CVSケアマーク

社名変更とタバコ販売取りやめを前倒しで実施

2014年9月、CVSケアマークは「CVSヘルス」への社名変更を発表。
また、2014年2月に発表していた約7,700店の全店舗でのタバコの販売中止は、計画より約1ヶ月早い9月3日から実施されています。

 

同社は、タバコの販売が900カ所近くで展開する同社の簡易医療クリニック「ミニッツ・クリニック」に矛盾し、同社の企業理念に反するとして、タバコの販売中止を決定。今回の販売中止に合わせて、全店舗で禁煙用キットの販売や禁煙キャンペーン、禁煙プログラムも開始しています。同社のタバコ販売量は全米の約2%にあたり、タバコと関連商品の売上高は約20億ドル、直近の売上高の3%に相当していました。販売中止に伴う減収が見込まれていますが、販売中止が他社との大きな差別化となる見方が強まっています。

 

全米で直近の成人喫煙率は18%と言われ、1965年の42%から大幅に下がっているものの、この10年はその下降率に大きな変化が見られないことから、さらに喫煙率を下げるべく、大都市を中心に行政等からのタバコへの規制が強まりをみせています。2013年秋には、ニューヨークでタバコの購入可能最低年齢が18歳から21歳に引き上げられ、さらに1箱の最低販売価格を10.5ドル(約1,100円)とする条例が成立しています。サンフランシスコやマサチューセッツ州の数都市では、市条例でタバコの販売が禁止されています。

 

米国では初となる、大手チェーンストアによるタバコの販売中止。競合となるウォルグリーンやライトエイドは、タバコ販売を続行する、としていますが、今後の追随の可能性や、米国の喫煙動向への影響など、その行方に注目が集まります。

ウォルマート

戦略的新プライベートブランドを導入

2014年8月、ウォルマートは新プライベートブランドを数ヶ月以内に全米展開することを発表しました。
新たに展開するのは、一部店舗で昨年秋からテスト展開をしていた「プライス・ファースト」で、ナショナルブランドよりも低価格で提供することをコンセプトとした同社の既存のプライベートブランド「グレートバリュー」より低い価格帯、また商品カテゴリー内で比較をしても最も低い価格となっています。グラム単価や容量単価など単位あたりの価格でお値打ちの「グレートバリュー」に対して、販売価格重視の「プライス・ファースト」は、内容量を抑え、多くの商品が1ドル以下、とダラーストア(ダラーゼネラル、ダラーツリー、ファミリーダラー)を下回る価格設定となっています。

 

「プライス・ファースト」のアイテムは、パスタやピーナッツバター、マヨネーズ、ケチャップ、マスタードなど約50アイテムで、低価格をイメージさせるパッケージデザインに、米国政府による生活保護「補助的栄養支援プログラム」のマークが入っており、生活保護受給者に向け訴求されたデザインとなっています。米国の失業率はリーマンショック前の水準に戻り、景気も回復傾向にあるものの、生活保護受給者は、リーマンショック前の水準より未だに1,500万人多い4,623万人(2014年5月現在)とされています。こうした背景から、米国では絶対額の安い商品への需要が高く、既存店売上高が伸び悩むウォルマートは新ブランドの投入により、既存店売上高を伸ばしているダラーストアへの顧客流失に歯止めをかけ、流失した顧客を取り戻したい考えです。

小型フォーマット「ウォルマート・エクスプレス」を統合へ

2014年9月、ウォルマートの小型フォーマット「ウォルマート・エクスプレス」が「ウォルマート・ネイバーフッドマーケット」に統合されることが複数の報道機関によって伝えられました。ウォルマートの国内売上高は6四半期連続で昨比マイナスとなっていますが、「ネイバーフッドマーケット」は国内部門の中で唯一、既存店売上高+5.0%、客数+4.1%と堅調に推移しており、今回の統合は低迷する国内部門のテコ入れの一部とみられています。また、「エクスプレス」と「ネイバーフッドマーケット」が食品の購入や処方箋の受け取りなど、同じ目的で顧客から利用されていることも統合の理由として挙げられています。

 

21店舗を展開する平均店舗面積約1,100㎡の「エクスプレス」と381店舗を展開する約3,700㎡の「ネイバーフッドマーケット」では、そのアイテム数に大きな差はあるものの、生鮮食品を主力とする商品カテゴリーや薬局部門の併設など、類似点もあります。統合することで、よりマーケット認知度を高めたい考えです。第2四半期の発表の際には、今年度中に約100店の「エクスプレス」と約200店の「ネイバーフッドマーケット」の新店オープンが予定されていましたが、統合により今後オープンする小型フォーマットの店名は「ネイバーフッドマーケット」となり、その店舗数は約300店となる見込みです。

ホールフーズ

外部企業と提携し、宅配サービスを開始

第3四半期決算と合わせて新成長戦略(※1)を発表していたホールフーズですが、その戦略の一つでもある宅配サービスを「インスタカート(※2)」と提携し、15都市で開始することが発表されました。

 

まず、ユーザーはインスタカートのスマートフォン専用のアプリなどから生鮮品等を注文。注文を受け、同社スタッフがホールフーズで商品を購入し、自家用車などで注文から最短で1時間以内にユーザーに宅配する仕組みです。配達料金は、注文から配達までが1時間以内なら5.99ドル、2時間以内なら3.99ドル。99ドルの年間サービス「インスタカート・エクスプレス」の会員なら、35ドル以上の注文で2時間以内の配達であれば無料となっています。また、オンライン注文した商品を店頭で受け取る「ストアピックアップ」についても、オースチンとボストンでテスト展開が予定されています。

 

(※1)新成長戦略例
・1,200店舗の展開を長期目標とし、まずは2014年に38店舗オープンと2017年度中に500店舗を目指す(2014年7月現在、388店舗を展開)
・オープンから10年以上経過している店舗の7割を改装
・認知度向上のため、全米規模の広告キャンペーンを実施
・「シーフード・サステナビリティ格付け」「家畜飼育5段階評価システム」等に加えて、青果と花に関する新たな格付けシステムを追加
・定額購入サービスを今年末までに立ち上げ、来年より代表的な商品で発送を開始

 

(※2)
2012年7月にサンフランシスコで創業したスーパーマーケットの買い物代行&当日宅配サービス。サンフランシスコ近郊からボストンやシカゴ、ワシントンDC、フィラデルフィア、ニューヨークシティ、ロサンゼルスと営業拠点を拡大し、2014年9月に発表されたコロラド州ボルダー地区を加えると、15都市で事業を展開しています。

リワーズ・プログラムの実験開始

宅配サービス同様、新成長戦略の一つである「リワーズ・プログラム」の実験を開始することが発表されました。リワーズ・カード又はスマートフォンのアプリを使って貯めたポイントは、割引や店舗で行われる料理教室の参加などに利用することが出来ます。実験は6〜8ヶ月の予定で、まず今月はニュージャージー州プリンストンの店舗で、2014年後半からはフィラデルフィアの店舗で行われる予定です。全米での導入は、2015年の終わりが予定されています。


ホールフーズは、2013年11月にも同社のプライベートブランド商品1割引きの特典を受けることが出来るロイヤリティ・プログラムの実験を、フロリダ州、インディアナ州、イリノイ州の8店舗で行っていました。

2014.09.25

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