米フードサービス業「売上高成長率トップ10」

 チェーンレストランの調査機関「ネーションズ・レストラン・ニュース」が米フードサービス業「売上高成長率トップ10」を発表。最低賃金の大幅値上げ(2014年7月までに13州が値上げ)等により、景気が上向きかけていることもあり、米外食産業の規模は拡大傾向にあります。ファスト・カジュアル(※)は、米外食産業の中でも成長しており、業界を牽引する業態の一つとして、注目を集めています。また、外食にも「フレッシュさ」や「ナチュラルさ」を求める消費者が増え、こうしたニーズに応えるべく、新鮮な食材にこだわり、消費者の目の前で調理を行うスタイルも増えています。さらに、消費者が自分好みの食材をチョイスし、目の前で作り上げていくことで、消費者に安心感を与え、自分の好きなものを食べたいというニーズに応える店舗も広がりつつあります。

※ファスト・カジュアル…ファストフードとファミリーレストランの中間的な業態。サービスはファストフード的ですが、商品はカジュアルレストラン並みのクオリティを提供。

米フードサービス業「売上高成長率トップ10」
  企業名 コンセプト 売上高成長率
(2013年度)
売上高(百万ドル)
(2013年度)
1. Jersey Mike's Subs
(ジャージー・マイクス・サブズ)
FCRサンドイッチ  21.2%  406 
2. Yard House
(ヤードハウス) 
FSRカジュアル  20.1%  406 
3. Wingstop
(ウイングストップ) 
FCRチキン  19.8%  540.2
4. Chipotle Mexican Grill
(チポトレ・メキシカン・グリル) 
FCRメキシカン  17.3%  3,188.9
5. Casey's General Stores
(ケーシーズ・ゼネラル・ストアーズ) 
  16.1%  656.1 
6. Jimmy John's Gourmet Sandwiches
(ジミージョーンズ) 
FCRサンドイッチ  16.1%  1,467
7. Noodles & Company
(ヌードルズ&カンパニー) 
FCRヌードル  15.1%  409 
8. Firehouse Subs
(ファイアーハウス・サブズ) 
FCRサンドイッチ  14.8%  436.1 
9. Buffalo Wild Wings Grill & Bar
(バッファローワイルドウイングス) 
FCRチキン  13  %  2,784.1 
10. Cheddar's
(チェダーズカジュアルカフェ) 
FSRカジュアル  12.4%  613.2 

FCR…ファストカジュアルレストラン/FSR…フルサービスレストラン

1. Jersey Mike's Subs (ジャージー・マイクス・サブズ)

■公式サイト:https://www.jerseymikes.com/
■主な出店地域:カリフォルニア州、フロリダ州、ネバダ州、ニューヨーク州、テキサス州など全米38州に約1,300店舗

 

 1956年創業、カスタムサンドイッチで全米ではお馴染みのサンドイッチチェーン。
ニュージャージーで営業を開始した当時は、「MIKE'S SUB」という店名でした。個人経営のデリ等が主流で全国チェーンの店舗が少ない中、新鮮な素材・焼き立てのパン・高品質のハム等を使ったサンドイッチは、口コミで評判を集め、全米で約1,300店舗を展開するフランチャイズ店舗へと成長しました。直近1年間で約300店舗をオープンしています。注文を受けてから、その場でスライスされるチーズやハム、鶏肉、ローストビーフ、サラミに加えて自分好みのトッピングが出来ることや、ワインビネガーのアクセントのある味付けが人気の秘訣です。
2012年より開始したリワードプログラムでは、会員登録(無料)をすると、支払い時に金額に応じてポイントが貯まったり、割引クーポンを受け取ったりすることが出来ます。

2.Yard House (ヤードハウス)

■公式サイト:http://www.yardhouse.com/
■主な出店地域:カリフォルニア州、フロリダ州、ネバダ州、ニューヨーク州、テキサス州など全米20州に約50店舗

 

 地ビール、チキンウイング、フレンチフライ等をメインとしたアメリカ料理レストラン。
店名は、馬車での移動が一般的だった頃、駅馬車の運転手が馬車を降りずにビールを受け取れるようデザインされた高さ1ヤード(91.44cm)もあるグラスに由来して名付けられました。100種類以上の世界中のビールを揃えたレストランとして、1996年にカリフォルニア・ロングビーチにオープン。生ビールを提供することで人気がありますが、生ビール以外にもサラダやハンバーガー、ピザ、デザートなどが並び、アメリカ料理以外にも様々な国のテイストをミックスした料理を楽しむことが出来ます。郊外の大型モールなどに出店している人気のダイニングスポットです。
2012年、オリーブ・ガーデンやロングホーンステーキを展開するダーデン・レストランに買収されました。

3. Wingstop(ウイングストップ)

■公式サイト:http://www.wingstop.com/
■主な出店地域:カリフォルニア州、フロリダ州、ネバダ州、ニューヨーク州、テキサス州など全米34州に約600店舗

 

 1994年テキサス州発祥のバッファローウィング(揚げた鶏にソースをからめて食べる料理)の専門店。
企業名は、1930年代・40年代の飛行機をイメージして名付けられました。ウイングは骨付きと骨無しの2種類から、フレーバーはオリジナルホット、レモンペッパー、テリヤキなど11種類から選べ、オーダーしてから作るため、揚げたてを食べることが出来ます。ウイング以外にも、ポテトフライやソフトドリンク、ビール、ワインなどのサイドメニューもあります。

4.Chipotle Mexican Grill(チポトレ・メキシカン・グリル)

■公式サイト:http://www.chipotle.com/
■主な出店地域:カリフォルニア州、フロリダ州、ネバダ州、ニューヨーク州、テキサス州などに約1,600店舗、イギリスやフランスなどにも進出。

 

 1993年創業のファスト・カジュアル・レストラン。
メニューはブリトー、ブリトーボール、ソフトタコス、クリスピータコス、サラダの5種類で、トッピングするメイン素材を豚肉、鶏肉、牛肉、野菜等から選ぶことが出来ます。シンプルなメニューだからこそ素材にこだわり、地産地消を推進、直営や地元で専属契約している農場から厳選したもののみを使用しています。野菜はオーガニック、豚肉には自然な飼料で放し飼いで育てられた豚のみ、鶏肉や牛肉にも80%以上が同環境で育てられた鶏や牛のみを使用と徹底しています。同社のwebサイトも、季節ごとにどの野菜がどの地域で栽培されているのか、豚や牛、鶏がどのように飼育されているのか、などが訴求されたメッセージ性の高いwebサイトとなっています。このような食材へのこだわりやヘルシーさが、安全で良いものを食べたいと思う顧客から高い人気を集めています。


店内は、天井や配管パイプがむき出しの倉庫風ですが、コンクリートやベニア板など限られた素材のみが用いられています。また、紙コップやナプキン、包装紙にもこだわり、スパニッシュレッド、ダークブラウン、ホワイトを基調とし、全店が直営店(※)であることを活かし、統一した質が保たれた店舗となっています。
また、同社はメキシコ料理同様、食材にこだわった新コンセプトのファストフード店を出店。アジアンコンセプトの「ショップハウス・サウスイーストアジアンキッチン」を2011年にワシントンDCにオープン、8店舗を展開(2014年10月現在)しています。これに続いて、2013年と2014年10月にデンバーでパーソナル・ピザを提供する「ピゼリア・ロカール」をオープン。顧客は新鮮な素材とトッピングをビュッフェ形式で選ぶことが出来ます。ピザの焼き上がりまでは約2分、特注のオーブンを使用し、注文してから7分以内の調理を可能にしています。また、高品質を保つため、店内はピザ生地の貯蔵に最適なイタリア・ナポリと同湿度に保たれています。同社のフードコストは競合他社より35%高いと言われていますが、新鮮な料理を求める顧客の期待に応えています。


※同社は2001年から5年間のマクドナルド傘下時代に店舗数を拡大、その後2006年10月までにマクドナルドはチポトレ株を全て売却しています。

ファストフード・チェーン人気ランキング(ハンバーガー部門)
コンシューマーレポート誌8月号には、読者が選ぶファストフード・チェーンの人気ランキングが発表されました。これは、ファストフード・チェーン65ヶ所での96,000回以上の食事経験に基づいた3.7万人の調査で「ハンバーガー」や「チキン」「アジア系」など6つのカテゴリーに分け、読者投票で点数を決定したものです。
ハンバーガー部門の中では、「ファイブガイズ」と「インアウトバーガー」が、東の「ファイブガイズ」西の「インアウトバーガー」と言われるほど、とくに人気があります。とくに南カリフォルニアでは、グルメバーガーに対するニーズが高く、大手チェーンも激戦地区と認めるほど、ハンバーガーレストランの出店が相次ぎ、フランチャイズ展開も加速、競争が激化しています。
ファストフード・チェーン人気ランキング<ハンバーガー部門>
<総合評価> <味>※10段階評価
1位88点/インアウトバーガー 1位8.1点/ハビットバーガー&グリル
2位86点/ハビットバーガー&グリル 2位8.0点/インアウトバーガー
3位84点/カルバーズ 3位7.9点/ファイブガイズバーガー&フライ

1.The Habit Burger Grill(ハビットバーガー・グリル)

■公式サイトhttp://www.habitburger.com/
■主な出店地域…カリフォルニア州、アリゾナ州、ユタ州に103店舗

 

 1969年カリフォルニア州サンタバーバラで創業の炭火焼きハンバーガーチェーン。
メニューは、炭火焼きハンバーガー(Charburger)、炭火のグリル・サンドイッチ、サラダで、ハンバーガーには酸味のあるサワーブレッドにアボガドとチーズを挟んだサンタバーバラスタイルやキッコーマン醤油を使ったテリヤキバーガー(パイナップル入り)、マッシュルーム入ったハンバーガーなどもあります。肉汁を閉じ込める鉄板焼きのようなスタイルの「ファイブガイズ」や「インアウトバーガー」に対し、「ハビットバーガー・グリル」は炭火焼きスタイルで、余分な油が落ちパティが炎にくるまれ、少し焦げたような香りが特徴です。価格は、「インアウトバーガー」と比べると少し高めですが、パティから漂う炭火の香ばしさが食欲をそそり、高い人気を集めています。また、野菜はフレッシュな状態で提供するため、機械ではなく手でちぎって提供しています。ポテトは、「インアウトバーガー」より少し太めで外はカリカリ・中はしっとりホクホク、サツマイモのほのかな甘みが残るスイートポテトフライも提供しています。
今後、ニュージャージー州にも出店が予定されています。

2.In-N-Out Burger(インアウトバーガー)

■公式サイト:http://www.in-n-out.com/
■主な出店地域…カリフォルニア州、テキサス州、アリゾナ州、ネバダ州に301店舗

 

 1948年創業。「フレッシュ」「クリンネス」「サービス」のこだわりを維持するため、上場もフランチャイズも行わず、創業者ファミリーの経営哲学を維持しています。
メニューは「ダブルダブル(パティとチーズ2枚ずつ)」「チーズバーガー」「ハンバーガー」の3種類のみとシンプルですが、「本物」を追及しているハンバーガーショップとして人気があります。(裏メニューとして、パティとチーズ3枚ずつの「スリーバイスリー」、4枚ずつの「フォーバイフォー」、ピクルスに特製ソースを増量した「アニマルスタイル」、バンズの代わりにレタスでパティを挟む「プロテインスタイル」などもあります。)


「本物」へのこだわりから、店舗には冷凍庫や電子レンジはなく、注文を受けたその場で作るフレッシュさが最大の特徴です。レタスやトマト、玉ねぎなどの野菜は近郊の農家から仕入れ、ジャガイモは各店舗で皮を剥き、カットし、揚げるため、常に揚げたてのポテトを食べることが出来ます。また、オープンキッチンとなっているため、レタスやトマト、玉ねぎを挟む様子やポテトを揚げる様子を見ることも出来ます。米国ではファンも多く、店頭ではTシャツが販売され、同社のwebサイトでもキャップや短パン、ロゴ入りのブーツ、パーカーなど種類豊富な商品が並びます。


「本物」の味と並んで、従業員への待遇の良さも特徴的です。米国のファストフード店のアルバイトは給与が低い(米連邦法定最低賃金は7.25ドル)ことで有名ですが、同社の時給は10ドル50セントからスタート。そのため、従業員のモチベーションは高く、店内清掃も行き届いています。
2014年10月には、同社にとって6番目の州となる、オレゴン州ミッドフォードへの出店を計画中であることを発表しています。

3.FIVE GUYS BURGERS and FRIES(ファイブガイズバーガー&フライ)

■公式サイト:http://www.fiveguys.com/
■主な出店地域:アラスカ州、ハワイ州、アイオワ州を除く全米47州に約1,100店舗

 

 1986年創業。1号店のオープンから15年間は5店舗のみで展開していましたが、徐々に顧客を獲得、2002年から本格的にフランチャイズ展開し、8年間で700店以上にまで拡大しました。新しいハンバーガーのコンセプトが次々と生まれ、チェーン化して全米に広がる中、東部から全米にフランチャイズ展開し、その先駆けとなりました。


メニューはハンバーガー、チーズバーガー、ベーコンバーガー、ベーコンチーズバーガー(パティ2枚、リトルはパティ1枚)、サンドイッチ、ホットドックでドリンクやポテトとのセットメニューはありません。
「インアウントバーガー」同様、店内に冷凍庫はなく、冷凍の食材は一切使われていません。フレッシュさとハンドメイドにこだわり、調理は注文を受けてから、パティはビーフ100%のハンドメイドで肉の旨みを楽しむことが出来ます。特徴として、トッピングは15種類の中から自由に選ぶことができ、自分好みのバーガーをカスタマイズすることが出来ます。ちなみに、迷った時は「オールザウェイ」と頼むと、おすすめの組み合わせ8種類(レタス、ピクルス、トマト、グリルドオニオン、グリルドマッシュルーム、マヨネーズ、ケチャップ、マスタード)で提供されます。


ジャガイモは農家から送られてきたものを各店舗でカット、注文を受けてすぐに揚げられるよう網に入った状態で準備され、揚げる際には香りが良いとされているピーナッツオイルのみが使用されています。他のファストフード店よりも高めの価格設定ですが、こうしたこだわりやその味が人気を集めています。2010年には、ホワイトハウス近くの店舗にオバマ大統領が訪れたことでも話題になりました。
赤と白で統一されたシンプルかつ明るい雰囲気の店内には、無料のピーナッツが置かれており、商品が出てくるまでの待ち時間に自由に食べることが出来ます。また、その日使用しているジャガイモの産地が書かれたボードが壁に掲げられ、その脇にはジャガイモの袋がインテリアの一部のように積み上げられています。

◆健康とは縁がないというイメージが先行するファストフードにおいて、イメージを覆すヘルシーなメニューを提供するチェーンも増えています。

Burger Lounge(バーガーラウンジ)

■公式サイト:http://www.burgerlounge.com/
■主な出店地域…カリフォルニア州サンディエゴとロサンゼルスに13店舗

 

 サンディエゴのラホヤ発祥、アメリカ西海岸を中心にサンディエゴからロサンゼルスにかけてチェーン展開をしています。地元食材や牧草で育てられたビーフのみを使用していることや店舗でカットするポテトが特徴で、そのジューシーさ・フレッシュさが人気を集めています。メニューは、ハンバーガー好きの人へのメニューだけではなく、「ヘルシー」をテーマに、健康に気を使う人やベジタリアンの人向けのメニューも提供。グルテンフリーのバンズやキアヌ(※)を使ったバーガーも提供しています。価格は、「マクドナルド」や「バーガーキング」よりも高く、「ファイブガイズ」より安く設定されており、中所得者層以上をターゲットとしています。店内は、インテリアやデザインが統一され、ファストフードでは珍しく、ビールやワインなどのアルコールも販売されています。


※キアヌ…南米のアンデス地方原産の穀物。低カロリー・低糖質ながら栄養素が豊富で、玄米の9倍の食物繊維や5倍の鉄分、食事で取り入れなければならない9種類のアミノ酸を含んでいるなど、健康志向の高い人たちの間で人気を集めています。

2014.10.29

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