米国小売超激戦区の最新情報

ここ数年、小売り激戦区の一つとして注目されているノースカロライナ州のトライアングル地区ですが、新たな動きが出ていますので、ご紹介します。
トライアングル地区とは、ノースカロライナ州のローリー(Raleigh)、ダーラム(Durham)およびチャペルヒル(Chapel Hill)に囲まれた三角地帯のことで、ここ数年ロサンゼルス並みの小売りの超激戦区となっています。当社のメールマガジンでも過去2度にわたって特集をしてきました。

@2017年6月 「新激戦区!米国ノースカロライナの小売事情」

A2018年8月 「クローガーが撤退!食品小売超激戦区・ノースカロライナ」

 

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 トライアングル地区の中でも特にローリー市は、2010年から2018年の期間の人口の増加率が20.5%であり、全米で10番目だったということが、アメリカ合衆国国勢調査局(The U.S. Census Bureau)の2018年7月度の最新のデータとして発表されています。また、商業用不動産投資大手のマーカス&ミリチャップ(Marcus & Millichap)社の最新のレポートでも、今後の人口の継続的な増加や不動産価格の安定度等から、ローリーはシアトルとサンフランシスコに次いで全米で3番目に小売り企業向けの不動産投資に最も適した都市であると報告しています。

 

昨年8月のメールマガジンでは、全米最大のSMチェーンであるクローガー(Kroger)があまりの競合の激しさのため、トライアングル地区から撤退を決めたという大きなニュースをご報告しました。クローガーはローリーおよびダーラムで展開していた14店舗の同社バナーでの営業をすでにストップしていますが、それまで8.2%の市場シェアを占めていたクローガーをひいきにしていた、いわゆるロイヤルカスタマー達が撤退後にどの店舗に流れたのかを含め、その後の同地区の小売市場の動向について、ローリーの地元紙であるローリー・ニュース&オブザーバー(Raleigh News & Observer)紙が2019年4月の電子版にてレポートしています。

また、今年の9月には全米で最も人気のあるスーパーマーケットのウェグマンズ(Wegmans)が、ノースカロライナ州への1号店をローリーに出店することが決まっており、2年前のバージニア州リッチモンド(Richmond)に続いて同じマーケットにて、人気を二分するパブリクス(Publix)と近距離で競合することになり、さらに大きな注目を浴びることが予想されます。

以下は小売り企業データ大手のチェーンストア・ガイド(Chain Store Guide)社による2018年度のローリーにおける小売市場シェアです。

 

※2018年ローリー市(Raleigh)小売市場シェア

企業名

増減

2018年度市場シェア

2017年度
市場シェア

ウォルマート・スーパーセンター(Walmart Supercenter)

+0.3%

20.3%

20.0%

フード・ライオン(Food Lion)

+0.7%

19.2%

18.5%

ハリス・ティーター(Harris Teeter)

+0.3%

16.7%

16.4%

クローガー(Kroger)

-

(撤退)

8.2%

コストコ(Costco)

+0.5%

5.2%

4.7%

ターゲット(Target)

+2.9%

6.5%

3.6%

ホールフーズ(Whole Foods)

+0.8%

3.3%

2.5%

パブリクス(Publix)

+1.5%

3.7%

2.2%

トレーダー・ジョーズ(Trader Joe's)

-

1.3%

1.3%

ウォルマート・ネイバーフード・マーケット(Walmart Neighborhood Market)

-

1.2%

1.2%

ダラー・ジェネラル(Dollar General)

-

1.2%

1.2%

ダラー・ツリー(Dollar Tree)

-

1.1%

1.1%

アルディ(Aldi)

+0.3%

1.3%

1.0%

リドル(Lidl)

+0.4%

0.8%

0.4%


※Chain Store Guide社データ

 

表で明らかなように、ターゲット(Target)がここ1年で大きくシェアを伸ばしています。

チェーンストア・ガイド社によると、これはターゲットがここ数年集中的に行ってきた店舗の改装による食品等の商品ディスプレーのグレードアップと、アーチャー・ファームズ(Archer Farms)をはじめとする同社のプライベートブランドの充実化による価格の引き下げなどの地道な努力により、それまでクローガーをひいきにしていた目の肥えた顧客の獲得に成功したのだろうと評価しています。

実際、もう一つの激戦エリアのダーラムにおいても、ターゲットは2017年の3.1%の市場シェアを1年間で9.2%にまで伸ばしていることからもわかります。

 

2番目にシェアを伸ばしているパブリクスはローリー市のあるウェイク郡(Wake County)で昨年新たに2店舗を新規にオープンしており、今後もトライアングル地区に新店舗の出店を加速する方針ということです。

また、前述の通り同社の最大のライバル企業であるウェグマンズが、今年の9月のローリーへの進出を皮切りに、ケーリー(Cary), チャペルヒル(Chapel Hill)等への出店準備を進めています。この両社の競合をはじめ、シェアを着々と伸ばしているドイツ発のディスカウントチェーンのアルディ(Aldi)とリドル(Lidl)、そして地元を代表するフードライオン(Food Lion)とクローガー店舗を一部引き継いだハリス・ティーター(Harris Teeter)などによるシェア争いに、今後も注目をしていきたいと思います。

 

 

(2019.5.15配信)

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