小売の新激戦区!リッチモンド最新事情

前回のメールマガジン「ウェグマンズVSパブリクス!リッチモンドにて初競合!」にて、同一都市で初めて競合する、ウェグマンズとパブリクスについて特集をしました。
今回は、新たな激戦区であるバージニア州リッチモンドの小売市場の特徴についてご紹介します。

リッチモンドの市場は、他都市と比較にならないほど、シェア争いが厳しく、変化が早い市場だと言えます。  
以下に2016年のマーケットシェアを表にまとめたものをご紹介します。1位は2014年、2015年のシェアについても記載しています。

(Food World社情報)

上記の表には記載されていませんが、2010年までは、地元SM企業のユクロップ(Ukrop’s)や、かつて「全米で最も健康的なスーパーマーケット」のトップ10にも選ばれたハナフォード(Hanaford)が市場を独占していました。その後、ユクロップは、オランダのロイヤル・アホールド社(Royal Ahold NV)が買収し、マーティンズ(Martin's)として2015年まで市場をリードしましたが、全国チェーンのウォルマート(Walmart)とクローガー(Kroger)の台頭により、2016年以降急激にシェアを落とし、2017年8月にリッチモンドの全店舗閉鎖となりました。ハナフォードも既にリッチモンドから撤退し、現在シェア2位のクローガーが店舗を買い取っています。

このような中で、2016年にはドイツ発のハードディスカウントチェーンのアルディ(Aldi)と、ウェグマンズ(Wegmans)がリッチモンドに進出し、2017年6月にはアルディと同じドイツ発のハードディスカウントチェーンであるリドル(Lidl)が、ヨーロッパでのメイン店舗とは異なるアップスケール型で出店をスタートしました。アルディに比べ約2倍の売り場面積と明るく高級感のある店舗デザイン、ローカルとフレッシュに力を入れた食品展開および店内ベーカリーの設置などにより、アルディとの差別化を図っています。また、7月にはウェグマンズの脅威になるといわれているパブリクス(Publix)が進出をしています。また、ローカルを代表す老舗SM企業の一つであるフード・ライオン(Food Lion)は、リッチモンド周辺の71店舗の大改装を決定し、1億1千万ドルを投じること発表しました。複数のメディアによると、ノースカロライナを拠点として業績を伸ばしているオーガニック食品チェーン、アースフェア(Earth Fare)も、リッチモンドのあるバージニア州への進出を計画しているとのことです。

アメリカの金融関連情報サイトであるウォレットハブ社(Wallethub)によると、リッチモンドは、住民一人あたりの食品店の数が、シンシナティとオーランドと共に、全米でトップレベルであるとのことです。人口10万人に対して、食品店の数が122.56店以上とのことです。(小規模個人経営の店舗やコンビニも含む。)バージニア・コモンウェルス大学ビジネス・マネージメント学部(VCU School of Business)のRobert Kelley博士によると、現在のリッチモンドエリアの小売店舗数は既に飽和状態であり、この市場で生き残るのは極めて困難だろうとのことです。

現在のリッチモンドは、既に飽和状態と言われているにも関わらず、各企業の出店が相次いでおり、競争が激化している状況です。

これほどの激戦区でありながら、多くの企業が出店を続けるのは、リッチモンドの人口増加率が全米平均に比べて高いからだと言えます。2000〜2010年の10年間の人口増加率は、全米平均より0.23%高くなっています。また、リッチモンドに本拠地を構える企業は6万社に上り、外資系企業も150社が拠点を構えているため、今後の消費が確実に見込めるという背景があるようです。

前回のメールマガジンから2回に渡り、新しい小売激戦区のリッチモンドについてご紹介しました。小売企業の新規出店が相次ぎ、小売市場の変化が早いリッチモンドは、今後も注目すべき都市だと言えるでしょう。

(2017.08.10配信)

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