アマゾン、ホールフーズ買収の効果はいかに!?

昨年8月に、アマゾンが137億ドルという破格の金額でのホールフーズの買収を完了してから間もなく1年が経過します。

昨年10月のメールマガジン「アマゾン効果いかに!?ホールフーズ最新情報」にて、買収直後の状況についてご報告をしましたが、この1年でどのような変化があったのかについて、複数のメディアがレポートしていますので近況をご紹介します。

 

B2B専門の食品小売り関連情報サイトを運営しているウィンサイトグローサリービジネス(Winsight Grocery Business)社によると、今年の4月に全世界で1億人を超えたと発表された、アマゾンのプライム会員に対するロイヤリティプログラムをホールフーズにも導入し、実店舗ビジネスに本格的に参入したことで、アメリカの小売市場が大きく変化したということです。

具体的には、スマホアプリの開発とロケーションデータの分析を専門に扱っているセンス360(Sense360)社の分析結果を紹介しており、それによると、この買収後の調査で、プライム会員の方が非プライム会員に比べて27%も多く、今後もホールフーズでの買い物をしたいと答えたということでした。プライム会員でホールフーズでの買い物をしたことのある顧客の90%は、ホールフーズにおけるプライム会員特典を今後も利用したいと回答しているということです。

そのため、ホールフーズ・サイトにおけるコンバージョン率が買収前の4.8%から5.8%に上昇したとのことです。

 

更に調査会社インマーケット(Inmarket)社によると、買収後のホールフーズへの買い物客の数は通常のスーパーに比べて+5.5%のスピードで伸びているということです。その背景にはアマゾンのマーケットプレース上で購入した商品をピックアップすることができるアマゾンロッカーをほぼ全店に配置したことで、受け取るついでにホールフーズ店舗に数分間立ち寄るマイクロビジット客が全店平均で8.7%増えたことが大きな要因の一つとしています。

買収後にホールフーズの代表的PBの365Everyday Valueの売り上げが約15%伸びており、現在アマゾンにとって最も売れ筋のPB食品となっています。アマゾンもホールフーズの獲得により、北米のオンライン食品販売の18%のシェアを獲得することができ、シェア9%で2位のウォルマート(Walmart)の倍の数値となりました。

 

ニューヨークを拠点とする新進経済情報サイトのビジネスインサイダー(Business Insider)社は、米国の食品小売り全体への影響について言及しています。顧客データ分析を行っているアドビアナリティクス(Adobe Analytics)の2018年6月までの12か月間の全米の食品小売価格が0.3%下がったという分析結果を引用し、それ以前の12か月が0.6%のアップだったことから、明らかに今回の買収による影響が大きいと分析しています。

 

上記のように、アマゾンのホールフーズ買収によって、既に市場に様々な変化が起きていますが、前述のウィンサイトグローサリービジネス社によると、今回の買収はアマゾンによる本格的な全米食品小売市場参戦の序章にしか過ぎないとのことです。競合各社は、アマゾン・ホールフーズ対策に乗りだしてきており、今後ますます市場の変化が予想されます。具体的な各社の動きとして、クローガー(Kroger)は英国最大のネットスーパーのオカド(Ocado)との独占業務提携を発表し、ミールキットのホームシェフ(Home Chef)の買収をしています。また、ターゲット(Target)は食品宅配大手のシプト(Schipt)を買収し、ウォルマートはグーグル(Google)とのアライアンスとマイクロソフト(Microsoft)とのパートナーシップを進めている状況です。

 

今後の食品小売市場全体の動きについては引き続き注目していきたいと思いますが、今回の買収はアマゾンにとっても、ホールフーズにとっても、それぞれ大きなメリットがあったと言えそうです。アマゾンは、それまで最大の弱点と言われていた実店舗の強化(実店舗顧客データの収集を含め)が可能となることで、オムニチャネルの完成に近づくことが出来ました。

ホールフーズはそれまで同社につけられた「ホールペイチェック(給料全部が消えてしまうほど高額)」というマイナスのイメージを、アマゾンによる段階的且つ戦略的な商品の値下げと、1億人を超えるプライム会員向け特典の導入等により払拭することができ、来店者数を順調に伸ばしています。さらにライバル企業より大幅に立ち遅れていたECへの取り組みは、まさにアマゾンのお家芸であり、そのおかげでこの1年で急速に進化させることができました。

以下の表はホールフーズにおける最新のEC取組内容をまとめたものです。

サービス内容

条件

概要

ピックアップ

ロッカーは無料
(生鮮食品不可)

※カーブサイドP/U
(プライム会員限定)
1時間 35j以上は無料

(35j未満は1.99j)
30分 4.99j
(ミニマム購入条件は無し)

ストアピックアップ(Amazon.com)で販売されている商品のピックアップは、ほぼ全店舗に設置された店内のアマゾンロッカーにて受け取りが可能。生鮮食品は不可。 
※8月08日に、カリフォルニア州サクラメントとバージニア州バージニアビーチの店舗にて、生鮮食料品を店舗所定の駐車場スペースにて受け取るカーブサイドピックアップサービスの開始を発表した。 
徐々にサービス店舗を増やす予定。

デリバリー

*Prime Now会員:(年会費119ドル)
2時間 無料
1時間 7.99j
*インスタカート:
2時間 5.99j
(35j以上)
1時 7.99j
(年会費149jの
エクスプレス会員は無料)

食品のホームデリバリーはインスタカートと5年契約の3年目だが、アマゾンによる買収後に徐々にプライムナウによるデリバリーへの転換を進めている。
プライムナウは、現在、オースティン、ダラス、バージジニアビーチ、シンシナティ、サンフランシスコ、
アトランタ、ロサンゼルス、ロサンゼルス郊外オレンジ郡、デンバー、サクラメント、サンディエゴ、ボストン、フィラデルフィア、ローワーマンハッタン、ブルックリン、ロングアイランド、フォートローダーデール、マイアミ、パームビーチなど24都市で行われている。(順番は導入時期)

 

アマゾンはシアトルに続く2番目の本社をどこに置くか、年内に決定する予定であり、今年の1月に候補地を20都市に絞りましたが、今月中に更に厳選した候補地リストを公表するという情報もあります。またイギリスでは、政府が地元の伝統的小売企業を守るために、アマゾン特別税を検討するなど、アマゾンの影響力は米国だけでなく、世界中でとどまるところを知りません。

 

今後もアマゾンを中心とした世界の小売市場について、レポートを続けたいと思います。

 

(2018.08.20配信)

 

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