ウォルマート

ウォルマート・ピックアップ・グローサリー

2014年9月、アーカンソー州ベントンビルにドライブスルー専用スーパー「ウォルマート・ピックアップ・グローサリー」の実験店をオープンしました。同店舗では、駐車場に止めた車から降りずに、事前にインターネットで注文した商品を受け取ることが出来るようになっています。


消費者は専用サイトで食料品や日用品など約1万品目の対象商品の中から、必要な商品を注文し、支払いを済ませ、受け取る時間を指定します。注文から最短2時間で受け取りが可能で、午前7時から午後10時の間で1時間の受け取り時間枠を設定し、その時間に来店すると、駐車場のゲートで停車位置が指定され、車を止めると店員がトランクに袋詰めされた商品を積み込む仕組みになっています。ドライブスルー感覚で買い物を済ませることができ、とくに子育て中の母親や仕事で忙しく買い物に行く時間がない人のニーズに応えた業態となっています。

 

商品価格は、同社の「スーパーセンター」と同価格に設定されており、ピックアップのサービス手数料なども必要ありません。また、米国では日本のように冷蔵や冷凍の商品を低温のまま配達する物流インフラが全域で整っておらず、日本では一般的な不在時の再配達にも追加料金がかかることがあり、こうした背景から、宅配の便利さより、好きな時間に店舗に取りに行ける便利さが注目を集めつつあります。

ウォルマート・ツーゴー

2014年3月、同社初のコンビニエンスストア型でセルフ式のガソリンスタンドを併設した小型店の実験店「ウォルマート・ツーゴー」をオープン。大都市を除き、多くの会社員がマイカー通勤という車社会の米国で、給油ついでの買い物客を取り込みたい考えです。

 

営業時間は午前5時から午後10時で、売り場面積約300㎡の店内には、同社のプライベートブランド商品をはじめ、飲料や惣菜、日用品、カー用品など約5,000品目が揃います。商品価格は同社の大型店と同水準となっており、朝食用のシリアルや冷凍食品の他、サンドイッチやサラダなどの軽食類が充実、出来立ての温かい惣菜は地元店がインショップ形式で提供しています。

 

2000年代まで1万㎡を越える大型店舗で急成長を遂げてきた同社ですが、少子化や都市部への人口集中により、これまで一般的であった週末に家族で郊外の大型店で買い物を楽しむ習慣が薄れつつあるなど、こうした消費行動の変化から米国事業の見直しに着手。毎年、120店以上出店を続けてきた「スーパーセンター」(平均売り場面積1万6,000㎡)の出店数を2016年1月期に60〜70店に抑える一方で、「ネイバーフッドマーケット」(平均売り場面積3,700㎡)の出店を加速しています。2016年1月期に180〜200店(2014年1月期比でおよそ2倍)増やす計画です。

ホールフーズ

同社初の全米規模の広告キャンペーンを開始

2014年10月、同社にとって初となる全米広告キャンペーンを開始しました。予算は1,500万〜2,000万ドルと見られ、過去5年間のうち、年間宣伝費用が最も高かった2010年の840万ドルと比べてみても、今回はさらに大々的なキャンペーンであることがわかります。

 

キャンペーンのテーマは「Values Matter(価値観が大切)」。
商品の価格や品質、機能といった「価値」ではなく、消費者自身の「価値観」に訴求・啓蒙する広告となっています。テレビCM・チラシ・屋外ポスター・オンライン広告・店舗といった宣伝媒体に加え、同社のWebサイトには特設ページも制作されており、動画やページがテーマ別・目的別・所要時間別に表示されるようになっています。その内容は、テレビCMをはじめ、商品の説明やレシピなど多岐にわたっています。

 

今回の広告では同社なら、その商品がどのように作られたのか、どのように育てられたのか、を知ることが出来る=安心して買い物をすることが出来る、ということを強調し、さらに独自に設けた基準によって安心・安全なのはもちろんのこと、少しでも環境に優しく、労働者にまで配慮した作られた商品を選ぶことが出来る、ということを消費者の価値観に訴求しています。

 

今回の広告キャンペーンにより、同社は「ホールペイチェック(給料の大半が高額なオーガニック商品に消える、という意味)」というあだ名や、「ホールフーズは高い」というイメージを払拭し、さらに認知度を向上させたい考えです。さらに、既存店の売上成長が鈍化していることや、近年のオーガニック市場の拡大、競合他社の台頭などといった理由から、新成長戦略で巻き返しを図ります。

青果と花の新たな格付けシステムを導入

2014年10月、青果物と花の新しい評価システム「Responsibly Grown(責任ある生産)」の導入を発表しました。同社指定の殺虫剤の使用有無や廃棄物のリサイクル、水質保全、労働者の労働環境などの採点基準を基に、「Good」「Better」「Best」の3段階評価で青果物や花の格付けが行われます。

 

近年のオーガニック市場の拡大を受け、オーガニック食品を取り扱うスーパーが増加する中、独自に開発した基準による格付けは、同社にとって他社との強力な差別化施策といえます。商品に格付けを示す色別のラベルが貼付されていることで、商品を手にした消費者にもわかりやすく、格付けシステムをアピールすることが出来ます。さらに、消費者にとってもその商品がいかに安全性や環境に配慮して生産されたのか、同社が設けた基準をクリアして店頭に並んでいる、ということを知ることができ、安心して購入することが出来ます。同社では鮮魚や精肉部門でもすでに同様の評価システムを実施しており、今回の導入により生鮮3部門全てにおいて評価プログラムが導入されることとなりました。

 

◆Responsibly Grown(責任ある生産)
【グッド(オレンジ)】
環境や人の健康を守る16の農法を行っている、ホールフーズが禁止している殺虫剤を使用していない
遺伝子組み換えの透明化、放射線を使用していない、バイオ固形を使用していない
【ベター(イエロー)】
グッドの基準+自然環境の保護、水質保全、農業労働者の健康と安全
【ベスト(グリーン)】
ベターの基準+蜂や蝶の保護、有害生物管理と環境保護におけるリーダーシップ

 

<これまでに導入されている格付けシステム>
◆Wild-Caught Seafood Sustainability Ratings(漁業資源の持続可能性・格付けシステム)
魚介類の資源量や漁獲法、漁獲高、海洋生態系への影響を査定して評価。海洋生態系の保全活動を行っている海洋管理協議会(MSC)、サフィナセンター(旧ブルー・オーシャン協会)とモントレー水族館(Monterey Bay Aquarium)と提携。/2010年9月〜
【回避(レッド)】避けるべき魚種。資源量が問題となっており、漁獲法は他の海洋生物にも悪影響を及ぼしている。ホールフーズでは取扱いなし。
【グッド(イエロー)】代替品としては良い魚種。懸案される資源量や漁獲法が一部残っている
【ベスト(グリーン)】最良の選択の魚種。資源量は豊富、環境に配慮した漁獲法で獲っている


◆The 5-Step Animal Welfare Ratings(家畜飼育5段階評価・格付けシステム)
家畜の飼育方法で牛肉や豚肉、鶏肉を格付け。非営利団体「グローバル・アニマル・パートナーシップ」と共同開発。/2011年2月〜
【STEP1】檻やかごに入れられておらず、密集した状態で飼育されていないこと
【STEP2】家畜本来の生活環境に近い環境で飼育すること
【STEP3】家畜が屋外に出られるようにしておくこと
【STEP4】放牧を基本とした飼育をすること
【STEP5】家畜に対する人工的な肉体改造を禁止すること
【STEP5+】生涯、同じ農場で飼育されること


◆Eco-Scale Rating System(環境負荷・格付けシステム)
家庭用洗剤を環境への配慮さで格付け/2011年4月〜
【レッド】ホールフーズでは取扱いなし
【オレンジ】完全な透明性(成分がパッケージに表示されている)、第三者による検証がされている、環境や安全に影響を及ぼす成分を含んでいない、ホルムアルデヒドを放出する可能性のある防腐剤を使用していない、リン酸や塩素化合物・着色料を使用していない、動物実験を行っていない
【イエロー】オレンジの基準+天然香料100%、有機化合物であるジエタノールアミン(DEA)・トリエタノールアミン(TEA)・モノエタノールアミン(MEA)を含んでいない、合成物質を含んでいない
【グリーン】イエローの基準+石油系成分ではなく、植物由来成分を使用

 

◆Health Starts Here Rating System(健康はココから始まる・格付けシステム)
健康的な食生活を提案する食品格付け(※一部店舗のみでテスト展開)

2014.11.28

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