出店加速のトレーダー・ジョーズ VS 365ホールフーズ

ここ数年でミレニアル世代が消費の中心となり、フレッシュ、オーガニック、ナチュラル、ローカル、ヘルシー等が米国小売業のキーワードになってきたことで、SM各社もミレニアル世代のトレンドに対応した商品展開や新コンセプト店の出店を進めています。以前にご紹介した、「365バイ・ホールフーズ・マーケット」(以下「365」)やクローガーの新コンセプト店である「メイン&バイン」の出店も、こうしたトレンドの流れを追っています。また、ミレニアル世代のトレンドに合致している「トレーダー・ジョーズ」が、ここ数年、新規出店を加速していることもあり、各エリアでのSM店舗の競合は激しくなっています。


トレーダー・ジョーズは現在カリフォルニア州を中心に、全米43州、約460店舗までに拡大し、2015年の売上は約130億ドルと言われています。出店業態は、食料品を中心に3,500〜4,000SKUの商品を扱う、品揃限定型食品店のフォーマットのみの展開です。取扱う商品の8割以上がプライベート・ブランドであり、高品質商品を低価格で提供しています。オーガニックやローカル、自然食品を推奨しており、添加物等について独自の規定をクリアした商品のみをプライベート・ブランドとして販売しています。

また、トレーダー・ジョーズは店舗名の通り、トレーダー(商人)のジョーさんが世界中から集めてきた商品を販売するというコンセプトや、店内の芸術的なPOP、モチベーションが高く接客技術の高い従業員など、買い物が楽しくなる工夫も満載です。そのトレーダー・ジョーズの新たな競合として注目されているのが、「365」です。「365」は、オーガニック以外の商品も扱い、プライベート・ブランドを中心にホールフーズ・マーケットよりもリーズナブルな小型店フォーマットで出店しています。こだわりのあるプライベート・ブランドの食料品を主な商品として販売している点は、トレーダー・ジョーズと共通しており、顧客層も重なるとみられています。

「365」の一号店である、ロサンゼルス近郊のシルバーレイク店から約5分のところにトレーダー・ジョーズの店舗があり、メディア等が両店舗の購入頻度が高いと思われる商品の価格調査を行っています。結果は、ほぼ同額であり、新しくオープンした「365」が、トレーダー・ジョーズの販売価格を意識していることが伺えます。また、10月14日にオープンが予定されている、シアトル郊外のトレーダー・ジョーズのベルビュー店は、「365」の3号店の近隣になります。米国の小売系メディアによると、「365」以外にもトレーダー・ジョーズの新規出店先には、競合になりうるSM企業が既に出店しているケースが続いているとのことです。10月中旬にトレーダー・ジョーズの新店がオープンするカリフォルニア州のカルバーシティでは、スプラウツ・ファーマーズ・マーケットが既に近隣に出店しています。スプラウツ・ファーマーズ・マーケットは、オーガニックやローカルの農作物を中心に市場を意識した店内レイアウトが特徴のSMです。ホールフーズ・マーケットよりも安価にオーガニックの食材が購入できることから、ミレニアル世代から支持を受け、近年売上を伸ばしている企業でもあります。また、アホールドがボストン近郊に2店舗出店している、ミレニアル世代をターゲットにした小型SM、「ビーフレッシュ」の近隣にもトレーダー・ジョーズの出店が計画されているとのことです。

顧客の高い支持を受けて出店を加速するトレーダー・ジョーズが、ミレニアル世代を主なターゲットとしているSMの競合に、新たな影響を与えそうです。

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