米国内の特定の企業、組織、ブランドが自分の住む地域社会(コミュニティ)に対して、良い(ポジティブ)影響を与えているか、あるいは悪い(ネガティブ)影響をもたらしているかを調査した結果が発表されていますので、ご紹介します。
これは、アメリカの世論調査会社モーニング・コンサルト(Morning Consult)社が、2017年7月15日から10月15日にかけて全米の約800の企業、組織及びブランドを対象に、コミュニティ・インパクトランキング(Community Impact Rankings)調査を行った結果です。コミュニティ・インパクトとは、自分の住むコミュニティ(地域社会)に対する、企業、組織、ブランドによる影響力のことで、単なるイメージだけではなく、その企業、組織およびブランドの本当の価値を示す新たな指標として注目されています。
以下が全米各州の330,488人からの回答を集計したトップ20と、その他の主な企業、組織、ブランドのリストです。
このランキングの大きな特徴として、以下の2点があげられます。
① UPS, USPS, フェデックスといった物流関連の企業が上位にランキングされている。
上位にランキングした理由として、配達車やスタッフを目にする機会が多いことから生まれるフリクエンシー効果によるものが大きいと言われています。UPSは1日平均で1,700万件の配達・配送をしており、USPSは全世界の郵便数の約47%を取り扱っているとのことです。また、近年のオンラインショッピングの急速な成長によって、これらの企業が商品配送サイクルにおける一番最後、かつ、一番重要と言われている、いわゆる「ラストマイル」の部分を担うことによって、より多くの人がこれらの企業のサービスを受ける機会が増えていることも大きな要因としています。
② 日本の百均(百円均一ストア)にあたるダラーストアが上位にランキングされている。
ランキングされているダラーストアは3社(※)合計で、全米約27,000店舗を展開しています。これはウォルマートの5倍、マクドナルドの2倍の店舗数です。物流関係企業と同様に、この圧倒的な店舗数のダラーストアを目にする機会が多いことによるフリクエンシー効果があるとされています。また、自社従業員や店舗のある地域の住民に対し、様々な教育の機会を提供するための基金を設立するなど、地域貢献の取り組みが大きく評価されている結果でもあるようです。
※ファミリーダラーは2015年にダラーツリーに買収されています
上記以外の特徴的な企業として、ウォルマートはポジティブという回答が3位と健闘しているものの、ネガティブという回答が13%と非常に高くなっています。ウォルマートは2007年以降、毎年、赤十字に3,500万ドルの寄付を続けており、今年のハリケーンの被害者に対しては2,000万ドルの寄付をするなど、社会的活動が評価されている一方で、昔から営業を続けている地元の店舗から多くの売り上げを奪い続けてきたと考えられていることが、残念ながらマイナス評価につながっているようです。
また、マクドナルドはマイナス評価が17%と非常に高くなっています。同社はサブウェイに続く世界2番目店舗数を誇るファストフードチェーンとしての地位を確立してきましたが、健康志向が高まる中で、味や健康に対するマイナスイメージの払拭に時間がかかり過ぎたということに要因があるようです。また、ファストカジュアル店舗の台頭などにより、一時期経営が伸び悩んだことも理由とされています。さらに、オンラインへの対応が遅れたということがこのマイナス評価の大きな要因につながっていることが、調査から判明しています。以下の通り、年齢層が低いほど、マクドナルドに対するネガティブな評価が増えるという結果になっています。
【マクドナルドの年齢層別の影響力(ネガティブ)】
・18〜34歳 −26%
・35〜44歳 −20%
・45〜64歳 −13%
・65歳以上 − 8%
マクドナルドは、病気を持つ子どものいる家庭に対する住宅の提供や、全店舗での募金箱の設置などの「ロナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティ(Ronald McDonald House Charity)」という社会貢献活動に積極的に取り組んでいますが、まだまだマイナスの企業イメージが残っているようです。
今回のコミュニティ・インパクトランキングは今回が初めての調査とのことですので、企業の新たな評価方法として、今後も引き続き注目していきたいと思います。
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