2020年版 米国の最新ブレイク小売企業

アメリカの流通・小売の情報誌大手のチェーンストアエイジ(Chain Store Age)社が、この1年で最もブレイクしたと認定した小売企業5社(飲食を含む)を発表しましたので、ご紹介します。

これは同社が2016年から毎年この時期に発表しているもので、選ばれた企業は同社が50年以上に渡り主催している小売の未来をテーマにしたコンファレンスであるSPECS Showにて表彰されます。

過去の受賞企業の例としては、メガネのオンライン直販(D2C)で現在は実店舗でも売り上げを伸ばしているワービー・パーカー(Warby Parker)、サービスとしての小売り(RaaS:Retail as a Service)をテーマに新たなソリューションを提供して注目されているベータ(b8ta)、 デジタル・ネイティブのシャツのブランドであり、RFIDを使った在庫の見える化によりオンラインで急成長してきたスタートアップアパレルブランドのアンタックイット(UNTUCKit)や、オーダースーツのオンライン直販で独特のサービスで急速に伸びているカナダ発のインドチーノ(Indochio)など、創業からわずかの年月で世界的に知られるようになった錚々たる企業が名を連ねています。

今年1月のメールマガジン「2020年注目企業!グロサリー・アウトレット」の中でもご報告した通り、2019年1年だけで9,300店舗以上の小売店舗が閉鎖されました。このような小売ビジネスにとって厳しい時代の中でも、オンラインおよび実店舗の両分野において顧客を喜ばせる独創的で先進的な取り組みによってえらばれた2020年版ブレイク小売企業は次の通りです。

企業名

チキン・サラダ・チック (Chicken Salad Chick)

本社所在地

アラバマ州オーバーン (Aubarn, Alabama)

店舗数

146店舗(2020年2月現在)

概要

3人の子供を持つシングルマザーが生計を立てるため、2008年に手作りのチキンサラダのテイクアウト店舗としてオープン。瞬く間に口コミで人気が広がり、イートインの設置を経て現在のレストランスタイルのチェーンとなった。チキンサラダはアメリカ南部の家庭料理の定番メニューであり、専門店も数多くあったものの、通常1種類か2種類のメニューのみの販売だった。チキン・サラダ・チックは12種類のチキンサラダのメニューを提案することで人気となっている。またファストフード業態であるもののお洒落な店舗インテリアを施し、更に独自モバイルアプリによるポイント付与や割引特典の提供等も行っている。アメリカ人にとって懐かしい家庭料理をお洒落な空間でリーズナブルに提供することで、2019年1年間で40店舗をオープンし、2020年には更に50店舗を新規オープン予定している。

企業名

デシエム (Deciem)

本社所在地

カナダ・トロント(Toronto, Canada)

店舗数

35店舗(2020年3月現在)

概要

2013年に創業したデジタル・ネイティブのビューティブランドで、自分たちを「普通じゃないビューティカンパニー〜Abnormal Beauty Company」と位置づけ、「誰もやらないことをやる」を企業理念として急速に伸びているカナダ生まれの企業。
高価格な商品であっても期待ほどの効果が無い製品が多すぎる、という考え方をベースに、100%安心・安全な製品を他社よりも圧倒的にリーズナブルな価格で提供している。動植物を使った実験を一切行わず、使用している成分や素材は専門家チームが徹底した臨床実験を行っている。

自前の店舗はカナダ、アメリカ、イギリス、オーストラリア、韓国、香港、メキシコ、オランダにて35店舗を展開しており、アルタやブーツといった148の実店舗と107のオンラインリテーラーとも提携をしている。

企業名

アイボブ (Eyebobs)

本社所在地

ミネソタ州ミネアポリス (Minneapolis, Minnesota)

店舗数

6店舗(2020年3月現在)

概要

2001年にメガネフレームの卸売りを開始し、2017年に眼鏡製品の処方販売、2018年に実店舗の展開を始めた。多くのモールで店舗スペースを占有している特徴のない眼鏡店と一線を画した店舗デザインと顧客一人一人に合わせたカスタマーサービスで急速に注目を浴びている。
世界中の卓越した眼鏡フレームデザイナーを商品開発や商品デザインに投入することで最高級のメガネフレームと、顧客個人の顔の形や特徴から最も個性に合った商品アドバイスができる専門スタッフを配することで、顧客の個性に最も合った商品選択を可能とするなど、商品品質と顧客サービスの両面から他の企業では体験できない価値を提案している。

メガネフレームだけではなく、通常の眼鏡、サングラス、老眼鏡からルーペまで数多くの商品を低価格で提供している。

企業名

ネイバーフッド・グッズ(Neighborhood Goods)

本社所在地

テキサス州ダラス(Dallas, Texas)

店舗数

2店舗

概要

デジタル・ネイティブ時代のD2Cブランドを集めたデパートとして創業した全く新しいビジネスモデルで、2018年にダラス郊外のプレイノに1号店、2019年12月にニューヨークのチェルシー・マーケットに2号店をオープンしている。2020年にはテキサス州オースティンに3号店をオープン予定。
複数の優良投資家のバックアップを得ており、これまでにない小売のモデルとして世界的な注目を集めている。

アパレル、雑貨、コスメ、アクセサリーをはじめとするあらゆるライフスタイルシーンにおけるスタートアップ企業のブランドを展示している。D2Cブランドに対して販売スペース提供するだけでなく、販売支援やコンサルティングなどのサービスも包括的且つリーズナブルに提供している。消費者に対しては最新のD2Cブランド商品を常に体験することができるという新しい価値を提供している。

企業名

アウトドア・ボイシズ (Outdoor Voices)

本社所在地

テキサス州オースティン(Austin, Texas)

店舗数

11店舗(2020年3月現在)

概要

2014年創業のアクティブウェアのD2Cスタートアップで、本格的にスポーツやトレーニングを楽しむユーザーだけではなく、むしろフィットネスウェアを日常のライフシーンでお洒落に着こなせるアスレジャーのフィールドで急速に伸びているブランド。
総額6,400万ドルに及ぶ資金調達に成功し、創業からわずか6年足らずでオンライン専門から11店舗を展開するに至っている。同じ作りの店舗はなく、それぞれ特徴を持たせた店舗づくりをしているが、どの店舗でもオンラインとオフラインを絶妙に調和させた買い物体験を可能としている。

アスレジャーの分野で先頭を走るルルレモンやアンダーアーマーといった世界的ブランドを抜いて、世界一のフィットネスウェアブランドになること目指している。

いずれの企業も日本での知名度はまだ高くありませんが、2018年12月のメールマガジン「2019年注目のデジタル・ネイティブ・ブランドは?」でもご紹介したD2C企業ばかりです。

ますますの成長が見込まれるこれらのD2C企業に、今後も注目をしていきたいと思います。


(2020.3.16配信/記事作成:イオンコンパス(株)営業推進課))

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