本格到来!ネットもリアル店舗も“アマゾン時代”

 アマゾンの実店舗への取り組みについて、3月のメールマガジン「ついにオープン!アマゾンフレッシュ・ピックアップ店舗」にてご紹介しましたが、その後、シアトルの2か所のアマゾンフレッシュ・ピックアップ店舗がプライム会員向けにサービスを開始しています。また、アマゾン・ブックスの店舗も3月時点から3店舗増え、現在は8店舗が営業しています。

アマゾンは6月に、「ホールフーズ・マーケット(以下ホールフーズ)」を総額137億ドルで買収することを発表し、世界的に大きなニュースとなりました。 ホールフーズは、全米42州で445店舗(その他カナダで13店舗、イギリスで9店舗)を展開している、欧米最大のナチュラル・オーガニックフードチェーンです。

アマゾンがホールフーズを買収した詳しい目的については明らかになっていないようですが、実店舗ビジネスの強化であることは間違いありません。

世界的な経済ニュースチャンネルCNBCの電子版によると、今回のホールフーズの買収によって、クローガーの株価が40%近く下落するなど、米国の小売市場に大きな影響が出ているとのことです。また、アルバートソンズは、予定していたIPO(新規株式公開)をアマゾンの発表直後に中止し、ミールキットのデリバリーで業績を伸ばしているブルー・エプロンは、新規株式公開価格の仮条件をそれまでより34%引き下げるなどの影響も出ています。アマゾンはミールキット業態への正式参入のための商標登録申請を7月6日付で行っており、アメリカ北西部でニュースサイトを展開しているGeekwire社によると、既に一部の都市でプライム会員に限定したミールキットのテスト販売を開始しているということです。

ホールフーズ買収の大きな目的の一つがミールキット市場参入の動きからも見て取れます。

米国のリテールコンサル企業大手のWDパートナーズ副社長リー・ピーターソン氏によると、2017年はまさにアマゾン時代の到来と言って良いのではないか、とのことです。

長年、米国小売市場のリーダー的存在だったメイシーズが、68店舗の閉鎖と、それによる約10,000人の人員削減を2017年初頭に発表しました。一方のアマゾンは、メイシーズの発表の1週間後に、全米で10万人の雇用を創出すると発表しています。 アマゾンの発表のタイミングは偶然ではなく、メイシーズの発表を受けて行われた、意図的なものであったと考えられるとのことです。米国の小売業が大きく変わったということを、アマゾン自ら意図的に示唆したものであろうとのことです。

アマゾンは1995年の創業から売り上げを伸ばしてきましたが、実は、2003年までは通年で赤字となっていました。

※当社視察資料より

前述のMDパートナーズのリー・ピーターソン氏によると、これはアマゾンの経営戦略の一つであるPatience pays off (忍耐は必ず報われる)という考え方に則った戦略であるとのことです。これは、当面の赤字を覚悟し、数年後・数十年後の市場シェアの拡大を視野に入れ、売り上げを収入ではなく事業投資に回すというものです。

また、アマゾンのこれまでの成長を支えてきたオンライン・ビジネスにも全く衰えが見えません。米国の市場調査会社Slice Intelligence社によると、2016年度の米国におけるオンラインショッピング売上高の約43%をアマゾンが占めたとのことです。アマゾンのシェアは、2012年(25.4%)、2013年(26.6%)、2014年(29.2%)、2015年(33%)と、大幅に伸びています。特定の業種において、1つの企業が40%以上のシェアを占めることは、これまでにないことであり、アマゾンのオンライン・ビジネスの強さがわかります。

注目を浴びている実店舗への取り組みはこれからも加速していくと思われますが、オンライン・ビジネスにおいても同時に拡大を続けるアマゾンの動向に、これからも目が離せません。

(2017.07.20配信)

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