注目小売業の最新動向

1−1.テスコ ―2014年5月、F&Fで再びアメリカへ―

イギリス最大の小売企業である同社は、2007年に食品スーパー「フレッシュ&イージーネイバーフッドマーケット」でアメリカに進出、カリフォルニアやアリゾナ、ネバダの3州で199店を展開するも思うような利益が出せず、2013年9月に撤退していましたが、2014年5月にフランチャイズ企業のリテール・グループ・オブ・アメリカと提携し、アパレルブランド「F&F」(Florence&Fred)のアメリカ1号店をボストンにオープンさせることが発表されました。「F&F」は2001年にイギリスで立ち上げたバリュープライス・ファッションブランドで、現在までに10ヵ国で43店をフランチャイズ展開。アメリカではニューヨークやメリーランド、バージニア、フィラデルフィアなど東部を中心に出店が計画されています。

 

1−2.テスコ ―インターネットで購入した商品を近くの店舗で受け取る「Click&Collect」―

通常の配送サービスは配送料がかかり、受け取りまで日数を要しますが、同サービスなら配送料・手数料は不要、前日15時までに注文をした商品を翌日に受け取ることが出来ます。現在、受け取り対応が可能な店舗は約200店舗ですが、今後は約1,600店舗まで拡大を目指しています。同様のサービスは、競合他社でも徐々に導入されつつありますが、同社は独自の顧客情報の収集と分析、マーケティングで他社と差別化を図っています。

その代表的な例が1994年に導入されたポイントカード「TESCO Clubcard」です。買い物客がポイントを貯めるために、レジでカードを渡すとその購買履歴が蓄積され、同社はその蓄積された購買履歴を分析。分析結果をもとに、顧客ごとにカスタマイズしたクーポンを送付しており、そのクーポンは20%以上が使用されていると言われています。また、分析結果は店内プロモーションやPB商品の開発にも活用され、同社のPB売上は約40%にも達しています。収集した買い物客の購買履歴を分析・理解したうえで、効果的なマーケティングを展開する、同社はリアル店舗だけではなく、インターネット店舗においても同様のサイクルを回すことで成長を続けています。

 

2.ウェイトローズ ―カード会員、コーヒー1杯無料サービス―

富裕層をターゲットに、英スーパー市場で約5%のシェアを持ち、急成長をしている同社は、他の大手スーパーマーケットがポイントカードで顧客を囲い込む中、何ヶ月もかけてポイントを集めることを「無意味」として、ロイヤリティカード会員向けにその場で商品の割引や無料カフェなどのサービスを提供しています。
例えば、店内の専用カウンターで1日1杯に限りコーヒーなどを無料提供。無料とは言え、コーヒーは「アメリカーノ」「カプチーノ」「ラテ」「モカ」「エスプレッソ」の5種類の中から選べ、カフェインなしや紅茶も選ぶこともできます。1週間に100万杯以上を提供していることから、マクドナルドに次いで英国2位の「コーヒーショップ」となっています。しかし一方で、無料カフェだけを目当てに来店する客も増えており、個人のコーヒー店からは苦情が出るほどで、最大野党の労働党は「個人商店の経営を圧迫している」と批判し、無料カフェは政争の材料にもなっています。

 

3.インディテックス ―欧州、アジア、北米など世界のほぼ全域で出店加速―

ファストファッションブランド「ZARA」などを展開し、「H&M」を展開するヘネス・アンド・マウリッツと並んでアパレルの世界2強と言われる同社は、2015年1月期に最大420店を増やすことを発表するなど、出店攻勢を加速しています。14年1月期には61ヵ国・地域で新規出店。出店から閉店を差し引いた店舗純増数は331店にも上りました。今期はこれをさらに上回るペースで「ZARA」以外のブランド「マッシモ・ドゥッティ」「プル&ベア」などの出店も加速するとしています。これまでに欧州からアジア、北米へと世界展開により急成長してきましたが、世界のほぼ全域で店舗網を広げると同時に、新店の大型化・旗艦店改装による売場拡張により、店舗数以上に売場面積も拡大する見通しです。同社は1998年、日本に進出。2014年1月末には100店舗を突破し、生活雑貨店「ザラホーム」を展開するなど、存在感を増しつつあります。

2014.04.25

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