コロナ禍の中で強さを発揮している小売企業は?

前々回、前回に続き、今回のメールマガジンも新型コロナウイルスに関連する内容をお届けします。

まず、4月28日現在の新型コロナウイルス(COVID-19)の感染状況は以下のようになっています。

 

◎新型コロナウイルス感染者(WHOデータ)

データ基準日

4月15日

4月28日

増加率

全世界の感染者数

207.6万人

306.4万人

1.48倍

全世界の死亡者数

13.4万人

21.2万人

1.58倍

アメリカの感染者数

64.2万人

101万人

1.57倍

アメリカの死亡者数

28,400人

56,800人

2倍

 

増加率の点ではいずれも鈍化しているものの、いまだ収束の見込みの立たない状況には変わりがありません。

前回のメールマガジン「危機下における購買行動の変化と小売企業の新しい動き」の中で、購買行動の調査・分析を行っているエヌ・シー・ソリューションズ(NCSolutions)社のデータをご紹介しましたが、現在アメリカは小売店舗に消費者が殺到した時期が一段落し、‘家庭への引きこもりの時期’に入っています。

この家庭への引きこもりの時期に入ってから一月以上が経過し、アメリカの映像ストリーミング配信サービス大手のネットフリックス(Netflix)社の2020年1〜3月期の売り上げが前年同期比で約28%アップし、昨年末時点より有料会員数が約1,580万人も増えたということで、現在のような世相における象徴的なニュースと言えます。

一方で、一時的に大幅な売り上げ増を記録した日用品や食料品を扱うスーパーマーケット等の小売店舗では、早くも客足の減少が始まっています。

位置情報を分析して小売店舗への客足動向を調査しているプレイサー・ドット・エーアイ(Placer.ai)社が、今年の3月の第2週から4月の第2週までの期間で、アメリカの主要スーパーマーケットチェーン6社の店舗における客足の変化についてまとめているのでご紹介します。

 

 

1アルバートソンズ.png

2クローガー.png

3パブリクス.png

 4トレーダージョーズ.png

5ホールフーズ.png

6ウェグマンズ.png

このデータは、それぞれの店舗における昨年の同じ時期と比較した客足の増減を示したものです。前回のメールマガジンでもご紹介したNCSolutions社による購買行動ステージの中で、‘備え期間’と‘買占め期間’に該当する3月2週目と3週目までは、アルバートソンズ、クローガー(いずれも傘下企業含む)およびパブリクスにおいて前年より客足が伸びていますが、ホールフーズ、トレーダー・ジョーズおよびウェグマンズは3月3週目から客足が遠のき始めました。 

また、3月4週目からは全ての企業が前年割れをしているものの、アルバートソンズ、クローガー、パブリクスは落ち込みが比較的緩やかなのに対して、ホールフーズは4月1週目、2週目共に50%以上減少し、トレーダー・ジョーズは4月1週目に47%減、2週目には55.1%減と最大の落ち込みを記録しました。

ホールフーズの場合、アマゾン傘下となってから価格への訴求も徐々に強化していますが、相変わらず多くのアメリカ国民の間ではWhole Paycheck (すべての給料が吹っ飛ぶくらい高い)というイメージが根強いうえに、実際に中流以上のある程度裕福な顧客をメインのターゲットにしています。

また、トレーダー・ジョーズは、取り扱い商品を1店舗で2,000から3,000アイテムに絞った品揃え限定型の店舗のため、必要なものが1カ所で揃うワン・ストップ・ショッピングには対応していません。

ホールフーズもトレーダー・ジョーズも、いわゆる市場ニーズをある程度限定したニッチ・グローサー(Niche Grocer)と

位置付けられる企業のため、今回のような非常事態時には敬遠される傾向が強くなったようです。

更にトレーダー・ジョーズの場合、ニューヨークの店舗を中心にスタッフが新型コロナウイルスに感染し、複数の店舗を一時的に閉鎖したことや、オンライン注文に一切対応していないという点も大きな客離れの要因と思われます。

それとは逆に、アルバートソンズとクローガーは、従来型あるいは伝統的スーパーマーケットチェーン(Traditional Grocers)と呼ばれる店舗であり、長い期間それぞれの出店エリアの全ての消費者層をターゲットとした店舗展開を続けて来ている強みがある上に、どちらの企業も比較的感染被害の少ない中西部、西部、南部地区での店舗展開が多いというのも大きな一つの要因だろうとPlcer.ai社は述べています。

 

パブリクスとウェグマンズもある程度大きな打撃を受けてはいるものの、感染度合いの高い東海岸エリアのみで店舗を展開しているということから考えると、客足減少が30%を大きく超えることが無いという点で、常に全米で人気スーパーマーケットランキングの1位、2位を争っているだけの存在感と強さが感じられます。

特にウェグマンズは、レストラン並みの食事を楽しむことができるグローサラントサービスを当面の間全て中止しており、4月09日からは顧客の店内へのアクセスを従来の15〜20%に限定するなど、徹底した感染対策を行っていることも付け加えたいと思います。

 

なかなか収束の兆しが見えない新型コロナウイルスですが、一日も早く日常の生活が戻ることを願ってやみません。

なお、このメールマガジンは、しばらくの間、配信の間隔を通常より開けてお届けしていく予定です。毎号読んでくださっている方には誠に申し訳ございませんが、今後もご愛顧賜りますようお願い申し上げます。


(2020.5.1配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業戦略部)

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