最も働きやすい小売企業」ランキングをご紹介します。様々な人気ランキングで上位の常連であるウェグマンズ(Wegmans)パブリクス(Publix)もランクインしています。

働きやすい企業と顧客サービスの満足度の関連性についても取り上げています。

7

今年で10回目!2018年トレーダージョーズ人気商品ランキング(1月31日配信)

取り扱い商品の8割以上がプライベートブランドで、常に全体の1〜2割が新商品に入れ替わることでも知られているトレーダージョーズ。毎年恒例の消費者が選ぶ人気商品ランキングですが、2018年にお客さまからの支持を得られた商品はどのようなものだったのでしょうか。 発表された結果の一部をご紹介しています。

8

最新・食のトレンド「植物由来食品」最前線!(9月2日配信)

今アメリカの食品業界ではPlant-Based foods〜植物由来食品(Alternative foods〜代替食品市場)が大きな注目を浴びています。この市場における1年間の主要カテゴリー別の売上高や成長率、参入している企業や販売する主要なSM企業について概要ご紹介しています。

9

ファーマシーもウェグマンズが人気!米国調剤薬局の顧客満足度ランキング(9月17日配信)

米国の調剤薬局における顧客満足度ランキングをご紹介しました。ドラッグ専門チェーンを抑えてスーパーマーケットチェーンが高い顧客満足度を得ており、ウェグマンズが全米トップの顧客満足度を獲得しました。

10

大躍進!米国ダラー・ストア(1月15日配信)

依然として厳しさを増している米国のモール事情ですが、そのような状況にも負けず、堅調に業績を伸ばしている企業が“ダラー・ストア”と呼ばれる低価格訴求型店舗です。米国モールの空室事情が深刻となる一方、新規出店を続けるダラー・ストアの現状をご紹介しました。

最新の小売事情に関するランキングやトレンド情報について、来年もメールマガジンを通じて皆様にご紹介させていただきたいと思いますので、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。

(2019.12.26配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業推進課)


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2019年米国小売総括&年末商戦速報

2019年も残すところあと2週間ほどになりました。

この1年はアメリカの小売業にとって過去に例のない記録的ペースで店舗の閉店が加速した年であり、リテール・アポカリプス(Retail Apocalyps〜小売業の終焉)といったフレーズが多くのメディアから発信された年でもありました。

アメリカ小売り業界のシンクタンク大手のコアサイト・リサーチ(Coresight Research)社の最新のレポートによると、12月05日現在で9,271店舗の閉店が発表されているということで、2018年1年間の閉店数(5,861店舗)を大きく上回っています。

次の表は今年100店舗以上を閉鎖した主な小売り企業のリストです。

店舗名

業種

閉店数

ペイレス・シューソース(Payless ShoeSource)

シューズ

2,100

アスセナ(Ascena)

レディース・アパレル

781

ジンボリー(Gymboree)

子供服

749

フレッズ(Fred's)

ドラッグストア

564

シャーロッテ・ルッセ(Charlotte Russe)

レディース・アパレル

500

ショップコ(Shopko)

ドラッグストア

371

ファミリーダラー(Family Dollar)

ダラーストア

359

ジーエヌシー(GNC)

サプリメント

332

チャーミング・チャーリー(Charming Charlie)

レディース・アパレル

261

シアーズ(Sears)

百貨店

246

アベニュー(Avenue)

レディース・アパレル

222

デスティネーション・マタニティ(Destination Maternity)

マタニティウェア

210

ウォルグリーン(Walgreens)

ドラッグストア

174

キッチン・コレクション(The Kitchen Collection)

調理用品

160

シグネット・ジュエラーズ(Signet Jewelers)

宝石

159

ギャップ(Gap)

アパレル

154

フットロッカー(Foot Locker)

シューズ

108

ゲームストップ(Game Stop)

ゲームソフト

106

※Coresight Research社データ

2004年の創業以来右肩上がりに業績を伸ばし、2015年にはマンハッタン5番街に店舗をオープンしたレディース・アパレルと雑貨で人気を博したチャーミング・チャーリーも全店舗閉店に追い込まれるなど、アメリカの小売業を取り巻く環境は非常に厳しくなっているようです。

コアサイト・リサーチ社のリサーチ主幹であるJohn Mercer氏によると、2019年がアメリカにおける小売り企業の店舗閉鎖のピークになるだろうとのことですが、すでに小売り店舗数が飽和レベルをはるかに超えてしまっている市場のため、今後も急激な改善は望めないであろうとのことです。

このような状況の中で、前回のメールマガジン「米国小売、変化するブラックフライデー」にて、11月28日のサンクス・ギビングデーから始まるアメリカ最大の年末ホリデー商戦の直前レポートを配信しましたが、その結果について速報数値が発表されているのでご報告します。

以下のグラフはNRF(全米小売業協会)が発表している過去3年間のサンクスギビングからサイバーマンデーまでの期間にショッピングをした人数と一人当たり平均支出額のデータです。

※NRFデータ

この期間にショッピングをした人口は対前年で約14%増えて1.896憶人で過去最高を記録したということです。内訳は、1.240億人が実店舗のみ、1.422憶人がオンラインのみ、そして0.757憶人がその両方で買い物をしたということです。

また一人当たりの支出額は以下のグラフの通りです。

※NRFデータ

今年の5日間のホリデー期間の一人当たり平均支出額は前年から約16%増えて、361.90ドルだったということです。そのうち実店舗とオンラインの両方で買い物をした人の平均支出額は366.79ドルということで、どちらかのみでの購入額平均よりも約25%多く支出したという結果も出ています。

またNRFによると、今回ブラックフライデー(11月29日)の日のオンライン購入者数(9,320万人)がサイバーマンデー(12月02日)の日の購入者数(8,330万人)をはじめて上回ったということです。ただしオンラインによる売上額では、ブラックフライデーの約74億ドルに対してサイバーマンデーが約94億ドルということで、いまだにサイバーマンデーの方が大きくリードしているという統計結果をデータ分析大手のアドビ・アナリティクス(Adobe Analytics)社がレポートしています。

いずれにしても、無料配送やオンライン注文&店内受け取り(BOPIS – Buy Online Pick Up in Stores)の充実化等により今後もショッピングのオンライン化は進んでいくものと予測されます。

オンラインの世界ではこれまでアマゾンが圧倒的な存在感を示してきましたが、モバイルアプリのデータ分析を行っているスタートアップ企業のセンサー・タワーズ・アナリシス(Sensor Tower’s Analysis)社の最新の報告によると、今年の年末商戦期間におけるモバイルアプリのダウンロード数において、今回はじめてウォルマートがアマゾンを上回ったということです。

そのデータによると、この期間に約113,000人がウォルマートのアプリを新たにダウンロードし、前年比で23%増えたとのことです。アマゾンのアプリを新たにダウンロードしたのは約102,000人とのことであり、ダウンロード数だけみるとウォルマートのアプリの方ががわずかに多いという結果になりました。しかしながらアマゾンのアプリダウンロード数は前年比で10%も悪化しており、アメリカにおけるオンラインの商取引の世界の勢力図に異変が起き始めているのではとレポートされています。

このデータを裏付けるように、デジタルマーケティング調査大手のイーマーケッター(eMarketer)社は今年の6月に、アメリカにおけるアマゾンのオンライン市場シェアが当初の47%から37.7%へと大幅に下方修正されたレポートを発表しています。今後もアマゾンとウォルマートによるオンラインおよび実店舗市場での競合には注目です。


2019年は店舗閉鎖が相次ぎ、ブラック・フライデーの購買行動からもわかるようにショッピングのオンライン化がますます進んだ年となりました。来年もアマゾンだけでなく、実店舗企業が取り組むオンラインと実店舗をつなぐ新たな戦略にも注目し、変化する市場の情報をご紹介してきたいと思います。


(2019.12.16配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業推進課)

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米国小売、変化するブラックフライデー

最近、日本でも耳にするようになった「ブラックフライデー(Black Friday)」のそもそもの起源や、米国での近年の状況についてご紹介します。

ブラックフライデーは米国の感謝祭(サンクスギビングデー)からきた慣習ですが、現在は欧州や日本の小売業にも広がっています。

米国では、サンクスギビングデー(第4木曜日)の翌日が「ブラックフライデー」であり、今年のサンクスギビングデーが11月28日であることから、米国のブラックフライデーは11月29日(第5金曜日)です。日本では、第4金曜日である22日に、米国より一足先にブラックフライデーとしてセールを行っている企業も多くありましたので、耳にした方も多いのではないでしょうか。日本では、年末商戦前の新たなセールとして、取り入れる企業も増えてきましたが、米国のブラックフライデーは、クリスマスを控えた年末商戦の皮切りの日であり、一年のうちで最大のセールを実施する日でもあります。今年は、ブラックフライデーが例年よりも遅く、ブラックフライデーからクリスマスまでの年末商戦期間が26日と短くなっています。昨年は32日間の期間がありましたので、小売業にとっては不利になるとの懸念もあるようです。

ブラックフライデーという呼び名の由来は、「この日一日で、赤字店舗の売り上げが黒字転換するほど跳ね上がる」規模のセールを行うところからきています。元々は祝日翌日の金曜より行われていたセールも、商戦が年々激化し、前倒しで前日の木曜(サンクスギビングデー)からスタートする店も増えました。

ベストバイやコールズメイシーズなどは、今年のセールをサンクスギビングデー当日の午後5時からスタートすると表明しています。さらに、ウォルマートの24時間営業の店舗はサンクスギビングデーの前日、水曜日の午後6時からスタートし、商品が終了するまでセールを開催するとしています。

また、米国ではブラックフライデー当日に店舗でショールーミングを行ったネットユーザーが、オンラインで比較検討した後に購買行動を行うことから、オンラインではサンクスギビングデー連休明けの月曜日が一年のうちで最も売り上げが高くなる日となっています。そうした現象に由来し、連休明けの月曜日は「サイバーマンデー(Cyber Monday)」とも呼ばれます。

昨年2018年は、サンクスギビングデーからサイバーマンデーまでのホリデー期間に、全米の約1億6,600万人がショッピングをし、その売り上げ額が初めて1兆ドルに達したということです。一人当たりの購入額は846ドルで、2017年と比べて約14%のアップとなっています。このホリデー期間の売り上げは全米小売の年間売上高の約20%を占めており、米国小売企業にとってとても重要な商戦期間であることがわかります。

また、2018年のオンラインでの売上額は約1,260億ドルで、2017年(1,080.20憶ドル)からは約16.5%の伸びでした。オンラインでのショッピングということでは、サイバーマンデーが47%のシェアでトップ、2番目がブラックフライデーで25%であったとのことです。

サンクスギビングデーからサイバーマンデーまでの期間の売り上げについて、アメリカの分析大手企業のアーネストリサーチ(Earnest Research)社のデータをご紹介します。

 2016年から2018年までの代表的企業のホリデー期間の売り上げシェア

 

2016年

2017年

2018年

Amazon

32.9%

32.3%

39.0%

Walmart

37.7%

36.6%

32.8%

Target

19.6%

19.7%

18.6%

Best Buy

9.8%

11.4%

9.6%

2018年の売り上げシェアは、アマゾン経由でのショッピングが約40%を占め、断トツトップとなりました。アマゾンが大きくシェアを伸ばした結果、その他3社が軒並みシェアを落としていますが、昨年の最大の特徴が、無料配送(Free shipping)戦略と言われています。アマゾンがいち早くこの期間の購買に対してプライム会員以外にも無料配送をPRして先んじたことが大きな理由と考えられています。

また、アメリカのデジタルマーケティングの調査会社大手のイーマーケティング(eMarketing)社は、ホリデー期間の売り上げシェアをそれぞれの日ごとに分けた調査結果を発表しています。

2017年と2018年における、ホリーデー期間の日ごとの売り上げシェア

 

2017年

2018年

Thanksgiving Day

15.0%

16.5%

Black Friday

16.4%

17.2%

SB Saturday (SB = Small Business)

14.4%

-

Super Sunday

14.6%

-

Cyber Monday

16.5%

17.6%

サイバーマンデーの売上は年々増加しており、このデータでもブラックフライデーよりもサイバーマンデーの方に購買行動がシフトしていることがわかります。サイバーマンデーはもとより、ブラックフライデーにおいてもオンラインでのショッピングは年々増加傾向にあり、今後の各小売企業の取り組みが注目されます。

日本では数年前から始まったばかりのブラックフライデー商戦ですが、今後日本でも、実店舗を持つ小売業が次々と参入するような大型商戦となるのか、注目です。


(2019.11.29配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業推進課)

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発表!最も働きやすい米国小売企業ランキング2019

世界最大のビジネス専門誌であるフォーチュン(Fortune)誌がまとめている様々なランキングについて、今年は以下の3つのランキングをメールマガジンとしてご紹介しました。

2019年2月 配信「世界で最も称賛される企業ランキング」

2019年2月 配信「働きがいのある企業ランキング2019」

2019年10月配信「女性にとって働きやすい企業ランキング2019」

新たにフォーチュン誌が、職場環境を調査しているパートナー組織のグレート・プレイス・トゥ・ワーク(Great Place to Work)社との共同による調査結果を発表しているのでご紹介します。

このランキングは、1,000名以上の従業員を持つアメリカの小売企業で働く約69万4,000人の従業員を対象にした無記名の調査を基にしており、職場における人間関係、教育機会、公平な評価、企業価値等に関する60を超える質問事項への回答を集計したものです。以下がその最新ランキングです。

2019年順位

企業名

業種

国内従業員数

2018年順位

1

食品・グロサリー

47,916

1

2

食品・グロサリー

193,711

2

3

カーマックス(CarMax)

中古車販売

24,978

3

4

レクリエーショナル・イクイップメント(REI/RecreationalEquipment, Inc)

アウトドア用品

12,925

8

5

ナゲット・マーケット(Nugget Market)

食品・グロサリー

1,937

7

6

シーツ(Sheetz)

コンビニ

16,814

4

7

カスタム・インク(Custom Ink)

オンライン・カスタムメイド・アパレル販売

20,113

9

8

パタゴニア(Patagonia)

アウトドア衣料

1,547

12

9

カンバーランド・ファームズ(Cumberland Farms)

コンビニ

8,718

6

10

バーリントン・ストアーズ(Burlington Stores)

オフプライス衣料

30,777

5

11

フットロッカー(Foot Locker)

スニーカー・アパレル

32,240

10

12

ウェイフェア(Wayfair)

オンライン家具

9,857

13

13

アルタード・ステーツ(Altar'd State)

レディースアパレル

2,128

-

14

オールド・ネイビー(Old Navy)

アパレル

53,756

14

15

コンテナ・ストア(The Container Store)

収納用品

4,155

15

ウェグマンズとパブリクスは多くのランキングにて高い評価を得ており、リージョナルな展開でありながら全米で人気を2分するグロサリーチェーンとして知られています。今回で4年連続トップとなったウェグマンズのCEOのコリーン・ウェグマン(Colleen Wegman)氏は、「従業員一人一人が職場環境や待遇に高い満足感の持つことで、お客様に対しても自然に最善のサービスを提供することができると信じている」と、ニューヨークにおけるビジネスを中心とした情報配信サイトであるシラキュース・ドットコム(Syracuse.com)社のインタビューで述べています。

この結果を裏付けるように、アメリカ最大の情報誌であるニューズウィーク(Newsweek)誌が、アメリカにおける小売関連企業480社を対象とした、最も優れた顧客サービスを提供している企業ランキングを発表しております。

その中からレストランやケータリングなどのサービス業種を省き、物販を行っている実店舗小売およびオンライン小売企業をピックアップしたものが以下のランキングです。

順位

企業名

業種

スコア

1

ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)

百貨店

9.11

2

エルエルビーン(L.L.Bean)

アウトドア

9.07

3

食品・グロサリー

9.00

4

ボー・クー(Beau Coup)

記念日商品

9.00

5

食品・グロサリー

8.99

5

ペットセンス(Petsense)

ペット用品

8.99

7

レクリエーショナル・イクイップメント(REI/Recreational Equipment, Inc)

アウトドア用品

8.98

8

食品・グロサリー

8.95

9

ランコム(Lancome)

化粧品

8.91

10

エディ・バウアー(Eddie Bauer)

アパレル

8.90

常に高い人気を誇るウェグマンズ、パブリクスをはじめ、トレーダー・ジョーズやナゲット・マーケット等の店舗では、スタッフの笑顔や、気持ちの良い挨拶が印象的です。その背景には今回のランキングの結果のように従業員の職場への高い満足度があるということが分かります。

上位にランクインする店舗を訪問した際は、このような視点からの店舗視察も面白いかもしれません。

今後も興味深い調査報告やランキングなどを定期的に配信していきたいと思います。

(2019.11.18配信)

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関連情報

ホールフーズの2020年トレンド予測

10月21日、ホールフーズ・マーケットは自社のバイヤーと専門家による2020年のトレンド予測を発表しました。ホールフーズは毎年10月〜12月に翌年のトレンド予測を発表しており、今年で5年目になります。同社の取り組みには、米国のメディアも注目しており、トレンドの発信者となることで、自ら「流行」を生み出す意図も感じられます。今回のトレンド予測のうち、いくつのものが実際のトレンドとなるでしょうか…?

ホールフーズ・マーケットの2020年のトレンド予測 トップ10

1

リジェネレーティブ農業(Regenerative Agriculture)

「リジェネレーティブ(再生可能な)農業」には多くの定義がありますが、一般的には、荒廃した土壌の回復や生物多様性の改善、炭素回収を増やすことで気候変動に良い影響となるような、長期的に環境に対して利益をもたらす、農業や放牧の方法のことです。
こうした農業で生産された商品を購入することで、リジェネレーティブ農業をサポートするということが、トレンドになると予想されています。

2

フラワー・パワー(Flour Power)

新しい「フラワー(粉)」がトレンドとして予測されています。バナナなどの果物や野菜の粉末が家庭にストックされ、カリフラワー粉が売り場に並ぶなどの状況が予測されています。スーパーフードとして話題のタイガーナッツの粉末や種子粉などもトレンドになりつつあります。
2020年はたんぱく質や繊維を含んだ「スーパー」フラワー(粉末)が注目されそうです。

3

西アフリカ産の食品(Foods from West Africa)

西アフリカ産のスーパーフードであるモリンガやタマリンドが注目されており、まだ知られていないモロコシ科の穀物やイネ科の植物であるフォニオ、テフなどもトレンドとなりそうです。

4

革新的な、冷蔵スナック(Out-of-the-Box, Into-the-Fridge Snacking)

かつてはグラノーラバーや、プレッツェルのスナックしか選択肢が無かった携帯用の軽食ですが、新しい世代では「フレッシュ(新鮮)」がキーワードです。塩味のついたゆで卵や、野菜のピクルス、飲めるスープ、様々なディップなどが一人分の少量パッケージになって販売され、トレンドとなりそうです。

5

大豆だけではない、植物由来(Plant-Based, Beyond Soy)

いくつかの商品は「ノー・ソイ(大豆不使用)」をうたっており、来年は大豆の代わりに穀物やリョウトウを使った植物由来食品がトレンドとなりそうです。ブレンドした植物由来食品をヨーグルトなどのクリーミーな食品に似せることも考えられています。
サプリメント売り場では、大豆の代わりにリョクトウや麻の実、カボチャ、アボカド、スイカの種、ゴールデン・クロレラなどが注目されそうです。

6

エブリシング・バターズ・アンド・スプレッズ(Everything Butters and Spreads)

スイカの種を使ったバターなど、タヒニ(胡麻ペースト)を超える種子を使ったバターや、季節商品であるカボチャバターが一年中販売されるだろうと考えられています。カシューナッツやアーモンド、ピーナッツではないナッツバターや、ハムスではないひよこ豆のバターなどもトレンドとして予測されています。

7

キッズメニューの再考(Rethinking the Kid’s Menu)

多くの親は子どもの食事をより楽しくしたいと思うと同時に、より良い材料や健康への影響を考えるようになっています。

8

単純ではない砂糖(Not-So-Simple Sugars)

フルーツソースや甘いシロップに含まれている甘味料の削減や、カップ1杯分の砂糖の代替となるカロリーゼロの非血糖代替品であるSwerveが注目を集めています。

9

ミート・プラント・ブレンド(Meat-Plant Blends)

肉屋と食肉ブランドにも2020年の「植物由来」の流行が影響しそうです。ただ、ビーガンではなく、植物由来の材料を肉に加えるということがトレンドとなりそうです。

10.

ゼロ・プルーフ・ドリンク(Zero-Proof Drinks)

ユニークなノンアルコール飲料が各所で登場しています。多くは、通常のアルコールの蒸留方法を使ってクラシックカクテルの風味を再現することや、それ自体を飲むのではなくミキサーと共に使われるリカーの選択肢が増える事が予想されています。

2019年にホールフーズが発表したトレンドのキーワードは、健康や環境に配慮した持続可能性につながるもので、近年の潮流でもあります。また、様々な植物由来食品も注目されているようです。

上記ランキングの原文が掲載されいるホールフーズのHPには、紹介しているトレンドに沿った商品が見られるよう、商品の詳細ページへのリンクがあります。文章だけではなかなかイメージのつかないトレンドも多いと思いますので、ぜひご確認ください。

ホールフーズ公式HP:https://media.wholefoodsmarket.com/news/whole-foods-market-predicts-top-10-food-trends-for-2020

また、1年前のホールフーズによるトレンド予測が実際にトレンドとなったのか、ぜひ昨年のランキングもご覧ください。

(2019.11.1配信)

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ビッグ4に黄色信号!? 英国食品小売企業最新マーケットシェア

昨年5月のメールマガジン「転換期到来の英国食品小売市場」にて、2018年4月時点の英国食品小売り市場シェアについてご紹介しましたが、その後の最新の食品小売り市場についてご報告いたします。

当時大きく報道されたセインズベリーズとアズダの合併は、結局CMA(英国公正取引委員会)の承認が下りずに実現しませんでしたが、ドイツ発のハード・ディスカウントチェーンのアルディリドルによる英国小売り市場への攻勢は相変わらず続いているようですので、続報としてご紹介します。

以下、英国の市場調査会社の「カンター・ワールドパネル(Kantar Worldpanel)」社が発表している、2019年9月08日までの12週間の食品小売り市場シェアです。

◎2019年9月08日時点の食品小売り市場シェア

順位

小売企業名

最新シェア

2018年
4月シェア

前回対比

2019年 9月08日

2018年
4月18日

1

1

テスコ(Tesco)

26.90%

27.90%

▼1.00%

2

2

セインズベリーズ(Sainsbury's)

15.30%

16.20%

▼0.90%

3

3

アズダ(Asda)

15.10%

15.60%

▼0.50%

4

4

モリソンズ(Morrisons)

9.90%

10.60%

▼0.70%

5

5

アルディ(Aldi)

8.10%

7.00%

△0.90%

6

6

コープ(Co-op)

6.60%

5.80%

△0.80%

7

8

リドル(Lidl)

6.00%

5.40%

△0.60%

8

7

ウェイトローズ(Waitrose)

5.00%

5.10%

▼0.10%

地元英国のビッグ4と呼ばれる上位4企業が軒並みシェアを落としていることが分かります。

かつてはこの4社だけで、全体の8割以上のシェアを独占し、超寡占マーケットと呼ばれていた英国の食品小売り市場ですが、最新のデータではこの4社のシェアは67.20%となっており、昨年4月の70.30%から3.1ポイントも落としています。特に4位のモリソンズと5位のアルディの差が、この1年半で3.60%から1.80%と半分にまで縮まってきており、近い将来永年にわたって市場をリードしてきたビッグ4の牙城が崩れる可能性が高いということです。

実際に、アルディは現在英国内に約840店舗を展開してますが、2021年までに新たに100店舗をオープンすると発表しており、今年の7月以降すでに12店舗を新規出店し、年内にあと9店舗のオープンも確定するなど、出店攻勢が止まらない状況です。同社は2025年中に1,200店舗まで拡大するということです。

一方のモリソンズは、不採算店舗を閉店して雇用の削減を進めるというニュースが発表されており、アルディが4番目の位置に入るのは時間の問題のようです。

また、アルディのライバルであるリドルも順調にシェアを伸ばしています。

リドルは現在英国内で約740店舗を展開していますが、毎年約50店舗を継続的に新規出店しており、英国進出後初めて市場シェアで6%に到達しました。カンター・ワールドパネル社によると、リドルは今年に入り前年比で約61.8万人の新規顧客を獲得することに成功したということです。

シェアトップを走るテスコは、アルディリドルに対抗するため、ちょうど1年前にハードディスカウント業態のジャックス(Jack’s)を10店舗出店しましたが、1年を待たずに1号店を閉鎖しました。

世界的市場調査会社のTCCグローバル(TCC Global)社によると、全世界の食品小売り企業の中でアルディリドルが商品のバリュー(価値)の部門において、断トツのトップに立っているとのことです。テスコが同じ土俵で対抗し、顧客を獲得するのは難しく、自社の優れた部分で対抗することが必要だと述べています。同社の調査では、テスコはアメリカのクローガーと並んで、顧客へのリワードプログラムが秀逸という評価を得ており、店舗内の買い物体験の分野ではマークス&スペンサーとウェイトローズがアメリカのトレーダー・ジョーズと並んでトップとのことです。マークス&スペンサーとウェイトローズは顧客ケアの部門でもトレーダー・ジョーズコストコと並んでトップの評価となっています。

ちなみにテスコはイスラエルのスタートアップ企業のトリゴ・ビジョン(Trigo Vision)社と提携して、人工知能や160台以上のセンサーカメラなどを使用したアマゾン・ゴーと同様のチェックアウト・フリー店舗のテストを開始すると発表しました。すでにテスコ本社内の店舗で従業員向けのテストを開始しているということで、買い物体験の部門への投資も開始しています。

今後も、英国トップのテスコをはじめとするビッグ4が、アルディリドルにどのように対抗していくのか、引き続き注目し、定期的にご紹介していきたいと思います。

(2019.10.16配信)

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関連情報

発表!「女性にとって働きやすい企業」ランキング2019

世界最大のビジネス誌フォーチュン(Fortune)誌にて発表された、「女性にとって最も働きやすい企業」ランキングをご紹介します。

このランキングは、職場環境を調査しているパートナー組織のグレート・プレイス・トゥ・ワーク(Great Place to Work)社とフォーチュン誌が、1,000名以上の従業員を持つ企業に対して毎年共同で行っているものです。460万人以上のアメリカで働く女性従業員を対象に、60項目にわたる質問の回答を集計しています。

主な質問内容は以下のようなものです。

①    入社時に歓迎されていると感じましたか?

②    この会社で働いていることを誇りに思いますか?

③    ポジションに関係なく、大切なスタッフとしての待遇を受けていますか?

④    あなたの会社のサービスに対して、お客様から素晴らしいという評価を得ていると感じますか?

⑤    働くうえで必要な環境は整っていますか?

⑥    仕事を通して、コミュニティに貢献していると感じますか?

⑦    職場において、責任ある仕事を任されていると感じますか?

⑧    必要な時に十分な休息をとることができますか?

⑨    特別で十分な福利厚生サービスを受けることができますか?

⑩    マネジメントスタッフはビジネスに正直で、倫理観を持っていると感じますか?

このような質問事項への回答をまとめたトップ10社は以下の通りとなっております。

順位

企業名

業種

国内従業員数

女性従業員割合

2018年          順位

1

ヒルトン(Hilton)

ホテル・リゾート

55,522

53%

14

2

アルティメート・ソフトウェア(Ultimate Software)

IT

4,448

49%

1

3

ウェグマンズ(Wegmans Foo Markets)

小売

47,916

54%

2

4

クーリーLLP(クーリーLLP)

法律事務所

1,942

56%

8

5

テキサス・ヘルス・リソース(Texas Health Resoures)

ヘルスケア

22,395

79%

5

6

エンコンパス・ヘルス(Encompass Health)

ヘルスケア

-

-

19

7

セールスフォース(Salesforce)

IT

20,113

33%

9

8

ハブスポット(HubSpot)

IT

1,837

44%

18

9

ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオン(Navy Federal Credit Union)

金融・保険

16,385

67%

10

10

ワークデイ(Workday)

IT

6,706

42%

3

小売企業では3位にウェグマンズが入っており、この調査が始まった2016年には37位でしたが、2017年以降は以下の通り、すべてトップ10にランクインしています。

2017年 7位、2018年 2位、2019年 3位


前回のメールマガジン「ファーマシーもウェグマンズが人気!米国調剤薬局の顧客満足度ランキング」でもご紹介しましたが、ウェグマンズは様々なランキングで上位に選ばれており、女性従業員からも大変高い評価を得ていることが分かります。

ウェグマンズの女性従業員が前述の質問事項に対して何パーセントのスタッフが「イエス」と回答しているかについていくつか抜粋してご紹介します。

・入社時に歓迎されていると感じましたか? (98%)

・あなたの会社のサービスに対して、お客様から素晴らしいという評価を得ていると感じますか?(98%)

・仕事を通して、コミュニティに貢献していると感じますか?(97%)

・マネジメントスタッフはビジネスに正直で、倫理観を持っていると感じますか?(96%)

・働くうえで必要な環境は整っていますか?(96%)

このようにいずれの項目でも高い評価を得ていることが分かります。 

ちなみに11位以下でランキングされている小売業は以下の通りとなっております。

順位

企業名

業種

国内従業員数

女性従業員割合

2018年          順位

11

パブリクス(Publix)

小売

193,711

49%

29

39

バーリントン・ストアーズ(Burlington Stores)

小売

35,015

75%

39

58

シーツ(Sheetz, Inc.)

小売

16,814

63%

54

73

カンバーランド・ファームズ(Cumerland Farms)

小売

8,718

58%

-

やはり、ウェグマンズ最大のライバルであるパブリクスも上位に入っており、アメリカで常に人気を2分しているということが伺えます。

今年5月のメールマガジン「米国小売超激戦区の最新情報」で、2年前のバージニア州リッチモンドに続いてノース

カロライナ州ローリーでもウェグマンズパブリクスが競合するというご報告をしましたが、9月29日にウェグマンズがノースカロライナ州初の店舗をローリーでオープンして多くの顧客で賑わったというニュースが全米を駆け巡りました。

ウェグマンズはローリーでのオープンによって、全米7州で100店舗の展開となりましたが、ノースカロライナでは今後も4店舗の出店を予定しており、ますますパブリクスとの競合を見る機会が増えそうです。

様々な人気ランキングでも上位を争う2社の今後が、ますます注目されます。

(2019.10.02配信)

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今回のメールマガジンで取り上げた、ウェグマンズとパブリクスの競合を視察いただけるツアーなど、オーダーメイドで承ります。ぜひ、お問合せ下さい。

ファーマシーもウェグマンズが人気!米国調剤薬局の顧客満足度ランキング

全世界で様々な分野における顧客満足度を調査しているJ.D.パワー(J.D.Power)社が毎年実施している「アメリカの調剤薬局の顧客満足度」についての最新の調査結果を発表しているのでご紹介します。

2019年の5月から6月にかけて集計した調査結果で今回で11回目となります。 

直近の3か月間に処方薬を購入または再購入した顧客12,059人を対象に、それぞれが利用した店舗における以下のサービス内容についての満足度を1,000点満点で評価してもらったものです。

①    処方薬購入(再購入)のシステム

②    処方薬の値段

③    薬剤師の対応

④    薬剤師以外のスタッフの対応

⑤    処方薬の受け取りシステム

⑥    処方薬のデリバリーサービス

調査対象はスーパーマーケット系ファーマシー、ドラッグストア、量販店系ファーマシーおよび通信販売専門店の4つの業態で個別にランキングしておりますが、結果としてスーパーマーケット系のファーマシーが平均871ポイントと最も高い評価を受けているという結果になりました。 以下が業態別のランキングと獲得ポイントです。

◎スーパーマーケットチェーン(平均ポイント 871)

総合順位

順位

店舗名

ポイント

 

1

ウェグマンズ(Wegmans)

915

 1 

2

パブリクス(Publix)

897

4

3

ウィン・ディキシー(Winn-Dixie)

896

5

4

エイチ・イー・バット(H-E-B)

894

6

5

ショップライト(Shoprite)

886

9

◎ドラッグストアチェーン(平均ポイント 842)

総合順位

順位

店舗名

ポイント

 

1

グッド・ネイバー・ファーマシー(Good Neighbor Pharmacy)

914

2

2

ヘルス・マート(Health Mart)

893

7

3

ライトエイド・ファーマシー(Rite Aid Pharmacy)

865

 

4

ウォルグリーン(Walgreens)

840

 

5

CVSファーマシー(CVS Pharmacy)

834

 

◎量販店(平均ポイント 853)

総合順位

順位

店舗名

ポイント

 

1

サムズ・クラブ(Sam's Club)

890

8

2

コストコ(Costco)

879

 

3

CVSファーマシー・イン・ターゲット(CVS Pharmcy in Target)

869

 

4

ウォルマート(Walmart)

837

 

**

**

**

 

◎通販専門店(平均ポイント 867)

総合順位

順位

店舗名

ポイント

 

1

ヒューマナ・ファーマシー(Humana Pharmacy)

900

3

2

カイザー・パーマネント・ファーマシー(Kaiser Permanente)

886

9

3

オプタムRx(Optum RX)

869

 

4

CVSケアマーク(CVS/Caremark)

864

 

4

エクスプレス・スクリプツ(Express Scripts)

864

 

※J.D.Power社調査

スーパーマーケット系ファーマシーは全ての企業が総合ランキングでも10位以内になっており、顧客から高い評価を得ていることが分かります。

アメリカは世界的にその高額な医療費で知られており、国民の多くはちょっとした体調不良や病気では病院には行かず医者と同等の医療知識と権限を持つ薬剤師に相談するという社会的背景があります。

2014年にオバマ前大統領が国民皆保険制度である医療保険制度改革法(オバマケア)をスタートしましたが、医療費および保険料が高すぎるため、いまだに保険未加入者が多いのが実情です。

このような環境下で、ドラッグストアに加えて食品を中心に取り扱っていたスーパーマーケットチェーンも専属の薬剤師を雇用し、病院よりも安く、基本的な医療サービスを受けることが可能な簡易クリニックを店舗内に開設し、年中無休・24時間等の体制で続々とファーマシー市場に参入をしています。

アメリカの薬剤師は処方権の他に、予防接種や血液検査などの基本的医療行為の権限を持っているため、病院に行かなくても近所のスーパーマーケットで医療サービスを受けることができ、処方薬も購入可能ということで今後もこの市場でのスーパーマーケットの存在感は高まるものと予測されています。

その中でも全ての業態を通じてトップ評価を獲得したウェグマンズは、様々な企業ランキングにおいて常に高い評価を得ていることで知られており、最近の例としては以下のような評価を得ています。

・マーケット・フォース社 〜 「米国人気スーパーマーケットランキング2019」3年連続1位

・ハリス・ポール社 〜 「最も評判の良いスーパーマーケット2019」1位

・フォーチュン誌 〜 「働き甲斐のある企業ランキング2019」3位(22年連続ランクイン)

このように顧客からも従業員からも大人気のスーパーマーケットチェーンのウェグマンズですが、処方薬の分野でも今回2年連続で最も顧客満足度が高い企業として選ばれたわけです。

ちなみにウェグマンズの過去5年間の同調査での結果は以下の通りでした。

年度

総合順位

ポイント

2015年

1

887

2016年

5

891

2017年

4

890

2018年

1

906

2019年

1

915


常に上位にランクインしておりますが、特に直近の2年でファーマシー部門の強化をしたことが顧客満足度のポイント数の伸びからも明白です。

その背景には2018年7月に、アマゾンがオンライン薬局のスタートアップ企業のピルパック(PillPack)社を買収し、約1,000億ドルといわれるオンライン薬局市場に本格的に参入を開始したことがあると考えられています。

ウェグマンズは、店舗のみならずオンラインでの処方薬や医療サービスの充実化に力を入れており、メンバー登録すると家族にも同等のサービスを受けることが可能となり、無料で全米各地への処方薬の配送などを提供しています。

ウェグマンズは、1916年にニューヨークのロチェスターで創業した家族経営のチェーンで、現在東海岸エリア6州で99店舗を展開していますが、今年の5月のメールマガジン「米国小売超激戦区の最新情報」でもご紹介した通り、9月29日にノースカロライナ洲のローリー(Raleigh)に初出店を予定しておりこれが同社の100店舗目となります。

また、10月28日にはニューヨーク市内で初の店舗をブルックリン(Brooklyn)のネイビーヤードにオープンする予定となっています。

高品質なサービスとデリ、ベーカリー、生鮮食品をはじめとする圧倒的な食の提案力で支持を得てきましたが、新たに医薬分野でも全米トップの顧客満足度を獲得したウェグマンズは今後も注目をして行きたいと思います。

(2019.09.17配信)

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最新・食のトレンド「植物由来食品」最前線!

今アメリカの食品業界ではPlant-Based foods〜植物由来食品(またはAlternative foods〜代替食品市場)が大きな注目を浴びており、ブームとなっています。植物由来食品とは、オート麦、米、アーモンド、大豆などを使ったチーズ、ヨーグルト、アイスクリームなどの代替乳製品や、大豆、えんどう豆、そら豆などを使った代替肉製品のことです。

以前からベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(絶対菜食主義者)を対象にした代替食品は存在していましたが、民間世論調査大手のギャロップ(Gallup)社のデータでは、ベジタリアンとビーガンの人口割合はわずか8%程度ということで、これまでは市場規模がそこまで大きくはありませんでした。しかし、アメリカの植物性食品協会(PBFA – Plant Based Foods Association)と代替食品の普及を推奨するNPO組織であるグッド・フード・インスティテュート(GFI - The Good Food Institute)による最新の発表によると、アメリカにおける植物由来食品のシェアが急速に伸びているということです。

2019年4月の統計によると、それまでの1年間に売り上げベースで11%の伸びを示し、その市場価値は約45億ドルに達しました。一般食品市場がわずか2%の伸びだったのに対して5倍以上のスピードで伸びていることが分かります。ちなみに2017年4月からの2年間で見た場合には37%の伸びとなることが分かりました。

以下の表は2018年4月から2019年4月までの1年間の主要カテゴリー別売上高と、成長率です。

◎主要植物由来食品カテゴリー別数値

カテゴリー

売り上げ      (億ドル)

成長率

ミルク

19.00

6%

肉類

8.01

10%

アイスクリーム

3.04

26%

ヨーグルト

2.30

39%

クリーマー(コーヒー用などの)

2.26

40%

バター

1.89

5%

チーズ

1.60

19%

調味料、ドレッシング、マヨネーズ

0.70

7%

スプレッド、サワークリーム、ソース

0.21

52%

0.06

38%

※PBFAデータによる

ミルクを筆頭とした乳製品と肉類がこの植物由来食品市場をけん引していることが分かりますが、この急速な成長の背景には次のような社会的要因があるとGFIは述べてます。

①     人類の2/3は程度の差こそあれ、乳糖不耐症(牛乳を飲むとお腹を壊す等)である

②     乳製品や肉類を提供する家畜類により排出される温暖化ガスによる環境汚染(車などの交通機関による二酸化炭素に比べて約4割多いと言われている)

③     動物愛護問題(食欲を満たすために殺処分される動物の保護)

④     動物性食品の摂取により引き起こされる肥満、高血圧、糖尿病や癌などの健康問題

そして何よりも、スタートアップ企業や既存の食品製造会社等が植物由来食品市場に参入するにあたり、トライ&エラーを繰り返し、食品にとって最も重要である‘味’が本来の動物性食品と区別がつかないレベルまで進化しました。こうした‘味’の進化により、今までのユーザーであったベジタリアンやビーガンだけでなく、上記の①〜④に関心を持つ一般消費者にも広く受け入れられるようになったことがこの成長の大きな要因だと思われます。

現在のアメリカにおける植物由来食品の市場では、代替乳製品が大きなシェアを占めていますが、イギリス・ロンドンを拠点とする市場調査会社のリポートバイヤー(ReportBuyer)社によると、代替肉類の市場は今後も2桁の伸びが予想されているということで、アメリカにおける‘代替肉’の市場は2024年には約30億ドルまで伸びるだろうと予測しています。

そしてこの調査結果を裏付けるように、アメリカの‘代替肉(Plant-based meat)’の市場に多くの企業が参入しています。主な参入企業と取り組みの概要をご紹介します

◎代替肉(Plant-based meat)市場参入企業

企業名

取り組み概要

ビヨンド・ミート(Beyond Meat)

カリフォルニア生まれのスタートアップで2009年に創業。ディカプリオやビル・ゲイツ等により支援されており、豆類を原料としたバーガー用パテ、ソーセージ、挽肉やクランブルは評価が高く、53,000店舗を超える小売店やレストランで販売あるいは利用されている。 代表的販売企業はアマゾン、ホールフーズ、クローガーおよびアルバートソンズ等。 2019年5月にナスダック市場に上場した。

インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)

スタンフォード大学の教授がシリコンバレーで2011年に起業したベンチャー企業で、「血の滴るようなバーガー肉」と形容されるリアルな代替肉を主に大豆プロテインから生成している。
主にバーガー・キング等の一部ファストフードチェーンでImpossible Whopperを販売していたが、今年の7月にFDA‐アメリカ食品医薬品局から同社のバーガーの小売店での販売認可を取り、9月から販売を開始する予定。

ネスレ(Nestle SA)

スイスを本拠とする世界最大規模の食品・飲料会社。 えんどう豆を原料としたベジバーガーのAwesome Burgerを2019年9月から10月に同社の植物由来食品ブランドのSweet Earthのブランド名で販売を開始する予定。 Awesome Burgerはすでにドイツのマクドナルドで販売されている。

タイソンフーズ(Tyson Foods Inc)

アーカンソー州拠点のアメリカ食肉の大手で、2019年6月からRaised & Rootedというブランド名にて、えんどう豆をはじめとする豆類と従来の肉類をかけ合わせた動物性たんぱく質の少ない独自のナゲットや、豆類と鶏肉をかけ合わせたミートボールとソーセージの販売を開始した。

メイプル・リーフ・フーズ(Maple Leaf Foods Inc)

カナダの食品大手で、子会社のGreenleaf FoodsからLightlifeのブランド名の植物由来バーガーとField Roastのブランド名の植物由来のソーセージ、バーガー、デリ、ミートローフおよびロースト肉などをホールフーズ、アルバートソンズ、ウェグマンズ等で販売している。

パーデュー・フーズ(Perdue Foods)

メリーランド州拠点の食肉処理大手で、カリフラワーやひよこ豆と鶏肉をかけ合わせた冷凍チキンナゲットの販売を9月以降に開始すると発表している。

スミスフィールド・フーズ(Smithfield Foods Inc)

バージニア州の食肉処理大手で中国の万洲が2018年に買収した。 大豆を原料としたバーガー、ミートボール、ソーセージ、挽肉などの商品ラインを発表しており、9月中旬以降にクローガー、スプラウツ・ファーマーズ・マーケット、ターゲットなどで販売を開始する予定。

ミートレス・ファーム(The Meatless Farm Co)

2016年に英国リーズで起業された植物由来肉に特化した企業で、すでに英国内ではセインズベリー、コープ、モリソンズ等で販売している。 えんどう豆、米、大豆を原料としたバーガーとひき肉をホールフーズの店舗限定で販売を開始しており、2020年にはソーセージも販売開始予定である。

このように今後も右肩上がりの需要が見込まれる植物由来食品ですが、上記のリストにもいくつかの小売り企業名が登場している通り、多くの小売り企業が植物由来食品の取り扱いに積極的に乗り出しています。ショッパーマーケティング大手のインマーケット(inMarket)社が、今年の3月〜5月にかけて「顧客が植物性由来の食品をどの小売り企業で購入しているか」について調査をした結果を発表しているのでご紹介します。

順位

企業名

1

ホールフーズ・マーケット(Wholefoods Market)

2

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)

3

スプラウツ・ファーマーズマーケット(Sprouts Farmers Market)

4

パブリクス(Publix)

5

ハリス・ティーター(Harris Teeter)

6

クローガー(Kroger)

7

ウィン・ディクシー(Winn Dixie)

8

アルディ(Aldi)

9

ストップ&ショップ(Stop & Shop)

10

ラルフス(Ralphs)


※inMarket社データ

インマーケット社は1年前にも同じ調査を行っており、その時の上位5社は次のような顔ぶれでした。

1位 ボンズ(Vons)

2位 パブリクス(Publix)

3位 スプラウツ・ファーマーズマーケット(Sprouts Farmers Market)

4位 クローガー(Kroger)

5位 ホールフーズ・マーケット(Wholefoods Market)

前回5位のホールフーズが今回トップになり、前回ランク外のトレーダー・ジョーズが2位になっています。これは、もともとオーガニック等のスペシャルティ・フードの取り扱いに定評のある、いわゆる‘専門企業’が本格的に植物由来食品に取り組み始めた結果だとしています。

一昨年アメリカに進出したリドル(Lidl)はすでに同社プライベートブランドの植物由来のバーガーをNext Level Meatというブランド名にて本国ドイツの約3,200店舗で8月から販売開始しており、アメリカの店舗での展開準備を着々と進めているというニュースもあります。

今後、ますます市場の拡大が期待される植物由来食品。この新たな食材のトレンドに引き続き注目して行きたいと思います。

(2019.09.02配信)

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米国競争激化地区ダラスの最新情報

前回のメールマガジン「グロサリー価格で見る!アメリカ住みやすい都市ランキング」でご紹介した通り、グロサリーを全国平均価格よりも安く購入できるトップ10都市のうち7都市がテキサス州の都市でした。今回は、店舗平均賃料の安さや、人口増加率の安定などによる州経済の活況等で、多くの小売企業が同州への進出や店舗網の拡大を計画している状況や、市場シェアの最新情報をご紹介します。

2019年7月のアメリカにおける賃貸住宅平均賃料の前年同時期からの値上がり率の平均は3.4%ですが、ダラス地区の値上がり率は3.0%と穏やかになっています。ダラスを含めたテキサス州北部では現在も43,000カ所以上の賃貸物件の建設が進められているということです。これは、不動産管理業界向けソフトウェア開発大手のヤーディ・システムズ(Yardi Systems Inc.)社の最新の調査によるものです。

また、カリフォルニア、テキサス、フロリダ等全米8州で200万件以上の賃貸物件の仲介を行っているアパートメント・リスト(Apartment List)社によると、全米平均の1ベッドルームの平均賃料が1ヵ月959ドルなのに対して、テキサス州の平均賃料は857ドルということで、住みやすい条件となっています。

このように衣食住が全米平均よりも安価で手に入るということで、今後も小売業にとっての顧客となる住民のテキサス州への流入は増えていくものと予測されています。

ダラス地区は賃料の安さや顧客の増加などの好条件によって、小売り企業にとっては非常に条件の良い地区であり、小売り企業間の競争は激しくなっています。

昨年11月のメールマガジン「小売り激戦区、ダラスの最新情報」にて、好条件を背景として、多くの企業が様々な取り組みを行っているということをご紹介しました。ダラス地区の地元紙であるダラス・モーニング・ニュース(The Dallas Morning News)社の電子版のダラス・ニュース(Dallas News)が最新の小売り市場についてまとめているのでご紹介します。以下がダラス地区の最新マーケットランキングです。

2019年順位 2018年順位 企業名 2019年
店舗数
2018年
店舗数
2019年
シェア
2018年
シェア
動向
1 1 ウォルマート(Walmart) 151 137 28.6% 27.4%
2 2 クローガー(Kroger) 101 98 15.3% 15.4%
3 3 トム・サム(Tom Thumb) 61 65 7.8% 8.7%
4 6 コストコ(Costco) 12 11 5.2% 5.0%
5 4 ターゲット(Target) 49 47 5.1% 5.0%
6 5 サムズ・クラブ(Sam's Club) 24 23 4.9% 4.8%
7 7 アルバートソンズ(Albertsons) 34 35 3.8% 4.2%
8 8 フィエスタ・マート(Fiesta Mart) 28 27 3.5% 3.7%
9 11 H-E-B, セントラルマーケット(H-E-B, Central Market) 13 10 3.1% 2.2%
10 9 ウィンコ・フーズ(Winco Foods) 10 10 3.0% 3.2%
11 12 ホールフーズ(Whole Foods) 14 14 2.2% 2.5%
12 10 スーパー1(Super 1) 32 32 2.1% 2.2%
13 14 アルディ(Aldi) 60 57 1.9% 1.9% -
14 13 スプラウツ・ファーマーズマーケット(Sprouts Farmers Market) 23 23 1.9% 2.0%
15 15 トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's) 9 9 1.3% 1.4%
16 16 マーケット・ストリート(Market Street) 9 8 1.2% 1.1%


約175億ドルと言われるダラス・フォートワースを含めた北テキサス地区の小売り市場ですが、ダラス・ニュースは全国チェーンのウォルマートと地元テキサスで約400店舗を展開するH.E.B./セントラルマーケットの2社の躍進と、ホールフーズの伸び悩みを大きな特徴としてピックアップしています。

ウォルマートもH.E.B./セントラルマーケットも、今年3月のメールマガジン「急増する店舗ピックアップ ‘BOPIS’最前線」でご紹介した、オンラインで注文した商品を店舗で受け取るサービスを急速に拡大しています。

ウォルマートはこの1年で20店舗以上の改装を実施し、新店舗はフリスコ(Frisco), プロスパー(Prosper), フォートワース(Fort Worth)等に14店舗をオープンしました。更に、技術センターをプレイノとダラスにオープンし、オンラインへの対応を強化しています。

セントラルマーケットは昨年秋にダラスに新店舗をオープンしています。H.E.B.はフォートワース郊外の激戦区の一つであるバーレソン(Burleson)の店舗を改装するとともに店舗ピックアップも追加しています。新店舗もフォートワース近郊のハドソン・オークス(Hudson Oaks)にオープンしており、6月にオースティン(Austin)にテクノロジーセンターを開設し、2カ所目をサン・アントニオ(San Antonio)にて建設中とのことで、こちらもデジタル対応へ抜かりは無いようです。

ホールフーズについては、昨年からプライム会員への無料配送の拡大や、一部商品の値下げなどを続けているものの、アマゾンによる買収以降、シェアを落としています。理由について精査が必要としながらも、ホール・ペイ・チェック(給料の殆どを費やしてしまう)と言われるように、いまだにぬぐい切れない「高価格」というイメージが影響しているようです。、今後1年半(18か月)以内に別のローカルチェーンを買収し、新たな実店舗強化策をとるという予測も出ています。

その他の動きとしては、3位のトム・サムは全国チェーンのアルバートソンズの傘下企業ですが、この1年間でコッペル(Coppell), デ・ソート(DeSoto), フラワー・マウンド(Flower Mound), アービング(Irving), フォートワース(Fort Worth), グランド・プレーリー(Grand Prairie)の不採算店舗をクローズし、収益率の改善を進めています。同時に、昨年、今年とダラスには新店舗をオープンしています。また、昨年は9店舗、今年は16店舗を改装しており、巻き返しを図っているということです。

今後リドルの進出も予想されており、引き続きダラス地区の小売り市場に注目していきたいと思います。

競争激化しているダラス地区のご視察をご希望の方は、ぜひお問合せ下さい。

最後に、小売りの調査ではなく余談となりますが、産業機器を取り扱う大手企業のケンプラー・インダストリー(Kempler Industries)社が、全米の人口15万人以上の200都市以上を対象にした「最も働き者の多い都市トップ10」を発表しています。ランキングトップ10の中に、テキサス州の7都市が上位にランクインするという結果になりました。

以下の5項目についてそれぞれ20点を満点として採点し集計されています。

①平均通勤時間、②16歳〜64歳の労働人口、③1週間平均労働時間、④65歳以上の労働人口、⑤未使用休暇の日数

こうした点もテキサス州の躍進につながっているのかもしれません。

※働き者の多い都市ランキング(by Kempler Industries)
順位 都市名(州) 総合指数
1 ワシントンDC 90
2 ダラス(テキサス州) 88.7
3 ダラス(テキサス州) 83.7
4 グランド・プレーリー(テキサス州) 83.7
5 ヒューストン(テキサス州) 82.5
6 ガーランド(テキサス州) 81.2
7 サン・フランシスコ(カリフォルニア州) 81.2
8 アーヴィング(テキサス州) 80
9 アーリントン(テキサス州) 78.7
10 ニューヨーク(ニューヨーク州) 78.7
その他主な都市
13 オースティン(テキサス州) 76.2
14 フォートワース(テキサス州) 76.2
19 バージニアビーチ(バージニア州) 75
20 ボルティモア(メリーランド州) 73.7
22 シカゴ(イリノイ州) 73.7

(2019.08.19配信)

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グロサリー価格で見る!アメリカ住みやすい都市ランキング

アメリカの地域経済をあらゆる角度から調査している、地域経済研究評議会(C2ER – Council for Community andEconomic Research)が、北米の主要257都市で販売されているグロサリー商品の価格を調査して、全都市の平均価格に対して安く購入できる都市と高額な都市をランキング形式で発表していますのでご紹介します。

※ここでいうグロサリーの主な商品群は以下の通りです。

・ステーキ   ・ひき肉   ・ソーセージ   ・フライドチキン    ・ツナ缶   ・卵   ・マーガリン   

・パルメザンチーズ   ・ポテト   ・バナナ   ・レタス   ・オレンジジュース   ・コーヒー   

・砂糖   ・クッキングオイル   ・ティッシュ  ・ポテトチップ

以下は全都市の平均価格より安くグロサリーを購入できる都市のランキングです。生活をしやすい、また住みやすい都市のランキングとも言えるのではないでしょうか。

上位10都市のうち7都市がテキサス州の都市というところが大きな特徴となっています。

昨年11月のメールマガジン「小売り激戦区、ダラスの最新情報」でもご報告した通り、ダラス・フォートワースを中心としたテキサス州は、以下の理由により多くの小売り企業が注目しており、企業間の価格競争が激しくなっています。

①小売店舗の年間平均賃料が安価である
中心部のハイランドパークでも1平方フィート当たり約175ドルと、マンハッタンの17分の1、ロサンゼルスの5分の1と破格である。

2010年以降の人口増加が顕著である
アメリカ合衆国国税調査局のデータでは、2010年から2017年までの人口増加率が15.15%と報告されている。ニューヨーク地区の3.85%、ロサンゼルス地区の4.09%と比べ大幅に増えている状況である。特に2016年単年で、新たに14万3千人強が転入している。

10年間で経済状況が大きく変化している
2006年から2016年の10年間での経済状況の変化において、全米都市の中で最も変化した都市ランキングの2位となっている。アメリカ合衆国商務省経済分析局のデータでは、トヨタ自動車の工場をはじめとする企業の流入や、犯罪率の43%減少、平均所得の23%のアップ等の影響により、2011年以降毎年約4%前後の経済成長率を実現している。

さらに商業用不動産サービス大手のジョーンズ・ラング・ラサール(JLL-Jones Lang LaSalle)社の最新のデータによると、昨年1年間の商業用小売店舗不動産は北米全体で29.4%伸びており、その内フロリダ州の9.7%に次いでテキサス州とカリフォルニア州がそれぞれ7.8%伸ばしているということです。このことからもわかる通り、実際に店舗数が急速に増えています。

1位のテンプル、2位のウェーコおよび5位のラウンドロックは、ダラス・フォートワースとオースティンを結ぶルート上に位置しており、一日で移動が可能な距離となっています。

価格の高い10都市のランキングは以下の通りとなっており、ホノルルは圧倒的にグロサリー価格が高い都市ということがわかります。

今年の3月のメールマガジン「注目!ハワイ最新小売りマーケット」でもご紹介しましたが、ハワイの食料自給率は約15%と極めて低いため、自給率100%の本土からの輸入に頼らざる得ないことが最大の理由だと思われます。

すでに大手小売り企業を中心にハワイ州各島内での食料供給率を高める取り組みが進められているので、今後の動向に注目していきたいと思います。

また、アメリカ訪問の際に、こういったデータを参考に商品価格の比較をすることも興味深いのではないでしょうか。

(2019.08.01配信)

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発表!2019年全米小売業売上高ランキング

小売業の様々なランキングの中でも毎年特に注目を集めているのがNRF(全米小売業協会)による全米小売業ランキング。

先日、2019年版が発表されましたのでご紹介いたします。

2019年

順位

昨年

順位

全米小売業売上高ンキング

売上高(全米)

単位(10億ドル)

1

1

ウォルマート

$387.66

2

3

アマゾン

$120.93

3

2

クローガー

$119.70

4

4

コストコ

$101.43

5

6

ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス

$98.39

6

5

ザ・ホームデポ

$97.27

7

7

CVSヘルスコーポレーション

$83.79

8

8

ターゲット

$74.48

9

9

ロウズ

$64.09

10

10

アルバートソンズ

$59.71

11

12

アップルストアーズ/アイチューンズ

$47.27

12

11

ロイヤルアホールド・デレーズUSA

$43.80

13

13

ベストバイ

$39.19

14

14

マクドナルド

$38.53

15

15

パブリクス

$36.52

16

16

TJX

$29.59

17

17

アルディ

$28.78

18

19

ダラーゼネラル

$25.63

19

18

メイシーズ

$24.90

20

20

H-E-B

$24.02

21

21

ダラーツリー

$22.48

22

24

ベライゾン・ワイヤレス

$22.26

23

23

コールズ

$19.17

24

25

YUM!ブランズ

$18.63

25

26

マイヤー

$17.69

26

28

スターバックス

$17.41

27

27

エース・ハードウェア

$17.32

28

29

ウェイクファーン/ショップライト

$16.57

29

32

セブン・イレブン

$16.51

30

35

AT&T ワイヤレス

$16.41

2019年版のランキングのトップ10企業は昨年と変わらず、順位の入れ替わりのみとなりました。今回初めて2位となったアマゾンは、一昨年が7位、昨年が3位と順位を上げてきており、1位のウォルマートには及びませんが、小売業界では最も破壊力・影響力のある企業です。アマゾンはありとあらゆるベンダーやサプライヤーからの商品をオンラインと実店舗の両方で販売しています。さらに、アマゾンは電子書籍や出版物、デジタルミュージックやビデオ、ストリーミングエンターテイメントなど、目に見えない商品やサービスを販売しています。サービスの提供が小売業となるかについては議論があるようですが、売り上げの伸びているサービスの提供に小売業が進出することは多くの小売企業でありえることであろうとされています。

1位のウォルマートは、小売業界の王者であるために様々な取り組みを行っています。昨年から照明の照度を上げる、通路を拡大する、セルフチェックアウトを導入するなどの取り組みを行っており、今年は500店舗で同様の取り組みを実施する予定となっています。また、店舗清掃ロボット、対話型ディスプレイの設置、AIを活用した店舗棚の在庫管理のテストも行っています。

ランキング上位を守る企業も、積極的に消費者ニーズに合わせた取り組みを行っており、今後のアマゾンの成長と共に引き続き注目していきたいと思います。

(2019.07.16配信)

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2019年の受賞SC決定!国際SC協会ヨーロッパアワード

ICSC(International Council of Shopping Centers 国際ショッピングセンター協会)がカテゴリー別に選定する賞で、ヨーロッパ内の受賞SCが発表されました。ICSCの表彰は1977年から40年続く、歴史ある賞です。各受賞SCの概要と合わせ、改装/拡張大型・超大型SCの部門で入賞したドイツ・ミュンヘンの「ペップ・アインカウフスツェントゥルム」とフィンランド・エスポーの「イソ・オメナ」を ご紹介します。

pep-Einkaufszentrum ペップ・アインカウフスツェントゥルム ※改装/拡張(大型SC)部門 表彰

PEPはミュンヘンの南東部にある既存店で、ドイツのショッピングセンターの中でも業績の最も良い施設として位置付けられています。2年をかけた改装と拡張には8,500万ユーロ(約104億2,000万円)が投資されました。具体的には、約8,000㎡の拡張、SC内の全体的なインテリアの刷新などを実施しています。更に、暖色系の色調や、休憩やラウンジスペースの強化、特徴的な照明コンセプトも採用されており、ガラスのドームに覆われた広場スペースには目を引くライティングやデザインの要素が盛り込まれています。

Iso Omena イソ・オメナ ※改装/拡張(超大型SC)部門 金賞、RESOURCE賞 

イソ・オメナはGLA(総賃貸可能面積)として約40,000㎡を確保するため、2億7000万ユーロ(約303億9,000万円)をかけて、4年間にも及ぶ拡張と再開発プロジェクトを実施しました。このプロジェクトの目玉は、フィンランドでは初めとなる3,000席を新たに設けたダイニングエリアの「M.E.E.T(meet, eat, enjoy, together)」であり、更には6,000㎡の図書館、健康センター等の公共施設が入居していることです。

カテゴリー:新店(小型/中型SC

SC名

(REGENERATION賞)
Catharinasteeg
カナリーナステーグ

(金賞)
Muse
ミューズ

国・地域

オランダ、ライデン

フランス、メッツ

ディベロッパー

MRP Development

Apsys

総賃貸面積

5,246㎡

37,025㎡

テナント数

10

115

主なテナント

H&M, Zara Home, Via Mio, O’Shop,
 Barista Café and Yoghurt Barn

Primark, Uniqlo, Carrefour Market, Habitat,
Superdry, Sephora,Nyx, Hema,

HP

http://catharinasteeg.nl/

https://www.muse-metz.fr/

カテゴリー:新店(大型SC

SC名

(金賞)
Adigeo
アディゲオ


Forum Gdańsk
フォーラム・グダニスク

国・地域

イタリア、ヴェローナ

ポーランド、グダニスク

ディベロッパー

ECE in cooperation with CDS Holding SpA
 (Erbusco BS)

Multi Poland

総賃貸面積

47,000㎡

62,000㎡

テナント数

132

205

主なテナント

Primark, ZARA, H&M, Media World and Interspar

Reserved, Cropp House, Mohito, Sinsay,
Helios Cinema, VAN GRAAF,TK Maxx, H&M,

HP

https://www.adigeo.com/

https://forumgdansk.pl/

 カテゴリー:既存店(超大型SC

SC名

Highcross ハイクロス

国・地域

英国、レチェスター

ディベロッパー

Hammerson plc

総賃貸面積

97,519㎡

テナント数

152

主なテナント

Apple, John Lewis, Debenhams, Zara, Hugo Boss, Next, H&M, Topshop, Superdry, River Island

HP

https://www.highcrossleicester.com/

カテゴリー:改装/拡張(小型/中型SC)

SC名


Smart Park
スマート・パーク

(金賞)
CascaiShopping
カスカイショッピング

国・地域

ギリシャ、アテネ

ポルトガル、カスカイス

ディベロッパー

REDS S.A. (Yialou Emporiki & Touristiki S.A.)

Sonae Sierra and Multiplan

総賃貸面積

35,764㎡

73,801㎡

テナント数

60

199

主なテナント

Zara, Jumbo, Sklavenitis, Hondos Center

Area, C&A, Bershka, Continente hypermarket,

HP

http://www.smartpark.com.gr/

https://www.cascaishopping.pt/

カテゴリー:改装/拡張(大型SC/超大型SC)

SC名

(大型)
pep-Einkaufszentrum
ペップ・アインカウフスツェントゥルム

(超大型:金賞、RESOURCE賞)
Iso Omena
イソ・オメナ

国・地域

ドイツ、ミュンヘン

フィンランド、エスポー

ディベロッパー

ECE Projektmanagement GmbH & Co. KG

Citycon Oyj

総賃貸面積

70,100㎡

101,200㎡

テナント数

138

469

主なテナント

eek&Cloppenburg, H&M, C&A, Kaufland

Hypermarkets Citymarket and Prisma

HP

https://www.pep-muenchen.de/

https://www.isoomena.fi/

(出典:ICSC公式HP, “2019 European Shopping Centre Awards Winners”より)

ICSCにはヨーロッパ・アワードの他にも、アジア・パシフィック・アワードなどの地域ごとのアワード、デザインや持続可能性(サステイナビリティ)に関するアワードなどがあります。今後も各地域の受賞SCに注目していきたいと思います。

(2019.07.01配信)

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米国スーパーのプラスチックごみ削減ランキング

プラスチックごみの削減は、いまや世界的に取り組むべき喫緊の課題として取り上げられています。

全世界で一年間に排出されるプラスチックごみは3億トンを超えていると言われており、環境省のデータでは日本は年間900万トン以上のプラスチックごみを排出しているということです。

アメリカ合衆国環境保護庁(EPA – United States Environment Protection Agency)のデータによると、2015年のアメリカのプラスチックごみの排出量は約3,450万トンということで、リサイクル率はわずか9.1%、埋め立てに利用されるのも26%ということで、早急なプラスチック製品そのものの削減が重要だとしています。

このような状況の中で、ワシントンD.C.を拠点とする国際的環境NGO組織であるグリーンピース(Greenpeace)が、今回初めての取り組みとして、アメリカを代表するスーパーマーケットチェーン20社を対象にして、プラスチックごみの削減への取り組み状況を調査し、「2019 Supermarket Plastics Scorecard」というタイトルでポイントランキングを発表しています。


上位10社のランキングは以下の通りです。

※グリーンピースデータより

今回グリーンピースは、特に使い捨てプラスチックごみに対する各企業の取り組みを、以下の4つの項目をそれぞれ100ポイントを満点として評価し、その平均値を出しているということです。

①     プラスチックごみ削減に対する企業方針

②     実際に実行されている削減への取り組み

③     削減のための独自の仕組みづくり

④     削減への取り組み方針や仕組み等の情報公開(透明性)

昨年4月のメールマガジン「米国小売店の食品廃棄通知表」で最低ランクだったアルディが、今回34.6ポイントでトップになりました。

ただ驚くことに、今回のこのスコアは100ポイントを満点としているということで、グリーンピースによると、今回の評価を行う際に、最低限の‘合格’ラインを40ポイントに設定したということですが、トップのアルディでさえその合格ラインに到達しないという結果になりました。

言い換えると、プラスチックごみの削減は一朝一夕でできるようなものではなく、今後多くの企業努力を重ねていかない限り、この問題は到底改善されないものだと言えるのかもしれません。

今回合格ラインに到達していないとはいえ、トップになったアルディが、他社よりも優れていたのは、具体的な削減目標を数値と共に設定し、広く消費者をはじめ一般に公開しているという点ということで、この情報公開(透明性)の部分で53.2ポイントという比較的高い評価を得ています。

アルディは販売している商品の90%以上が自社商品(プライベートブランド)ということで知られていますが、同社は今年の4月に、2025年までに達成する具体的な削減プランを以下の通り発表しました。

・2025年までに全ての自社製品のパッケージをリユース、リサイクルあるいはコンポスト可能なものに変更する

・2025年までに自社製品を含むすべての商品のパッケージ自体を15%削減する

・2020年までに自社製品を含むすべての商品のパッケージをハウツー・リサイクル(How2Recycle)【※】認証のものに限定する

【※】How2Recyle : リサイクルが可能な製品にラベルを貼ることで、消費者に正しいリサイクル方法をわかりやすく案内するというプロジェクト推進団体

アルディは、2018年1年間でプラスチックをはじめ、紙類、段ボール、メタル等約25万トン以上のリサイクルを実行しているということで、環境先進国ドイツの企業らしさを発揮しているのではないでしょうか?

北米35州で約1,900店舗を展開するアルディは、現在約53億ドルを投じた5か年計画の真っ只中で2022年までに店舗数を2,500店舗まで増やし、ウォルマートクローガーに次いで店舗数で3番目の地位を狙っていますが、その計画の重要な項目の一つとして今回のプラスチック削減を含めた環境への対応というのも含まれているということです。

ちなみに以下は11位から20位までのスコアです。

今回グリーンピースにより実施されたプラスチックごみ削減への取り組み評価は、前述の通り初めての試みとなりましたが、今後も定例で調査が行われていくようですので、引き続き注目をしていきたいと思います。

(2019.6.17配信)

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米国食品小売企業売り上げランキング2019

アメリカの小売り業界誌大手のProgressive Grocer(プログレッシブ・グローサー)が発表した、米国食品小売企業の年間売上高ランキングのトップ25企業をご紹介します。このランキングは、世界的な調査会社であるニールセン社の中の小売消費者動向を調査しているTDLinx社が集計したものが基となっているランキングです。今回のデータ集計は年間200万ドル以上の売り上げのある、スーパーマーケットに分類される企業を対象としており、コンビニ、ドラッグ等の売上は含まれていません。そのため、コストコ、サムズ・クラブやBJ‘Sホールセールクラブなどは集計の対象外となっています。

1〜6位までの企業は昨年のランキングから変化はありませんが、7位以降は特に独立系の小売企業の躍進が見られましたので、詳しくご紹介させていただきます。

まず、トップ10企業の昨年からの大きな変動は、7位にランクインしたマイヤー(Meijer)で、昨年の12位から5つ順位が上がっています。また、昨年8位だったアマゾンはアルディに抜かれ、10位となりました。アルディは幅広いプライベート・ブランドの品ぞろえを武器に、米国でのハードディスカウンターとして影響力を確固たるものにしています。また、アルディには及びませんが、同じドイツ発祥のハードディスカウンターであるリドルは昨年のランキング外から56位へランクインしています。

また、11位以降のランキングでは、Hy-Vee(ハイビー)が昨年より3つ順位を上げて12位、Giant Eagle(ジャイアント・イーグル)は2つ順位をあげて14位となっています。他にも、多くの特定地域に絞って出店している独立系の食品小売企業がランキングを上げています。

下位企業は消費トレンドについていくため、より懸命な取り組みがみられ、これは、独立した経営だからということではなく、地域の買い物客のニーズに合わせ、トップの大手企業に真似できない力を示してきたことが大きいとのことです。地域のニーズに合わせることは、そのマーケットエリアを尊重し、年月をかけて地元消費者の要望に応えてきたからこそできることでもあります。

ただ、こうした独立系企業が全て業績を伸ばしているわけではなく、より小規模の小売企業の影響を受けて、特定のエリアで伸び悩んでいる企業もあります。

また、今年のランキングにはM&Aも大きく関わっています。トップ25には入っていませんが、30位にはUNFIが初めてランクインしており、これはスーパーバリューを2018年10月に買収したことによります。また34位にはヒスパニック系に特化した食品小売企業であるボデガ・ラティーナが別のヒスパニック系企業を買収したことにより、順位をあげてランクインしています。ボデガ・ラティーナは、アメリカのヒスパニック系食品小売業としては最大となります。

このように、トップ10までには見えない変化が下位で起きており、さらに加速していくであろうとみられています。今後の動向がとても注目されます。

米国食品小売企業年間売上高ランキング

2019年

順位

2018年

順位

企業名

年間売上高(億ドル)

1

1

Walmart Inc.(ウォルマート)

5,144.10

2

2

The Kroger Co.(クローガー)

1,211.62

3

3

Albertsons Cos. Inc.(アルバートソンズ)

  621.79

4

4

Ahold Delhaize USA(アホールド・デレーズ)

  480.90

5

5

Publix Super Markets Inc.(パブリクス)

  361.00

6

6

H.E. Butt Grocery Co.(H.E.バット)

  260.00

7

12

Meijer Inc.(マイヤー)

  174.00

8

7

Wakefern Food Corp.(ウェイクファーン)

※ショップライト等を運営

  165.00

9

9

Aldi Inc.(アルディ)

  160.53

10

8

Amazon (as Whole Foods Market)

(ホールフーズとしてのアマゾン)

  158.89

11

10

Trader Joe’s Co.(トレーダー・ジョーズ)

  116.65

12

15

Hy-Vee Food Stores Inc.(ハイビー・フード・ストア)

  102.00

13

11

Southeastern Grocers LLC

(サウスイースタン・グローサーズLLC)

※Winn-Dixie等を運営

   90.55

14

16

Giant Eagle Inc.(ジャイアント・イーグル)

   89.00

15

13

Target Corp.(ターゲット)

   74.02

16

14

Wegmans Food Markets Inc.

(ウェグマンズ・フード・マーケット)

   69.73

17

17

WinCo Foods Inc.(ウィンコ・フーズ)

   58.90

18

25

Demoulas Super Markets Inc.

(デモウラス・スーパーマーケット)

※Market Basketを運営

   52.00

19

23

Save Mart Supermarkets Inc.

(セーブマート・スーパーマーケット)

   47.73

20

20

Smart & Final Inc.(スマート&ファイナル)

   47.41

21

19

Defense Commissary Agency (DeCA)

(ディフェンス・カミサリー・エージェンシー)

※米国防物品販売局

   47.00

22

22

Sprouts Farmers Market

(スプラウツ・ファーマーズ・マーケット)

   46.13

23

21

Stater Bros. Markets(ステーター・ブロス・マーケッツ)

   43.80

24

30

Ingles Markets Inc.(イングレス・マーケッツ)

   40.92

25

24

Golub Corp.(ゴラブ)

※Price Chopper等を運営

   38.41

(Nielsen TDLinx社、2019年3月発表; Progressive Grocer Market Research, 2019より)

(2019.5.31配信)

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米国小売超激戦区の最新情報

ここ数年、小売り激戦区の一つとして注目されているノースカロライナ州のトライアングル地区ですが、新たな動きが出ていますので、ご紹介します。
トライアングル地区とは、ノースカロライナ州のローリー(Raleigh)、ダーラム(Durham)およびチャペルヒル(Chapel Hill)に囲まれた三角地帯のことで、ここ数年ロサンゼルス並みの小売りの超激戦区となっています。当社のメールマガジンでも過去2度にわたって特集をしてきました。

①2017年6月 「新激戦区!米国ノースカロライナの小売事情

②2018年8月 「クローガーが撤退!食品小売超激戦区・ノースカロライナ

 トライアングル地区の中でも特にローリー市は、2010年から2018年の期間の人口の増加率が20.5%であり、全米で10番目だったということが、アメリカ合衆国国勢調査局(The U.S. Census Bureau)の2018年7月度の最新のデータとして発表されています。また、商業用不動産投資大手のマーカス&ミリチャップ(Marcus & Millichap)社の最新のレポートでも、今後の人口の継続的な増加や不動産価格の安定度等から、ローリーはシアトルとサンフランシスコに次いで全米で3番目に小売り企業向けの不動産投資に最も適した都市であると報告しています。

昨年8月のメールマガジンでは、全米最大のSMチェーンであるクローガー(Kroger)があまりの競合の激しさのため、トライアングル地区から撤退を決めたという大きなニュースをご報告しました。クローガーはローリーおよびダーラムで展開していた14店舗の同社バナーでの営業をすでにストップしていますが、それまで8.2%の市場シェアを占めていたクローガーをひいきにしていた、いわゆるロイヤルカスタマー達が撤退後にどの店舗に流れたのかを含め、その後の同地区の小売市場の動向について、ローリーの地元紙であるローリー・ニュース&オブザーバー(Raleigh News & Observer)紙が2019年4月の電子版にてレポートしています。

また、今年の9月には全米で最も人気のあるスーパーマーケットのウェグマンズ(Wegmans)が、ノースカロライナ州への1号店をローリーに出店することが決まっており、2年前のバージニア州リッチモンド(Richmond)に続いて同じマーケットにて、人気を二分するパブリクス(Publix)と近距離で競合することになり、さらに大きな注目を浴びることが予想されます。

以下は小売り企業データ大手のチェーンストア・ガイド(Chain Store Guide)社による2018年度のローリーにおける小売市場シェアです。

※2018年ローリー市(Raleigh)小売市場シェア

企業名

増減

2018年度市場シェア

2017年度
市場シェア

ウォルマート・スーパーセンター(Walmart Supercenter)

+0.3%

20.3%

20.0%

フード・ライオン(Food Lion)

+0.7%

19.2%

18.5%

ハリス・ティーター(Harris Teeter)

+0.3%

16.7%

16.4%

クローガー(Kroger)

-

(撤退)

8.2%

コストコ(Costco)

+0.5%

5.2%

4.7%

ターゲット(Target)

+2.9%

6.5%

3.6%

ホールフーズ(Whole Foods)

+0.8%

3.3%

2.5%

パブリクス(Publix)

+1.5%

3.7%

2.2%

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)

-

1.3%

1.3%

ウォルマート・ネイバーフード・マーケット(Walmart Neighborhood Market)

-

1.2%

1.2%

ダラー・ジェネラル(Dollar General)

-

1.2%

1.2%

ダラー・ツリー(Dollar Tree)

-

1.1%

1.1%

アルディ(Aldi)

+0.3%

1.3%

1.0%

リドル(Lidl)

+0.4%

0.8%

0.4%


※Chain Store Guide社データ

表で明らかなように、ターゲット(Target)がここ1年で大きくシェアを伸ばしています。

チェーンストア・ガイド社によると、これはターゲットがここ数年集中的に行ってきた店舗の改装による食品等の商品ディスプレーのグレードアップと、アーチャー・ファームズ(Archer Farms)をはじめとする同社のプライベートブランドの充実化による価格の引き下げなどの地道な努力により、それまでクローガーをひいきにしていた目の肥えた顧客の獲得に成功したのだろうと評価しています。

実際、もう一つの激戦エリアのダーラムにおいても、ターゲットは2017年の3.1%の市場シェアを1年間で9.2%にまで伸ばしていることからもわかります。

2番目にシェアを伸ばしているパブリクスはローリー市のあるウェイク郡(Wake County)で昨年新たに2店舗を新規にオープンしており、今後もトライアングル地区に新店舗の出店を加速する方針ということです。

また、前述の通り同社の最大のライバル企業であるウェグマンズが、今年の9月のローリーへの進出を皮切りに、ケーリー(Cary), チャペルヒル(Chapel Hill)等への出店準備を進めています。この両社の競合をはじめ、シェアを着々と伸ばしているドイツ発のディスカウントチェーンのアルディ(Aldi)リドル(Lidl)、そして地元を代表するフードライオン(Food Lion)とクローガー店舗を一部引き継いだハリス・ティーター(Harris Teeter)などによるシェア争いに、今後も注目をしていきたいと思います。

(2019.5.15配信)

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トレーダー・ジョーズで買い物上手?店内買い物満足度ランキング

北米の食品小売り企業で最も優れた「店内買い物体験(インストア・ショッピング・エクスペリエンス)」を提供しているのはどの企業か、という調査の結果が発表されていますので、ご紹介します。この調査は、イスラエルに本社を持ち、ニューヨークとロンドンを拠点に小売り企業に対するビジネス・ソリューションを提供しているコンサル企業のCB4社が、約1,500人の消費者を対象に6か月間にわたり、実施したものです。

この調査では、対象となった全消費者による評価を以下の3つのカテゴリーごとにまとめ、それぞれ上位5社を発表していますので、ランキング形式でご紹介します。

【カテゴリー別ランキング】

① 商品在庫充実度:常に欲しいものが購入できたかどうか(パーセント表示)

1

エイチイーバット(H-E-B)

52%

2

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)

47%

3

アルディ(Aldi)

44%

4

パブリクス(Publix)

42%

5

ウォルマート(Walmart)

41%

②     商品陳列方法〜欲しい商品が簡単に見つかったかどうか(5点満点)

1

ウォルマート(Walmart)

3.84

2

パブリクス(Publix)

3.78

3

クローガー(Kroger)

3.62

4

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)

3.59

5

エイチイーバット(H-E-B)

3.56

③ 全体的な店内での買い物満足度(5点満点)

1

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)

4.32

2

パブリクス(Publix)

4.24

3

クローガー(Kroger)

4.05

4

アルディ(Aldi)

3.90

5

エイチイーバット(H-E-B)

3.87

また、これらのカテゴリー別の評価を、CB4社が100点満点に数値化してまとめた上位10社は、以下の通りです。

【総合ランキング上位10社】

1

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)

68.47

2

パブリクス(Publix)

67.76

3

エイチイーバット(H-E-B)

67.08

4

ウォルマート(Walmart)

65.10

5

アルディ(Aldi)

64.12

6

フードライオン(Food Lion)

58.48

7

セーフウェイ(Safeway)

58.24

8

ホールフーズ(Whole Foods)

56.64

9

アルバートソンズ(Albertson's)

55.16

10

クローガー(Kroger)

46.60

今回総合評価でトップに選ばれたのは、それぞれのカテゴリーで高い支持を得たトレーダー・ジョーズでした。

今回の調査の重要な目的の一つは、アマゾンに代表されるデジタル・ネイティブ企業による急速な勢力拡大により、多くの小売り企業がデジタル化への対応に力を入れている中で、実際に店舗で買い物をしている消費者はどのように企業を評価しているのかについて数値化するということでした。その中で、デジタル化とは最も距離を置いているトレーダー・ジョーズがトップに選ばれたというのは非常に興味深い結果ではないでしょうか。

【食品のオンラインでの購入について】

オンラインでの食品購入は伸びているものの、食品小売り専門の調査会社ブリック・ミーツ・クリック(Brick Meets Click)社の昨年の調査によると以下のような数値も発表されています。

・北米での食品小売り全体に占めるオンライン売り上げシェアは5.5%

・オンラインで食品を購入したことのある家庭の割合は約30%

また、システム管理を専門として消費者動向なども調査しているヴィクソー(Vixxo)社による最新の調査によると、オンラインによる食品購入という新たな選択肢が増えているものの、同社がヒアリングを行った約1,260人の消費者のうち87%が食品は実店舗で購入したいと回答しているということです。

【トレーダー・ジョーズの強みについて】

上記のような社会的な背景もあり、やはり食品については実店舗での購入が好まれている傾向がわかりますが、それ以外にもトレーダー・ジョーズが顧客に高い支持を得る理由をご紹介します。

①プライベートブランドによる圧倒的な商品力

昨年10月のメールマガジン「米国消費者に人気のプライベートブランド(PB)は?」では、トレーダー・ジョーズがトップになったことをお伝えしました。更に、この結果を裏付けるように、昨年末にカナダのトロントを拠点にする市場調査会社のブランドスパーク・インターナショナル(Brand Spark International)社が行った「最優秀新製品賞(The Best New Product Awards)」においてトレーダー・ジョーズとアルディがトップに選ばれました。

トレーダー・ジョーズの新商品から選ばれたのは以下の3点です。

・BBQ Seasoned Spatchcocked Chicken (バーベキュー風味スパッチコックチキン)

・Organic Italian Artisan Pasta (オーガニック・イタリアンパスタ)

・Uncured Ham & Swiss Cheese Flaky Croissant (生ハムとスイスチーズフレークのクロワッサン)

受賞した新商品以外にも、トレーダー・ジョーズは「Two-Buck Chuck〜2ドル以内($1.99)で買えるワイン(=現在は$3.99)」をはじめ、全商品の9割を超える高品質で低価格なプライベートブランドによる圧倒的な商品力が強みです。

②高品質なスタッフによる顧客サービス

昨年7月のメールマガジン「米国人気スーパーマーケットランキング2018」でもご報告したように、トレーダー・ジョーズは店内ショッピング体験にとって非常に重要な「レジのスピード」や「スタッフの親切さ」といった部門でトップになっています。やはり店舗内でのより良いサービスを提供できる企業が人気となるようです。

③高い従業員満足度

今年に入り、「アメリカの最も優れた雇用者〜America’s Best Employer」にトレーダー・ジョーズが選ばれました。ドイツに本社を持つ世界的オンライン統計を行っているスタティスタ(Statista)社と、アメリカの大手経済紙のフォーブス(Forbes)社が共同で行った調査で、従業員5,000人以上の企業を対象に、約5万人の従業員に対して行った最新の調査です。

調査は①組織内の雰囲気 ②報酬 ③労働条件の3項目に絞って数値化したもので、トレーダー・ジョーズは10点満点で9.59という高得点でトップになりました。 ちなみに2位はサウスウェスト航空で9.54ポイント、4位にコストコが9.39ポイントで入っています。

食品小売り企業として、店内買い物満足度で高い評価を得たトレーダー・ジョーズは、顧客満足度や従業員の満足度も非常に高い企業というこことがわかります。

2025年には1,000億ドルを超えると予測されているオンラインによる食品小売り市場において、今後トレーダー・ジョーズがどのように顧客の心を掴み続けていくのか注目をしていきたいと思います。

(2019.4.26配信)

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アメリカで人気のブランドランキング

アメリカの流通・小売りの専門誌のチェーンストア・エイジ(Chain Store Age)社が発表している、アメリカで人気のあるブランドをランキング形式でご紹介します。このランキングはアメリカのコンサルティング会社であるモーニング・コンサルト(Morning Consult)のデータをもとに作成されています。

ランキングの順位は、「ブランドに対するお気に入り度」、「信用性」、「地域への影響」、「ネット・プロモーター・スコア(顧客ロイヤルティを測る一つの基準)」の4つの調査指標を数値化し、決定しています。調査は18歳以上の40万人に対して行われたとのことです。性別や世代、消費傾向や郊外・都会などの地域性など、幅広い層へのインタービューによって得られた情報を基にしているとのことです。

総合トップ5ブランドと25位までにランクインした小売企業、世代別のランキングをご紹介します。

トップ5ブランド

順位

企業(ブランド)

業種

1

アマゾン(Amazon)

インターネット、小売り

2

グーグル(Google)

IT

3

ネットフリックス(Netflix)

エンターテインメント

4

UPS

運送

5

ホームデポ(The Home Depot)

特殊小売り

小売企業

順位

企業(ブランド)

9

ダラーツリー(Dollar Tree)

11

ロウズ(Lowe’s)

15

ターゲット(Target)

18

ウォルマート(Walmart)

20

ウォルグリーン(Walgreens)


小売企業で25位までにランクインしたのは、5位のホームデポをトップとして6社でした。

以下の世代別ランキングでは、若い世代ほどオンラインを中心とした企業の人気が高いことがわかります。それぞれの世代のライフスタイルが見えてきます。

世代別の人気ブランドランキング トップ5

 

ジェネレーションZ

18〜21歳

ミレニアル世代

22〜37歳

ジェネレーションX

38〜53歳

ベビーブーマー

54〜72歳

グーグル

ネットフリックス

グーグル

UPS

ネットフリックス

グーグル

アマゾン

ホームデポ

ユーチューブ

アマゾン

ネットフリックス

USPS(運送)

アマゾン

ユーチューブ

UPS

ロウズ

オレオ

ターゲット

ホームデポ

フェデックス

今後も様々な視点でのランキングをご紹介していきたいと思います。

(2019.4.15配信)

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注目!ハワイ最新小売りマーケット

アメリカ合衆国には全部で50の州がありますが、ハワイ州は1959年に50番目の州として認められた一番新しい州であり、唯一の「離島」からなる州です。その温暖な気候と美しい景観などから、多くの観光客が一年を通して訪れており、人口約142万人のうち20万人近くが何らかのかたちで観光産業に従事しているということです。

ハワイ州政府観光局によると、2018年のハワイへの訪問者数は983万人で、そのうちの約16%が日本マーケットからとのことです。ホノルルのあるオアフ島に限っては、25%が日本マーケットからの訪問者ということです。

このように観光地としてメジャーなハワイですが、小売市場についても大変興味深い特徴がみられますので、ご紹介したいと思います。

世界的商業不動産のサービス企業であるコリアーズ・インターナショナル(Colliers International)社の最新のデータでは、オアフ島における流通小売り店舗の占有面積は、2018年の1年間で約33,260㎡の増加となっているとのことです。また、オアフ島全体の小売り店舗空室率は1年前の5.85%から5.26%に下がり、8年連続で良化しているということです。この空室率の良化に最も貢献したのは、過去3年間で増床あるいは新規開発された「アラモアナSC(Ala Moana Center)」、「 インターナショナル・マーケット・プレイス(International Market Place)」および「カ・マカナ・アリイ(Ka Makana Alii))の3つのSCであり、約16,700㎡のスペースを新たに生み出したということです。

食品小売りに関しては、アメリカ本土からの大手チェーンのホールフーズ(Wholefoods)、ウォルマート(Walmart)、 ターゲット(Target)、 コストコ(Costco)といったメジャー企業の多くが営業しておりいます。コリアーズ・インターナショナル社の2016年のデータによると、オアフ島における売り上げベースでの市場シェアは、以下のグラフの通り、アメリカ本土からの上記メジャー企業が独占しています。

※Colliers International社データによる

ただし、地元でのみ店舗を展開しているオーガニック&ナチュラルフードのダウン・トゥ・アース(Down to Earth)や、フードランド・ファームズ(Foodland Farms)なども大きな支持を得ており、店舗数では以下のグラフの通り本土企業をリードしてます。また、タイムズは、2017年にドン・キホーテにより買収されましたが、バナー名はそのままで営業を続けています。

ハワイの食品小売り市場には、2つの大きな特徴があります。一つ目は、本土からのメジャー企業のほとんどが存在しており、本土に比べてよりコンパクトなエリアで見ることができるという点です。また、本土とは違う環境の中で、ハワイならではの店舗戦略を見ることもできます。二つ目は、 ハワイでしか見られないローカル企業と本土からのメジャー企業の競合が見られる点です。特に、昨年同時期にホノルルのダウンタウンの至近距離に新店舗をオープンしたホールフーズのクイーン店とダウン・トゥ・アースのカカアコ店は、オープンと同時に大人気のショッピングスポットとなっており、熾烈な競合状況を見ることができます。

以下の通りオアフ島の代表的な本土からの企業とローカル企業の概要と代表店舗についてまとめます。

◆本土からのメジャー企業

店舗名 概要と代表店舗
ホールフーズマーケット・クイーン店 2018年5月にワードビレッジにオープンした最新店舗で、ハワイにおける旗艦店。
2層構造の店舗で、店舗面積は約6,700㎡。
ハワイ最大のホットフードバーや、クイーン店限定のポケステーションをはじめ、36種類のクラフトビールが楽しめるグローサラント店舗。
ウォルマート・ホノルル店 EDLP(Everyday Low Price)をモットーとする世界最大の小売りチェーン。
アラ・モアナセンターのすぐ近くに2004年にオープンした店舗は、サムズ・クラブとの複合開発で約34,000㎡の敷地に建設された店舗で、現在進行中の再開発プロジェクトであるアズール・アラ・モアナ(Azur Ala Moana)の中心に位置している。
コストコ・イヴィレイ店 オアフ島に4店舗を展開しており、物価の高いハワイでは会員入会率が非常に高く、本土の人気店よりもにぎわっていると言われている。
最も人気なのはダウンタウンにあるイヴィレイ(Iwilei)店で、約14,100㎡の店舗となっている。
ターゲット・アラ・モアナ店 2017年10月にアラ・モアナ・センターにオープンした店舗で、センターの2,3階に分かれている。
約13,000㎡の大型店舗で、カート専用のエスカレーターが設置されているので必見。

◆ローカル企業

ダウン・トゥ・アース・カカアコ店 1977年にマウイ島で1号店をオープンしたハワイのみで展開している企業で、ナチュラル・オーガニックを専門としているチェーン。 
ハワイ州の日刊紙により、読者が選ぶベスト・ヘルスフードストア賞を12年連続で受賞している。
カカアコ(Kakaako)店は、2018年4月にオープンした最新店舗で、同社最大のデリコーナーとサラダバーを持っており、ワードビレッジのホールフーズと人気を2分している。
フードランド・ファームズ・アラ・モアナ店 アラ・モアナ・センター内の店舗は、2016年8月にオープンした約4,400㎡の最新店舗で、グローサラントを前面に押し出した高級グルメスーパーとして大人気となっている。
もともとフードランドというローカルスーパーだったが、本格的グルメスーパーとして生まれ変わったのが
フードランド・ファームズ。
2016年にメイシーズ(Macy's)を核店舗として西オアフのカポレイ地区にオープンした約130,000㎡のカ・マカナ・アリイ(Ka Makana Alii)にも、2019年中に最新店舗をオープンする予定。

「離島」のハワイは食料の自給率が約15%と極めて低く、自給率100%を超えるアメリカ本土からの輸入に多くを頼っています。特にウォルマートやターゲットといった企業は農産品の多くを本土からの調達に頼っているため、ハリケーンなどの悪天候により輸送がストップすると、店内に商品が無くなるということも見られます。ちなみに、先進国の中でも自給率が最も低いと言われる日本は、2017年農林水産省のデータによると約38%の自給率です。この数値からも、ハワイの約15%という自給率の低さがわかります。  

このような環境の中で、地元農場等から商品を調達するローカル企業が強みを発揮しています。また、ホールフーズは「Buy Local」のコンセプトのもと、いち早く300を超える地元農家や食品サプライヤーからの商品調達を始めており、コストコも今年に入り、ハワイ州内で農産品を独自栽培する方針への転換を発表しております。このような地理的な要因や、本土とは全く違う人種構成を持つハワイでは、本土からの企業も本土とは違った店舗展開をするなど、ハワイならではの店舗戦略を見ることができます。

こうしたハワイ独特の小売り市場を視察するために、当社では今年の6月と11月にハワイへの視察ツアーを企画しております。

アメリカ本土とは一味違った視察・研修が可能ですので、ぜひご検討ください。

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(2019.3.29配信)

急増する店舗ピックアップ「BOPIS」最前線

オンラインで注文した商品を店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pickup In Store)の最前線をご紹介します。

世界中の小売り企業を中心に、オムニチャネル構築のためのソリューションを提供しているアイベント・リテール社(iVend Retai)の最新のレポートによると、世界中の消費者の40%以上が、ショッピング・エクスペリエンス(買い物体験)の向上にとって最も価値のあるサービスは、BOPISだと回答しているということです。ちなみに、BOPISはヨーロッパではクリック&コレクトと呼ばれるのが一般的です。

同社が、全世界のインターネットユーザーを対象として調査した、BOPISの利用理由をまとめたものをご紹介します。

*iVend Retail社データより

BOPISが広まっている背景には、欲しいものをオンラインでゆっくりと選び、都合の良い時に店舗に行き、待ち時間なしで受け取れるという、顧客優先のサービスが広く受け入れられていることが大きいようですが、店舗側にもメリットを生んでいるようです。

イギリスを拠点にオンライン注文品のピックアップあるいは返品が可能な拠点(ロッカー等)を展開しているスタートアップ企業のドゥドル(Doddle)社によると、オンラインで注文した商品を店舗ピックアップに来た顧客の約85%が「ついで買い」をしているということです。同社はアマゾン(Amazon)やマークス&スペンサー(Mark &Spencer)などの大手小売り企業を中心に事業を展開していますが、BOPISを充実させることによって、顧客だけでなく小売り企業も売り上げを伸ばすことが可能なウィン・ウィンのシステムであるとレポートしています。

上記のIvend Retail社の調査では、BOPISを利用する理由として、「商品をできるだけ早く受け取りたい」という意見がでていますが、受け取りの希望として最も多かった回答は、24時間以内だったとのことです。しかし、カナダを拠点にクラウドベースでオーダーマネジメントサービスを提供しているオーダー・ダイナミクス社(Order Dynamics)が昨年10月に発表したデータによると、この24時間以内のピックアップに対応でしている企業はまだまだ少数派のようです。

以下がOrder Dynamics社が調査したピックアップまでの時間についてまとめたデータです。

*Order Dynamics社データより

多くの企業が2日以上のピックアップとなっているのが現状のようで、今後この部分の改善が最大の課題となるようです。

なお、Order Dynamics社の調査によると、このBOPISの導入に関して、アメリカはヨーロッパよりも1歩も2歩も遅れているということです。北米、カナダ、オーストラリアおよびヨーロッパの主要7か国の約2,000社の小売り企業を調査した結果、BOPISに対応している企業の割合は以下の通りということです。

*Order Dynamics社データより

イギリスのテスコ(Tesco)は、アマゾンよりも10年以上も前からEコマースを始めた企業で、オンラインでの注文品を店舗で受け取るクリック&コレクトへの取り組みでも世界をリードしてきました。テスコを始めとして、イギリスの多くの企業がBOPISに対応しています。詳細は、以前のメールマガジン、「競争激化!英国食品小売り企業の市場シェアランキング」(2017年9月配信)でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。

アメリカでは、ウォルマート(Walmart)、クローガー(Kroger)、ターゲット(Target)など代表的な企業がここ数年でBOPISへの対応を進めており、100店舗以内の小規模なチェーン店舗も取り組みを開始しています。

一部のレポートでは、アメリカにおける2018年のBOPISの利用が前年比で47%伸びたと報じていますが、これはあくまでも11月1日から12月19日までのホリデーショッピング・シーズン期間を対象とした比較です。また、このデータは顧客データ分析を行っている調査会社のアドビ・アナリティクス社(Adobe Analytics)によるものです。

この期間に47%の大幅な伸びにつながった理由は、大混雑するショッピングシーズンにレジの長蛇の列に並ぶ必要がないからですが、オンライン全体のショッピングの伸び率が17.8%ですので、いかにこのBOPISの利用がアメリカでも増えているかが理解できます。

今後ヨーロッパとのギャップはどんどん少なくなってくるとみられていますが、いかにスピードを含めたサービス内容をグレードアップして、顧客満足度を上げることができるのかが大きなポイントとなりそうです。

また、アメリカの主要小売企業10社のBOPISへの対応を細かく調査してランキングしている調査結果も報告されているので、別の機会にご報告したいと思います。

(2019.3.15配信)

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発表!!「働きがいのある企業ランキング2019」

1月のメールマガジンでご紹介した、フォーチュン誌の「世界で最も称賛される企業ランキング2019」に続きまして、同誌による「最も働きがいのある企業ランキング2019(Best companies  to work for 2019)」が発表されましたのでご紹介します。

以下がトップ10の企業と、11位以下の食品小売企業のリストです。

順位

企業名

業種

2018年順位

1

ヒルトン(Hilton)

ホテル・レジャー

33

2

セールスフォース(Salesforce)

IT

1

3

ウェグマンズ(Wegmans Food Markets)

一般小売

2

4

ワークデイ(Workday)

IT

7

5

キンプトン(Kimpton Hotels & Restaurants)

ホテル・レジャー

6

6

シスコ(Cisco)

IT

48

7

エドワード・ジョーンズ(Edward Jones)

ファイナンス

5

8

アルティメート・ソフトウェア(Ultimate Software)

IT

3

9

テキサス・ヘルス・リソーシズ(Texas Health Resources)

ヘルスケア

15

10

ボストン・コンサルティング(Boston Consulting Group)

コンサルティング

4

12

パブリクス(Publix Super Markets)

一般小売

47

81

ナゲット・マーケット(Nugget Markets)

一般小売

70

※フォーチュン誌データより

このランキングは、働きがいのある企業に関する調査、評価、支援を行う専門機関である、グレート・プレイス・トゥ・ワーク・インスティテュート(Great Place to Work Institute)が、1998年から世界最大のビジネス誌であるフォーチュン誌と協力して調査・発表しているものです。このランキングに選ばれることが「一流の企業」の証ということで、大きな注目を集めています。

今回のランキングは、それぞれの職場での報酬、社会貢献、職場環境、上司との関係等に対する満足度について、約430万人の従業員からのフィードバックにより決定しています。

今回トップに選ばれたのは、昨年33位だったホテルチェーンのヒルトン(Hilton)で、4回目のランクインで初のトップとなり、従業員の96%が自分の職場を素晴らしいと評価しています。

この躍進の背景には、同社の現場第一主義があるということです。実際のエピソードとして、ヒルトンの最高責任者がホテルで働くスタッフのユニフォームを試着し、「重さ」と「着心地の悪さ」を実感したことをきっかけに、昨年、スポーツアパレル大手のアンダーアーマー(Under Armour)社の協力を得て、「より軽く」、「より着心地の良い」ユニフォームに大刷新したとのことです。

食品小売業では、昨年2位だったウェグマンズ(Wegmans)が今年も3位にランクインしており、94%の従業員が自分の職場を素晴らしいと評価しています。12位にはパブリクス(Publix)が昨年の47位から大きく順位を伸ばしており、同社はこれで22年連続でのランクインとなっております。ちなみに、パブリクスは89%の従業員が自分の職場を素晴らしいと評価しています。

ウェグマンズとパブリクスは米国の人気小売業であり、当社のメールマガジンでもたびたびご紹介しています。2017年3月および2018年2月の発表!「働きがいのある企業ランキング2018」に関するメールマガジンでは、ウェグマンズについてご紹介しており、2017年7月のメールマガジン「ウェグマンズVSパブリクス!リッチモンドで初競合」では、ウェグマンズとパブリクスについて特集をしていますので、ぜひご覧ください。

ウェグマンズ、パブリクスの他に、食品小売企業でランクインしたナゲット・マーケット(Nugget Markets)社も注目企業ですので、ご紹介します。

企業名

ナゲット・マーケット(Nugget Markets)

創業年

1926年

従業員数

約1,900名

概要

北カリフォルニアのサクラメントおよびマリン郡で12店舗を展開する家族経営の食品小売りチェーン。オーガニック、フリーフロム、ビーガン、フェアトレード等、あらゆる食のニーズに取り組んでいることで定評がある。
今回の「働きがいのある企業」へのランクインは12年連続14回目で、従業員の87%が自分の職場を素晴らしいと評価している。
従業員は店舗での買い物は一律10%オフ、全従業員の健康保険料全額補助をはじめ、創業以来93年間従業員のレイオフを一切しておらず、2018年には雇用環境の改善のために140万ドルの投資をしている。
更に1年間禁煙に成功した従業員に対して、最高責任者から1,000ドルを送るなど、徹底した従業員目線の経営を行っている。


このように小規模企業でも、従業員満足度の向上に投資をすることで、フォーチュン誌のようなメジャーなメディアによるランキングの常連企業となり、企業イメージのアップに成功しています。

昨年11月のメールマガジンランキング「女性にとって最も働きやすい企業」の中で、ウェグマンズ、パブリクスおよびナゲット・マーケットの3社がランクインしたことをご紹介しています。3社は女性だけではなく、全従業員を対象にしても、非常に高い評価を得ていることが分かります。

今後も様々な角度から企業の評価をみることができる、フォーチュン誌のランキングに注目をしていきたいと思います。

(2019.2.28配信)

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2019年版発表!世界で最も称賛される企業ランキング

世界最大のビジネス誌フォーチュン(Fortune)誌恒例の企業ランキングのうち、「世界で最も称賛される企業(World’s Most Admired Companies)」部門の最新(2019年)調査結果が発表されました。

ランキングは以下の通りです。

順位

企業名

業種

2018年順位

1

Apple(アップル)

コンピューター

1

2

Amazon(アマゾン)

インターネットサービス、小売り

2

3

Berkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)

保険

4

4

Walt Disney(ウォルト・ディズニー)

エンターテインメント

6

5

Starbucks(スターバックス)

フードサービス

5

6

Microsoft(マイクロソフト)

コンピューターソフトウェア

7

7

Alphabet(=Google) (グーグル)

インターネットサービス、小売り

3

8

Netflix (ネットフリックス)

エンターテインメント

11

9

JP Morgan Chase(JPモルガン・チェイス)

金融

10

10

Fedex (フェデックス)

貨物輸送

9

※フォーチュン誌(Fortune)データより

11位以降の主な企業は以下の通りです。 

順位

企業名

業種

2018年順位

12

Costco(コストコ)

特殊小売

13

20

Nordstrom(ノードストロム)

一般小売

28

21

Home Depot (ホームデポ)

特殊小売

22

25

Walmart (ウォルマート)

一般小売

26

32

Target(ターゲット)

一般小売

38

34

Alibaba Group Holdings (アリババ)

インターネットサービス、小売り

圏外

35

CVS Health (CVSヘルス)

ヘルスケア

39

45

Publix Super Markets (パブリクス)

一般小売

圏外

選考基準は例年通りで、今回対象となるのは、指定の52業界に属する企業のうち、全米の売り上げ上位1,000社と、100億ドル以上の売上を上げているアメリカ以外の企業500社です。

その中から、それぞれの業界の上位企業が全30か国680社に絞りこまれ、各業界のエグゼティブや証券アナリストたちによる投票で順位が決められました。

実際の集約は、グローバルコンサルタント企業であるコーンフェリーグループ(Korn Ferry)とフォーチュン誌の共同により行われており、選定基準は以下の9項目です。

  1. 長期投資価値
  2. 経営の質
  3. 製品またはサービスの質
  4. 革新性
  5. 財政状態
  6. 有能な人材を惹き付ける魅力
  7. 地域社会と環境に対する社会的責任
  8. 企業資源利用の健全さ
  9. グローバル市場における競争力

1位のアップル(Apple)社は今回で12年連続の1位となりました。また、アマゾン(Amazon)は3年連続での2位となっていますが、この調査が行われたのが2018年の10月から11月にかけてであり、その後11月に発表されたアップルの第4四半期の業績はiPhoneの不振などにより、大きく落ち込んでいます。その状況が年明けになっても続いていることから、世界有数の経済誌であるフォーブス(Forbes)の電子版は、来年度は順位が入れ替わるだろうと予想しています。

また、GAFA (Google, Apple, Facebook, Amazonの頭文字をとった総称)がこれまでアメリカを代表する世界的なIT企業として注目を浴びてきましたが、その中でフェイスブック社は昨年の12位から44位と今回は大きく順位を落とす結果になりました。これは昨年夏に同社が5,000万人以上の個人情報の漏えいを発表したことによる影響が大きいと思われます。 

このように業績の動向や企業イメージが大きく影響するランキングでありますが、業績の面から見ると、昨年までランク外だった中国のアリババ(Alibaba Group Holdings)が一気に34位に入っています。

アリババはアマゾンを追随する最有力企業として世界中の注目を集めており、今後もアマゾン同様に注目をしていきたいと思います。

(2019.2.15配信)

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今年で10回目!2018年トレーダージョーズ人気商品ランキング

今年で10回目となる、トレーダージョーズの顧客投票による同社人気商品ランキングが発表されました。トレーダージョーズは、取り扱い商品の8割以上がプライベートブランドで、常に全体の1〜2割が新商品に入れ替わっていることでも知られていますが、ランキングには毎年の定番人気商品や、季節限定商品も多くノミネートされています。今年1月2日からトレーダージョーズ公式ホームページにて投票の呼びかけが行われ、1月16日に集計結果が同ホームページ上で公開されました。メールニュース購読者向けにも、投票の呼びかけが行われていました。総合ランキングに加えて、パンや飲料、調味料など部門ごとのランキングも発表されています。2018年一年間を通して、お客さまからの支持を得られた商品がどのようなものだったのでしょうか。

発表された内容の一部をご紹介します。

2 カリフラワー・ニョッキ
(Cauliflower Gnocchi)

小麦や卵を使わず、カリフラワーの粉などでつくったニョッキです。

3 エブリシング・バット・ザ・ベーグル・シーズニング
Everything But The Bagel Seasoning

2017年2月に発売された新商品のシーズニング(調味料)です。
4 ダーク・チョコレート・ピーナツ・バター・カップ 

Dark Chocolate Peanut Butter Cups

ピーナツバター入りのアメリカらしいチョコレートです。キャンディ部門でも毎年1位に選ばれている商品。

 5 アンエクスペクティッド・チェダー(Unexpected Cheddar
チーズ部門1位の常連商品が、総合ランキングでも5位に選ばれました。

ベーカリー部門
飲料部門
チーズ部門

【1】Danish Kringle*
(前年1位)

【2】Sliced French Brioche

【3】Chocolate Brooklyn Babka

【4】Sliced Sourdough Bread

【5】Vegan Banana Bread

【1】Sparkling Mineral Waters

【2】Triple Ginger Brew*

【3】Spiced Cider*

【4】Charles Shaw Wines

【5】Brewed Ginger Beer

【1】Unexpected Cheddar Cheese
(前年1位)

【2】Coastal Syrah Toscano

【3】French Brie

【4】Cheddar with Caramelized Onions

【5】Triple Crème Brie

冷凍食品部門
調味料部門
ホームバス部門

【1】Mandarin Orange Chicken
(前年1位)

【2】Cauliflower Gnocchi

【3】Chicken Tikka Masala

【4】Sweet Potato Gnocchi

【5】Kung Pao Chicken

【1】Everything But The Bagel Sesame Seasoning Blend

【2】Blue Cheese Mustard (seasonal)

【3】Green Dragon Hot Sauce

【4】Organic Ketchup

【5】Sweet Chili Sauce

【1】Tea Tree Tingle Shampoo

(前年1位)

【2】Rose Water Facial Toner

【3】Coconut Body Butter

【4】Honey Mango Shave Cream

【5】Organic Argan Oil

テイクアウト部門
スナック部門
キャンディ部門

【1】Black Bean & Jack Cheese Burrito
(前年1位)

【2】Rainbow Wrap 

【3】Chicken Tikka Masala

【4】Tofu Spring Rolls

【5】Mediterranean Style Orzo Pasta Salad

【1】Peanut Butter Filled Pretzels
(前年1位)

【2】Roasted Plantain Chips

【3】Organic Corn Chip Dippers

【4】World's Puffiest White Cheddar

【5】Bamba

【1】Dark Chocolate Peanut Butter Cups
(前年1位)

【2】Scandinavian Swimmers

【3】Sea Salt&Turbinado Sugar Dark Chocolate Almonds

【4】Dark Chocolate Covered Almonds

【5】Dark Chocolate Sea Salt Caramels*

この他にも、肉類部門、青果部門、デザート部門、冷凍の前菜部門、シーズナル商品部門、ビーガン/ベジタリアン部門、で人気ランキングが公募・発表されています。新しい部門でのランキングも発表されましたが、人気ランキング上位の商品は昨年と大きな変化はなく、定番商品が支持されているようです。2016年2017のランキングも以前のメールマガジンでご紹介していますので、ぜひ今年のランキングと比較してみてください。

また、スナック部門やキャンディ部門の商品は、米国に出張や旅行で行かれた際のお土産としてもおすすめです。

(2019.1.31配信)

関連情報

大躍進!米国ダラー・ストア

米国モールや小売企業の厳しい状況について、以前のメールマガジンでもご紹介してきましたが、今回は、こうした状況でも売上を伸ばしているダラー・ストアについてご紹介します。

まず、昨年9月のメールマガジン「米国モールの救世主?コワーキングビジネス」でもご紹介した、米国モールの厳しい状況に関するその後の情報です。

商業不動産情報サービスのレイス(Reis)社の調査によると、米国モールの空室率は2018年第2四半期に8.6%だったものが、第3四半期に9.1%と大幅に悪化し、最新の第4四半期(10月〜12月)はわずかに改善したものの9.0%ということで、相変わらず厳しい状況が続いているということです。

企業の連鎖的な倒産や一部店舗の閉鎖は2017年から続いており、商業不動産の調査会社大手のコースター(Costar)社によると、2017年の北米における小売り全体の店舗閉鎖面積の合計が1億200万平方フィートで過去最悪を記録したということです。さらに昨年末時点で同社が集計したデータによると、2018年の店舗閉鎖面積の合計は1億4,500万平方フィートということで、大幅な悪化が見込まれているということです。

倒産によりモールからの撤退を続けているシアーズ(Sears)、トイザラス(Toys”R”Us)やボントン(Bon-Ton)といった企業の代わりに、各モール運営会社は新たなテナントの確保に躍起となっています。以前ご報告したコワーキングスペースを始め、人気食品スーパー、フィットネスクラブ、ホテルといったこれまでになかった業態を新たなテナントとして誘致することで回復を図っていますが、まだまだ全体の数値の改善には至っていないようです。

アメリカの小売業界のシンクタンク大手のコアサイト・リサーチ(Coresight Research)社によると、2018年1月01日から11月02日までの北米における店舗閉鎖は5,006店舗で、新規オープンの2,846店舗を大きく上回っているという調査結果を発表しています。

以下が店舗閉鎖数の大きい代表的企業です。

順位

店舗名

閉店数

1

トイザラス(Toys "R" Us)

881

2

ウォルグリーンズ(Walgreens)

600

3

シアーズ・Kマート(Sears & Kmart)

472

4

マットレスファーム(Mattress Firm)

388

5

アセナ・リテール・グループ(Ascena Retail Group)

267

6

ボントン(Bon-Ton Stores)

260

7

ベストバイ(Best Buy)

250

8

シグネット・ジュエラーズ(Signet Jewelers)

200

8

ジーエヌシー(GNC)

200

10

クレアーズ(Claire's)

132

※Coresight Research社データ

また、昨年12月のメールマガジン「2019年注目のデジタル・ネイティブ・ブランドは?」でもご報告した通り、D2Cという新たな直販ビジネスモデルの躍進も、従来型の店舗の低迷に拍車をかけているようです。

ただ、このような厳しい状況の中で、「ダラー・ストア」と呼ばれる低価格訴求型店舗が堅実に業績を伸ばしています。

以下は前述のCoresight Research社による、新規店舗オープン数の大きい企業のリストです。

順位

店舗名

新店舗数

1

ダラー・ゼネラル(Dollar General)

900

2

ダラー・ツリー(Dolla Tree)

276

3

アルディ(Aldi)

200

4

ファイブ・ビロウ(Five Below)

125

5

アルタ(Ulta)

100

5

オー・バッグ(O Bag)

100

7

ロス・ストアーズ(Ross Stores)

99

8

ギャップ(Gap)

90

8

ウォルマート(Walmart)

90

10

TJXカンパニー(TJX Companies)

87

※Coresight Research社データ

アメリカの非営利の研究機関のILSRによると、北米では、現在ダラー・ストアと呼ばれる店舗は約30,000店舗あるということで、この数字はウォルマートとマクドナルドの店舗数の合計よりも多いということです。また、2011年にはダラー・ストアの店舗数は約20,000店舗だったことから、その急速な成長が伺えます。

その中でもトップのダラー・ゼネラルは、2018年1月から11月で約900店舗を新規出店しており、2019年には新たに975店舗の出店を計画しています。 2018年11月現在北米44州で15,227店舗を展開しており、28年連続で既存店売上のプラス計上を達成しています。

同社は、人口2万人以下で平均年収35,000ドル以下の比較的低所得者層の住む都市を選び、地元の食品スーパーやビッグボックスストア(ウォルマート等)から数マイル離れた場所を優先的に選ぶという出店戦略をとっています。不要な競合を避けながらも強力な新規店舗を出店させることにより、現在ではアメリカ国民の約4分の3がダラー・ゼネラルのいずれかの店舗から5マイル以内に住んでいるということです。

さらに、2017年4月のメールマガジン「実店舗の栄枯盛衰・・・北米小売企業の最新事情」で、注目企業としてご紹介したファイブ・ビロー(Five Below)社は、その後も確実に業績を伸ばしており、前回ご紹介時の522店舗から、746店舗にまで伸ばしました。また、昨年11月にはディスカウント系店舗としては異例といわれる、マンハッタンへの旗艦店の設置を11、000平方フィートの店舗により、実現しています。2018年まで11年間連続既存店売上でプラス計上を達成するなど絶好調をキープしています。同社は将来的に2,500店舗まで拠点数を伸ばしていく予定ということです。

ただ商品を安く提供するだけでなく、ダラー・ゼネラルもファイブ・ビローもセルフスキャンのテストを進めており、デジタル化への対応にもぬかりは無いようです。

今後も好調なダラー・ストアに注目をしていきたいと思います。

(2019.1.15配信)

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