米国での評判いかに?進出から五ヶ月、独リドルのその後

2月のメールマガジン「リドルがアメリカ上陸へ!」でご紹介しましたが、ドイツ発ハードディスカウントチェーンのリドルが今年の夏(6月15日)米国に初出店を果たしました。初出店から約5か月が経過したリドルについて、マーケットシェアや市場の調査が行われていますので、ご紹介いたします。

6月の初出店時は、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、バージニア州の9店舗でしたが、現在(11月08日時点)はジョージア州とデラウェア州にも出店しており、11月17日には、新たにニュージャージー州にも店舗をオープンする予定です。米国東海岸で、合計45店舗の展開となります。さらにリドルは2018年末までに100店舗の出店を予定しており、最終的には全米で600店舗の展開を目指しています。

リドル出店エリア(カッコ内は2017年11月17日現在の店舗数)

順調に出店数を伸ばしているリドルですが、6月の初出店以降、徐々に客足が遠のいているという調査結果が出ています。この調査は、ショッパー・マーケティングを行っているインマーケット(InMarket)社によるものです。

インマーケット社の調査によると、最初に出店した3州の9店舗のマーケットシェアは、オープンした6月には2.6%あったものが、7月には2.3%、8月は1.7%と落ち込み、9月にはわずかに回復したものの1.9%と低迷しているとのことです。リドルと欧州マーケットで熾烈なシェア争いを演じ、既にアメリカ進出を果たして成功しているアルディと競合するということで大きな話題となり、出店当時は多くの顧客が訪れましたが、マーケットリーダーであるウォルマートやクローガーなどによるプライスマッチング施策や、時間の経過による市場の鎮静化により数値が落ちているのではないかと分析されています。また、9月にリドルスペインのトップを急きょリドルアメリカのトップとして起用するというニュースもあったため、リドルのアメリカにおける経営に対して危惧する報道もありました。

市場の鎮静化についてはリドルだけに当てはまることではなく、リドルのアメリカ進出の翌日に発表されたアマゾンのホールフーズ・マーケット買収時にも起こっています。10月のメールマガジン「アマゾン効果いかに!ホールフーズ最新情報」でもご紹介しましたが、買収手続きが完了した8月28日からホールフーズは一部食品の値下げを行いました。この時も一時的にホールフーズの来店客は増加しましたが、徐々に平常に戻ったということが報告されています。

リドルに関して、悲観的な調査結果や報道が数多く出されていますが、世界的経営コンサルティング企業のオリバーワイマン(Oliver Wyman)社の最新のレポートによると、悲観的な市場調査報告はいささか誇張されすぎているとのことです。同社はバージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州において、リドルの出店前後の市場調査をしています。出店前には500人の一般消費者に対しての調査を行い、出店2か月後には、リドルをメインの買い物先としている消費者300人と、リドルで買い物をしたことが無い消費者2,000人を対象にした意識調査を行っています。

その調査結果は以下の通りです

 

※オリバーワイマン(Oliver Wyman)社調査

結果的にリドルで買い物をした顧客の評価は非常に高く、多くが将来的にリドルでの買い物をしたいと答えています。オリバーワイマン社は、リドルへの客足が伸びなかった最大の理由が④にあると分析しており、今後リドルブランドが浸透し、店舗を増やすことで解消されるだろうとしています。さらに今後5年以内にアルディと併せて全米で約4,000店舗を展開することとなる場合、300億ドルの売上高になると予測されており、アメリカの既存店舗にとって更なる脅威になるだろうと結論付けています。

また、リドルは、アメリカ進出時点ではオンラインショッピングへの対応を予定していませんでしたが、サウスカロライナ州のグリーンビル(Greenville)地区にて、買い物代行サービスおよび宅配サービス企業のシプツ(Shipt)によるサービスを開始しました。これはライバルであるアルディが、8月にインスタカート(Instacart)による食品のホームデリバリーサービスを開始したことへの対抗策と見られています。リドルは欧州のマーケットでも、このようにスピーディで臨機応変な対応により売上を伸ばしてきました。

リドルの米国出店については、様々な視点からのレポートがでており、悲観的な要素ばかりではありません。今後の展開を見守りながら、引き続き注目をしていきたいと思います。

(2017.11.10配信)

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